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22 結婚の条件
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「そんなに彩が欲しいですか?」
「はい!」
「親ばかなことを言っておいてなんですけど、面倒臭いでしょう? いつもは自信なさ気なのに、急に強気になってみたり、頑固だし、意地っ張りだし、理屈っぽいし。お世辞にも美人でもスタイルがいいわけでもない。家庭的ではあるけれど、それは、長く専業主婦をしてきたからで、ズボラなところもあるし。男の子の親なだけあって、口が悪くなることもあるし」
正確に娘を分析していて、適当なフォローも出来ない。
要するに、俺が彩のどこを好きかと聞かれているのだろう。
調子のいい言葉を並べることは簡単だが、きっとそんなことでは信頼を得られないと思った。
ここは、彩を見習わずに正直にあるべきだ。
「正直に言って、面倒臭いです。何を考えているのかわからないし、言ってもくれない。別れ話も、空港で言い逃げだったし。すごくムカつきました。だけど、どうしても別れる気にはなれなかった。……彩がいなかった頃のことが、思い出せないんです。ずっと一人でも平気だったのに、どうして平気だったのか思い出せない。今も……、家族じゃないから会えないって受付で言われて、どうしてもっと早くプロポーズしなかったのかって……後悔しました。家族なら、堂々と会いに行けたのに……」
さすがに、お母さんの前で泣くのは恥ずかしすぎて、俯いたまま歯を食いしばった。
病院の受付で、『家族ではない』ことを理由に門前払いされたショックとか悔しさとか、無力感が拭えない。
「真と亮の父親が、再婚しました」
「え――?」
歯を食いしばったまま顔を上げると、お母さんがコーヒーをすすっていた。すでに、二杯目。
「若い女に子供が出来て結婚したそうです。それで、養育費の減額を頼まれたんです。しかも、あの男は新しい嫁を子供たちに合わせました。で、その嫁が言ったそうです。『進学の費用は新しいお父さんに出してもらえ』と」
『高校とか大学とか、俺と亮にお金かかるよ』
それで、真はあんなことを言ったのか。
子供になんてことを言うんだ、と思った。
そんなことを聞いたら、彩のことだ。智也に学費を出してもらうなんて申し訳ない、とでも思ったろう。
「そんな状態で俺と別れるとか、彩らしいですね」
「ホント、バカでしょう? 私なら、逆プロポーズしてるところなのに。……けど、そんな時に健康診断の結果がきて、益々考えこんじゃったのね」
「バツイチ子持ちの上に病気の女なんて、とか?」
「そうそう! 別に命を縮めるような病気でもないのに」
それでも、彩は思ったはずだ。
また病気になったらどうしよう、とか、今度は命に係わる病気だったら、とか。
あれこれ考えて辿り着いた答えが、迷惑をかける前に別れよう、だった。
彩らしいと言えば、らしい。が、到底そんな言葉では片づけられない。
「はい!」
「親ばかなことを言っておいてなんですけど、面倒臭いでしょう? いつもは自信なさ気なのに、急に強気になってみたり、頑固だし、意地っ張りだし、理屈っぽいし。お世辞にも美人でもスタイルがいいわけでもない。家庭的ではあるけれど、それは、長く専業主婦をしてきたからで、ズボラなところもあるし。男の子の親なだけあって、口が悪くなることもあるし」
正確に娘を分析していて、適当なフォローも出来ない。
要するに、俺が彩のどこを好きかと聞かれているのだろう。
調子のいい言葉を並べることは簡単だが、きっとそんなことでは信頼を得られないと思った。
ここは、彩を見習わずに正直にあるべきだ。
「正直に言って、面倒臭いです。何を考えているのかわからないし、言ってもくれない。別れ話も、空港で言い逃げだったし。すごくムカつきました。だけど、どうしても別れる気にはなれなかった。……彩がいなかった頃のことが、思い出せないんです。ずっと一人でも平気だったのに、どうして平気だったのか思い出せない。今も……、家族じゃないから会えないって受付で言われて、どうしてもっと早くプロポーズしなかったのかって……後悔しました。家族なら、堂々と会いに行けたのに……」
さすがに、お母さんの前で泣くのは恥ずかしすぎて、俯いたまま歯を食いしばった。
病院の受付で、『家族ではない』ことを理由に門前払いされたショックとか悔しさとか、無力感が拭えない。
「真と亮の父親が、再婚しました」
「え――?」
歯を食いしばったまま顔を上げると、お母さんがコーヒーをすすっていた。すでに、二杯目。
「若い女に子供が出来て結婚したそうです。それで、養育費の減額を頼まれたんです。しかも、あの男は新しい嫁を子供たちに合わせました。で、その嫁が言ったそうです。『進学の費用は新しいお父さんに出してもらえ』と」
『高校とか大学とか、俺と亮にお金かかるよ』
それで、真はあんなことを言ったのか。
子供になんてことを言うんだ、と思った。
そんなことを聞いたら、彩のことだ。智也に学費を出してもらうなんて申し訳ない、とでも思ったろう。
「そんな状態で俺と別れるとか、彩らしいですね」
「ホント、バカでしょう? 私なら、逆プロポーズしてるところなのに。……けど、そんな時に健康診断の結果がきて、益々考えこんじゃったのね」
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それでも、彩は思ったはずだ。
また病気になったらどうしよう、とか、今度は命に係わる病気だったら、とか。
あれこれ考えて辿り着いた答えが、迷惑をかける前に別れよう、だった。
彩らしいと言えば、らしい。が、到底そんな言葉では片づけられない。
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