絵描き令嬢は元辺境伯の愛に包まれスローライフを謳歌する

(旧32)光延ミトジ

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幕章 ︎︎オリオン青年物語

74:過去編④:同窓生:Sideオリオン

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 王国北部を統治するホワイトディア辺境伯家。金も権力も兵力もある家の、当主の次男であるオリオンは、蝶よ花よ――ということはないが、なんの不自由もない少年時代を過ごした。

 政治も軍略も武術も、思う存分に学ぶことができた。家族も友人もいて、相棒の白竜もいる。体格にも才能にも恵まれた。それもあって毎日励んで槍や剣を振れば戦闘技術は確実に身についた。十歳の頃には大人の騎士に混じって鍛錬をし、勝つこともあったほどだ。

 ホワイトディア領は雪深く、寒さが厳しい土地である。一番の敵は自然だ。自然は性別も年齢も身分も関係なく牙を剥き、同時に、恵みを与えてくれる。誰に対しても等しく不条理で、等しく雄大で、等しく愛に溢れた故郷が、彼は大好きだった。

 故郷でのびのびと過ごしたオリオン=ホワイトディアは、非常に素直な少年に育った。そして、十三歳になる年に故郷を離れ、王都にある寄宿学校に身を寄せたのである。

 親元を離れて過ごす王都での生活は、オリオンにとって衝撃だった。

 これまでホワイトディア領では辺境伯家――遥か昔には王家であり、今でもその名残がある――の息子として、蝶よ花よ――ではないが、慕われ、敬われ、愛されていたのに、王都では北部の人間が宿敵の蛮族と同じくくりにされていたのだ。

 事前にそんな風潮があることは知っていたが、蔑みの目を向けられ、陰で悪し様に罵られるとは思いもしなかった。しかもそれは中央の貴族だけでなく、東、西、南の貴族たちからもであった。同じ立場の辺境領の者が噛みついてくるのは、北部が王国に組み込まれたのがもっとも遅かったからだろう。

 蝶よ花よと育てられた子供なら、心ない言葉に傷付き、涙していたに違いない。

 だがしかし、オリオン=ホワイトディアは蝶よ花よと育てられた子ではなかった。同年代の誰よりも体格に恵まれ、武芸に秀で、非常に素直に育った少年は――暴れた。嘲りには蹴りを、侮辱には拳を、陰口には怒鳴り声をもって、とことんやり返す。やられた側の相手は抗議の声を上げない。

 否、上げられなかった。

 中央の貴族がどう思っているかの心情はどうであれ、ホワイトディア家は辺境伯の爵位を持っている。王国においての辺境伯という地位は、公爵と同等の権利を有しているのだ。この国の公爵は臣籍降下した王家の人間に与えられる爵位であり、つまるところ、辺境伯家は臣籍降下した王族と同等の地位なのである。

 身分に重きを置く、貴族の階級社会において、辺境伯家を悪し様に罵り、嘲笑するなど本来あってはならない。例え、返り討ちにされてボコボコになろうが、そもそも爵位を無視した無礼な振る舞いが発端だと知れれば処罰されるのは、オリオンではないのだ。

 爵位の無視は、貴族としての自身の否定である。表向きには、嘲ることも蔑むこともできないから、陰で囀るのだ。それが王国の暗黙の了解で、だから――腹に据えかねたのなら陰から表へ引っ張り出してしまえばいい。

 同室の少年にそう言われ、非常に素直なオリオン少年は、実行した。

 自身だけでなく、ホワイトディア領の人間が悪し様に扱われている時は、すぐさま駆けつけて暴れる。そうしている内に一年が過ぎ、彼が二年生に進級する頃には、北部に関してあれこれ言える人間はほとんどいなくなっていた。

 そう、ほとんど、だ。寄宿学校を卒業するまでしつこく絡んできたのは、中央貴族の子息たちでなく、彼と同じく辺境伯の近親者たちだった。

 ホワイトディアは未だに戦が続く野蛮な土地だ。辺境伯の位が中央の貴族共に軽んじられるのは、同格のホワイトディアが戦いに重きを置き続けるからだ。蛮族と張り合うのは程度が知れると、東、西、南の連中がしつこく口にしてくる。陰口を叩かれる度、表に引きずり出して肉体言語で抗議した。

