攻略済みのゲームに転生した

あぷりこっと

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学園生活

サナバート

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僕の名前はこの国の第一王子サナバートという。幼い時に婚約をする予定だったのだが、断られて9年間実は根に持っている。
あんなにかわいい御令嬢を無条件で自分のものにできるはずだったのに、婚約ができなかったことでたくさんの男性にチャンスができてしまった。おまけに父上が全国にアナスタシアの顔を公開したことによりたくさんのファンクラブができてしまった。
弟もそのうちの1人であった。

アナスタシアのデビュー社交界で弟と勝負をしていたのだがまけてしまった。
ここは潔く負けを認めるのだが、悔しい。
見た目はとても綺麗であるがわがままなイメージが強い顔立ち、おまけに公爵令嬢であるため財産はたくさんある。下手したら王族より持っているところもあるため無下にもできないところがある。

入学式の際、アナスタシアと一緒にいた平民の女性をエスコートする。カタリーナという名を告げた。会場までの道中はアナスタシアと出会えたことや舞踏会はどうだったかという質問を聞いたり語ったりである。
楽しくエスコート後式が終わった後、すぐにアナスタシアを見つけたが、男性と女性の群に呑まれておりなかなか近づけない
先ほどのカタリーナもアナスタシアの近くにいる。
正直羨ましい。

隣になぜかフェニカル御令嬢がいた。
僕をニヤニヤと見つめている。
この子は、私に気があることを知っているが、格式が違うため婚約は請け負っていない。

「サナバートだ。君の名は知っているが一応お聞きしても良いか?」

「フェニカル・サリー・エイルでございます。」

ドレスを左右に広げ、首を垂れる。
綺麗なお辞儀であるが、アナスタシアほど惹かれるものはなかった。
フェニカル嬢には申し訳ないが、今は話している時間はない。
この中にきっと弟がいる。

「あそこには弟がいるのだろうか?」

首を傾げたフェニカル嬢は、少し悩んだ後に、質問に答えた。

「はい、おられたと思います。確かアナスタシア様とレイラ様、そしてシキ様もお姿を拝見させていただきました。」

やはりか。
そして幼なじみもいるとは、また厄介である。
レイラ嬢は、僕と弟をからかうのを趣味としている。
でもまけてはいられないアピールはダメでも、アプローチするのはアリだ。
汚いと思うが、僕もアナスタシアに惚れている1人だ。どんな手を使おうとも、奪い取ろうと考えている。

「サナバート様悪い顔されておりますよ?」

フェニカル嬢が、ニヤニヤと僕を見ていた。
咳払いをし、目線を逸らす。
この御令嬢苦手だ…

盗み見ているつもりなのだが、全然ダメ。
僕をチラチラとニヤニヤとまたこれまた匂いまで嗅ぎ始めている。
無礼だなあ。

こんなことはしょっちゅうあるのだが、挨拶をした手前知り合い程度にはなってしまったため、無下にはできない。
ため息をしながら、群れに近づく。


目の前に広げられているのは、手を握り、アナスタシアを覗き込んでいる弟と、未来の宰相と疑われないシキがいた。
シキは呆れたように、アルバートを見ていたが、見るぐらいなら止めて欲しいものだ。
邪魔はできないため僕も見ていたら、アナスタシアと目線があってしまった。
助けて、というような視線が入ったため、少し茶々入れをしようと思う。許せ弟。

「アナスタシア嬢、こんなところにいたのか。挨拶が遅れたが入学おめでとう」

僕が挨拶すると弟が手を外し僕を見た。
アイコンタクトで、『邪魔しましたね?』と合図してきた。
僕は知らんぷり風を吹かしそのままアナスタシアに近づく。

「サナバート様ご機嫌よう。今日は見事なご挨拶拝見させていただきました。」

片手でドレスを持ち上げ、お辞儀をするアナスタシアと、その隣で同じ行動をするシキを見る。
なぜかお似合いと思ってしまった僕を一発殴って欲しい。きっと心の中でアルバートが殴り込んでいるが、それも無視し、2人に楽にするように伝える。
この後行われるお茶会には参加予定がない、アナスタシアを誘おうとするが。

「アナスタシア様この後私たちとお茶会なんてどうですか?」

まさかのレイラ嬢が、アルバートと僕を抑え先にお誘いを申し上げる。
アルバートも舌打ちをする。

「まあ、嬉しいお誘いですわ。ですが私一度この校舎を探索しようかと考えておりましたの。お断りしてもよろしいですか?」

なぜか顔面筋がひくひくと動いているアナスタシア嬢。
綺麗な笑顔ではあるものお断りを入れている。あからさまにレイラ嬢はガックリとする。

弟がまたアナスタシアの綺麗で細い手を掴み上げ、

「ならぜひとも私もお供いたします。アナスタシア様」

そしてあからさまに顔が歪んだアナスタシア嬢。いかにも迷惑ですと、訴えているが弟もわかっているはずなのに、ニコニコとその笑顔をかわしている。

「アルバート様とサナバート様この学園の中心にございます。お断りを…」

「ご一緒しますね?」

断ることを許さないという空気を醸し出している弟と。学園のことを考えているアナスタシア嬢。
すれ違っている感が強い。
なんでもいいが弟がこんなにアナスタシア嬢にうつつを抜かすのはなかなかのスクープだろう。
アナスタシア嬢も何度かの攻防戦を繰り広げたが最後は折れてしまう。

「ではお供していただいてもいいですか?」

その答えを聞いた、アルバートは、それはもう嬉しそうに尻尾を振っていた。
犬のような影が見えたのは、紋章にあるドーベルマンの影響だろうか…

「ありがとうございます。お付き添いできるだけでもすごく嬉しいです。」

なぜか弟の姿を直視できない。
体がだんだんと暑くなるような感覚。
これは羞恥だ。汗もしとしととかいている。

はずかしい…

隣にいるフェニカル嬢は顔を真っ赤にして羨望の眼差しでアナスタシア嬢を見つめていた。
その口は読唇術ができる僕からは丸わかりだ。こんなに素直な御令嬢がいていいのか?

『アナスタシア様羨ましい。』

ここにいる女性の大半が、そう思っているだろう、残りの大半はアルバートに御執心だろう。

またアナスタシアも、顔を真っ赤にしてアルバートを見ている。
戸惑い半分アルバートの綺麗な顔に夢中なようだ。
僕たちは一卵性のはずなのだが、育った乳母の影響で性格や好みが変わっている。
母上と馬が合うアルバートと父上と馬が合う僕とでは女性の求めているものや好みなども変わっている。

「アルバート様では、いきましょう。シキ様はどうされますか?」

命が欲しいであろうシキは全力で首を左右に振っている。それに満足したアルバートは次に僕を見る。
お手上げだ。僕は邪魔することがないよというサインを送り2人を見送った。
なんでもいいがまだ婚約しても了承はもらっていないはずなのにもう、俺のものだというような独占が出ていた。
これじゃ、邪魔するのも一苦労だな…。
諦めてはいないが弟を敵に回すのは、手強いなあと、思ってしまった。

レイラ嬢は華麗に交わされたことで落ち込んでいた。マリア嬢もまたレイラ上の隣に立ち、シキを巻き込んでお茶会に連れて行った。
フェニカル嬢とともに、近くに居たカタリーナと合流して、3人が参加する今回一番大きいお茶会に一緒に参加することにした。

アナスタシア嬢がんばれ。とエールを送って。
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