神様の転生物語

kenzo

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1章、ブラームス王国

神、降臨

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今はゼファードさんと二人で街中を歩いている。
「凄い人ですね、今日はお祭りですか?」
普段をあまり知らないがそれにしてもこれは多い。
「そうですね、ある意味お祭りです」
ある意味?
それに人の流れが殆ど同じ方向を向いている。
それは自分達も同じなのだが。
逆に流れに逆らう人も居るが何か凄く慌てて居る。
「そろそろギルドに着きます。用意は良いですか?」
簡単な段取りは既に聞いている、特に用意は無い。
後は実行あるのみ。
親指を掲げた、身長差があるから。
視線は前を向いたまま、手のみでハンドサイン。
カッコいいーぜ!

人の流れが止まっている。
ひしめき合う人達、隣り合う人達が何か話している。
「何があったんだ」「何が爆発したらしいぞ」
「魔法の暴発だって聞いた」「けんけんがくがく」「うんたらこんたら」「ピーチクパーチク」
情報が錯綜しているみたいだ。
「どきなさい」
上から目線のギルドマスター。
「何だお前!」
「ああ!」
コワ!ゼファードさんコワ!
「邪魔です。私はギルドマスターです 」
「お、おい、ギルマスだぞ」
「ギルマスが帰ってきたぞ」「マスター」
人の壁がその密度を薄めて行く。
「さ、アル君行きましょう」
差し出された手を握りゼファードさんに続いて人垣に突入だ。
ムギュ、コペッ、ンガ、痛い痛い、おーい皆、下を見ろー!子供がいるぞー!可愛いぞー!
「と、通して・・・くだ・・・さい!」
プハー!!やっと抜けたー!

人垣を抜けるとそこは鎧の壁だった。
ギルドを取り囲む騎士の輪、その中では慌ただしく騎士が動き回っている。
「通ります」
ゼファードが騎士の間をすり抜ける。勿論その手には僕を繋いだまま。
「何だお前は!ってギルドマスター?!」
間を抜かれた騎士が叱責しようとして脱落。
「ゼファード?!元SSSランク・・・」
間を抜かれたもう一人の騎士が呟く。
おお、有名人だ。
「た、例えギルドマスターでも、一般人がか、勝手「黙りなさい」・・・」
振り返る事無く足を進めるゼファードさんと小さな連れ。
「全く、私の歩みを止めるとは愚かな」
アナタは何者だ!

ゼファードさんの進む先、そこには他の騎士とは異なる身形の良い騎士が周りの騎士に色々と指示を出している。
「君!」
その隊長っぽい人にゼファードさんが声を掛けた。
いや、君って?あれ、絶対に貴族だし。
「おい、ソコの隊長っぽいの?」
うわー、ブレない人だ!
「な、誰だ!・・・ってゼファード殿?」
隊長っぽい人がゼファードさんに気付いた。
「ギルマス!例えアナタでも何だその隊長に対する態度は!」
隣の騎士さんが怒っている。
「それに今ここは庶民は立ち入り禁止だ」
ゼファードさんの冷たい視線が騎士を貫く。
震える騎士、無言で睨むゼファードさん。
「まぁ、良い。それに事はギルドの事、彼にも話を聞こう」
「しかし・・・」
「構わん、お前たちは仕事に戻れ」
「は!」
そそくさと調査に戻る騎士達。
「部下が失礼しました」
「許しましょう」
うわ、隊長さんの顔が引きってる。
「クっ!・・・でゼファード殿は何故ここに?」
「何故?私はギルドマスター、ここに居るのに何の不思議がありますか」
「(イラッ)では逆の質問をしましょう、アナタは今まで何処に居たので?」
「エリウス=エイブルに呼ばれ彼の屋敷へ。
不信があるなら尋ねれば良いでしょう」
「なるほど、ではこの事態の事は?」
「彼の家で知りました」
「なるほど、分かりました。また後程協力をお願いする事もあると思います。
その時は宜しく」
凄いポーカーフェイス、真顔で嘘を付いた。
「面倒です」
「は?な、何を?」
「だから面倒だと言ったのです」
「おのれ!例えゼファード殿でも無礼にも程が有るだろう!!」
うん、全くだ、ゼファードさんは酷すぎる。
「だから今この場でこの騒ぎは終わりにします」
「な、何を言っているんだ!」
隊長さん、顔が真っ赤です。
「さぁ、アル君始めましょうか」
隊長さん無視!ブルブル震えてます。
「いいんですか?この人?」
「ん?ああ大丈夫です。直ぐに皆静かになりますよ」
ウィンクされた!しかも黒い笑顔だ!
ゼファードさんに手を引かれ事件現場の前まで進み出る。
「何だお前は?」「ギルマス?」「そこをどけ!」
騎士達の叱責が飛んでくる。
「静まりなさい」
ゼファードさんの声が風魔法に乗って全ての人に届けられる。
「神の御前である。静かにしなさい」
・・・・・・
「神?」「何を言ってるんだ?」
うん、普通の反応だよね。
ゼファードさんに軽く背中を触られ頷く。
闘技場跡地を背中に振り返り空中へと浮き上がる。

