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48.浄化同行①
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今回は聖女様が浄化に行くという事で、馬車は豪華なものだった。ミカエル様が馬車に一緒に乗るようだ。
それを見たジェイドは、不機嫌になっている。
護衛も、魔法騎士の数が俺の時の倍はいる。ただ神官長様は、どうやら王宮の方に残るようだ。
確かに、聖女様、ミカエル様、カークライト様、エドワード殿下に魔法師長もいる。
つまり、王宮の方に何かあってはいけないと言う理由で神官長は残ると言うのだ。
ミカエル様は足でまといですから、いない方がマシですと言った。
王宮に留守番しているはずの俺とジェイドは、後方で変装し護衛に混ざった。
今回も二人で騎乗する。主要な人達には報告してある。必要な時にはこちらを認識してもらえるような魔法だ。他には分からないままみたいだ。
これはカーク様の魔法で、髪も瞳の色も変えて顔もあまり印象に残らないそうだ。ただ二人で騎乗していると、抱きしめられているような変な気分になる。浄化が上手く終わったら、馬に乗れるようになりたい。相談しよう。
前回より重い案件に向かう。浄化の範囲が広い事と、さらに魔物が目撃されているとの事だ。
「琥珀。聖女様がチートが発揮されるか試したいなら、ギリギリまで手を貸さない方がいい。最初はカークや護衛に任せるべきだ。頼むから囮になるのはやめてくれ。そんな事をしたら、本気で閉じ込める」
「──囮にはならないよ。でも、あの子は、聖女の力を発揮出来るか分からない。この世界で消えて元の世界に戻れるなら……いいけど。そんなの分からないし、死なせたくない。だから、万が一の時は助けたい」
「はぁぁ」
ギュッと抱きつくように腰に手が回ってくる。
「なら、俺は聖女様じゃなくて、琥珀だけを守るから」
「エドワード殿下は? 心配じゃない?」
「殿下は、言っとくけどかなりの魔法の使い手だから。カークにも匹敵する。自身の事は大概守れる。カークもミカエルも、いざとなれば殿下を優先する。魔法師長が、聖女を優先する事になってる」
「そっか。魔法師長が担当してるんだね。なら……」
俺の魔法よりも質も力も上のはずだ。浄化の力が召喚された人間にしか使えないって事だから、対魔物なら彼らの方が慣れているはずだ。
「囮も、犠牲になるのも許さない」
ジェイドは、この間の無茶を許してくれない。あの時は、あれしか思い付かなかったから。
「分かってる。そうなる前に、魔物の探索とか出来ないか考えてるだけだよ」
ちゃんと最後まで本を読めてたら、違ったのに。聖女の彼女は結末を知っているのだろうか?
古書店にもう一度行きたい。オーナーに会えば、俺が忘れてる事のヒントが貰えるかもしれない。そんな事を考えていたら、頭上から声が降ってくる。
「琥珀……疲れたら少しでも寝た方がいい」
「いや、でも探索してた方が良くない?」
「ミカエルや魔法師長もいるし、俺もしてる。浄化の場所に近づけば、休む暇が無いかもしれない。昨日もあまり眠れなかっただろ?」
「それは、昼間寝てたからだよ。疲れてないよ。魔力も貰ってるから。起きてた事を知ってるジェイドだって寝てないよね?」
「浄化をする事になったら、魔力が多く必要になる。琥珀はなるべく体力を温存して欲しいんだ。後で魔力循環しよう」
「えっ、でもジェイドも温存しないと駄目だよね?」
なんか、嫌な予感がする。まさか、ここでしないよね?皆に見られるのは流石に恥ずかしい。
「俺も琥珀と循環させると体内浄化されるみたいで、元気になるから。姿の認識されにくいなら、試すか」
「ここで、今試すの?」
ぐっと顔を引き寄せられて、ジェイドの顔が近づいた。
だから、溶けそうになるから……本当に誰も気が付かない?しばらく続いた魔力循環に力が抜けてしまう。
「ん……」
「バレてないな。野営の場所までもう少しかかるから、それまで琥珀は休んで欲しい」
そう言ってまた深いキスをされてしまう。視界が暗くなっていく。また、なんかしたよね……?
皮膚にピリッとした刺激を感じたけど気のせい?
