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第2章 出会い

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「──ユラの猫耳が消えた」

え?
思わず頭を触ってみる。

「耳がない」

「耳がなくても俺の声が聞こえるのか?」

頭から顔の輪郭をなぞると何かがある。
「聞こえます。これ……耳?」

ガイア様が頬から顔の側面をなぞってきた。くすぐったい。

「や」

「悪い。でも耳がある。人の耳だな」

耳が見えるように髪の毛を耳にかけられた。
「どうして?こんなことが起きたんだろう?」

ガイア様の視線は、顔から下の方に下がった。

「尻尾は?」

思わずお尻を触るとあるはずのものが無い。

「なくなっちゃった。なんで?」

「見せてみろ」

へ?

横向きだったのにうつ伏せに変えられた。
あっという間に、ガイア様が私の上衣をまくり上げる。そして素早くズボンを下げられる。

大きな手がお尻を撫でている。直に触られて、大きな手の平、指の形がはっきりと分かる。

「尻尾の跡形もない。綺麗な尻だな」

めちゃくちゃ撫でながら感心している。

視線……はお尻にあるのが分かる。ガン見されている。

思わず、起き上がりズボンを引き上げて思いっきり顔面にグーパンチを決めた。

「変態‼︎」

はあはあと息が上がりながらも、思わず殴りつけてしまった。

顔面にクリーンヒットしたパンチでガイア様の鼻から血が垂れてしまう。 

それでも。いきなり脱がされるとか嫌だ。

「いくらなんでも。ひどい」

涙目になりながら、必死に文句を言ってみる。
でも急に起き上がったせいか、ふらふらしてきた。

「つい男同士だから平気かと思ったんだ。悪い」

ボタボタと血が落ちるのは、さすがにやり過ぎたかも不安になってきた。

キスもした事ない。抱擁は皆の前で縦抱きにされたくらいだ。

?何かが分かりそうで分からない。

目の前の男が布で顔を押さえているけど血が止まらないみたいだ。
流石に鼻血は方がいいのかな?この程度なら治癒出来たはず。

『治癒が上手になったね』
褒められてた……多分。きっとできるはず。

「治癒だけはします。次、変なことしないで下さいね?」

手をガイア様の鼻の辺りに近付けると白い淡い光が溢れてきた。

その光が消えると、元通りの美形の顔になる。血の跡さえ全て消えた。良かったって思った時に体に力が入らず傾きかけた。抱き寄せられたけど、思わず押し返して……睨みつける。

「大丈夫なので」
思ったより低い声がでた。


なのに、膝の上に横抱きされるとか意味が分からない。

体が重くなってきたのは、熱のせいなのかな?力には適わなそうだから取り敢えず身をまかせた。

「本当に変なことしないで下さい。また殴りますよ?」
とりあえず上半身をガードしてみる。
その反応を見て、吹き出して笑った後に真面目な顔になる。

「熱もあるし、体が本調子じゃないんだろう?このまま、少し話をしようか?
俺の出血も止まったみたいだ。痛みもないし、ありがとう。
簡単な治癒が使えるのか?魔術とは違う気がするな」


「──よく分かりません」



「この国に住んでた感じじゃなさそうだな」

「少なくとも、奴隷扱いのある所には居なかったと思います」


「そうか。どこからか紛れ込んだのかもしれない。別の世界と繋がる場所があるって聞いたことがあるから。ユラは迷い猫だな」

迷い猫。

「子供扱いしないで下さい。これでももう婚姻出来る年齢なんですから!18になったんです」


「そうか。ならキスも慣れたものだろう?もしかして人とは、キスした事がない?猫耳が消えて人型になるのがユラの力じゃないのなら、人とのキスが原因かも知れないな」


「キスなんて誰ともした事なんてないです!それに治療でしよう?」


「優しく呼んでくれる人がいるんだろう?覚えてないだけじゃないか?俺以外で試したいところだな。ただ獣人姿が見つかれば、奴隷として登録されて集められてしまうから困ったな」

「奴隷にされるの?」

「王都の方は、確実に奴隷扱いだ。お前は、見目がいいから…性的な扱われ方をされる可能性が高いと思う」

「性的って、そんなの嫌だ!」


「ユラは、どうしたい?耳を隠しつつ戻りたい世界を探すか?
それなら記憶が戻るまで……いや、戻れる方法が見つかるまでかな?俺は、一緒にいてもいいよ」

「本当に?私は、奴隷とか嫌です。こんな知らない所で1人になんてなりたくない」

「じゃあ。まずはキスで耳が消えているのかと……どのくらいの時間人でいられるのか調べるべきだな。 
他の方法もあるかも知れないし。治癒が使えるなら魔術師見習いで俺のそばにいたらいいだろう」

「本当に……ここにいてもいいの?」

「この国の者かも分からないんだ。この国のルールに縛られなくていいだろう?記憶も曖昧だからさっきの治癒のことを聞いてもまだ思い出せないんだろう?
俺は魔術師だから不思議な能力とか知りたいから研究みたいなものだよ」

「でも!キスだけだから。おしりとか触らないで下さい」

「猫ちゃんを撫でてるだけだよ。この顔だから動物には嫌われるんだ。もふもふは好きなんだ」

「猫ちゃんとか……言わないで下さい」


「わかったよ。でも今日は、熱があるから休め。後で軽く食べられるものを用意するから。ミルクがいいか?」


「だから!」

「ごめんごめん。スープを作ってくるから。もう少し寝てろ」

突然何かに包まれて感じになった。

また、何かしたの?

眠い。

意識があっという間に沈んでいった。


  
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