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45:添い寝
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僕は微熱が続いていた。
セバスチャンの話では
貴族学院は休校になっていて
休校期間はいつまでかは
まだわからないらしい。
あの日から兄も
屋敷に戻ってきてなくて
僕のしょんぼりは続いている。
いつも来てくれている
主治医も「ちゃんと食べないと
良くなりませんよ」というけど
食欲もない。
常にベットの上にいるので
退屈だし、でも体を起こすと
くらくらする。
つまらないし……寂しい。
口にはださないけど、
僕はもう大人だから
我慢するけど。
でも、ホントは兄やガイに
側にいて欲しいし
ぎゅーってして欲しい。
大きな手で頭を撫でて、
「大丈夫か?」
って言って欲しい。
「大丈夫か?」
そう、こんな風に。
って思って、
「え?」って僕は
潜っていたシーツから顔を出した。
大きな手が僕の髪を撫でている。
「ガイ!」
目の前にはガイがいた。
優しい顔をしてたけど、
少しやつれたみたい?
顔色が悪い。
「熱を出したと聞いてな。
心配で顔を見に来た」
「お仕事は?」
「団長が時間を空けてくれてな。
俺だけ、抜け出せた」
ということは、
やっぱり物凄く大きな
事件だったんだ。
そうだよね。
王子様たちの命が
狙われたかもしれないだから。
ガイを見ると、
騎士の服だったけれど、
上着は脱いでシャツ一枚の姿だ。
目を横にずらすと、
近くにあった椅子に上着が
かけてあるのが見える。
僕はガイがあの上着を着て
立っている姿が好きだった。
ガイが騎士の隊服を着ると、
背筋がシャキッと伸びてて、
視線が厳しくなる。
それはすごく恰好良く見えた。
僕ではあんなカッコイイには
絶対にならないし、
それに……
隊服を着ると、
普段は隠れている
ガイの筋肉がよくわかるんだ。
僕の髪を撫でる大きな手も、
僕を片手で抱き上げてくれる
力強い腕も。
お膝に乗っても、
僕を抱っこしたまま歩いても、
疲れることがない足も。
ぜーんぶ羨ましくて、
でも大好きなところ。
そしてそれ以上に。
僕を心配そうに見る瞳も、
ちょっと不器用そうに
口元を上げて笑うところも。
それから……
僕がシーツから手を出すと、
ガイはすぐに僕の手を
握ってくれた。
僕はその大きな手に
頬を寄せる。
僕はガイの気配が
あるだけで安心する。
僕がこうやって触れるだけで
ガイの表情がやわらかくなる。
ちょっと驚いたように
目を見開いて、
すぐに、ふにゃり、って
厳しい目元が緩まるんだ。
こんな仕草も、好き。
僕が触れるだけで、
ガイが、嬉しい、って
視線だけで示してくれるのも。
……大好き。
僕の大好きは、
どうやったらガイに伝わるかな?
アイシテルって言えばいい?
僕は頬を大きな手に
押し付けていたけれど、
今度はその手のひらに
唇を当てた。
「え、え、エレ」
どうしたんだ、と言われ、
アイシテルを伝えたかったのに、
何か今は違う、って僕は感じた。
ガイが愛してるって言ってくれた時は
僕とガイの気持ちが
ぴったり重なった気がしたのに。
今はちょっとズレてる気がする。
それが嫌で僕は
身体を少し横にずらした。
それから持っていたガイの手を引く。
「ガイ、一緒に寝よ」
「え? は? え?」
「ガイの顔色も悪いもん。
きっとちゃんと寝てないんでしょ?」
それは兄も同じかもしれないけれど。
でも兄は大丈夫。
僕が心配しなくても
なんだって一人でできちゃうから。
それに今、僕が側にいて欲しいのは
兄じゃなくてガイだから。
「早く」というと、
ガイは何故か周囲をキョロキョロ
見渡している。
「誰もいない?
