11 / 24
第11話 出来ない約束
しおりを挟む
小次郎はまるで別人のように雪乃を抱いた。
時には羽毛のようにやさしく、またある時は荒れ狂うドラゴンのように雪乃を求めた。
雪乃はイッた回数すら数えることが出来ず、今までに味わったことのないような快感が、雪乃のカラダを何度も貫いた。
そして遂にクライマックスの中で雪乃は叫んだ。
「小次郎! そのまま出して! 私の中に! お願い!
あなたの赤ちゃんが欲しいの!」
だが、雪乃のその願いは聞き入れてはもらえなかった。
小次郎はそれを寸前で抜き取ると、雪乃の胸にそれを出し、果てた。
雪乃は落胆した。
(結婚なんて望まない、でも小次郎の子供が欲しい・・・)
雪乃は初めて「愛のあるSEX」に満たされていた。
愛欲の果てのそれではなく、アダムとエヴァがかつてそうであったように、行為を終えた後、とても神聖な気持ちになっていた。
年齢的にも子供を授かることは限界だった。
雪乃の本能がそれを要求したのだ。
エクスタシーの余韻が、まだ雪乃を捉えたまま離さなかった。
小次郎は雪乃の髪を優しく撫でた。
「小次郎、私、今、すごくしあわせよ・・・」
「俺もだよ、雪乃。
約束してくれ、俺は雪乃を愛してしまった。
もう一度言う、俺はヤクザだ、ヤクザには死が常に付き纏う。
雪乃、もし俺にその時が訪れてもお前は悲しんではいけない。
そして俺のことは忘れてくれ。
雪乃、人は悲しむために生まれたんじゃない、人生を無駄にはするな」
「私、約束なんかしない。そんな約束なんて出来ない。
小次郎のいない人生なんて私には生きる意味がないもの」
小次郎がベッドから起き上がり、タバコを咥えようとすると、雪乃がライターでそれに火を点けた。
仕事柄、それが雪乃の習性になっていた。
小次郎はタバコの煙をスーッと吐き出すと、話し始めた。
「あの時、海で初めて雪乃を見た時、俺は自分がヤクザであることを呪った。
どれだけ俺は普通のサラリーマンに憧れたか知れない。
朝、会社に出掛けて仕事を終え、家に帰る。
するとエプロン姿の雪乃が俺を出迎えてくれて、ふたりは古いイタリア映画のようにパンとワイン、そしてチーズを食べながら、今日、お互いにあったどうでもいい話をするんだ。
テーブルには雪乃の活けた花が飾られてある。
そして週末にはふたりで近くの公園を散歩するんだ、手を繋いでね。
それが俺の妄想だった」
「妄想なんかじゃないわ、そうなるの、そうするのよ私たち。
私も同じ、小次郎と一緒に居るだけでいいの。
パンもワインも、そしてチーズもいらない、私は小次郎がいるだけでいいの、それが私のしあわせなの」
小次郎のタバコの先が赤く灯った。
「もう悲しい恋はたくさん。
もしもあなたが私より先に死んだら、私もあなたと一緒に死ぬわ。
だからお願い、絶対に私よりも先に死なないで、死んじゃ嫌。
小次郎、私と約束して、絶対に私より先には死なないと。
そしてもっともっと私を愛して。
私ももっともっとあなたを愛することを誓うわ」
雪乃は小次郎の胸に頬を乗せ、嗚咽した。
雪乃をやさしく抱きしめながら、小次郎は思った。
それは出来ない約束だと。
時には羽毛のようにやさしく、またある時は荒れ狂うドラゴンのように雪乃を求めた。
雪乃はイッた回数すら数えることが出来ず、今までに味わったことのないような快感が、雪乃のカラダを何度も貫いた。
そして遂にクライマックスの中で雪乃は叫んだ。
「小次郎! そのまま出して! 私の中に! お願い!
あなたの赤ちゃんが欲しいの!」
だが、雪乃のその願いは聞き入れてはもらえなかった。
小次郎はそれを寸前で抜き取ると、雪乃の胸にそれを出し、果てた。
雪乃は落胆した。
(結婚なんて望まない、でも小次郎の子供が欲しい・・・)
雪乃は初めて「愛のあるSEX」に満たされていた。
愛欲の果てのそれではなく、アダムとエヴァがかつてそうであったように、行為を終えた後、とても神聖な気持ちになっていた。
年齢的にも子供を授かることは限界だった。
雪乃の本能がそれを要求したのだ。
エクスタシーの余韻が、まだ雪乃を捉えたまま離さなかった。
小次郎は雪乃の髪を優しく撫でた。
「小次郎、私、今、すごくしあわせよ・・・」
「俺もだよ、雪乃。
約束してくれ、俺は雪乃を愛してしまった。
もう一度言う、俺はヤクザだ、ヤクザには死が常に付き纏う。
雪乃、もし俺にその時が訪れてもお前は悲しんではいけない。
そして俺のことは忘れてくれ。
雪乃、人は悲しむために生まれたんじゃない、人生を無駄にはするな」
「私、約束なんかしない。そんな約束なんて出来ない。
小次郎のいない人生なんて私には生きる意味がないもの」
小次郎がベッドから起き上がり、タバコを咥えようとすると、雪乃がライターでそれに火を点けた。
仕事柄、それが雪乃の習性になっていた。
小次郎はタバコの煙をスーッと吐き出すと、話し始めた。
「あの時、海で初めて雪乃を見た時、俺は自分がヤクザであることを呪った。
どれだけ俺は普通のサラリーマンに憧れたか知れない。
朝、会社に出掛けて仕事を終え、家に帰る。
するとエプロン姿の雪乃が俺を出迎えてくれて、ふたりは古いイタリア映画のようにパンとワイン、そしてチーズを食べながら、今日、お互いにあったどうでもいい話をするんだ。
テーブルには雪乃の活けた花が飾られてある。
そして週末にはふたりで近くの公園を散歩するんだ、手を繋いでね。
それが俺の妄想だった」
「妄想なんかじゃないわ、そうなるの、そうするのよ私たち。
私も同じ、小次郎と一緒に居るだけでいいの。
パンもワインも、そしてチーズもいらない、私は小次郎がいるだけでいいの、それが私のしあわせなの」
小次郎のタバコの先が赤く灯った。
「もう悲しい恋はたくさん。
もしもあなたが私より先に死んだら、私もあなたと一緒に死ぬわ。
だからお願い、絶対に私よりも先に死なないで、死んじゃ嫌。
小次郎、私と約束して、絶対に私より先には死なないと。
そしてもっともっと私を愛して。
私ももっともっとあなたを愛することを誓うわ」
雪乃は小次郎の胸に頬を乗せ、嗚咽した。
雪乃をやさしく抱きしめながら、小次郎は思った。
それは出来ない約束だと。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる