★【完結】歌姫(後編)作品230824

菊池昭仁

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第三楽章

第6話 固く結ばれた愛

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 アドニスのリサイタルを聴いた帰り道、私は錬三郎に訊ねた。

 「どうだった? 彼のサックス?」
 「良かったよ、とても。ただ・・・」
 「ただ、どうしたの?」
 「悲しいサックスだった。彼の酷い孤独を感じたよ」

 私もそれが引っ掛かっていた。
 
 (なんて悲しそうな演奏なの?)

 「でもね、孤独は人を成長させる。
 特に芸術家は」
 
 錬三郎の言う通りだと思った。
 光が強く当たれば当たるほど、出来る影は深く濃くなる。
 私は錬三郎と繋いだ手を強く握った。




 オペラの合同リハーサルは深夜にまで及んだ。
 私は疲れ切って半蔵門線に乗った。
 表参道駅からスーツを着た中年の紳士が私の隣に座わった。

 「今日のリハは大変でしたね?」
 
 (『椿姫』の関係者の人? スタッフさんかしら?)

 「椿姫のスタッフの方ですか?」

 だが彼は、私のその問いには答えなかった。

 「素晴らしいコンサートになるといいですね?」
 「はい。いい公演にしたいですね?」
 「大丈夫。琴子が歌うんだからコンサートは大成功になるよ」
 
 (どこかで聴いた、懐かしい声・・・)
 
 そして彼は驚くべきことを口にした。

 「錬三郎はとてもいい奴だ。それから俺のシーツはもう捨てろ。子供のぬいぐるみじゃあるまいし、いつまでも持っているんじゃない。錬三郎は俺の親友だ。しあわせになれよ、琴子」

 「銀!」 

 私はその男の顔を見ようとしたが、身体が動かない。
 電車が渋谷駅のホームに入った時、その男は人混みに紛れて電車を降りて行った。
 私はすぐに電車から飛び出し、泣きながら彼の後を必死に追い駆けた。

 「銀! 待って銀!」

 その男は振り返ることもなく、雑踏に消えてしまった。

 「銀ーーーーっ!」


 私は銀河の亡霊を見失ってしまった。




 家に帰り、私は錬三郎にその話をした。
 錬三郎は私を抱き締め、何度も頷いて泣いてくれた。

 「そうだったんだ? 銀がそんなことを。なんだか安心したよ」
 「銀ともっと話しがしたかった」
 「うんうん。僕も銀と話したかったよ」
 「ねえ錬三郎。パリのメゾンを賃貸に出そうと思うんだけど」
 「いいのかい? 琴子はそれで?」 
 「だってもうパリには住まないし、銀も許してくれる筈だから」
 「わかった。そう手配しておくよ。
 今年のクリスマス休暇にはふたりでフランスに行こう。銀河のお墓参りをするために」
 「うん」

 シーツのことは錬三郎には言わなかった。




 悟さんの購入していたメゾンを妹さんが賃貸に出す時、パリの不動産屋さんに頼んで、詩音さんと銀河のフォトスタンドだけは日本に送ってもらい、今は錬三郎のリビングに飾ってある。
 私は家事と午前中のレッスンを終えると、ベッドに銀と私の匂いの染みついたシーツを広げ、私は全裸になってそこに横たわると、銀河の精子が固まってカピカピになった部分を、手のひらでそっとなぞった。

 「銀・・・、ごめんね」

 私は錬三郎とのしあわせな毎日に、いつの間にか銀河のことをすっかり忘れてしまっていた。
 銀河は死ぬ前に私にこう言った。
 
 「男と女の恋愛は、その付き合った時間と同じ時間が経てば、自然と忘れることが出来るものだよ」

 銀河の言う通りだと思った。
 私は自分の乳首に触れ、濡れそぼった蜜口に指を入れた。

 「銀河。あんっ、あ、あ、はあ、はあ・・・」

 私は何度もエクスタシーを感じ、私の愛液で濡れたそのシーツをハサミで切り裂くと、ゴミ袋の中にそれを捨てた。
 私はやっと、銀河を思い出に変えることが出来たのだった。

 「さよなら銀河。あなたは私の思い出の中でずっと生き続けるわ」

 私は切り裂いたシーツを入れたゴミ袋を抱いて泣いた。




 小型船舶の試験も終わり、私とアドニスは無事、1級小型船舶操縦士の試験に合格することが出来た。


 「合格して良かったね? これで私たちも海の男と女ね?」
 「今度、食事でもどうですか? お祝いに」
 「ランチならいいわよ」
 「ディナーはダメですか?」
 「ふたりだけで?」
 「ええ、お話したいことがあるんです。ダメですか?」