大丈夫か?」
なんて小声でいうけど、
体調が悪い時の僕の部屋に
誰がいるというのか。
みんな、僕を心配して
この部屋の周囲では
物音ひとつ立てないように。
僕の眠りを邪魔しないように
そっと、そーっとしているのだ。
こんな時は僕がベルで呼ばない限り
誰も部屋には入ってこない。
「ガイ?」って僕が呼ぶと、
ガイは何故か顔をこわばらせて
「デハ、シツレイシテ」なんて
カタコトで何か言う。
でも僕がガイの手を離して
シーツを持ちあげると、
そのすき間に大きな体が
すっと入って来た。
僕のベットは大きいと思ってたけれど、
ガイが隣に来ただけで
物凄く窮屈になる。
でもそれだけガイと
ひっつけるってことだから
僕は嬉しくなってガイにしがみついた。
ガイは僕の首の後ろに腕を回し
僕を引き寄せてくれる。
「少し、熱いな」
ガイが僕の首筋に触れた。
「うん、ちょっとだけ」
微熱なのは本当だ。
無理に動くと、
くらくらするけれど、
お医者さんの話では、
ちゃんとご飯を食べてないかららしい。
だから僕はちゃんと
ご飯を食べたら症状は治まるはずだし、
お薬だってもらっている。
でも、僕はご飯をあまり
食べずにお薬も、
飲んだり飲まなかったりだ。
良くないことはわかってる。
でも、頑張ることが
できなかったんだ。
だって。
ガイと会えなかったから。
寂しかったから、
……会いたかったから。
僕はぎゅうぎゅうとガイに
しがみついたけれど、
もっと引っ付きたくて。
だから、えい、って
ガイの上に乗ってみた。
「え? エレ? え?」
ガイから驚く声が聞こえた。
でも僕はガイのお腹の上で
身体が重なるように
寝そべる。
体の力を抜いて
べたーとガイの身体に
体重を預けると、
僕の頬も、首も、腕も
お腹も、足も、ぜーんぶ
ガイにぴったりくっついた。
ガイの胸に耳を当ててるからか
心臓がドクドクしてるのが聞こえる。
僕はガイにべったりと
貼り付けて嬉しくなった。
ガイはあったかいし、安心する。
でもこのままだと
ガイの上から落ちそうだ。
「ぎゅーってして」
って僕がお願いすると、
ガイは、そっと僕の背に
大きな手を回してくれた。
うん。
ここが一番安心する。
僕の、一番好きなとこ。
大好きって言ってもいいかな。
いまならアイシテルって伝わるかな?
僕はね、大好きだった兄よりも、
ガイが好きで、きっと一番大事。
だって、兄にもガイにも
会えなくて寂しかったけど。
一番に会いたくて、
そばにいて欲しかったのは
兄じゃなくてガイだった。
そう言う僕の気持ち、
ちゃんと伝えたい。
そう思ったんだけど。
僕はガイの上があたたかくて
気持ち良くて。
気が付いたら眠ってしまっていた。
眠りが落ちる直前に、
「俺も、愛してる」って
ガイの声が聞こえた気がしたけれど。
それが夢だったのか、
ほんとのことだったのか、
僕にはわからなかった。
セバスチャンの話では
貴族学院は休校になっていて
休校期間はいつまでかは
まだわからないらしい。
あの日から兄も
屋敷に戻ってきてなくて
僕のしょんぼりは続いている。
いつも来てくれている
主治医も「ちゃんと食べないと
良くなりませんよ」というけど
食欲もない。
常にベットの上にいるので
退屈だし、でも体を起こすと
くらくらする。
つまらないし……寂しい。
口にはださないけど、
僕はもう大人だから
我慢するけど。
でも、ホントは兄やガイに
側にいて欲しいし
ぎゅーってして欲しい。
大きな手で頭を撫でて、
「大丈夫か?」
って言って欲しい。
「大丈夫か?」
そう、こんな風に。
って思って、
「え?」って僕は
潜っていたシーツから顔を出した。
大きな手が僕の髪を撫でている。
「ガイ!」
目の前にはガイがいた。
優しい顔をしてたけど、
少しやつれたみたい?
顔色が悪い。
「熱を出したと聞いてな。
心配で顔を見に来た」
「お仕事は?」
「団長が時間を空けてくれてな。
俺だけ、抜け出せた」
ということは、
やっぱり物凄く大きな
事件だったんだ。
そうだよね。
王子様たちの命が
狙われたかもしれないだから。
ガイを見ると、
騎士の服だったけれど、
上着は脱いでシャツ一枚の姿だ。
目を横にずらすと、
近くにあった椅子に上着が
かけてあるのが見える。
僕はガイがあの上着を着て
立っている姿が好きだった。
ガイが騎士の隊服を着ると、
背筋がシャキッと伸びてて、
視線が厳しくなる。
それはすごく恰好良く見えた。
僕ではあんなカッコイイには
絶対にならないし、
それに……
隊服を着ると、
普段は隠れている
ガイの筋肉がよくわかるんだ。
僕の髪を撫でる大きな手も、
僕を片手で抱き上げてくれる
力強い腕も。
お膝に乗っても、
僕を抱っこしたまま歩いても、
疲れることがない足も。
ぜーんぶ羨ましくて、
でも大好きなところ。
そしてそれ以上に。
僕を心配そうに見る瞳も、
ちょっと不器用そうに
口元を上げて笑うところも。
それから……
僕がシーツから手を出すと、
ガイはすぐに僕の手を
握ってくれた。
僕はその大きな手に
頬を寄せる。
僕はガイの気配が
あるだけで安心する。
僕がこうやって触れるだけで
ガイの表情がやわらかくなる。
ちょっと驚いたように
目を見開いて、
すぐに、ふにゃり、って
厳しい目元が緩まるんだ。
こんな仕草も、好き。
僕が触れるだけで、
ガイが、嬉しい、って
視線だけで示してくれるのも。
……大好き。
僕の大好きは、
どうやったらガイに伝わるかな?
