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第7話
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「随分派手にやられちゃったね? もう大丈夫だよちくわ君。
一応消毒はしておきましたので、少し大人しくしていれば自然に治るでしょう」
「先生、食欲がないようなんですが」
「内蔵には異常はありませんから、精神的ストレスが原因かもしれませんね?
猫も人間も、哺乳類は同じ病気になりますから。おそらくこれだけのケンカをする元気があるちくわ君ですから、もうその心配は要らないと思います。
それでも食欲がないようでしたらまたおいで下さい」
「ありがとうございました」
「良かったね? ちくわ。もう勝手に外に飛び出して行っちゃ駄目だよ」
純連は銀次郎に頬摺りをした。
「ちくわ君も外に出たかったんでしょうね? 人間も家にばかりいると、どこかに出掛けたくなりますから。
それではお大事に」
「ニャオン(ぽぴんず先生、ありがとニャ。アンタはワシの命の恩人ニャ)」
俺はキャリーケースに入れられ、猫山家に帰って来た。
「ちくわ、もうどこへも行かないでね? ちくわがいなくなったら私、死んじゃうから」
「ニャオーン(純連ニャン、心配かけてゴメンニャサイ)」
ママさんがチャオチュールをくれた。
猫パンチをくらって口の中が傷だらけだったが物凄く腹が減っていたので、俺はむしゃぶりつくようにチャオチュールをしゃぶった。
「どうやら食欲は戻ったみたいね? キャットフードも食べるかしら?」
俺はママさんの出してくれたキャットフードを貪るように食べた。
「だいぶお腹が空いていたみたいね?」
「かわいそうに、食べる物もなかったのね?」
「ニャオ(そうニャ、カルフォルニア・フライドチキンの残飯すらなかったニャ) カリカリ」
その夜、俺は純連ちゃんと一平と一緒に寝た。
「ニャオニャオ?(銀、もう寝たんか?)」
「ニャオ(まだ起きてるニャ、痛くてにゃむれんのニャ)」
「ニャオン?(だいぶ派手にやられたみたいニャな?)」
「ニャオニャオーン(にゃにしろ相手は10匹の虎ニャ、油断したニャ)」
銀次郎は見栄を張って10匹とサバを読んだ。本当は5匹だったのに。
「ニャオ!(それは凄いやないの! 10匹のタイガーとたった独り、いや一匹で戦うなんてそりゃ無茶ニャで!)」
「ニャオニャ(5匹だったら負けちゃいなかったんだけどニャ。俺とニャたことが)」
「ニャオーン(もう勝手に出て行くニャよ、銀がいニャいと寂しいよって)」
「ニャオ?(すまねえ一平、心配かけたニャ。お前は外に出たいとは思わニャいのか?)」
「ニャオニャオ(思わないよ、俺は猫山家が大好きニャから。
銀次郎、こんな話を知っているかニャ? 鎖に繋がれた犬は、その鎖が実際に繋いでなくてもそこから離れようとはしないんニャ。
ワシはそんな臆病な猫ニャ)」
そこにマルが現れた。
「ちくわ、もう無茶しちゃ駄目よ。あなたはみんなに愛されているんだから」
「ニャア(マル姐さん、助けてくれてありがとニャン)」
「私はいつもあなたたちを見守っているわ、もちろん猫山家の家族もね。だから自棄を起こしては駄目よ」
そう言って、マルは銀次郎の顎を撫でた。
「ゴロニャーン ゴロゴロ(気持ちがいいニャ、マルにゃあさん)」
銀次郎は喉を鳴らしてマルに甘えた。
そしていつの間にか銀次郎は深い眠りへと落ちて行った。
「あら、もう寝ちゃったわ」
「ニャオニャオ(マルにゃあさんのナデナデとその猫撫声を聴けばみんなイチコロですニャ)」
「一平も早くおやすみなさい。ちくわのこと、これからもよろしく頼むわね? あなたお兄ちゃん猫なんだから」
「ニャオ(マルにゃあさん、まかせて下さいニャ)」
そう言うとマルは消えてしまった。
一平は銀次郎に仲良く寄り添って眠った。
一応消毒はしておきましたので、少し大人しくしていれば自然に治るでしょう」
「先生、食欲がないようなんですが」
「内蔵には異常はありませんから、精神的ストレスが原因かもしれませんね?
猫も人間も、哺乳類は同じ病気になりますから。おそらくこれだけのケンカをする元気があるちくわ君ですから、もうその心配は要らないと思います。
それでも食欲がないようでしたらまたおいで下さい」
「ありがとうございました」
「良かったね? ちくわ。もう勝手に外に飛び出して行っちゃ駄目だよ」
純連は銀次郎に頬摺りをした。
「ちくわ君も外に出たかったんでしょうね? 人間も家にばかりいると、どこかに出掛けたくなりますから。
それではお大事に」
「ニャオン(ぽぴんず先生、ありがとニャ。アンタはワシの命の恩人ニャ)」
俺はキャリーケースに入れられ、猫山家に帰って来た。
「ちくわ、もうどこへも行かないでね? ちくわがいなくなったら私、死んじゃうから」
「ニャオーン(純連ニャン、心配かけてゴメンニャサイ)」
ママさんがチャオチュールをくれた。
猫パンチをくらって口の中が傷だらけだったが物凄く腹が減っていたので、俺はむしゃぶりつくようにチャオチュールをしゃぶった。
「どうやら食欲は戻ったみたいね? キャットフードも食べるかしら?」
俺はママさんの出してくれたキャットフードを貪るように食べた。
「だいぶお腹が空いていたみたいね?」
「かわいそうに、食べる物もなかったのね?」
「ニャオ(そうニャ、カルフォルニア・フライドチキンの残飯すらなかったニャ) カリカリ」
その夜、俺は純連ちゃんと一平と一緒に寝た。
「ニャオニャオ?(銀、もう寝たんか?)」
「ニャオ(まだ起きてるニャ、痛くてにゃむれんのニャ)」
「ニャオン?(だいぶ派手にやられたみたいニャな?)」
「ニャオニャオーン(にゃにしろ相手は10匹の虎ニャ、油断したニャ)」
銀次郎は見栄を張って10匹とサバを読んだ。本当は5匹だったのに。
「ニャオ!(それは凄いやないの! 10匹のタイガーとたった独り、いや一匹で戦うなんてそりゃ無茶ニャで!)」
「ニャオニャ(5匹だったら負けちゃいなかったんだけどニャ。俺とニャたことが)」
「ニャオーン(もう勝手に出て行くニャよ、銀がいニャいと寂しいよって)」
「ニャオ?(すまねえ一平、心配かけたニャ。お前は外に出たいとは思わニャいのか?)」
「ニャオニャオ(思わないよ、俺は猫山家が大好きニャから。
銀次郎、こんな話を知っているかニャ? 鎖に繋がれた犬は、その鎖が実際に繋いでなくてもそこから離れようとはしないんニャ。
ワシはそんな臆病な猫ニャ)」
そこにマルが現れた。
「ちくわ、もう無茶しちゃ駄目よ。あなたはみんなに愛されているんだから」
「ニャア(マル姐さん、助けてくれてありがとニャン)」
「私はいつもあなたたちを見守っているわ、もちろん猫山家の家族もね。だから自棄を起こしては駄目よ」
そう言って、マルは銀次郎の顎を撫でた。
「ゴロニャーン ゴロゴロ(気持ちがいいニャ、マルにゃあさん)」
銀次郎は喉を鳴らしてマルに甘えた。
そしていつの間にか銀次郎は深い眠りへと落ちて行った。
「あら、もう寝ちゃったわ」
「ニャオニャオ(マルにゃあさんのナデナデとその猫撫声を聴けばみんなイチコロですニャ)」
「一平も早くおやすみなさい。ちくわのこと、これからもよろしく頼むわね? あなたお兄ちゃん猫なんだから」
「ニャオ(マルにゃあさん、まかせて下さいニャ)」
そう言うとマルは消えてしまった。
一平は銀次郎に仲良く寄り添って眠った。
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