【完結】パパはエイリアン(作品250621)

菊池昭仁

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第5話

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 アダムは番組編成会議に出席していた。

 「え~、それでは次の議題に移ります。『人志松本が酒のつまみにされる話』なんですが、話題性と予算の関係から
ゲストはフワちゃんとやす子、ベッキーとなんでしたっけ? あの屑野郎、ああ思い出した、ゲスの極み乙女、のゲス不倫野郎、川谷絵音でした。政治家からは小泉レジ袋米担当バカ世襲親の七光り大臣に国民民主党の不倫党首の玉金、失礼しました、玉木雄一郎党首とあの20代にしか見えない当時39歳だった、えーと、あの元グラドルで観光大使だった~、そう小泉みゆき。
 コイツも小泉ですね? 小泉ってこんなのバッカなんすかねえ?」
 「小泉の倅のその呼び名は長いからポンコツ大臣でいいと言った筈だぞ。でもこれからは大臣は取っ払ってポンコツ進次郎にしなさい、親父は郵便局を民営化して、息子のポンコツ進次郎は日本の農業を民営化にしてアメリカに売り渡そうとしているんだからな? 国賊とは小泉親子を言うん」
 「わかりました、では以後そう呼ぶようにします。
 後は中居正広に野菜を・・・、まあそれは余計でしたね? ウチの上層部に中居クソ野郎とのスキャンダルを握り潰された女子アナも起用したいと今、交渉中です。
 MCは石破総理でいかがでしょうか? テレビに出たがりですし」
 「まあ、このメンツのギャラならみんな合わせても有吉弘行や、マツコ・デラックスの1人分のギャラにもならんだろうしな?」
 「君、コイツらならタダでもいいんじゃないのかね? ウチも今、大変なんだから。
 何しろスポンサーがあのデー・ブイ・デーの『夢グループ』さんだけなんだから」
 「はい、仰る通りですね? 交渉してみます」
 「ところで肝心の松ちゃんは出ないのかね?」
 「もう笑われるのはイヤだそうです」
 「またお笑いをやりたいってあれほど言っていたのにか?」
 「そうだよ、松本人志はお笑い芸人だろ? おかしいんじゃねえのか? それ」
 「仰る通りです。ではその相方ではどうでしょうか?」
 「根暗寿司のあれか? ダメだアイツはチンピラだからコンプラに問題がある」
 「コンプラに問題があるのならいっそチョコプラにしたらどうだろう?」
 「それは名案です局長。では司会はチョコプラのふたりでいかがでしょうか?」
 「阿部寛でいいんじゃねえか? キャスターなんだし」
 「なるほど、さすがは編成「次長課長」、そうすれば「味な素」とか「ナニー損保」、「ぞうさんのタマキンじゃないよ、お鼻だよ印」のスポンサーも付くかもしれませんからね?」
 「池上彰はどうでしょうか?」
 「受けるわきゃねえだろうがバカ! メンツを考えろ」
 「やっぱり?」
 「ヒロミと鶴べいはどうですか?」
 「だめだ、アイツら中居のBBQ仲間だから」
 「ホラン千秋はどうですか? かわいいし、オッパイの形もいいし」
 「ホランかあ、スポンサーがホランラップだけじゃなあ」
 「それならチイカマをプレゼントすればいいじゃろう?」
 「日枝久相談役、それはチーズかまぼこの略です、チイペロですよチイペロ」
 「放送作家の菊池先生、チンペロだなんて下ネタは止めて下さい。不謹慎ですよ。フェラチオだなんて」
 「いいじゃありませんか、小林恭子上納女子アナさんよ! なんで女子アナを庇ってやんなかったんだ!」
 「チンペロじゃなくてそれを言うならチイカワですよ」
 「それより日枝相談役、そろそろご勇退された方が・・・」
 「バカモン! なんでワシが辞めなければならんのじゃ! せっかく創業家からチョモランマ・グループを手に入れたのに。
 ヤラセのゴミ売り、カネに汚えテレビ夕日、そして女にだらしねえウチのチョモランマ。
 おかしいじゃねえか? どうしてヤラセとカネに汚え、女を上納する東京・バカ・スケベテレビ、略して・・・。
 ウチばっかり責められてたまるかよ! どこの局もやってんじゃねえか!
 日曜日になると朝は東大出の何度も結婚して☓だらけの美熟女がMCをしている『サンデーおはよう日曜日』、そしてそれが終わると今度は爆笑問題の気狂い、太田光とその相方のチビ。そしてチンピラゲストばかりの『日曜日本』、あの変なメガネをかけたエール大学准教授の成田悠輔は「ジジババは死ね」とアメリカでほざいている奴じゃないか! そしてすぐに今度はゴッドねえちゃんの『アッコはでまかせ』と報道お笑い番組三連発のオンパレードだ。ふざけるな! なんなんだあの海老名の婿は? そして竹山が政治に意見? 
 お前はシベリアの『不毛地帯』に飛ばすぞコノヤロウ!」
 「ほー、あれぼど都議選で炎上した『アッコはでかい』の和田アキ子ってまだやってたんだあ。あんなに番組降板だと言っていたのにもう何事もなかったかのように知れっとしている。
 さすがは東京バカスケベテレビだ。恥を知らんな?」

 会議は紛糾していた。
 その時、サントリーの宣伝部長、宇宙人ジョーンズが発言をした。
 ジョーンズは『Men in Black』のトミー・リー・ジョーンズでもある。
 どっちが本業だかわからなくなっているが存在感は半端ではない。流石はハリウッド俳優である。
 
 「モウ地球ノテレビ局ハ終ワリデスノート」

 同じ宇宙人のアダムは大きく頷いた。

 「宇宙人ジョーンズさんの言う通りだと思います。
 今こそテレビは反省しなければなりません。やっちゃえオッサン!」
 「それでは君、ウチも終わっちゃうよ、キムタクみたいにね?」
 「それを言うなら君、「やっちまったね? オッサン」だろう?」
 「さすがは社長、よっ、腰巾着、太鼓持ち!」

 結局会議はサントリーの缶コーヒー『BUSS』を飲んで何も決まらずお開きとなった。

 

 アダムはAmazonプレミアムで『E.T』を見てまた泣いていた。

 「ET オウチ デンワ」

 「うぉー、かわいそうですー、ET! お家! 電話! ううううう」
 「パパも帰りたいの?」
 「私は帰らないです、だってママも麻莉亜も大好きだから」
 「パパ、帰っちゃイヤだよ」

 アダムは麻莉亜をやさしく抱きしめた。


 毎朝、水をやりながら植物に話し掛けるアダム。

 「おはよう朝顔さん。今日もキレイに咲いているね?」
 「パパはやさしいね? いつも植物に話しかけている」
 「この子たちはね? みんな生きているんだよ。
 よく「私はヴェジタリアンなんですよ」って言う人がいるけど、あの人たちも命を食べて生きているんだよ。
 牛や豚はダメで、植物はいいなんておかしいよ。
 だって地球全体がひとつの生命体なんだから」
 「そうなんだね? みんな命があるんだね?」
 「そうだよ麻莉亜、地球にある物すべてに命があるんだ」

 アダムはミントやレモングラスなどのハーブにも水を与えた。

 「いつもありがとう」

 アダムはそんなやさしいエイリアンであった。

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