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53.聖女の浄化①
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いよいよ。
浄化へと向かう。エドワード殿下と一緒に騎乗している。
ジェイドの時は、前に乗せられていた。今回は後ろに乗り殿下の腰に軽く手を回している。
上体をずらして、殿下の後ろから前の様子を見た。
先頭は魔法騎士が四人、二列に並んでいる。彼らが周りを伺いながら進んでいく。その後ろに魔法師長がいる。隣をジェイドと聖女様が一緒に騎乗していて、俺と同じように後ろに乗っている。
俺たちの隣には、ミカエル様だ。その後に六人程いる。
前回のことを踏まえて準備をして来た。最初から空気を浄化するように、ストールに魔法を施してた。それを浄化に向かうメンバーに配布する。
聖女様は、要らないと言っていたが……結果で言うと首に巻いている。
「本当に、琥珀様はすごい」
エドワード殿下に褒められて、困ってしまう。聖女様の機嫌が悪くなるのは、面倒だから。
「聖女様。馬を走らせていない時に、強くしがみつかないで下さい。初動が遅れます」
抱きついていた手を、緩めているところだった。
ジェイドの言葉はまるで、冷気を発生させているかのように冷たい。
女性に対してトラウマがあるのだ。仕方がないんだ。ごめんねと、心の中で聖女様に謝った。
ああ、でも一度話した方が良いのかもしれない。ジェイドは、女性が苦手なのだと。
ますます、空気が重たくなって行く。それに向こうに行きたくない。
「琥珀様。大丈夫ですか?」
「エドワード殿下。大丈夫です。少し緊張しているようです。前回よりも、空気が重いような気がしますね」
思わず額の汗を拭う。おかしいと思うのに、何が?おかしいのか分からない。
「この先はもっと空気が淀みそうですね。気を引き締めて行きましょう。今回は、全力で琥珀様を守らせて下さい」
この国の大切な方なのに、本当に優しい。召喚した事に対しての責任なんて感じ無くていいのだ。申し訳なく思ってしまう。本当にただ、結に会いたかっただけだ。
そして、ぐらりと地面が揺れたように感じる。
誰も何も言わない?どうして……
思わず聖女様の方を見る。何かいいようのない不安に襲われていく。
「──聖女」
そして、地鳴りともに地面が波打った。
悲鳴が上がる。
「うわっ、なんなんだ!」
「落ち着け!注意を怠るな!!」
言い知れぬ緊張が走る。
エドワード殿下から声がかかった。
「琥珀様!しっかり掴まって下さい!!」
ジェイドとも一瞬目が合う。少し唇を噛んだように見えた。
聖女がぐらついて、ジェイドの服へ手を伸ばした。
「聖女様、落ちないように俺に掴まって下さい」
「は、はい」
揺れが少しづつ収まっていく。また食獣植物?
そして───
突然、巨大なイソギンチャクの触手のようなものが土の中から押し出されるように飛び出て来た。皆咄嗟に避ける。
触手魔獣……だ。
次の瞬間上空からも、飛龍が近づいて来ているのが見えた。
皆が攻撃態勢をとった。
浄化へと向かう。エドワード殿下と一緒に騎乗している。
ジェイドの時は、前に乗せられていた。今回は後ろに乗り殿下の腰に軽く手を回している。
上体をずらして、殿下の後ろから前の様子を見た。
先頭は魔法騎士が四人、二列に並んでいる。彼らが周りを伺いながら進んでいく。その後ろに魔法師長がいる。隣をジェイドと聖女様が一緒に騎乗していて、俺と同じように後ろに乗っている。
俺たちの隣には、ミカエル様だ。その後に六人程いる。
前回のことを踏まえて準備をして来た。最初から空気を浄化するように、ストールに魔法を施してた。それを浄化に向かうメンバーに配布する。
聖女様は、要らないと言っていたが……結果で言うと首に巻いている。
「本当に、琥珀様はすごい」
エドワード殿下に褒められて、困ってしまう。聖女様の機嫌が悪くなるのは、面倒だから。
「聖女様。馬を走らせていない時に、強くしがみつかないで下さい。初動が遅れます」
抱きついていた手を、緩めているところだった。
ジェイドの言葉はまるで、冷気を発生させているかのように冷たい。
女性に対してトラウマがあるのだ。仕方がないんだ。ごめんねと、心の中で聖女様に謝った。
ああ、でも一度話した方が良いのかもしれない。ジェイドは、女性が苦手なのだと。
ますます、空気が重たくなって行く。それに向こうに行きたくない。
「琥珀様。大丈夫ですか?」
「エドワード殿下。大丈夫です。少し緊張しているようです。前回よりも、空気が重いような気がしますね」
思わず額の汗を拭う。おかしいと思うのに、何が?おかしいのか分からない。
「この先はもっと空気が淀みそうですね。気を引き締めて行きましょう。今回は、全力で琥珀様を守らせて下さい」
この国の大切な方なのに、本当に優しい。召喚した事に対しての責任なんて感じ無くていいのだ。申し訳なく思ってしまう。本当にただ、結に会いたかっただけだ。
そして、ぐらりと地面が揺れたように感じる。
誰も何も言わない?どうして……
思わず聖女様の方を見る。何かいいようのない不安に襲われていく。
「──聖女」
そして、地鳴りともに地面が波打った。
悲鳴が上がる。
「うわっ、なんなんだ!」
「落ち着け!注意を怠るな!!」
言い知れぬ緊張が走る。
エドワード殿下から声がかかった。
「琥珀様!しっかり掴まって下さい!!」
ジェイドとも一瞬目が合う。少し唇を噛んだように見えた。
聖女がぐらついて、ジェイドの服へ手を伸ばした。
「聖女様、落ちないように俺に掴まって下さい」
「は、はい」
揺れが少しづつ収まっていく。また食獣植物?
そして───
突然、巨大なイソギンチャクの触手のようなものが土の中から押し出されるように飛び出て来た。皆咄嗟に避ける。
触手魔獣……だ。
次の瞬間上空からも、飛龍が近づいて来ているのが見えた。
皆が攻撃態勢をとった。
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