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第一章
10 戻れないし戻れない!?
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「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
「春雄さん、その調子です!元の身体をイメージして!」
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
「頑張ってお兄ちゃん!」
「う、うおおおおおぉぉぉぉぉ…。」
(…なにやってんだ、俺。)
魔王城を脱出してから約1時間。
俺は未だに杖の状態から戻れずにいた。
桜曰く、元の人間の身体を強くイメージすれば戻れるとのことだが…。
正直なところ、無理難題である。
元々自身の容姿に対して無頓着であったし、春美が死んでからは自分の暗い表情を見たくなくて、鏡を遠ざけていた。
そのため自分の姿をイメージしろ、と言われても難しい話なわけだ。
「…ちなみにこれ、戻れなかったらどうなるんだ?」
「「…。」」
先程まで賑やかだった応援が、ピタリと止む。
「おいおい…頼むから不安になるような反応止めてくれよ…。」
「…そうだ!お兄ちゃんの写真を家で探そうよ!そうすれば戻れるでしょ?」
「おお、名案だな。さすが自慢の妹!」
春美がえへへと照れる。
思わず頭を撫でたくなる、手がないのが悔やまれる。
「…申し訳ないのですが、それは無理かと。」
「え、なんでだ?」
思わず素っ頓狂な声で尋ねてしまう。
「基本的に異世界間を繋ぐのは私にしかできないのですが、今日はもうそれをできるほどの魔力が残ってないのです。」
「…それのなにが問題なの?明日やればいいじゃない。」
桜が暗い表情でポツリと呟く。
「伝承が正しければ、今日中に戻れないと…そのままの姿で生きていくことになってしまうかも…。」
「…え?」
桜がバッと頭を下げる。
「ごめんなさい、私の確認不足です。まさか自分のイメージをそこまで持ってないとは思わなくて…。」
(今、サラッとけなされた?)
「と、とにかく他の案を考えようよ!そうだな…えっと…あっ!」
春美が少し悩んだ素振りを見せた後、何かを思いついたように手を叩く。
「春美さん、なにか名案が?」
「名案っていうか…ドクの元へ行けば、なにかいいアイデア出してくれるかなーって…。」
「…なるほど、それなら早いところドクの元へ向かいましょう。」
向かうべき場所が決まり、2人は杖の俺を携えながら歩き始めた。
「そうだ、お兄ちゃん。」
ゾクッと背筋が凍るような感覚がした、杖なのに。
きっとイビラに告白をした件だろう。
嘘とはいえやってしまったことは逃れられない事実だ。
「ナ、ナンデショウ。」
思わず片言になってしまう。
「…イビラのこと、許してあげてほしいの。」
「…へ?」
春美の口から出た言葉は、意外なものだった。
そして春美はポツリポツリと語り始めた。
「春雄さん、その調子です!元の身体をイメージして!」
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
「頑張ってお兄ちゃん!」
「う、うおおおおおぉぉぉぉぉ…。」
(…なにやってんだ、俺。)
魔王城を脱出してから約1時間。
俺は未だに杖の状態から戻れずにいた。
桜曰く、元の人間の身体を強くイメージすれば戻れるとのことだが…。
正直なところ、無理難題である。
元々自身の容姿に対して無頓着であったし、春美が死んでからは自分の暗い表情を見たくなくて、鏡を遠ざけていた。
そのため自分の姿をイメージしろ、と言われても難しい話なわけだ。
「…ちなみにこれ、戻れなかったらどうなるんだ?」
「「…。」」
先程まで賑やかだった応援が、ピタリと止む。
「おいおい…頼むから不安になるような反応止めてくれよ…。」
「…そうだ!お兄ちゃんの写真を家で探そうよ!そうすれば戻れるでしょ?」
「おお、名案だな。さすが自慢の妹!」
春美がえへへと照れる。
思わず頭を撫でたくなる、手がないのが悔やまれる。
「…申し訳ないのですが、それは無理かと。」
「え、なんでだ?」
思わず素っ頓狂な声で尋ねてしまう。
「基本的に異世界間を繋ぐのは私にしかできないのですが、今日はもうそれをできるほどの魔力が残ってないのです。」
「…それのなにが問題なの?明日やればいいじゃない。」
桜が暗い表情でポツリと呟く。
「伝承が正しければ、今日中に戻れないと…そのままの姿で生きていくことになってしまうかも…。」
「…え?」
桜がバッと頭を下げる。
「ごめんなさい、私の確認不足です。まさか自分のイメージをそこまで持ってないとは思わなくて…。」
(今、サラッとけなされた?)
「と、とにかく他の案を考えようよ!そうだな…えっと…あっ!」
春美が少し悩んだ素振りを見せた後、何かを思いついたように手を叩く。
「春美さん、なにか名案が?」
「名案っていうか…ドクの元へ行けば、なにかいいアイデア出してくれるかなーって…。」
「…なるほど、それなら早いところドクの元へ向かいましょう。」
向かうべき場所が決まり、2人は杖の俺を携えながら歩き始めた。
「そうだ、お兄ちゃん。」
ゾクッと背筋が凍るような感覚がした、杖なのに。
きっとイビラに告白をした件だろう。
嘘とはいえやってしまったことは逃れられない事実だ。
「ナ、ナンデショウ。」
思わず片言になってしまう。
「…イビラのこと、許してあげてほしいの。」
「…へ?」
春美の口から出た言葉は、意外なものだった。
そして春美はポツリポツリと語り始めた。
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