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34.聖女 sideカーク
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今までチートがあるから大丈夫だ、と言っていた聖女の様子が変わった。
神使様の魔力適正の結果が、異常だったからだ。
ほんの一瞬白い煙程度しか、水晶に映し出されなかった聖女様の魔力。それでも白色だった事が、聖女様の誇りのような物だった。
我々にとっては、不満しか無かった。この聖女に選ばれたくない。行方不明になったジェイド様が、本物に呼ばれたのではと言う一つの仮説が上がった。
偽物……に縛られたくないと言うのが、我々の本音だった。
ならばとジェイド様を召喚の儀式を使い呼び戻した。そしてジェイド様を呼んだであろう異世界の聖女様もまた、探す事になった。
恐らく琥珀様で間違い無い。
神使様と呼ばれても、遜色の無い美しい方だ。その方の持つ雰囲気に、水晶が無くとも魔力持ちであると推測された。
(これはすごい。歴代最高かも知れない)
召喚の際に体調は崩された。華奢な方を無理をさせないように、皆大切に神使様を見守っている。これ以上の召喚の儀式は、我々だけでは無理だと判断されたのも大きい。
ようやく、水晶による魔力適正を見る日が来た。聖女様に邪魔されないようにとの配慮の元、行われた。
神使様が、水晶に手を伸ばして軽く掌を、乗せた後。
眩い光が広がりそして、神聖な空気に包まれて空間が浄化されていくようだったと聞いた。
水晶は、その魔力を欲したのだ。神使様は動けずに、魔力を吸われ続けた。そのせいで水晶に亀裂が入り始め、エドワード殿下によって助けられた。
事の顛末を聞かされる。
この目でその魔力をみたかった。
何より、ジェイド様の態度はあからさまだ。記憶がないのに、神使様を抱きかかえている。誰にもなびかなかった人だ。エドワード殿下に忠誠を誓い、王国の事を優先していたのに。最初に召喚された聖女様のことは、眼中に無い。
決まりだなとは、思う。ではなぜ彼女がここに呼ばれたのか? 聖女様が言うように、チートと言うものがあるのだろうか?
異世界では魔法は使えないと聞く。今までの聖女達もそうらしい。召喚をきっかけに、今後目覚める可能性は高い。もしも目覚めるならば、隣国に連れて行かれるのは阻止すべきだ。
チートで力が発揮するようになれば、誰かが彼女を支える事になる。
「元の世界に戻せないものか……」
これも、神使様なら出来るのではないか?
聖女様が、神使様の魔法訓練に行きたいと言い始めた。やはり、立場を脅かし兼ねないと気にし始めたみたいだ。
これで切磋琢磨して、浄化や治癒が上手く出来るようになると良い。安直にそう思ってしまった。
今のままでは、魔力が足りない。実践練習も座学もチートに頼り、無視して来た。魔力循環の基礎も分かっていないままだ。
神使様より、かなり早く召喚されたのに。何一つして来なかった結果だ。
体調を崩していた方の方が、上手にこなしている。しかも聖属性の美しい魔力を感じる。皆が驚きに包まれた状況。
本物だと実感せずには、いられない。どうせなら、俺も神使様の護衛に付きたい。
また聖女様が、突然走り出した。
神使様の水晶が良いと言い出す始末だ。
変えても無理だろう。何の反応もしない事に腹を立てて、水晶を持ち上げて割ってしまったのだ。
神殿の水晶が、どれだけ貴重なものか。浅はか過ぎるだろう。
あろう事か神使様の頬に傷が付き、激怒したジェイドが暴走しそうになった。 俺でも、許せなかった。
聖女様は真っ青になって、座り込んでいる。
治療も出来ない聖女様に変わって、神使様がジェイドの腕の傷から治癒した。ジェイドに言われた神使様が、簡単に自分の傷も消したのだ。
