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11.波乱の忘年会
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「な? あきら」
「え? あ、うん」
気まずいあきらも、挙動不審。
「なに、あきらも会ったことあんのか?」
「一緒にいる時に会ったんで」
「へぇ。お前ら、二人で会ったりしてんの?」
大和の問いに、あきらは動揺を隠せない。
そりゃ、そうだ。
酔った龍也がうっかり二人の関係をばらす可能性が、ないわけではない。
もう、いっそのことばらしてしまえば楽だろうに。
「たまたま駅で会って、あきらのパソコン選びに付き合ったんす」
「龍也、そういうの詳しいもんな」
「あい」
ヒック、と龍也がしゃっくりをし始める。
「龍也、もう酔ったのか?」
「あー……、すんませ――。ちょっと……寝不足で……」
「お! 龍也、女デキた?」
さなえとのレス解消でからかわれた仕返しか、大和が龍也の寝不足の原因を嬉々として問い詰めた。
「ま、金曜の夜だしな? 暴走しちまうこともあるよな」
「どんな女だよ? 真面目なくせに、長続きしねーよな」
あきらは、しれっと梅酒を飲み干す。
その様子を、頬杖をついて見ていると、目が合った。が、すぐに逸らされる。
龍也にばかり気を取られているけれど、私とも気まずい会話以来だと気づいたらしい。
まったく……。
私はボタンを押してウェイターを呼び、各自お代わりを注文する。
今夜は、みんなペースが速い。
「デキてません」と、龍也が言った。
勝手にホッとした自分を、殴ってやりたい。
「マジで好きな女、いるんで」
お――――!
期待通りの展開になるのではワクワクしていると、またあきらと目が合った。私とは正反対に、緊張しているのがわかる。
「お! 珍しいな、龍也が恋バナなんて。脈、ありそうか?」
「ありそうれす! けど、素直じゃないんで、なかなか認めないんですねぇ。どうしたらいいれしょう、先輩」
「そりゃ、好きだって言いまくるのが一番だろ! 男は直球勝負!!」と、大和が得意気に答える。
「いや、疲れるだろ、それ。最初は喜んでも、段々重くなるヤツだろ」と、陸。
「じゃあ、お前ならどうすんだよ」
「『待つ』つって、ドロッドロに甘やかす。尽くされて喜ばない女はいないだろ」
「うわー。わかってないねぇ」と、私は手をブンブンと振りながら、呆れたように言った。
「男っ気のない千尋に言われたくねーんだけど?」
「えー? 千尋、恋人いるでしょ?」と、麻衣。
「この一年くらい、お肌艶々だし、すっごい幸せそうだもん」
まさかの一言に、フリーズしてしまった。
「はっ!? マジ? じゃあ、やっぱ千尋のおススメはお肌艶々効果のある、濃厚セックス? 身体から攻略するってか?」
大和はもはや、エロおやじと化している。
麻衣が、軽蔑の眼差しを向けている。もちろん、大和は気づいていない。
さなえが一緒なら絶対に言わないのだが、今日は完全にハメを外している。
「だってよ、龍也! とりあえず、訴えられない程度に押し倒せ」
「あーーー……、それはナシで。俺としては、なんなら一生レスでもいーから一緒に居てくれって土下座でもしたい気分れす」
「つまり、ヤッちゃってるってことだ」
「え? あ、うん」
気まずいあきらも、挙動不審。
「なに、あきらも会ったことあんのか?」
「一緒にいる時に会ったんで」
「へぇ。お前ら、二人で会ったりしてんの?」
大和の問いに、あきらは動揺を隠せない。
そりゃ、そうだ。
酔った龍也がうっかり二人の関係をばらす可能性が、ないわけではない。
もう、いっそのことばらしてしまえば楽だろうに。
「たまたま駅で会って、あきらのパソコン選びに付き合ったんす」
「龍也、そういうの詳しいもんな」
「あい」
ヒック、と龍也がしゃっくりをし始める。
「龍也、もう酔ったのか?」
「あー……、すんませ――。ちょっと……寝不足で……」
「お! 龍也、女デキた?」
さなえとのレス解消でからかわれた仕返しか、大和が龍也の寝不足の原因を嬉々として問い詰めた。
「ま、金曜の夜だしな? 暴走しちまうこともあるよな」
「どんな女だよ? 真面目なくせに、長続きしねーよな」
あきらは、しれっと梅酒を飲み干す。
その様子を、頬杖をついて見ていると、目が合った。が、すぐに逸らされる。
龍也にばかり気を取られているけれど、私とも気まずい会話以来だと気づいたらしい。
まったく……。
私はボタンを押してウェイターを呼び、各自お代わりを注文する。
今夜は、みんなペースが速い。
「デキてません」と、龍也が言った。
勝手にホッとした自分を、殴ってやりたい。
「マジで好きな女、いるんで」
お――――!
期待通りの展開になるのではワクワクしていると、またあきらと目が合った。私とは正反対に、緊張しているのがわかる。
「お! 珍しいな、龍也が恋バナなんて。脈、ありそうか?」
「ありそうれす! けど、素直じゃないんで、なかなか認めないんですねぇ。どうしたらいいれしょう、先輩」
「そりゃ、好きだって言いまくるのが一番だろ! 男は直球勝負!!」と、大和が得意気に答える。
「いや、疲れるだろ、それ。最初は喜んでも、段々重くなるヤツだろ」と、陸。
「じゃあ、お前ならどうすんだよ」
「『待つ』つって、ドロッドロに甘やかす。尽くされて喜ばない女はいないだろ」
「うわー。わかってないねぇ」と、私は手をブンブンと振りながら、呆れたように言った。
「男っ気のない千尋に言われたくねーんだけど?」
「えー? 千尋、恋人いるでしょ?」と、麻衣。
「この一年くらい、お肌艶々だし、すっごい幸せそうだもん」
まさかの一言に、フリーズしてしまった。
「はっ!? マジ? じゃあ、やっぱ千尋のおススメはお肌艶々効果のある、濃厚セックス? 身体から攻略するってか?」
大和はもはや、エロおやじと化している。
麻衣が、軽蔑の眼差しを向けている。もちろん、大和は気づいていない。
さなえが一緒なら絶対に言わないのだが、今日は完全にハメを外している。
「だってよ、龍也! とりあえず、訴えられない程度に押し倒せ」
「あーーー……、それはナシで。俺としては、なんなら一生レスでもいーから一緒に居てくれって土下座でもしたい気分れす」
「つまり、ヤッちゃってるってことだ」
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