 基本的に相手は抗議を受けて一度目でやめる。だがその中にひとり、何度オリオンに殴られても、蹴られても、踏みつけられても、喧嘩を売るのをやめない同窓生がいた。在学五年間でもっとも多くオリオンに絡んできたのは、麦の穂のような輝かしい色の髪の少年だ。彼の名は――

「レオナルド=メンドーサ。久し振りだな――ん?」

 メンドーサ家の三男坊、レオナルド=メンドーサ。彼は再会して一番に、豊かな麦の穂が実った頭を深く深く下げた。オリオンは瞠目し、手を上げかけたまま固まった。

 およそ三年振りに会う同窓生は、自分に対して頭を下げるような男ではない。今回の援軍にしても、もしもレオナルドと顔を合わせることがあれば『お前なんかが来て役に立つのか?』や『戦場と聞けばどこにでも行くなんて相変わらず野蛮な一族だ』くらいのことは言われると思っていた。

 しかし、現実はまったく違う。

 深夜と呼ぶか早朝と呼ぶか迷う時間。前線でひと暴れした飛竜騎士たちは、メンドーサ家の居城があるリンドグロムに到着した。ひっそりと――は、飛竜の数が数のため無理だが、できるだけ静かに地上へ降り、開門されたリンドグロム城へ足を踏み入れた。

 草木も眠る頃、と表現されるような時間だ。簡単に食事でも用意してもらい、さっさと食べて寝床を借りよう。城主への挨拶は日が昇ってからになるだろうと、オリオンは考えていた。しかし、その予想は外れる。

 リンドグロム城の前にはメンドーサ辺境伯とおそらく嫡男であろう青年、そして三男でオリオンの同窓生であるレオナルドがいた。レオナルドはずんずん足早に近付いて来た。そして、そのままの勢いで深く頭を下げたのだ。

「なんだ? どうした?」

 オリオンは輝く金色の後頭部を見下ろしながら、わずかに浮かせていた手を下ろした。

「戦線を押し戻してくれたと、聞いた」

 頭を下げたまま、レオナルドが言う。

「押し戻してはいない。ひとまず戦象部隊を追い払っただけだ」
「それは――」
「今も国境の大河は帝国側に握られている。堰を完全に破壊するか、こちらが制圧しない限り、危機は脱したとは言えない……おい、そろそろ頭を上げろ」

 いつまでも後頭部に向かって話しかける趣味はない。オリオンに促されてレオナルドが頭を上げた。夜の暗闇の中でも煌めく碧の目には、涙の膜が張っている。

「なんだ、泣いてるのか」
「な、泣いていない!」
「泣くほど屈辱なのに、なんで頭を下げるんだ。相変わらずよくわからんやつだな」
「っ、違う!」

 泣き顔を見られたのがよほど恥ずかしいのか、同い歳の青年は声を上げて否定した。寄宿学校時代からよく吠え、よく噛みついてきていたが、その性質はあまり変わっていないようだ。オリオンは呆れたように息を吐く。

「何も違わないだろ」
「そうじゃない! っ、くそ、なんでわからないんだ。私は、屈辱なんじゃなくて……そんなこと、思うはずないだろ!」

 今にも掴みかかってきそうな勢いだ。けれど、オリオンは身構えることをしなかった。それは、その必要性を感じなかったからだ。

 オリオンはこれまでに何度も、レオナルドと相対してきた。彼だけではない。敵対している相手と向き合ったことは、何度もある。だから、わかった。レオナルドの青い目には敵対心も敵愾心も浮かんでいない。真っ直ぐにオリオンを見つめている。