何か違和感があるのに、言葉に出来ないままに眠りに落ちてしまった。
それを見たジェイドは、不機嫌になっている。
護衛も、魔法騎士の数が俺の時の倍はいる。ただ神官長様は、どうやら王宮の方に残るようだ。
確かに、聖女様、ミカエル様、カークライト様、エドワード殿下に魔法師長もいる。
つまり、王宮の方に何かあってはいけないと言う理由で神官長は残ると言うのだ。
ミカエル様は足でまといですから、いない方がマシですと言った。
王宮に留守番しているはずの俺とジェイドは、後方で変装し護衛に混ざった。
今回も二人で騎乗する。主要な人達には報告してある。必要な時にはこちらを認識してもらえるような魔法だ。他には分からないままみたいだ。
これはカーク様の魔法で、髪も瞳の色も変えて顔もあまり印象に残らないそうだ。ただ二人で騎乗していると、抱きしめられているような変な気分になる。浄化が上手く終わったら、馬に乗れるようになりたい。相談しよう。
前回より重い案件に向かう。浄化の範囲が広い事と、さらに魔物が目撃されているとの事だ。
「琥珀。聖女様がチートが発揮されるか試したいなら、ギリギリまで手を貸さない方がいい。最初はカークや護衛に任せるべきだ。頼むから囮になるのはやめてくれ。そんな事をしたら、本気で閉じ込める」
「──囮にはならないよ。でも、あの子は、聖女の力を発揮出来るか分からない。この世界で消えて元の世界に戻れるなら……いいけど。そんなの分からないし、死なせたくない。だから、万が一の時は助けたい」
「はぁぁ」
ギュッと抱きつくように腰に手が回ってくる。
「なら、俺は聖女様じゃなくて、琥珀だけを守るから」
「エドワード殿下は? 心配じゃない?」
「殿下は、言っとくけどかなりの魔法の使い手だから。カークにも匹敵する。自身の事は大概守れる。カークもミカエルも、いざとなれば殿下を優先する。魔法師長が、聖女を優先する事になってる」
「そっか。魔法師長が担当してるんだね。なら……」
俺の魔法よりも質も力も上のはずだ。浄化の力が召喚された人間にしか使えないって事だから、対魔物なら彼らの方が慣れているはずだ。
「囮も、犠牲になるのも許さない」
ジェイドは、この間の無茶を許してくれない。あの時は、あれしか思い付かなかったから。
「分かってる。そうなる前に、魔物の探索とか出来ないか考えてるだけだよ」
ちゃんと最後まで本を読めてたら、違ったのに。聖女の彼女は結末を知っているのだろうか?
古書店にもう一度行きたい。オーナーに会えば、俺が忘れてる事のヒントが貰えるかもしれない。そんな事を考えていたら、頭上から声が降ってくる。
「琥珀……疲れたら少しでも寝た方がいい」
「いや、でも探索してた方が良くない?」
「ミカエルや魔法師長もいるし、俺もしてる。浄化の場所に近づけば、休む暇が無いかもしれない。昨日もあまり眠れなかっただろ?」
「それは、昼間寝てたからだよ。疲れてないよ。魔力も貰ってるから。起きてた事を知ってるジェイドだって寝てないよね?」
「浄化をする事になったら、魔力が多く必要になる。琥珀はなるべく体力を温存して欲しいんだ。後で魔力循環しよう」
「えっ、でもジェイドも温存しないと駄目だよね?」
なんか、嫌な予感がする。まさか、ここでしないよね?皆に見られるのは流石に恥ずかしい。
「俺も琥珀と循環させると体内浄化されるみたいで、元気になるから。姿の認識されにくいなら、試すか」
「ここで、今試すの?」
ぐっと顔を引き寄せられて、ジェイドの顔が近づいた。
だから、溶けそうになるから……本当に誰も気が付かない?しばらく続いた魔力循環に力が抜けてしまう。
「ん……」
「バレてないな。野営の場所までもう少しかかるから、それまで琥珀は休んで欲しい」
そう言ってまた深いキスをされてしまう。視界が暗くなっていく。また、なんかしたよね……?
皮膚にピリッとした刺激を感じたけど気のせい?
何か違和感があるのに、言葉に出来ないままに眠りに落ちてしまった。
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