 それはダメだと思った。錬三郎を裏切ることになるからだ。
 夕食を共にするということは、私の中ではそれは「浮気」だった。

 「ごめんなさいね、夜はダメ。彼のご飯を作らなきゃいけないから」
 「そうですか・・・」

 アドニスは露骨にがっかりした表情になった。

 「じゃあランチでいいです」
 「うん。お店は私が選んでもいいかしら?」
 「お願いします」
 
 私は青山のビストロを指定した。




 家に帰って船舶免許の合格証を錬三郎に見せた。

 「これで私も立派なキャプテンよ」
 「琴子キャプテンに敬礼! あはははは」

 錬三郎はお道化て私に敬礼をして見せた。

 「ありがとう錬三郎。今度の週末、お船を運転させて」
 「いいよ。練習しに行こう」

 そして私は錬三郎に、アドニスからランチに誘われたことを話した。彼に黙ってアドニスと食事に行くのは嫌だったからだ。

 「そう? 美味しい物をご馳走してもらいなよ。どうせならランチじゃなくて、ディナーをご馳走になれば良かったのに」

 彼には嫉妬はなかった。
 それだけ錬三郎は私のことを信頼してくれていた。

 「ディナーでもいいの?」
 「どうして?」
 「だってふたりだけでお食事をするのよ? それって浮気じゃない」
 「僕が女の人と食事をしたら浮気なのかい?」
 「絶対にイヤ。それって浮気だよ」
 「琴子は鹿田君のことが好きなの?」
 「まさか」

 その時の錬三郎の目は笑ってはいなかった。

 「僕は君を信じているからね? あはははは」
 「ヘンな錬三郎」
 
 錬三郎はそんな男だった。
 私はアドニスとふたりだけのランチを承諾してしまったことを後悔した。
 その先のことを何も考えずに。



 アドニスは連絡もせず、少し遅れてお店にやって来た。私は時間を守らない人は信用しないことにしている。
 私の彼に対する評価は急激に落ちた。
 銀河も錬三郎も、時間には正確な男だった。
 時間を守らない人間は、約束を平気で破る。
 そして彼は約束の時間に10分も遅れて来ても謝罪もなかった。


 「いい店ですね? お勧めは何ですか?」
 「ロースト・ビーフとスズキのコンフィがお勧めよ。私はスズキにするけど鹿田君は?」
 「僕はロースト・ビーフで」


 フォークとナイフを動かしながら、私は彼に訊ねた。

 「話しって何?」
 「琴子さんは錬三郎さんと結婚するんですか?」

 (そういうことか?)

 「するつもりだけど、どうしてそんなことを訊くの?」

 私はその答えを知っていながら、敢えてアドニスの口からそれを言わせたかった。
 待ち合わせに遅れて来た罰として。

 「僕と結婚してくれませんか?」
 「どうしたの急に? もうエイプリル・フールはとっくに過ぎたわよ」

 私は彼の顔を見ずに食事を続けた。
 すると彼は続けた。

 「もう婚約はしているんですか?」
 「まだだけど」
 
 (レイとは上手くいっていないのかしら? だってあなたはゲイなんでしょ? それともあなたもバイ・セクシャルなの?)

 「じゃあ僕も立候補させて下さい。琴子さんの婚約者に」

 凄い自信だと思った。
 おそらく彼は自分から告白したことがないのかもしれない。

 「オバサンをからかうのは止めて頂戴」
 「ずっと琴子さんのことが好きでした。プリマドンナの琴子さんのことが。
 レイから東京湾クルーズに誘われた時、凄くうれしかった。
 憧れの海音寺琴子さんに会えるなんて、夢を見ているようでした。
 そしてあなたと一緒に1級小型船舶の講習を受講していると、その想いは更に強くなりました」
 「気持ちはうれしいけど、それは無理」

 私はコンフィにフィッシュ・ナイフを入れた。

 「どうしてですか?」
 「私が錬三郎を愛しているからよ」
 「じゃあ僕も愛して下さい」
 「それは出来ないわ。私は結婚を前提とした、独りの男性しか愛せないの。私はそんなに器用な女じゃないから」
 「・・・ダメですか?」
 「ごめんなさい」

 アドニスは深い溜息を吐きながら、ローストビーフを口に入れた。
 
 「琴子さんのことは、それでも好きです」
 「・・・」

 