「私は、お前に……感謝しているんだ!」
「お前が、俺に、感謝……?」

 思いもよらない言葉だった。つい確認するように言葉を返せば、レオナルドの目からひと筋、涙がこぼれる。

「二番目の兄が死んだ」
「二番目……というと、セドリック殿か」

 記憶を辿れば、寄宿学校時代、四学年上にいた青年の顔がぼんやり思い浮かぶ。セドリック=メンドーサ。金色の髪の美丈夫だった。ホワイトディア領出身の青少年を蔑む、東、西、南の辺境伯家の者の中に、彼はいた。もっとも重なった在学期間は一年しかなかったため、殴り飛ばした回数は少ない。

(やつが死んだ……)

 オリオンよりも四つ年上だとすると、二十四、五歳といったところだろう。寄宿学校時代のことはあるが、死んでざまあみろとは思わない。敵味方関係なく、戦場で戦い、命を落とした者を笑うのは下賤な行為だというのが、彼の中にはあった。

「兄は……戦象に、馬ごと踏み潰されて死んだ。遺体の損壊が激しくて……半分も残っていなかった……」
「ああ」
「仇を討ちたくても、対抗手段はほとんどない」
「ああ」

 レオナルドが苦惜しげな声を漏らす。野蛮だと蔑み続けた力を求める日がくるなど、彼は思ってもいなかったのだろう。後悔が滲んだ表情だ。過去、見たことのない顔と態度を前に、オリオンは短い頷きを返していた。

「国は援軍を出し渋っている。金を出す? 食糧を確保する? そんなもの、どっちもメンドーサにある。兵を、力を、勝つための手段を求めているのに、中央の連中はひとつも寄こそうとしない」

 南部の力を削ごうとしているんだ、と彼が続ける。

 それを聞きながら、オリオンは父親の言葉を思い出していた。父――北部の王、カノープス=ホワイトディアは言った。中央の王侯貴族たちは豊かで富んだ南部の力を削いだ上で、危機的状況に陥るのを助けることで大きな恩を売ろうとしているのだ、と。

 南部の王たるメンドーサ家の人間も、中央の思惑など察しているのだろう。オリオンに頭を下げることなんて、なんともない。彼らにとっては、それでも中央に頼らざるを得ない状況こそが屈辱だったのだ。

「でも、ホワイトディア家は、来てくれた。もっとも遠い場所なのに……寄宿学校時代、お前たちのことを、散々罵った人間のいる場所まで、文字通り飛んできてくれた。そして……渋ることなく、最前線に出てくれた」

 気付けばオリオンたちを――ホワイトディア家の援軍を出迎える人間が増えていた。人間が増えたことで若い飛竜の何匹かが翼をばたつかせたが、クィーンの低く短い唸り声でおとなしくなる。

 レオナルドの言葉を、態度を、南の人間は誰も遮らない。その姿を前にしていたオリオンは、ふと悟る。

 彼は南部を統治する一族の人間として、立派に認められ、その責務をまっとうしているのだ。だから誰も止めないし、口を挟んでこない。

(お前は……大人になったんだな)

 貴族として、統治者の一族としての自覚を持ち、行動している。見合いから逃げ回り、戦場で暴れ回るオリオンとは違うのだ。同窓生は、同じ歳の男は、もうとっくに大人になっていた。

「オリオン=ホワイトディア殿、援軍、心より感謝申し上げる」

 再び頭を下げた男に、オリオンは頭を上げろとは言えなかった。

 その後、レオナルドの頭を上げさせたのは、これまで口を挟まずにいたメンドーサ辺境伯――ラスティ=メンドーサ、その人だ。

 メンドーサ辺境伯の顔には疲労の色が浮かんでいるが、そんな中でもオリオンたちを歓迎し、感謝の意を表してくれた。夜もとっくに更けた時間だというのに、食事の席を用意してくれるらしい。その場を移動し、飛竜たちを敷地内に繋ぐ。先触れを出したオランジュリーが、飛竜に必要なものをあらかじめ告げていたため、なんの不備もない。

