親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

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第6章EX 常夏と蒼い海 ─少年のリスタート─

90・6時間目 ただ運がいいだけ

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 そいつを見たとき、俺は心臓が止まりそうになった。

「……ぁ……」

 もし、これがただの偶然なら、なんという確率なのだろう。

 神様は確率の乗法定理を勉強した方がいい。

 とんでもない外れを俺は引いてしまった。

 そこには、友達に囲まれた葉瀬がいた。

 中学の頃のように、あいつを中心に、取り巻きが存在している。

 全く、変わらない光景。

 出来ればもう、見たくない光景。

 また、俺を壊す気か。

「敦志、俺、帰りたい……」

 二人には申し訳ないけど、本当にもう無理だ。

 俺は、こいつが目に映るだけで心が腐りそうになる。

 疲労が一気に体を支配する。

 寒気すら出てきて俺は無意識に自分の体を腕で抱いた。

 葉瀬は俺たちに話しかけ、グループに入れようとする。

 なんでだよ。

 そんなことをして楽しいか。

 言葉は心からたくさんでてくるのに、それが口を動かすことはない。

 口は、動かず、反論することは出来ない。

 どうすればいいのか、吐き気すら出てきた時だった。

「あの、葉瀬……さんでしたっけ? 提案があるんですが」

 山内がそう言った時、会話の主導権が確かに山内に移ったのが俺には分かった。

 ──

「へぇー! 山内君と三石君ってぇ~、清王せいおう高校なんだねー!」

 キャピキャピとした甘ったるい声が海辺に響く。

「そうですね、葉瀬君と話してる子と三人でつるんでいます。えっと……、明菜さんでしたっけ……」

「そうそう。よろしくねー! トモ君と知り合いなの? あ、もしかして、中学の同級生とか!?」

 やばい。あんまり聞いてこないでほしい。

「ええ。そうなんですよ。僕は知り合い程度なんですが、彼と同じ野球チームのファンでしてね」

 山内はチラリと敦志の方を見た。

 よかったぁぁぁぁぁぁ。

 山内って嘘が上手いな。

 遠目で話している様子じゃ、敦志と葉瀬は友達に見えなくもない。

 絶対嫌だけど。

 あれ……? 敦志たち、かなーり盛り上がっていない?

 普通に楽しそうだけど。

 敦志、野球やっていたから、好きな球団とか被っていてもおかしくはない。

 けど、あの楽しみ方は演技には見えないし、本当に馬が合うのかもしれない。

「ねぇ、今からバーベキューするんだけど、山内君たちも一緒にどう?」

 葉瀬の彼女だという明菜という女性は屈託のない笑顔でそう言う。

 葉瀬の彼女という位だから、ケバい人を想像していたのに、この人は森山さんと白咲しらさきさんを足して神谷さんで割ったような少なくとも多くの男が惚れそうな顔をしていた。

 山内は、どうする? と俺に目配せをしたが、俺がこくりと頷いたのを見て、

「じゃあ、準備手伝うよ。荷物、どこにあるかな?」

 そう言って、彼女らに笑顔を見せた。
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