アイシテルって言えばいい?
僕は頬を大きな手に
押し付けていたけれど、
今度はその手のひらに
唇を当てた。
「え、え、エレ」
どうしたんだ、と言われ、
アイシテルを伝えたかったのに、
何か今は違う、って僕は感じた。
ガイが愛してるって言ってくれた時は
僕とガイの気持ちが
ぴったり重なった気がしたのに。
今はちょっとズレてる気がする。
それが嫌で僕は
身体を少し横にずらした。
それから持っていたガイの手を引く。
「ガイ、一緒に寝よ」
「え? は? え?」
「ガイの顔色も悪いもん。
きっとちゃんと寝てないんでしょ?」
それは兄も同じかもしれないけれど。
でも兄は大丈夫。
僕が心配しなくても
なんだって一人でできちゃうから。
それに今、僕が側にいて欲しいのは
兄じゃなくてガイだから。
「早く」というと、
ガイは何故か周囲をキョロキョロ
見渡している。
「誰もいない?
大丈夫か?」
なんて小声でいうけど、
体調が悪い時の僕の部屋に
誰がいるというのか。
みんな、僕を心配して
この部屋の周囲では
物音ひとつ立てないように。
僕の眠りを邪魔しないように
そっと、そーっとしているのだ。
こんな時は僕がベルで呼ばない限り
誰も部屋には入ってこない。
「ガイ?」って僕が呼ぶと、
ガイは何故か顔をこわばらせて
「デハ、シツレイシテ」なんて
カタコトで何か言う。
でも僕がガイの手を離して
シーツを持ちあげると、
そのすき間に大きな体が
すっと入って来た。
僕のベットは大きいと思ってたけれど、
ガイが隣に来ただけで
物凄く窮屈になる。
でもそれだけガイと
ひっつけるってことだから
僕は嬉しくなってガイにしがみついた。
ガイは僕の首の後ろに腕を回し
僕を引き寄せてくれる。
「少し、熱いな」
ガイが僕の首筋に触れた。
「うん、ちょっとだけ」
微熱なのは本当だ。
無理に動くと、
くらくらするけれど、
お医者さんの話では、
ちゃんとご飯を食べてないかららしい。
だから僕はちゃんと
ご飯を食べたら症状は治まるはずだし、
お薬だってもらっている。
でも、僕はご飯をあまり
食べずにお薬も、
飲んだり飲まなかったりだ。
良くないことはわかってる。
でも、頑張ることが
できなかったんだ。
だって。
ガイと会えなかったから。
寂しかったから、
……会いたかったから。
僕はぎゅうぎゅうとガイに
しがみついたけれど、
もっと引っ付きたくて。
だから、えい、って
ガイの上に乗ってみた。
「え? エレ? え?」
ガイから驚く声が聞こえた。
でも僕はガイのお腹の上で
身体が重なるように
寝そべる。
体の力を抜いて
べたーとガイの身体に
体重を預けると、
僕の頬も、首も、腕も
お腹も、足も、ぜーんぶ
ガイにぴったりくっついた。
ガイの胸に耳を当ててるからか
心臓がドクドクしてるのが聞こえる。
僕はガイにべったりと
貼り付けて嬉しくなった。
ガイはあったかいし、安心する。
でもこのままだと
ガイの上から落ちそうだ。
「ぎゅーってして」
って僕がお願いすると、
ガイは、そっと僕の背に
大きな手を回してくれた。
うん。
ここが一番安心する。
僕の、一番好きなとこ。
大好きって言ってもいいかな。
いまならアイシテルって伝わるかな?
僕はね、大好きだった兄よりも、
ガイが好きで、きっと一番大事。
だって、兄にもガイにも
会えなくて寂しかったけど。
一番に会いたくて、
そばにいて欲しかったのは
兄じゃなくてガイだった。
そう言う僕の気持ち、
ちゃんと伝えたい。
そう思ったんだけど。
僕はガイの上があたたかくて
気持ち良くて。
気が付いたら眠ってしまっていた。
眠りが落ちる直前に、
「俺も、愛してる」って
ガイの声が聞こえた気がしたけれど。
それが夢だったのか、
ほんとのことだったのか、
僕にはわからなかった。
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