『罪喰いの翼 ― 天使と悪魔と人間のはざまで ―』短い小説

第六章：罰と赦しの狭間で

罰と赦しの狭間で

第六章：罰と赦しの狭間で

東京の夜は、静かで冷たかった。
ネオンの光は煌めくが、その輝きの裏には、目に見えない闇が広がっている。
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「ここが、あの宗教団体の本拠地か……」

ミナは息をひそめてつぶやいた。
団体名は「清浄の光（せいじょうのひかり）」。
表向きは慈善活動を行う団体だが、内情は不透明で、多くの噂が飛び交っていた。
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レイは、団体の集会に潜入していた。

そこでは、信者たちが「赦し」を求め、悔い改めを誓う儀式が執り行われていた。
だが、その空気にはどこか、異様な圧迫感があった。
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「赦しとは何か？」

ミナは独り言のように言った。

「罰を受け入れること？
罪を認めて自分を責め続けること？
それとも、本当に“赦す”こと？」
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レイはある信者に話しかけた。

「あなたは、赦しを得て、心が軽くなりましたか？」

信者は少し戸惑いながら答えた。

「……いいえ。
赦しを求めることで、自分の罪が消えるわけではありません。
むしろ、赦されない自分を責めてしまいます」
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その瞬間、レイは気づいた。
「赦し」が「罰」となっているのだと。
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団体の指導者は厳しい言葉で語った。

「罪は重い。
赦されるためには、まず己を罰し、痛みを受け入れよ。
それこそが真の贖罪である」

だが、その罰は、時に自傷や精神的圧迫を助長し、信者たちの心を蝕んでいた。
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ミナは、レイとともにその矛盾に挑むことを決意した。

「人は、自分の罪に耐えるだけじゃなく、
自分を赦し、再び歩く力を見つけるべきだ」
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集会の後、ミナは声を震わせながら信者の一人に話しかけた。

「あなたは、もう十分苦しみました。
罪はあなたの一部かもしれませんが、あなた全てではありません。
今日、あなたは“赦し”を選ぶこともできるのです」
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信者の目に、少しだけ光が戻った。
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その夜、レイはミナに言った。

「罰と赦しは表裏一体だ。
でも、本当の赦しは、自分自身の中にしかない」
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ミナは静かにうなずいた。

「赦しは、決して外から与えられるものじゃない。
自分を認め、受け入れること。
それが本当の始まりだ」
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東京の街は眠りにつき、
人々はそれぞれの罪や罰、赦しを胸に抱いていた。

その中に、今日も小さな一歩を踏み出す者がいる。