【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

文字の大きさ
29 / 147
4.女子会

しおりを挟む
「ね、千尋」

 麻衣が背後に立っていた。

 見ると、さなえはテーブルで飲み物を飲んでいる。

「美容室の近くに、ネイル出来るところない?」

「ネイル?」

「うん。さなえ、昔はネイル好きだったじゃない。今は爪が短くても可愛くしてもらえるみたいだし」

「それ、いいね」

 当のさなえを置き去りにして、私たちは勝手に美容室の後でネイルの予約も入れた。

 大和には、あきらからメッセが届いたはず。なんて返事があったかは、聞かなかった。

「寝室が別なのって、悪いことばっかりじゃないみたいよ?」と、あきらが大皿一杯のスイーツを眺めながら、言った。

 さすが、人気のホテルビュッフェなだけあって、スイーツも充実している。

 十種類のミニケーキにアイス、ワッフル、ゼリー、プリン、白玉団子にわらび餅、など。

 あきらはミニケーキを全種類、麻衣はワッフルにアイスと生クリームとチョコソースをトッピングして、さなえはゼリーとプリンを三つずつ、私はフルーツポンチに白玉を入れて盛って来た。

「寝室が一緒ってことは、子供も一緒の場合が多いじゃない? そうすると、さすがに眠ってる子供の隣ではスル気になれなくて、レスが長引くの。けど、子供とは別に部屋があれば、場所の心配はないでしょ?」

「なるほどね」

「さなえの場合は、大斗くんを寝かしつけた後で大和の部屋に行けばいいのよ。いきなりは気まずいだろうから、まずは話があるとか何とか言って、二人きりの時間を作ったら?」

「……」

 さなえが難しい顔をする。

「さなえ?」

「最近……、家で二人で話すことなんて滅多になくて……。だから、わざわざ部屋に行ってまで、何を話したらいいかわかんない……」

 中学生か、と突っ込みたくなる。

 この二人がレスな理由がわからない。

「それに! 大和にソノ気がなかったら? 毎日仕事で疲れてるし、大した用でもないのに押しかけて、迷惑がられたら……」

「そんなこと言ってたら――」

「じゃあ! 大和にソノ気があるってわかったら、頑張れる?」と、麻衣が聞いた。

「大和もさなえとの時間を持ちたいと思ってるのがわかったら、勇気を出して部屋に行く?」

 少し考えて、さなえが頷いた。

「けど、そんなことどうやって知るの?」

「龍也か陸から探りを入れてもらう?」と、私が言った。

 あきらから龍也に頼めばいいと思った。

「回りくどくない?」と、あきらが言った。

「匂い……とか?」

 麻衣の言葉に、一斉に注目した。

「匂い?」

 自分で言っておきながら、麻衣はとても言いにくそうに、俯きがちに言った。

「大和の部屋にさなえの服とか置いておくの。興味がなければ、すぐにさなえのとこに持って行くよね? けど、興味があったら――」

「あったら……?」

「その……、さなえを想像するのに、使った……り?」



 ……。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ボクとセンセイの秘密

七町 優
恋愛
高校2年のボクと24歳のセンセイの秘密を描いたストーリーです。 タイトルで分かるとは思うのですが、恋愛ストーリーです。 一応登場人物たちのいる学校は関西という設定です。 なので関西弁での会話が多くなります。 ボクとセンセイの濃いような淡いような恋愛ストーリーをお楽しみください。

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

処理中です...