何も出来ない聖女様を起こしていると、ジェイドが堪らず神使様を抱きしめた。
その時の聖女表情が忘れられない。
神使様の魔力適正の結果が、異常だったからだ。
ほんの一瞬白い煙程度しか、水晶に映し出されなかった聖女様の魔力。それでも白色だった事が、聖女様の誇りのような物だった。
我々にとっては、不満しか無かった。この聖女に選ばれたくない。行方不明になったジェイド様が、本物に呼ばれたのではと言う一つの仮説が上がった。
偽物……に縛られたくないと言うのが、我々の本音だった。
ならばとジェイド様を召喚の儀式を使い呼び戻した。そしてジェイド様を呼んだであろう異世界の聖女様もまた、探す事になった。
恐らく琥珀様で間違い無い。
神使様と呼ばれても、遜色の無い美しい方だ。その方の持つ雰囲気に、水晶が無くとも魔力持ちであると推測された。
(これはすごい。歴代最高かも知れない)
召喚の際に体調は崩された。華奢な方を無理をさせないように、皆大切に神使様を見守っている。これ以上の召喚の儀式は、我々だけでは無理だと判断されたのも大きい。
ようやく、水晶による魔力適正を見る日が来た。聖女様に邪魔されないようにとの配慮の元、行われた。
神使様が、水晶に手を伸ばして軽く掌を、乗せた後。
眩い光が広がりそして、神聖な空気に包まれて空間が浄化されていくようだったと聞いた。
水晶は、その魔力を欲したのだ。神使様は動けずに、魔力を吸われ続けた。そのせいで水晶に亀裂が入り始め、エドワード殿下によって助けられた。
事の顛末を聞かされる。
この目でその魔力をみたかった。
何より、ジェイド様の態度はあからさまだ。記憶がないのに、神使様を抱きかかえている。誰にもなびかなかった人だ。エドワード殿下に忠誠を誓い、王国の事を優先していたのに。最初に召喚された聖女様のことは、眼中に無い。
決まりだなとは、思う。ではなぜ彼女がここに呼ばれたのか? 聖女様が言うように、チートと言うものがあるのだろうか?
異世界では魔法は使えないと聞く。今までの聖女達もそうらしい。召喚をきっかけに、今後目覚める可能性は高い。もしも目覚めるならば、隣国に連れて行かれるのは阻止すべきだ。
チートで力が発揮するようになれば、誰かが彼女を支える事になる。
「元の世界に戻せないものか……」
これも、神使様なら出来るのではないか?
聖女様が、神使様の魔法訓練に行きたいと言い始めた。やはり、立場を脅かし兼ねないと気にし始めたみたいだ。
これで切磋琢磨して、浄化や治癒が上手く出来るようになると良い。安直にそう思ってしまった。
今のままでは、魔力が足りない。実践練習も座学もチートに頼り、無視して来た。魔力循環の基礎も分かっていないままだ。
神使様より、かなり早く召喚されたのに。何一つして来なかった結果だ。
体調を崩していた方の方が、上手にこなしている。しかも聖属性の美しい魔力を感じる。皆が驚きに包まれた状況。
本物だと実感せずには、いられない。どうせなら、俺も神使様の護衛に付きたい。
また聖女様が、突然走り出した。
神使様の水晶が良いと言い出す始末だ。
変えても無理だろう。何の反応もしない事に腹を立てて、水晶を持ち上げて割ってしまったのだ。
神殿の水晶が、どれだけ貴重なものか。浅はか過ぎるだろう。
あろう事か神使様の頬に傷が付き、激怒したジェイドが暴走しそうになった。 俺でも、許せなかった。
聖女様は真っ青になって、座り込んでいる。
治療も出来ない聖女様に変わって、神使様がジェイドの腕の傷から治癒した。ジェイドに言われた神使様が、簡単に自分の傷も消したのだ。
何も出来ない聖女様を起こしていると、ジェイドが堪らず神使様を抱きしめた。
その時の聖女表情が忘れられない。
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