【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

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12.嫉妬

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「どうせ記憶なんかないだろ」

 俺は呟いた。

 三十分後。

 俺は眠っている千尋を組み敷いていた。

 せっせと着ているものを脱がせていく。

「千尋、あの男とも寝たのか?」

「……ん……?」

 意識のない女を抱く趣味はない。

 だが、千尋に関しては何でも有りだ。

「抱くぞ」

 返事はもらえないとわかっていながら、聞いた。

「めちゃくちゃ、抱くからな」

 既に彼女の胸に手を添えながら、聞いた。

「俺を嫉妬させた、罰だ」

「……」

 記憶がぶっ飛んだのは、俺も同じだった。

 ムカつくことに、あの男の言う通りだった。

 時折薄目を開けるだけで、完全に酔い潰れている千尋の身体は敏感で、触れたところから熱を持ち、触れる前から潤んでいた。

 触れられるのを心待ちに膨らんだ芽を擦りながら、胸の先端を舌で転がすと、千尋が身体を仰け反らせた。

「んんっ――!」

 いつもならしつこいと言われるほど、しつこく身体を濡らしていく。

「千尋……」

 いつも余裕ぶって意地を張ったり、優位に立とうとする千尋が、何の抵抗もなく俺が与える快感に身を任せている。

 思えば、ここまで酔った千尋を抱くのは初めてだった。

 そもそも、千尋は酒に強い。

 いつも解散まで、酔った同僚や後輩の面倒を見ている。

 その千尋が、潰れるまで飲むなんて、余程楽しい酒だったのか、潰れたい心境だったのか。



 楽しそう……ではあったな。



 一緒に居た奴らを見れば、実に楽しい酒だったのはわかる。

『千尋、酔うとすげーイイですよね』

 あの男も、こんな風に酔った千尋を抱いたのか。

 想像したくないのに、頭から離れない。

 あの男と抱き合う千尋。

 俺は彼女の両膝裏を持ち上げ、大きく足を広げると、その付け根に吸い付いた。

「あっ――! んんんっ!!」

 千尋の呼吸が乱れる。

 いつも近所を気にして声を殺す彼女が、そんなことも忘れるほど感じている。

「あっ……、あ……」

 どうせ覚えていない。

 嫉妬丸出しで、やりたい放題したところで、どうせ覚えていない。

「イ……くぅ」

 腰を浮かせ、もっともっととねだる千尋の、一番感じるところを舐め上げると、両足が硬直し、腰が大きく跳ね、それから小さく痙攣した。

 それでも舐め続ける。

 顔中、自分の唾液と千尋の愛液でベトベトでも、やめなかった。

「あっ、やっ――! ダメダメーーッ!!」

 身悶える千尋が、両手で俺の髪を掴むが、本気で嫌がっている風でもなく、むしろ腰を押し付けるように浮かせて、俺が逃げないように手で押さえつけているようでもある。



 もっと、もっと、俺を求めればいい。

 俺じゃなきゃ感じなくなればいい。



「いや――んっ! あーーっっっ!!」

 痛いほど強く髪を掴まれたかと思ったら、手放された。

 がくんっと彼女の腰がベッドに沈む。ビクンッ、ビクンッと腰が跳ね、持ち上げていた足が重くなる。

「千尋……?」

 やり過ぎたかと心配になって、顔を上げた。

 浅く、早い、乾いた息遣い。
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