悪役令息攻略ルート !? ~ループ後の好感度が変です~

Shizukuru

文字の大きさ
15 / 37
2.ループしました

5

しおりを挟む
  生き残るために、逃げる体力はつけたい。
ジェラルドは、倒れて虚弱になっている体を、先ずは鍛えることから始めることにした。

  明日、メイナードと話して、今後の訓練のメニューを考えてもらおうと拳を握りしめた。

 結局ジェラルドは、一週間ほどベッドの上で過ごす羽目になった。皆が優しいを通り越して、過保護な気がする。

(このままじゃ、何も変わらない)

そんな焦りの中、メイナードが会いに来てくれた。メイドにお茶を用意させて、その後は二人だけにしてもらう。

ジェラルドの私室は、小さな図書室といっていいくらいの書籍が棚に置いてある。ヴィオレット侯爵領の資料も多い。
机に、ソファに、小侯爵の執務室と呼ばれるくらいに、私室はきちんとした家具が備えられていた。

  最初の転生ではゲームの記憶がなかったけど、ここにちゃんとジェラルドの努力が詰まってる。ジェラルドが生きていた世界だとわかる。
ゲームじゃない。陽斗とジェラルドは、生き残りをかけた運命共同体なのだ。

そこに本当はメイナードを巻き込みたい。彼は『らぶそな』のメインキャラではない。ただモブというには、メイナードはきれい過ぎる。本人は相変わらず紅い瞳が嫌いみたいだった。

(悪役令息の傍にいるから……迫力のある美形なのかな?)

  この世界の人たち、特に貴族は顔が整っている。BLゲーム補正と言っても過言ではない。ジェラルドだけが悪役顔なのだろう。こればかりはどうしようもない。そういうビジュアルにされたのだから。

  ヴィオレット侯爵である父は、イケオジだと思う。ジェラルドは母上に似ているらしい。侯爵家にある二人の肖像画は、美しかった。

ジェラルドと違って、幸せそうに笑っているから母上はきれいな気がする。

もしもうまく笑えたら、この冷たい顔の印象が違うのかもしれない。
でもクリス殿下に、嫌味を言われ続けて、もう笑い方がわからないのだ。

だいたい、もう陽斗の顔も思い出せなくなっている。

笑顔って、どうしたらいいのかな?

「顔……マッサージでもしようかな?」
「急にどうしたんですか?」

向かい合うように座って、菓子を持ったまま変なことを呟いてしまった。

  またここに戻ってくるとは思わなかったけど、メイナードにもう一度会えて良かった。気がかりなことがあって、聞きたかったから。

「表情筋を解そうかな……なんてね。それより……あのねメイナードに会いたかったんだ」
「ジェラルド様?」
「ほら、倒れた時? 迷惑かけたみたいだから、謝っておきたくて」

  スッと立ち上がったメイナードは、ジェラルドの座っている前で片膝かたひざをついた。

「違います。謝罪なんていりません」
「違う? いや、でも迷惑をかけたと思うよ」
「本当に違うんです。俺のせいで巻き込みました」
「そんなことないはず」

むしろ巻き込もうとしてるのは、ジェラルドの方だ。
学園はともかく、それまでは一緒にいても、許してくれるのではないかと思っている。
メイナードの大事な人にも、この年齢なら浮気などと、疑わないのではないと思うから。

「今はまだ、詳しいことが言えないんですが」
「まだ言えないことなんて、聞かないから。言わなくていいよ」

そんなの、死亡フラグっぽくて聞きたくない。

「誓約魔法で契約さえすれば……」
「待って、本当に待って。まだ僕は十三歳だよ? ほら、この先の人生何があるかわからないから!」

  陽斗は二十二歳で死んで、一回目のジェラルドは十六歳で刺されで倒れた。
ループした二回目は十三歳だけど、三十八年分、生きてたってことであってるのかな? 
いや、巻き戻ってるならさらに加算するのが正解?
もう、よくわからない。

たぶん精神年齢だけなら、メイナードより上のはずだ。

「誓約魔法なんて、王族に騎士が忠誠の時にするものじゃない? まだ侯爵家を、継ぐことができるかもわからないんだから。早まらないで」

「ジェラルド様を二度と失わなくて済むのなら、忠誠を誓わせてください」

「え、待って」
  二度と失わなくて済むのならって、一度は失ったって言ってるのだろうか?
理解が及ばなくて、体温が奪われ指先から冷たくなっていくみたいだ。
目眩がして、体を支えられなくなったところでメイナードの胸の中にいた。

