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49:溺愛の騎士様・1
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膝の上で甘えるエレミアスは
言いようのないほど可愛かった。
微熱だというが、
顔が赤くてしんどそうだ。
心配ではあるが、
俺の胸に顔を押し付けて
ぐりぐりしてきたり、
甘えた声で「好き」って言ってきたり。
可愛くて仕方がない。
もうこのまま俺の屋敷に連れて帰りたい。
俺はこのバーンズ侯爵家に
婿入り予定だが、
新婚の間だけでも、
二人だけで過ごすことはできないだろうか。
いや、俺たちの結婚が
団長より後であれば大丈夫か。
団長は結婚したら
この屋敷を出るはずだ。
だがそれまで俺の理性がもつかどうか……
そんな俺の気持ちなど知らず
エレミアスは俺を煽る。
ほんとに、どうしてくれようか。
と思うが、俺が暴走するのを
防ぐためだろう。
すぐに侍女のアンナが
俺たちを呼びに来る。
食事の準備ができたらしい。
エレミアスは微熱を
出していたから
部屋で食べても良かったのだが、
俺と一緒に食堂に行くという。
ならば、とソファーから
立ち上がると、今度は
はい、って手を差し出された。
思わずその手を握ると、
「手を繋いで行こう」って
可愛く言われる。
あぁ、可愛い。
可愛いしかない。
俺はゆっくりと歩いて
エレミアスと食堂に向かった。
食堂は広く、大きなテーブルが
置いてあるのだが、
俺がエレミアスと食事を
するときはいつも席は隣同士だ。
団長がいるときは、
団長がエレミアスの隣で
俺がその斜め向かいに座る。
つまり、この屋敷で俺は
客人ではなく、
家族に近い立ち位置だ。
すでに受け入れられているようで
ありがたいと思う。
食事は俺はともかく、
エレミアスは具が入った
スープとパンを少し
食べただけだった。
俺の皿の上の肉を
一切れでも食べさせたいが、
食欲がないという。
心配だ。
ただエレミアスが
「大丈夫だよ。
騎士団の見学は
絶対に行きたいもん。
それまでにちゃんと
お薬を飲んで、
ご飯も食べれるように
しておくから」
というので、
今はうなずいておく。
「なら、騎士団を
案内できる日を
楽しみにしている」
俺がそういうと、
エレミアスは嬉しそうに笑った。
食事が終わり、
もう少しエレミアスと
一緒にいたいと思ったが、
さすがに王宮に戻らなければならない。
俺は残念そうな顔をする
エレミアスに謝罪をして
席を立った。
「すまない。
だがもうすぐ全て終わるから。
団長もエレの顔を見に
戻ってこれると思う」
そういうと、エレミアスは
わかった、としょんぼりした顔で言う。
そんな可愛いエレミアスの
頭を撫でて、俺は小さな
体を抱き上げた。
「ベットまで送ろう」
「うん」
言い方は良くなかったが、
やましい気持ちからではない。
俺の言葉に、アンナと
セバスチャンが、すぐさま
俺に視線を向けてきたが、
俺は気が付かないふりをする。
エレミアスを抱っこして
自室のベットまで連れて行くと、
エレミアスは俺に手を握るように
お願いしてくる。
エレミアスは疲れていたのだろう。
ベットに寝かせて
手を繋いでやると、
すぐに寝息が聞こえてくる。
俺はそっと手を放して
部屋の扉を出た。
玄関ではセバスチャンが
俺の見送りの準備をしていて、
玄関扉を開けると、
俺が乗ってきた馬が
すでに準備を終えて待機している。
「すまない、助かる」
「いえ、坊ちゃまのためですから」
セバスチャンはそう言い、
また早いお越しをお待ちしております。
と、頭を下げた。
俺はそれに返事をして、
馬に乗る。
ずいぶんと長居をしてしまったので
急いで戻らなければならない。
今、王宮はかなりゴタついている。
もともとは、第二殿下の
集団見合いの場でのことだ。
俺はその場にはいなかったが、
集まった令嬢たちと
第二殿下が個別で話をする前、
全員でお茶を飲んでいるときに
その事件は起こったらしい。
紅茶を飲んだ一人の令嬢が、
毒が入っていると
紅茶を吐き出したのだ。
変な味がするという令嬢の
証言通り、その場にいた騎士が
令嬢のカップに残っていた
紅茶のにおいを嗅ぐと