 ランチからの帰り路、アドニスにいきなりキスをされそうになり、私は顔を背けた。

 「やめなさい。本気で怒るわよ」
 「ごめんなさい」
 
 アドニスはキスを断念した。



 私はアドニスの携帯登録を着信拒否に設定した。
 そしてそれ以来、アドニスと会う事は無かった。


 
 アドニスはレイと別れ、マンハッタンに行ってしまったらしい。
 レイはかなり落ち込んでいた。


 「私の恋も終わったわ。私は音楽に負けたのよ」

 (レイ、音楽ではなく、あなたは私に負けたの。女の私に)



 私は錬三郎にそのことを正直に打ち明けた。

 「私、鹿田君にキスされそうになったのよ」
 「彼から言われたよ、君にキスをしようとしたら顔を背けられたとね? 「錬三郎さんには敵いませんでした」と。   
 いい奴だよ彼は。才能もあるしね?
 ありがとう琴子。あんなイケメン、そうはいないのに僕を選んでくれて」

 その夜、私は何度も錬三郎を求めた。それは愛のある行為だった。




 新国立劇場は連日大盛況だった。
 そして千秋楽公演も無事に終えることが出来た。
 マスコミやメディアは私を絶賛してくれた。


     『令和のマリア・カラス 降臨!』

    『椿姫』のヴィオレッタを演じた海音寺琴子の歌は、
    新国立劇場に静寂と歓喜の感動の嵐を巻き起こした。



 みんなが私を祝福してくれた。聡子も大きな花束を抱いて楽屋に来てくれた。
 
 「琴子、すばらしいヴィオレッタだったわ。私、涙が止まらなかった! ついにあなたはマリア・カラスになったのね! いえ、マリアを越えたわ! 完全に!」
 「褒め過ぎよ聡子。でもありがとう。すごくうれしいわ」
 「私ももう一度、ピアノに向き合うことにした。琴子に負けられないもん。
 恋では負けても、音楽では負ないわよ」
 「受けて立つわよ。あはははは」
 「あはははは」



 打ち上げには錬三郎も呼ばれて、みんなから揉みくちゃにされていた。

 「琴子さんの旦那さん! じゃんじゃん飲んで飲んで!」
 「あはははは、ありがとうございます! みなさんのおかげです!」
 「ご主人、早くこっちこっち! 奥さんを男たちから守ってあげないと!」
 「はいはい。あはははは」


 私たちはまだ正式な夫婦ではなかったが、リハにも参加していた錬三郎は、みんなからも一目置かれた存在になっており、私たちは劇団公認の仲になっていた。

 「疲れただろう? 今夜はホテルを予約しておいたからそこでぐっすり眠るといい」
 「錬三郎、今日はたくさんしてね?」
 「だいぶ飲んじゃったから今夜は無理だよー」
 「えー、じゃあ私が出来るようにお口でしてあげる」
 「あはははは」



 そこは皇居の前にある老舗ホテルだった。
 私たちは笑いながらキスを交わした。もうすっかり酔いは醒めていた。

 「今日の琴子。すごく輝いていたよ。君はマリア・カラスを越えたね?」
 「錬三郎の厳しいレッスンのおかげだよ。ありがとう」

 すると、そこへルームサービスがロウソクを灯したケーキを運んでやって来た。

 「ケーキを用意してくれていたの?」
 「さあ、ロウソクを消して」

 私はロウソクを消し、ケーキの苺の部分をスプーンで掬い、口に含んで錬三郎に口移しをした。

 錬三郎は携帯を操作し、Ray Charlesの『 I can't stop Loving You』を流し、突然私の前に跪き、ポケットから小さな箱を取り出した。

 「ディーバ。僕と結婚して下さい」
 「・・・もちろん、・・・よろこんで・・・」

 私は号泣した。
 彼は私の左手を取り、薬指にダイヤの指輪をはめてくれた。

 「ぴったりだよ、錬三郎」
 「そりゃそうだよ、君が口をあけて涎を垂らし、鼾を掻いて寝ている時に、こっそりサイズを計って作った指輪だからね? あはははは」
 「綺麗なダイヤモンド・・・」
 「ダイヤモンドは傷付かない。これからは僕とこのダイヤが琴子を守るからね?」
 「ありが・・・とう、錬三郎」


 その夜、私はあの計画を実行した。ピルの服用はすでに二週間前から止めていた。
 排卵ともうまく重なった。
 錬三郎の精子が私の中に送り込まれて来た。

 (あっ、今、受精した)

 その時、私には錬三郎の子供を受精した実感があった。
 かわいらしい女の子だと確信した。
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