ゼファードさんから授かった作戦は単純明快。
「神のフリをして下さい、方法は任せます」
だけである。
丸投げである。
「楽しませて下さいね、期待しています」
とも言われた。
神が神のフリをする?
どうしょう?
取り敢えず偉そうで良いかな?

「うわ、皆みてるよ」
空に浮き上がった子供に注目が集まる。
「まずは、神と言えば・・・うん、後光かな」
背中に光の輪を作ってっと・・・後は?
「まぁ、取り敢えず何か言うかな」
「あー・・・、あ、そうだ頭に直接話そう」

『我は神である』
ポカーン、騎士も民衆も皆ポカーン。
「ククク、わ、我は・・・ククク」
そこ!ゼファードさん肩が震えてる。
『か、神であるぞ』
「プッ!」
ちょ、ちょっとゼファードさん。

「な、何が神だ、罰当たり者が!」
あ、さっきの隊長さんだ。
まぁ、嘘は付いてないんだけどね。
『ほう、我を罰当たりと申すか』
「あ、当たり前だ。
飛空魔法で飛んで、光魔法で光らせて、・・・な、何かの魔法で直接頭に話し掛けているだけだろう!どうだ!」
何かの魔法って、それでどうだ見破ったぞーって見たいな顔されても。
『この小さきこの身で、それらの魔法を?』
「そ、そうだお前は魔法の才能に恵まれただけの子供だ」
『フ、なれば我は相当な天才なのであろうな』
何か楽しくなって来たかも!
背後の闘技場跡地に、
火柱、ドーーーン!
氷柱、ドーーーン!
その上から
雷、ドーーーン!
『こんな事が出来る程にな』
あ、隊長さん腰抜かしている。
でも、目は死んでない、やるなオヌシ!
「隊長、いい加減に認めなさい、今度こそ罰が当たりますよ」
お、ここでゼファードさんのフォロー!
「く、まだだ、これでどうだ!」
「な、それは・・・」
お、珍しくゼファードさんが焦ってる。何?
「これは魔法を使う犯罪者を無力化する為の魔道具、これでお前の魔力を無効化してやる!
(カチ)・・・どうだー!」
どうだーって!血走った目が怖いですよ隊長さん。
『で?それがどうしたのだ』
「な、そんなバカな!どうして?」
隊長さんが魔道具を確かめている。
「ファイヤー、くそ!ファイヤー、ファイヤー、魔法が出ない・・・」
『フ、我の力を汝らの下等な魔法なぞと同等と思うてか』
「あ、ああぁ」
あ、隊長さんが諦めた。
ゼファードさん、そんなに目をキラキラさせないで怖い、後が怖いです。
『フム、他に我に不信持つものは在るか、その者には更なる物を見せてやろう』
お、おお、おおおーーーー!
すご、皆が平伏していく。
中々壮観だよ、クセになるかも!