確かに異臭がする。
その場にいた王太子殿下が
とっさに、全員を部屋の
外に出ないように
命令を下した。
そして誰が何のために
令嬢に毒を盛ったのか、
騎士団で調べるよう、
命じられたのだ。
毒を飲んだ令嬢は
命に別状はなかったが、
運悪く、その場には
弟である第二殿下の
見合いの様子を見に来た
王太子殿下もいたため、
騒ぎが大きくなった。
第二殿下は否定しているが、
第二殿下を次期王に、と
押す勢力も確かに存在する。
第二殿下に言わせれば、
国王など、面倒くさいし
忙しいし、割に合わない職だ。
ということなので、
周囲がどうあがいても、
どんなに派閥を作っても
第二殿下が王位を
望むことなどありえないし、
王太子殿下もそのことは
理解している。
だからこそ、
国を割るような手段に
出る者がいるとは
思えないのだが、
それでも調べないわけにはいかない。
そうして俺たち騎士団員は
一丸となって参加している
ご令嬢の家族だけでなく、
その一族や、その場にいた
侍女や侍従たち。
また王宮に出入りしている
業者に至るまで、
すべて調べ上げることになった。
またあの令嬢が飲んだ紅茶も
毒の入手経路を調べるため
成分を調べることになったのだが、
なんと、調べてみると、
あの紅茶に入っていたのは
毒ではなく、媚薬だった。
となると、誰が、
なぜあの場で、
あの令嬢に媚薬を
飲ませる必要があったのか
まったくわからない。
謎ばかりだった事件だったが
それが今朝、解明の兆しを見せた。
王宮に閉じ込められ、
屋敷に戻れない状態の
ご令嬢たちは、かなり
疲弊していた様子だった。
高位貴族のご令嬢が
外部との接触を断たれ、
最低限の世話しかされず、
何日も軟禁されたのだ。
その状況に疲れたのだろう。
「あれは殿下に飲ませるつもりだった」と
一人の令嬢が憔悴した様子で自白した。
第二殿下と二人っきりに
なったときに飲ませるつもりが、
王太子殿下がその場に来たため、
どちらの殿下に飲ませるのか
令嬢は一瞬、迷ったらしい。
実際に紅茶に媚薬を
落としたのは、あの時、
紅茶を淹れていた侍女だが、
その侍女はお金を渡して
買収していたという。
もともと、金で雇われた関係だ。
突然のイレギュラーな対応など
できるはずもないし、
意思の疎通もできるわけがない。
そこで手違いが起こり、
殿下に渡すカップではなく、
全く別のカップに媚薬が
入れられることになり、
それをたまたま、
別の令嬢が口にしてしまったのだ。
国を分けるような陰謀が
起こったのかと騎士団内では
騒ぎになっていたが、
結局は、殿下の寵愛を
受けたいがために
起こした事件だった。
既成事実さえ作れば
なんとかなると思った、と
令嬢は言っていたが、
過去、俺はそれと同じ
言葉と行動で不能になったのだ。
あの時の、不快と恐怖に
囚われた記憶がよみがえり、
俺の胸がぎゅっと縮こまる。
俺の様子に気が付いたのだろう。
団長は俺に今後の指示を
出した後、
「それが終わったら、
休憩を取り、エレミアスの
顔を見に行くように」
と言ってくれたのだ。
俺は令嬢の聴取をまとめ、
殿下たちに提出できるよう
書類を作った。
この媚薬騒動がただの
貴族同士で行われたことなら、
家同士の話し合いや、
醜聞で済んだかもしれないが。
令嬢が媚薬を
盛ろうとしたのは
この国の王子殿下たちだ。
さすがに無罪放免とはいかないだろうし、
集まったご令嬢たちは
殿下と婚約しても釣り合うだけの
家柄の令嬢たちばかりだ。
最悪、社交界の権力図が
変わるかもしれない。
まぁ、どうせ頂点は俺の
母親なのだろうが。
俺は書類を団長に提出し、
過去の不快と恐怖を
胸に押し込めたまま、
馬に飛び乗り、エレミアスに会いに行ったのだ。
言いようのないほど可愛かった。
微熱だというが、
顔が赤くてしんどそうだ。
心配ではあるが、
俺の胸に顔を押し付けて
ぐりぐりしてきたり、
甘えた声で「好き」って言ってきたり。
可愛くて仕方がない。
もうこのまま俺の屋敷に連れて帰りたい。
俺はこのバーンズ侯爵家に
婿入り予定だが、
新婚の間だけでも、
二人だけで過ごすことはできないだろうか。
いや、俺たちの結婚が
団長より後であれば大丈夫か。
団長は結婚したら
この屋敷を出るはずだ。
