神様の転生物語

kenzo

文字の大きさ
23 / 47
1章、ブラームス王国

サプライズ、サプライズ

しおりを挟む
あの騒動から早くも一週間が過ぎた。

まずはドグラム侯爵だが、何とあの男は国の金にまで手を出していたらしい。
金額が増える程に騒ぎが広がり自分を怪しむ声も聞こえ出した。
焦ったドグラム侯爵は急遽例の暴挙に出たのだった。じっくり考え綿密に計画を立てればもっと上手いやり方もあった筈なのに、焦ったばかりにこの始末だったのだ。
それにしても何故其ほどまでにお金が必要だったのか?
まだまだ謎は残りこれからも捜査は続行されるらしい。
兎に角、流石に国のお金に手を出したのはマズかったらしい。
国の資産とは王家の資産とも言える、それに手を出すのは王家に対する略奪行為とされ、領地没収、爵位剥奪とされた。
つまり平民落ちって奴だ!仲間だね、今度会ったら同じ平民としてからかってやろう!
まぁ悪者の話はこれくらいで良しとしましょう。


次にリリスこと梨々香だが、
結論から言おう!無罪放免である!
ドグラム侯爵に協力したと言ってもアンジェリーナを虐める事のみであった事、それも人質を取られた上での仕方の無い事情も有り、しかも被害者であるアンジェリーナ自信がリリスの事を許すとの宣言があり無罪放免となった。
そして現在リリスと妹のメリル(6才)は僕の家に居る。下働きとして。

あの日から3日間はリリスも拘束されていた。
 まぁ、形式的な物であり待遇も其ほど悪くは無かったらしい。
そして僕は父上に頼み込んだ、リリスが解放されれば連れてきて欲しいと。
父上は快く引き受けてくれて、約束通り連れて来てくれた。
家に来たリリスはびっくりしていた。
「えーーーーー!お兄ちゃんって公爵様の子供だっの?!」
目玉が飛び出るかと思った。 
伯爵令嬢の従者だと思ってたのに公爵家の息子だったのだから仕方無いかな。
「そんな、加護が無いなんて・・・、それにだからって平民って・・・お兄ちゃん可哀想」
うんうん、エエ娘やエエ娘や、グスン 
「えー!お兄ちゃん冒険者してるの?!うわー、ラノベやってるねー」
おう、やってるぜー!
こうしてリリスのサプライズタイムは一旦休憩となり、引き続き父上が驚く番となる。
「ところでさっきから君はアルの事をお兄ちゃんって呼んでいるがどういう事なんだ?」
フフフ、さぁ驚いて貰いましょう父上!
僕は前世の記憶の事を正直に話した。
「なんと、そんな事があるのか?!」
父上のビックリ顔、頂きました!
「そうか、いや、逆にその方がアルの大人びた言動は納得出来るかもしれない」
おお、納得されてしまいました。
「ふ、そう言えばアル、お前はリリアナの名前の由来を覚えているか?」
「え?由来?すみません覚えてません」
「まぁ当時は2才だ、仕方あるまい」
「父上?それが何か?」
「いや、実はな、リリアナが産まれた時、お前は赤ん坊に向かってリリ、リリって声を掛けてたんだ。それでリリを貰ってリリアナとした訳だ。
きっとリリス・・・いや梨々香さんの事を思い出してたのだな」
「お兄ちゃん・・・グスン」
「そうか!アルのシスコンぶりは梨々香さんのせいなのかもしれないな!若くして死んでしまった前世のアルは妹への思いを蓄積させてリリアナに爆発させてしまったと言う訳だ」
「お兄ちゃん!!プンプン」
「何と!衝撃の真実」
「フハハハハハハ」

父上はリリスに我が家に来ないかと声を掛けてくれた。
リリスはただお世話になるのは気が引けると下働きとして働かせて欲しいと願い出て父上はそれを承諾した。
勿論リリスの妹も引き取る事に。
元ドグラム領は一旦はエイブル公爵預りとなり、次の正式な領主が決まるまでは父上が面倒を見る事となった。
エチェリア男爵は解任され新たな貴族を街の責任者とした。
ほかにも色々と手を着けて行くらしい。
そうそう、リリスは僕が彼女の事を梨々香って呼ぶのは止めて欲しいと言った。
お兄ちゃんショックです。
自分は梨々香としての人生は全うした。
今はリリスとして生きているので自分の事はリリスと呼んで欲しいと言う事。
流石おばあちゃんっす。


そして最後にお嬢様ことアンジェリーナさん。
これだ、どうしてこうなった!
今回最大のビッグサプライズでした。

まずはその後の経過から、あそこは伯爵家として何か変わった訳ではない。
言ってみれば危機が去ったという所だろうか。
そうそう、アンジェリーナさんはミーファさんの家まで赴き丁寧に謝罪をしたらしい。
初めは戸惑って居たミーファさんも謝罪を受け入れ二人の仲は修復に向かっているらしく、それに伴いミーファさんの体調も快方に向かっているとのこと。
めでたしめでたし。
と言う様な情報を僕はベリウス兄上から聞かされた。
そう、これこそがビッグサプラーイズ!
何と!何と!兄上があのベリウス兄上がアンジェリーナさんに告白しました。
それも何と告白したのはアノ日だと言うから驚きである。