 食事の用意が整うまでの間、手配された大浴場で彼らは汗を流した。大理石の大浴場では、北部で見たことのない鳥の口から湯が流れ出ている。

 戦いのあとで気分が高揚している青年たちは、我先にと湯船に飛び込んだ。もしかすると通常の気分でも同じことをしていたかもしれない。オリオンに同行した若者たちのほとんどは平民出身の飛竜騎士たちだ。人の目よりも相棒の飛竜の目を気にしている上、飛竜騎士になるため幼少期から武芸に賭けてきた者たちである。礼儀作法云々はまったく身についていない。

 オリオンは苦笑しながらも、汗と血を湯で流した。それとなく、衛生兵の中に紛れているハルド家の青年に、メンドーサ領の内情の調査を頼む。そしてロコモ、ラーズの両腕と共に先に大浴場を出た。

 現状の正しい把握をしなければならない。戦争の対処を相談する司令室に案内され、メンドーサ辺境伯に正式に挨拶をし、戦況についての話をした。

 メンドーサ軍はこれまで、戦象の進軍を遅らせるために大河の支流から水を引き、地面に泥濘を作ったらしい。想定通り、体重の重い戦象は泥濘に足を取られたが、それは時間を稼ぐだけの戦術でしかなかった。

 同じ目的で戦象の餌である肉を設置し、足を止めさせたこともあるそうだ。目論み通り戦象は肉を食べた。その中の一部に毒を仕込んだが、それは不発に終わったらしい。野生の勘なのか、毒の有無を察知していたようだ。

「やはり戦象を直接叩くのではなく、操縦者を狙うべきでしょう」

 ラスティ=メンドーサ辺境伯らの前だからか、ロコモは敬語を使っている。

「同時に堰を奪うか破壊しなければ、戦線を押し上げることはできません。メンドーサ領にバリスタは何基ほどありますか?」
「あまり多くはない。攻城兵器など、もう長らく使用していなかったゆえ、新しく製造しているところだ」
「父上」

 辺境伯の言葉を非難するような声を出したのは、メンドーサ家嫡男のアーサー=メンドーサだ。オリオンたちが辺境伯に目を向ければ、彼は小さく嘆息した。

「わかっておる。隠す気などない」
「そうですか。でしたらいいのです」
「なんのことです?」

 オリオンが問えばラスティは言いにくそうに金色の髪を掻く。

「領内で問題が起きている。先日も兵器を製造する工房が襲撃された」
「反乱は深刻な様子ですね」

 ロコモが眉を寄せた。

「反乱というほど大規模なものではない。一部の暴動……組織的な……いや、実際に組織があるわけではないが、うむ……どうやら、先導する者がいてな」

 言葉を濁すのは、情報を隠したいのではなく、調査が済んでおらず開示できるだけの情報がないからかもしれない。その辺りのこともハルドの調査でわかるはずだ。今、領内の問題は嫡男のアーサーが、帝国との戦争には当主のラスティと三男のレオナルド――次男が没するまでは彼――が対応にあたっているとか。

 現状の確認をしている内に食事の支度ができた。オリオンたちは話を中断し、食事と休息の時間を取ることにする。詳しい話は日が昇ってからだ。

 王国の食糧庫と呼ばれるだけあり、並べられた食事は戦のさ中とは思えないほど豪華だった。同行していた料理人が「ああ、ああ、なんて豊富な食材なんでしょうねぇ。羨ましい限りですぅ」と拗ねたような声を上げるほどだ。

「緊張感がないな」

 隣でレオナルドがポツリとこぼした。オリオンが彼を見ればハッとしたように「すまん」と謝罪される。

「謝られるようなことじゃない。悪意があるかないかくらい、わかる」
「そう、か」
「緊張感がないように見えるのは当然だ。ホワイトディア領の人間にとって、戦いは日常だからな」

 オリオンがそう言うと、レオナルドが目を見開き――再び、謝罪の言葉を口にした。謝罪の意をを向けた先が今にではなく、過去にであることは、わかる。戦の当事者になって初めて、痛感することもあるのだろう。

 気にするなとも、謝るなとも言わない。オリオンは数年越しの謝罪を受け入れて、目の前に出された料理に手をつけたのだった。




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