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2.OLC
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「まっさかー」と、麻衣が笑う。
既に酔いが回ってきているのか、顔が赤い。
麻衣はお酒が好きだけれど、弱い。
基本的には、私たちと一緒の時しか、飲まない。
「食事の後、後輩に何か言われた?」
「何も?」
「ふぅん……」
その後輩、麻衣に惚れてるな……。
麻衣以外の全員がそう思ったはずだが、あえて何も言わなかった。
麻衣は強情なところがある。
後輩を意識させるようなことを言えば、ムキになって後輩と距離を置くかもしれない。
「彼女に逃げられた男だったのかな」と、龍也が言った。
「麻衣は追いかけられなくて良かったねぇ」
私は棒読みっぽく、言った。
「ま、何にしても、あの男とはもう会うなよ」
陸の言葉に、麻衣が頷いた。
「婚活も悪いとは言わないけど、焦らない方がいいよ?」
私の言葉に、麻衣が頷く。
「そうだよ! 結婚する前に、思いっきり仕事して遊んだ方がいいよ。結婚して子供が出来たら、簡単には別れられないし、失敗したと思っても遅いんだから」
さなえの言葉に、その場の空気が冷えた。
さなえは平然と唐揚げを頬張る。
チラリと見ると、大和が気まずそうにビールを飲んでいた。
夫婦喧嘩か……?
大和が黙っているということは、やらかしたのは大和の方だろう。
夫婦なんだから喧嘩もするだろうけれど、大和にベタ惚れで結婚したさなえが愚痴を言うのも聞いたことがなかったから、驚いた。
「さなえ、チゲ雑炊シェアしない?」と、麻衣が言った。
「うん。食べたい」
麻衣がボタンを押して店員を呼ぶ。
「焼き鳥も頼んで。俺、食ってない」
「私、梅酒」
「ライムサワー」
「イカの一夜干し」
「みんな、自分で言って」
「大和、ご飯ものも食べなきゃ悪酔いするよ? ピザでいい?」
さなえが言った。
「ああ」と、大和が呟いた。
なにがあったんだか……。
付き合いが長いとはいえ、それぞれに抱えているもの全てを知っているわけではない。
偶然にも私はあきらの秘密を知り、あきらにも私の秘密を知られてしまったけれど、自分から言うつもりなんてなかった。
軽蔑されたくない――。
唯一、私が安らげるOLCを失いたくない。
集まって一時間半が過ぎた頃、さなえのスマホが鳴った。
「もしもし。……いいえ。…………わかりました。すぐに迎えに行きます。……はい。すみません。……はい。お願いします」
「母さん?」
電話を終えたさなえに、大和が聞いた。
「うん。大斗がぐずってるって。先に帰るね」
「俺も――」
「いいよ、大丈夫。お義母さんが家まで送ってくれるって」
さなえはバッグとジャケットを抱えて、立ち上がった。
「ごめんね、みんな。また、ね」
「気を付けてね」
「さなえ――」
見送ろうとして立ち上がろうとする大和の肩に手を置いて、さなえは阻止した。
「大和、飲み過ぎないでね」
「ああ」
「大斗くん、お大事にね」
「ありがとう」
さなえが後ろ手にキチッと襖を締めた。だから、みんな見送りに出るタイミングを逃してしまった。
「悪いな、バタバタで」と、大和が言った。
「何言ってんの」と、私は言った。
「チゲ雑炊は食べられたから、良かった」と、麻衣が言った。
「珍しいね、夫婦喧嘩なんて」と、あきらが言った。
「あれって、やっぱそうなの!?」と、龍也。
「さなえがあんなこと言うの、初めて聞いたな」と、陸。
「ま、色々あるわよね。言いたくなきゃいいけど?」
既に酔いが回ってきているのか、顔が赤い。
麻衣はお酒が好きだけれど、弱い。
基本的には、私たちと一緒の時しか、飲まない。
「食事の後、後輩に何か言われた?」
「何も?」
「ふぅん……」
その後輩、麻衣に惚れてるな……。
麻衣以外の全員がそう思ったはずだが、あえて何も言わなかった。
麻衣は強情なところがある。
後輩を意識させるようなことを言えば、ムキになって後輩と距離を置くかもしれない。
「彼女に逃げられた男だったのかな」と、龍也が言った。
「麻衣は追いかけられなくて良かったねぇ」
私は棒読みっぽく、言った。
「ま、何にしても、あの男とはもう会うなよ」
陸の言葉に、麻衣が頷いた。
「婚活も悪いとは言わないけど、焦らない方がいいよ?」
私の言葉に、麻衣が頷く。
「そうだよ! 結婚する前に、思いっきり仕事して遊んだ方がいいよ。結婚して子供が出来たら、簡単には別れられないし、失敗したと思っても遅いんだから」
さなえの言葉に、その場の空気が冷えた。
さなえは平然と唐揚げを頬張る。
チラリと見ると、大和が気まずそうにビールを飲んでいた。
夫婦喧嘩か……?
大和が黙っているということは、やらかしたのは大和の方だろう。
夫婦なんだから喧嘩もするだろうけれど、大和にベタ惚れで結婚したさなえが愚痴を言うのも聞いたことがなかったから、驚いた。
「さなえ、チゲ雑炊シェアしない?」と、麻衣が言った。
「うん。食べたい」
麻衣がボタンを押して店員を呼ぶ。
「焼き鳥も頼んで。俺、食ってない」
「私、梅酒」
「ライムサワー」
「イカの一夜干し」
「みんな、自分で言って」
「大和、ご飯ものも食べなきゃ悪酔いするよ? ピザでいい?」
さなえが言った。
「ああ」と、大和が呟いた。
なにがあったんだか……。
付き合いが長いとはいえ、それぞれに抱えているもの全てを知っているわけではない。
偶然にも私はあきらの秘密を知り、あきらにも私の秘密を知られてしまったけれど、自分から言うつもりなんてなかった。
軽蔑されたくない――。
唯一、私が安らげるOLCを失いたくない。
集まって一時間半が過ぎた頃、さなえのスマホが鳴った。
「もしもし。……いいえ。…………わかりました。すぐに迎えに行きます。……はい。すみません。……はい。お願いします」
「母さん?」
電話を終えたさなえに、大和が聞いた。
「うん。大斗がぐずってるって。先に帰るね」
「俺も――」
「いいよ、大丈夫。お義母さんが家まで送ってくれるって」
さなえはバッグとジャケットを抱えて、立ち上がった。
「ごめんね、みんな。また、ね」
「気を付けてね」
「さなえ――」
見送ろうとして立ち上がろうとする大和の肩に手を置いて、さなえは阻止した。
「大和、飲み過ぎないでね」
「ああ」
「大斗くん、お大事にね」
「ありがとう」
さなえが後ろ手にキチッと襖を締めた。だから、みんな見送りに出るタイミングを逃してしまった。
「悪いな、バタバタで」と、大和が言った。
「何言ってんの」と、私は言った。
「チゲ雑炊は食べられたから、良かった」と、麻衣が言った。
「珍しいね、夫婦喧嘩なんて」と、あきらが言った。
「あれって、やっぱそうなの!?」と、龍也。
「さなえがあんなこと言うの、初めて聞いたな」と、陸。
「ま、色々あるわよね。言いたくなきゃいいけど?」
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