【連載】気まぐれ日記エッセイ「残された時間の過ごし方」

菊池昭仁

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Dreams come ture

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 「どうやって時間を潰そうかなあって思ってさあ。電車の時間まで駅前のパチンコ屋にいたんだよ。
 負けたけどね」

 時間を潰す? だったら私に頂戴って思う。マジで。
 明日が来るか? いやこれから5分後、私が生きている保証はどこにもない。
 やりたいことは山ほどある。いや、海ほど、宇宙ほどある。


 夢ってね、叶うんだよ。「もうムリだよなあ」と思っていても。
 私の夢は自分の作品を映画化すること。自分でメガホンを取りたい。
 女優さんに演技指導もしたい。

 「そこはそうじゃなくてこう」 ブチュー

 すぐにセクハラで失脚だな? 

 そしてまたコーギーを飼うことだ。
 亡くなってしまったレオン君のあの感触は今も忘れない。レオンは不思議といつもトーストのいい香りがしていた。
 私が深夜に帰宅しても、クルマの音ですぐに目を覚まして玄関ホールに飛んで来て私を待っていてくれた。

 「お帰りなさいご主人様!」

 
 いつも私の傍にいて、辛い時も私を励ましてくれたレオン。
 レオンが死んで、もう犬は飼わないと誓った。


 でも最近、

 「こんな時、犬がいてくれたらなあ」

 と犬好きの私はぼんやり考えるようになっていた。すると、


 「菊池さん、犬は大丈夫ですか?」

 と介護相談員さん。

 「えっ? 大好きですけど」
 「良かったー! ウチのグループのB型作業所で働いてみませんか?
 別にノルマはありません。好きなことをしていただいて結構です。もちろん小説を書いていただいてもかまいません。
 菊池さんはお話も面白いし、ウチの代表も是非お会いしたいと切望していますのできっと喜ぶと思います。
 今、作業所には小型の保護犬が4匹いるのです。あの子たちもかわいがってあげて下さい」
 「それはいいけど俺、知っての通り目が不自由だし・・・」
 「大丈夫です、ちゃんとスタッフが送迎もしますから」


 「夢って叶うんだな?」 

 そう思った。だって好きな時に送迎付きでそこに行けばワンちゃんと遊べるなんてサイコーじゃん!

 「来年まで生きられるのかなあ」と悲観的だった私だったのに急に生きる希望が見えて来た。

 神様、仏様はやはり存在されていらっしゃるのだと感じた。
 

 「そうなるといいなあ」

 と、ボーッと考えることはやはり夢を叶えるには有効なのかもしれない。
 私にはそんなことがよくある。

 「ベンツに乗りたいなあ」

 と思うと、

 「このベンツ、もういらないから菊池君、乗る?」

 と、タダでメルセデスを貰ったこともあった。
 振り返れば私の人生はすべて思い通りであった。
 妄想は叶わないが夢は叶うのである。
 そして夢は、

 
       叶うためにある


 やっぱり生きているって素晴らしい。
 夢を夢のまま終わらせないようにしたい。


 
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