ファンファンファーーン
ーーー回想ーーー
(これは当時現場に居た人達へ僕の熱心な取材により得た証言を元に僕が再構成した回想録である。ではどうぞ!)
時はちょうど僕がリリスを連れて転移した直後。
ドグラム侯爵とエドワード、そして兵達を連行するために父上は王城に使いを出していた。
王城と学園は遠くは無いとは言えそれでも其なりに時間は掛かる。
この場に残るのは自分とサイス伯爵だけが居れば良いとベリウスやアンジェリーナ、そして何故か居るユリウスへと帰るようにと告げられた。
そしてここでベリウス兄上が動いた。
「父上、少しお時間を宜しいでしょうか」
「どうしたベリウス」
それには返事をせずにベリウスは歩き出した。
「お、おいベリウス?」
カツカツカタカツ、ピタリ!
「アンジェリーナ嬢」
「は、はいベリウス様」
「今、ここでこの様な事を言うのは相応しく無いのは分かっている」
「・・・?」
「しかし、言わずには居れないこの心を許して頂きたい」
「べ、ベリウス様?」
「私はずっとアナタが好きだった!」
「え?」
「勿論過去形では無い現在でも変わらず好きでいる」
「・・・」
「アナタの純粋さに直向きさ優しさ強さ、全てが私を引き付けた。
初めは感心だった、それが憧憬へと変わりいつしか私の心はアナタで一杯になっていた」
「ベリウス様」
「アナタには婚約者がいた。この思いは叶う筈の無い物、私はずっと心に鍵を掛けて来た」
「・・・ベリウス様」
「そして今日この顛末、私の心の鍵は壊れました。アナタが好きです。愛してます。この心を受け取って欲しい」
「あ、あの・・・」
「勿論今返事が欲しいとは言わない。ついさっきあの様な事があったばかり、心の整理もつかないであろう。
だから、いつか心の整理が出来、私の気持ちに向き合える時が来たら返事を聞かせて欲しい。時間は幾らでもある、アナタのスピードで焦らず納得の答えを出して下さい」
「ベリウス様」
「では、私はこれで」
アンジェリーナさんに頭は下げ、振り返った兄上はサイス伯爵、そして父上にも頭を下げて会場を後にした。
父上もサイス伯爵もビックリ呆然としていたらしく、その中アンジェリーナの静かに抑えた泣き声だけが会場に響いていたらしい。
(ユリウス兄上談)
それから3日後、朝の学園の門の前に立っていたアンジェリーナさんはベリウス兄上が登校してくると頭を深く下げたらしい。
「この様な私で良ければ末永く宜しくお願いします」
ーーー回想終わりーーー
ファンファンファンファーーン

感動した!流石兄上、僕が認めた男!
ちなみに二人が付き合う事になった日に兄上はアンジェリーナさんを家に連れて来た。
父上に挨拶をするためだ。
そこでアンジェリーナさんと僕が鉢合わせ!
僕ビックリ、アンジェリーナさん仰天!
ちょっとした騒ぎになったのは良い思い出です。更に違う日にはアンジェリーナさんとリリスが再会、お互いギコチ無かったがその内仲良くもなれる・・・かな?だといいな!


こうして騒動は一応の決着を迎え彼ら彼女らに平穏な日々が戻った。
しかし、それは次なる戦いまでの僅かばかりの休息に過ぎない事をまだ彼らは知らない。
真の悪の魔の手は直ぐそこまで伸びているのである。
まだまだアルの戦いは続くのだ。
行けアル!戦え冒険者アル!


「ベリウス様、アル君が何か叫びながら握り拳を振り上げていますが、何をなさっているのですか?」
「気にする事は無い。アンジェリーナ、あれがいつものアルなのだから」
「はい、愉快な弟さんですね」
「ハハハ!全くだ」


ーーー???ーーー
とある屋敷、その門の前で二人の影があった。
「公爵様に会わせてくれ」
「くれ?ですか、アナタはまだご自分の立場が分かっておられない」
「な、なんだと!執事の分際で!!」
「ふっ、執事の分際でですか、私も見くびられたものです。平民風情に侮られるとは」
「く、誰の、誰のせいだ!」
「自業自得なのでは?」
「ふ、ふざけるな!!全ては公爵様の為にしてきた事だろ!」
「さぁ、知りませんな、アナタが勝手にした事でしょう。旦那様におかれましては関知せぬ事です」
「な、くそ!この俺までトカゲのシッポって訳か!
いいだろう、そっちがその気ならこっちにも考えがある。共に地獄に引き摺り込んでやる!地獄の底で後悔することだ」
肩を怒らせながら屋敷を後にする男を見送る執事は右手を顔の横に挙げる。
「始末しなさい」
「奴だけで?」
「旦那様との繋がりを抹消です」
「心得ました」
闇から現れた影は再び闇に融けていった。

「旦那様」
「どうした」
「ガナールが現れたました」
「ふん、で?」
「繋がりを消します」
「相変わらず流石だな」
「恐れ知ります」
「それにしても手持ちの侯爵を失ったのは痛いな」
「はい」
「計画を練り直さねばならんか」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...