「あんな思いをしたくないのです」
「メイも……戻って来た記憶があるの?」

メイナードの腕の中、力いっぱい抱きしめられた。

落ち着くまで、メイナードに支えられていた。
お茶を飲んで、体が少し温まったけれど不安からか寒く感じてしまう。
あれは夢ではなく、本当に刺されたんだ。

「少し待っててください」
離れたくなかったのに、ジェラルドはソファに取り残されてしまう。不安からメイナードの背中を追って見ていると、一度振り向いて「すぐに戻ります」そう言って微笑んだあとに、部屋から出て行ってしまった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

推し様たちを法廷で守ったら気に入られちゃいました!?~前世で一流弁護士の僕が華麗に悪役を弁護します~

いつく しいま
BL
下級兵の僕はある日一流弁護士として生きた前世を思い出した。 ――この世界、前世で好きだったBLゲームの中じゃん! ここは「英雄族」と「ヴィラン族」に分かれて二千年もの間争っている世界で、ヴィランは迫害され冤罪に苦しむ存在―― いやっ僕ヴィランたち全員箱推しなんですけど。 これは見過ごせない……! 腐敗した司法、社交界の陰謀、国家規模の裁判戦争――全てを覆して〝弁護人〟として推したちを守ろうとしたら、推し皆が何やら僕の周りで喧嘩を始めて…? 「俺のものになって」 「ちょっと、この子を独占しないでよ」 「お前こそ」  ちょっと困るって!   これは、法的事案だよ……! *** ※男主人公をめぐる逆ハーレムあり ※法廷・ミステリーパートの描写あり(基本理解できる範囲になっております) 以前こちらで投稿していた作品を、2章の構成を整えて再投稿します。以前読んでくださっていた方、本当にありがとうございました。36話まで1日3回(11時半、15時半、19時半)予約投稿済みです。

聖女を演じた巻き添え兄は、王弟殿下の求愛から逃げられない

深嶋(深嶋つづみ)
BL
谷口理恩は一年ほど前、妹と一緒に異世界に転移してしまった。 聖女として魔術の才を開花させた妹・世奈のおかげもあって、二人はアルゼノール王国の大教会に保護され、不自由のない暮らしを送ることができている。が、最近は世奈の奔放さに理恩は頭を抱えることもあった。 ある日、世奈の仕事を肩代わりした理恩は、病に臥せっている幼い第二王子・イヴァン王子のもとに参じることに。 ――「僕が大人になったら、僕の妃になってくれませんか」。 何度も謁見を重ねるうちに理恩に懐いた彼は、目の前の聖女が偽者であることに気付かぬまま、やがて理恩に求愛する。 理恩は驚き、後ろめたい気持ちを抱きながらも、「大人になっても同じ気持ちでいてくれたなら」と約束を交わした。 その直後、何者かの陰謀に陥れられた世奈の巻き添えとなり、理恩は辺境の地へと飛ばされてしまい……。 ――数年後、アルゼノール王国を出て世界中を巡っていた理恩は、とある国で偶然、王弟・イヴァンと再会する。 傷心の旅をしているのだという彼は、どういうわけか理恩との交流を持ちたがって――?

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

辺境伯は嵌められた元令息から目が離せない

コムギ
BL
冤罪により、辺境の地へ追いやられた元侯爵令息ユベール。 だが彼は、あまりのことに気を病んで――はいなかった。 野山を駆け回り、虫を捕まえ、草花をスケッチし、のんびり釣りをする。 それはすべて、侯爵家の跡取りとして縛られていた頃には許されなかった自由だった。 そんな生活から一年。 冤罪を証明できそうだと、幼なじみの王太子から報せが届く。 ――王都へ戻れる。 だがそれは同時に、あの窮屈で冷たい場所へ戻るということでもあった。 迷うユベールの前に現れたのは、これまで静かに見守るだけだった辺境伯ラドヴァン。 「ならば、ずっとここにいろ」 「俺と婚約すればいい」 不器用に、しかし真っ直ぐに差し伸べられた手。 優しく(時に暑苦しく)包囲してくる辺境伯と、元侯爵令息の恋物語。 ※他サイトにも掲載しています。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

処理中です...