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8.理由
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お尻を撫でる手が、脚の間に割り込んできて、ようやく熱が冷めた部分に触れる。さっきまで比呂を受け入れていた余韻が残っていて、すぐに反応してしまう。
パーカー越しに乳首を咥えられ、再び勃ち上がってしまう。布越しなのが、もどかしい。
脚の間でクチュッと水音がして、ゆっくりと彼の指が膣内に侵入してきた。思わず、自ら脚を開いてしまう。
大事な話の最中にもかかわらず、こうして身体を開いてしまうのは愛人の性なのか。
「跨って」
前戯もそこそこに、比呂は自分の下着を下ろし、ゴムを着けた。
私は彼の肩に手を置き、跨った。膝立ちで、いつの間にか天を仰いでそそり立つ彼のモノの真上に腰を置く。
比呂がパーカーのファスナーを下ろして、直接胸に唇を寄せた。
「私が本気で比呂を欲しくなっても、奥さんは別れてくれないんでしょう?」
じんわりと濡れる入口を彼のモノに押し当てたまま、聞いた。
「だったら、本気になるだけ不毛じゃない」
「まさか」と言って、比呂は私の腰を両手で掴み、グンッと押し下げた。
「――っ! あ……」
背筋がゾクゾクッと快感を走らせ、思わず仰け反る。
気持ちいい。
何度、こうして比呂を受け入れてきたろう。
何度目でも、私の身体は悦んでしまう。
「あーーーっ、キツ……」
それは比呂も同じようで、いつも挿入すると歯を食いしばり、眉間に皺を寄せて目を瞑る。彼が私の身体で悦んでくれていると思うと、嬉しい。
「俺のっ――……最終目的は、千尋と結婚することだから、美幸との離婚の手段くらい用意してる」
「そうなの?」
「正確には、これから用意するんだけどな」
「どんな?」
「それは、お前が俺と結婚したくなったら教えてやるよっ!」
下からズンッと突き上げられて、私はそれ以上聞けなくなってしまった。
散々揺さぶられて疲れ果て、枕に顔を埋めて目を閉じた頃、比呂が私の髪を指ですきながら、呟いた。
「他の誰を犠牲にしてもそばにいたいのは、俺も同じだからさ……」
誰と同じなんだろう……?
私はそんなことを言った覚えはない。
聞きたかったけれど、瞼が重すぎて、聞けなかった。
思えば、比呂の奥さんが会社に来るようになってから、なんだかゆっくり眠っていなかった気がする。
認めるのが悔しかったけれど、事実なのだ。
比呂が奥さんより私を選んでくれた――。
認めるのが悔しいけれど、嬉しかった。
明日も仕事なのに……。
一緒に出勤できないから、時間をずらして出なきゃ…………。
そんなことを考えながら、私は深い眠りに落ちて行った。
パーカー越しに乳首を咥えられ、再び勃ち上がってしまう。布越しなのが、もどかしい。
脚の間でクチュッと水音がして、ゆっくりと彼の指が膣内に侵入してきた。思わず、自ら脚を開いてしまう。
大事な話の最中にもかかわらず、こうして身体を開いてしまうのは愛人の性なのか。
「跨って」
前戯もそこそこに、比呂は自分の下着を下ろし、ゴムを着けた。
私は彼の肩に手を置き、跨った。膝立ちで、いつの間にか天を仰いでそそり立つ彼のモノの真上に腰を置く。
比呂がパーカーのファスナーを下ろして、直接胸に唇を寄せた。
「私が本気で比呂を欲しくなっても、奥さんは別れてくれないんでしょう?」
じんわりと濡れる入口を彼のモノに押し当てたまま、聞いた。
「だったら、本気になるだけ不毛じゃない」
「まさか」と言って、比呂は私の腰を両手で掴み、グンッと押し下げた。
「――っ! あ……」
背筋がゾクゾクッと快感を走らせ、思わず仰け反る。
気持ちいい。
何度、こうして比呂を受け入れてきたろう。
何度目でも、私の身体は悦んでしまう。
「あーーーっ、キツ……」
それは比呂も同じようで、いつも挿入すると歯を食いしばり、眉間に皺を寄せて目を瞑る。彼が私の身体で悦んでくれていると思うと、嬉しい。
「俺のっ――……最終目的は、千尋と結婚することだから、美幸との離婚の手段くらい用意してる」
「そうなの?」
「正確には、これから用意するんだけどな」
「どんな?」
「それは、お前が俺と結婚したくなったら教えてやるよっ!」
下からズンッと突き上げられて、私はそれ以上聞けなくなってしまった。
散々揺さぶられて疲れ果て、枕に顔を埋めて目を閉じた頃、比呂が私の髪を指ですきながら、呟いた。
「他の誰を犠牲にしてもそばにいたいのは、俺も同じだからさ……」
誰と同じなんだろう……?
私はそんなことを言った覚えはない。
聞きたかったけれど、瞼が重すぎて、聞けなかった。
思えば、比呂の奥さんが会社に来るようになってから、なんだかゆっくり眠っていなかった気がする。
認めるのが悔しかったけれど、事実なのだ。
比呂が奥さんより私を選んでくれた――。
認めるのが悔しいけれど、嬉しかった。
明日も仕事なのに……。
一緒に出勤できないから、時間をずらして出なきゃ…………。
そんなことを考えながら、私は深い眠りに落ちて行った。
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