『ウム、良いだろう!』
「あ、あの!」
あれ、隊長さん?まだ何かあるの?
「先程は失礼しました。
何卒ご容赦の程を」
『案ずるな、我は寛容なり』
「ははあー、有り難うごさいます」
うむ、苦しゅう無い、苦しゅう無い。
「重ねてご無礼な事とは思いますが、お聞きしたい事が」
『申してみよ』
「は!此度の御光臨、如何なる理由かと」
ん?理由?なんだろ?そこまで考えても無かった、どうしょう?
あ、ゼファードさんが目を逸らした。
理由、理由、理由・・・・・・、(キラーン)そうだこれで行こう!
『此度のこの建造物への火柱、これは我ら神からの忠告である』
「ち、忠告でごさいますか!一体何に対して」
『我に其を言わせるか、愚か者め!己の胸に手を当てよ』
「は!ご無礼を」
ふう、何とかなったかな。
さてと、最後の仕上げだね!
『此度は忠告故にこれまでとする』
良し、闘技場・・・・・・戻れ!
ここで腕を水平に振り抜く!
「おい、あれ!」「な、と、闘技場が」「え、戻ってる」「す、すごい!」
決まったかな!!
『今後も反省が見られ無ければ、次は無いと心得よ』
「は、ははぁー」
『これにて一件落着!!』
ゆっくりと上へと昇り転移っと!


「お待たせしました」
あの降臨劇から約1時間位、兼ねてより決めていた待ち合わせ場所で待っていると漸くゼファードさんが来た。
街の中心広場、その一つのベンチ。
ギルドからここまで歩いても5分の距離、なのに1時間は遅すぎる。
「遅いです」
「いやー、あの後の騒ぎが面白くてつい長居してしまいました」
「それほどですか?」
「ええ、傑作でしたね、ククク」
何やら思い出し笑いをしている。
「では最後に記憶消去ですか」
「はい、それではいきます」
「あー!くれぐれも私の記憶は消さないで下さいよ」
「分かってます。
え~と、さっきの出来事に関しての皆の記憶なくなーーーれ!
ゼファードさんは除くっと。はーー!!!」
自分を中心に何が広がる感じで飛んでけー!
「終わりましたか?」
「はい任務完了です(シュタ)」某アニメ式敬礼!
「な、何ですかそれは?」
「気にしないで下さい」
「いや、私はそのポーズが記憶にありません。
まさか私の記憶も弄りましたね」
「いえいえ、そんな事は無いです」
「いえ、おかしいです」
「まあまあ、さ、帰りましょう」
「ちょっと待ちなさいアル君」
・・・・・・

こうして一連の騒動は最後にアルのオチャメなイタズラで幕を閉じたのだった。





一方その頃
天界のある一室にて

「(コンコンコン)イフリータです」
「入りなさい」
「(ガチャリ)失礼します」
「何か分かりましたか?」
今日突然発生した謎の火柱、下界で起こったそれはその膨大な熱量と質量で天界の結界を揺るがす程であった。
これは魔法であろうと何か別の現象であろうと決して無視出来る事では無い。
場合によっては私達が直接介入も視野に入れなければならない。
あれは其ほどの威力であった。
そう思い私セフイールはイフリータに調査を命じたのである。
「よ、速かったじゃねーか」
「これはゼファル様」
この男、ゼファルは随分前から私の部屋で報告を待っている。
別に心配している訳では無い。
この男はワクワクしているのだ。
「で、どうだったんだ?スッゲー奴が現れたのか?!」
全くこの脳筋は!
イフリータが私を見る。
「構いません、報告を」
「はい、では」
「勿体振なよ、早く言え」
「落ち着きなさい、ゼファル!今イフリータが説明します」
「分かったよ」
私は目でイフリータに続ける様に促す。
「この度の出来事、これの原因は・・・」
「ん?どうしました?早く言いなさい」
「それが、その・・・」
「なんです!」
少しイラッと来る。
「すみません・・・あれは主様の仕業です」
「・・・」
「・・・」
・・・・・・・・・
「無かった事にしましょう」
「だな!じゃ俺帰るわ」
「イフリータも帰りなさい」
「はい、失礼します」
「さ、仕事仕事」
今日も天界は平和です。





あの!バカ主様がーーーーーーーーーーー!!



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