【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

文字の大きさ
28 / 147
4.女子会

しおりを挟む
「大和から誘われたりしないの?」

 日曜のランチタイムに堂々と話せることではなく、私は少し小声で聞いた。

 さなえが無言で首を振る。

「さなえからは?」

 首を振る。

「寝室は? 一緒?」と、あきらが聞いた。

 首を振る。

「大斗の夜泣きとか、私以外を受け付けない時期があって、寝室を別にしたの。それから、ずっと別で……」

「え!? そうなの?」と、麻衣が驚いて言った。

「最近の夫婦には多いみたいよ? 寝室を別にして戻せないままレスになるって。三十代の夫婦で寝室を別にしている割合が十五パーセントだって聞いたことがあるわ。寝室が一緒でもベッドか別っていうのが五十パーセント、同じベッドで寝ているのは三十パーセントなんだって」

「へぇ……」

 普通に、驚いた。

「で、三十代夫婦の約半数はレスだって」

「そんなに!?」

 更に、驚いた。

「そ。しかも、レス夫婦の子供はいじめられたり、身体が弱かったりするんだって」

「え――」

 さなえの表情が凍りつく。

「あくまで統計上だけど、レス夫婦自体、どちらかか両方がその現状に不満を持っている場合がほとんどらしいの。つまり、円満な家庭じゃないってことね。それは、子供にかなりストレスを与えるらしくて」

 あきらも、さなえを脅かそうと言ったわけではないだろうけれど、さなえの不安を思うと、ちょっと言い過ぎじゃないかと感じた。

「けど、さなえと大和の場合は、きっかけが掴めないだけでしょう? 気持ちが冷めたわけじゃないんだから」

「そうだよ! さなえが家事と育児と仕事の手伝いに追われて遊ぶ暇もないって心配してるくらいなんだから、大和はさなえを大事に想ってるよ」と、麻衣も私の援護をする。

「……どうかな」と、さなえが不安そうに呟いた。

「お洒落どころか化粧もろくにしない私には、そんな気になれないのかもしれない……」



 お洒落か……。



 いつも身ぎれいにはしているけれど、さなえが自分磨きにお金をかけている様子はない。

 今更だけれど、独身でお金の自由がきく私たちを、さなえはどう思っているのだろう。

「じゃあ、その気にさせたらいいじゃない」

「どうやって?」

「たとえば――」

 私はスマホを取り出し、手早く検索した。

「あった! んーっと、今からなら——」

 時間を確認する。



 デザートはしっかり食べたいから――。



「一時間後でいいかな」

「何が?」と、麻衣。

「美容室。カットとトリートメントを予約したから、早く食べちゃお」

 さなえは少し戸惑い、あきらと麻衣は納得の表情。

「じゃ、お先に取りに行くね」

 立ち上がったあきらの視線に気づいた。

「私も」と、私も席を立つ。

「帰りが遅くなるって、大和にメッセ送っといた方が良さそうね」

「ん。大斗くんには悪いけど、今日は徹底的に磨かせてもらお」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ボクとセンセイの秘密

七町 優
恋愛
高校2年のボクと24歳のセンセイの秘密を描いたストーリーです。 タイトルで分かるとは思うのですが、恋愛ストーリーです。 一応登場人物たちのいる学校は関西という設定です。 なので関西弁での会話が多くなります。 ボクとセンセイの濃いような淡いような恋愛ストーリーをお楽しみください。

夫婦交錯

山田森湖
恋愛
同じマンションの隣の部屋の同い年の夫婦。思いの交錯、運命かそれとも・・・・。 少しアダルトなラブコメ

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

処理中です...