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4.女子会
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「大和から誘われたりしないの?」
日曜のランチタイムに堂々と話せることではなく、私は少し小声で聞いた。
さなえが無言で首を振る。
「さなえからは?」
首を振る。
「寝室は? 一緒?」と、あきらが聞いた。
首を振る。
「大斗の夜泣きとか、私以外を受け付けない時期があって、寝室を別にしたの。それから、ずっと別で……」
「え!? そうなの?」と、麻衣が驚いて言った。
「最近の夫婦には多いみたいよ? 寝室を別にして戻せないままレスになるって。三十代の夫婦で寝室を別にしている割合が十五パーセントだって聞いたことがあるわ。寝室が一緒でもベッドか別っていうのが五十パーセント、同じベッドで寝ているのは三十パーセントなんだって」
「へぇ……」
普通に、驚いた。
「で、三十代夫婦の約半数はレスだって」
「そんなに!?」
更に、驚いた。
「そ。しかも、レス夫婦の子供はいじめられたり、身体が弱かったりするんだって」
「え――」
さなえの表情が凍りつく。
「あくまで統計上だけど、レス夫婦自体、どちらかか両方がその現状に不満を持っている場合がほとんどらしいの。つまり、円満な家庭じゃないってことね。それは、子供にかなりストレスを与えるらしくて」
あきらも、さなえを脅かそうと言ったわけではないだろうけれど、さなえの不安を思うと、ちょっと言い過ぎじゃないかと感じた。
「けど、さなえと大和の場合は、きっかけが掴めないだけでしょう? 気持ちが冷めたわけじゃないんだから」
「そうだよ! さなえが家事と育児と仕事の手伝いに追われて遊ぶ暇もないって心配してるくらいなんだから、大和はさなえを大事に想ってるよ」と、麻衣も私の援護をする。
「……どうかな」と、さなえが不安そうに呟いた。
「お洒落どころか化粧もろくにしない私には、そんな気になれないのかもしれない……」
お洒落か……。
いつも身ぎれいにはしているけれど、さなえが自分磨きにお金をかけている様子はない。
今更だけれど、独身でお金の自由がきく私たちを、さなえはどう思っているのだろう。
「じゃあ、その気にさせたらいいじゃない」
「どうやって?」
「たとえば――」
私はスマホを取り出し、手早く検索した。
「あった! んーっと、今からなら——」
時間を確認する。
デザートはしっかり食べたいから――。
「一時間後でいいかな」
「何が?」と、麻衣。
「美容室。カットとトリートメントを予約したから、早く食べちゃお」
さなえは少し戸惑い、あきらと麻衣は納得の表情。
「じゃ、お先に取りに行くね」
立ち上がったあきらの視線に気づいた。
「私も」と、私も席を立つ。
「帰りが遅くなるって、大和にメッセ送っといた方が良さそうね」
「ん。大斗くんには悪いけど、今日は徹底的に磨かせてもらお」
日曜のランチタイムに堂々と話せることではなく、私は少し小声で聞いた。
さなえが無言で首を振る。
「さなえからは?」
首を振る。
「寝室は? 一緒?」と、あきらが聞いた。
首を振る。
「大斗の夜泣きとか、私以外を受け付けない時期があって、寝室を別にしたの。それから、ずっと別で……」
「え!? そうなの?」と、麻衣が驚いて言った。
「最近の夫婦には多いみたいよ? 寝室を別にして戻せないままレスになるって。三十代の夫婦で寝室を別にしている割合が十五パーセントだって聞いたことがあるわ。寝室が一緒でもベッドか別っていうのが五十パーセント、同じベッドで寝ているのは三十パーセントなんだって」
「へぇ……」
普通に、驚いた。
「で、三十代夫婦の約半数はレスだって」
「そんなに!?」
更に、驚いた。
「そ。しかも、レス夫婦の子供はいじめられたり、身体が弱かったりするんだって」
「え――」
さなえの表情が凍りつく。
「あくまで統計上だけど、レス夫婦自体、どちらかか両方がその現状に不満を持っている場合がほとんどらしいの。つまり、円満な家庭じゃないってことね。それは、子供にかなりストレスを与えるらしくて」
あきらも、さなえを脅かそうと言ったわけではないだろうけれど、さなえの不安を思うと、ちょっと言い過ぎじゃないかと感じた。
「けど、さなえと大和の場合は、きっかけが掴めないだけでしょう? 気持ちが冷めたわけじゃないんだから」
「そうだよ! さなえが家事と育児と仕事の手伝いに追われて遊ぶ暇もないって心配してるくらいなんだから、大和はさなえを大事に想ってるよ」と、麻衣も私の援護をする。
「……どうかな」と、さなえが不安そうに呟いた。
「お洒落どころか化粧もろくにしない私には、そんな気になれないのかもしれない……」
お洒落か……。
いつも身ぎれいにはしているけれど、さなえが自分磨きにお金をかけている様子はない。
今更だけれど、独身でお金の自由がきく私たちを、さなえはどう思っているのだろう。
「じゃあ、その気にさせたらいいじゃない」
「どうやって?」
「たとえば――」
私はスマホを取り出し、手早く検索した。
「あった! んーっと、今からなら——」
時間を確認する。
デザートはしっかり食べたいから――。
「一時間後でいいかな」
「何が?」と、麻衣。
「美容室。カットとトリートメントを予約したから、早く食べちゃお」
さなえは少し戸惑い、あきらと麻衣は納得の表情。
「じゃ、お先に取りに行くね」
立ち上がったあきらの視線に気づいた。
「私も」と、私も席を立つ。
「帰りが遅くなるって、大和にメッセ送っといた方が良さそうね」
「ん。大斗くんには悪いけど、今日は徹底的に磨かせてもらお」
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