だがそれまで俺の理性がもつかどうか……
そんな俺の気持ちなど知らず
エレミアスは俺を煽る。
ほんとに、どうしてくれようか。
と思うが、俺が暴走するのを
防ぐためだろう。
すぐに侍女のアンナが
俺たちを呼びに来る。
食事の準備ができたらしい。
エレミアスは微熱を
出していたから
部屋で食べても良かったのだが、
俺と一緒に食堂に行くという。
ならば、とソファーから
立ち上がると、今度は
はい、って手を差し出された。
思わずその手を握ると、
「手を繋いで行こう」って
可愛く言われる。
あぁ、可愛い。
可愛いしかない。
俺はゆっくりと歩いて
エレミアスと食堂に向かった。
食堂は広く、大きなテーブルが
置いてあるのだが、
俺がエレミアスと食事を
するときはいつも席は隣同士だ。
団長がいるときは、
団長がエレミアスの隣で
俺がその斜め向かいに座る。
つまり、この屋敷で俺は
客人ではなく、
家族に近い立ち位置だ。
すでに受け入れられているようで
ありがたいと思う。
食事は俺はともかく、
エレミアスは具が入った
スープとパンを少し
食べただけだった。
俺の皿の上の肉を
一切れでも食べさせたいが、
食欲がないという。
心配だ。
ただエレミアスが
「大丈夫だよ。
騎士団の見学は
絶対に行きたいもん。
それまでにちゃんと
お薬を飲んで、
ご飯も食べれるように
しておくから」
というので、
今はうなずいておく。
「なら、騎士団を
案内できる日を
楽しみにしている」
俺がそういうと、
エレミアスは嬉しそうに笑った。
食事が終わり、
もう少しエレミアスと
一緒にいたいと思ったが、
さすがに王宮に戻らなければならない。
俺は残念そうな顔をする
エレミアスに謝罪をして
席を立った。
「すまない。
だがもうすぐ全て終わるから。
団長もエレの顔を見に
戻ってこれると思う」
そういうと、エレミアスは
わかった、としょんぼりした顔で言う。
そんな可愛いエレミアスの
頭を撫でて、俺は小さな
体を抱き上げた。
「ベットまで送ろう」
「うん」
言い方は良くなかったが、
やましい気持ちからではない。
俺の言葉に、アンナと
セバスチャンが、すぐさま
俺に視線を向けてきたが、
俺は気が付かないふりをする。
エレミアスを抱っこして
自室のベットまで連れて行くと、
エレミアスは俺に手を握るように
お願いしてくる。
エレミアスは疲れていたのだろう。
ベットに寝かせて
手を繋いでやると、
すぐに寝息が聞こえてくる。
俺はそっと手を放して
部屋の扉を出た。
玄関ではセバスチャンが
俺の見送りの準備をしていて、
玄関扉を開けると、
俺が乗ってきた馬が
すでに準備を終えて待機している。
「すまない、助かる」
「いえ、坊ちゃまのためですから」
セバスチャンはそう言い、
また早いお越しをお待ちしております。
と、頭を下げた。
俺はそれに返事をして、
馬に乗る。
ずいぶんと長居をしてしまったので
急いで戻らなければならない。
今、王宮はかなりゴタついている。
もともとは、第二殿下の
集団見合いの場でのことだ。
俺はその場にはいなかったが、
集まった令嬢たちと
第二殿下が個別で話をする前、
全員でお茶を飲んでいるときに
その事件は起こったらしい。
紅茶を飲んだ一人の令嬢が、
毒が入っていると
紅茶を吐き出したのだ。
変な味がするという令嬢の
証言通り、その場にいた騎士が
令嬢のカップに残っていた
紅茶のにおいを嗅ぐと
確かに異臭がする。
その場にいた王太子殿下が
とっさに、全員を部屋の
外に出ないように
命令を下した。
そして誰が何のために
令嬢に毒を盛ったのか、
騎士団で調べるよう、
命じられたのだ。
毒を飲んだ令嬢は
命に別状はなかったが、
運悪く、その場には
弟である第二殿下の
見合いの様子を見に来た
王太子殿下もいたため、
騒ぎが大きくなった。
第二殿下は否定しているが、
第二殿下を次期王に、と
押す勢力も確かに存在する。
第二殿下に言わせれば、
国王など、面倒くさいし
忙しいし、割に合わない職だ。
ということなので、
周囲がどうあがいても、
どんなに派閥を作っても
第二殿下が王位を
望むことなどありえないし、
王太子殿下もそのことは
理解している。
だからこそ、
国を割るような手段に
出る者がいるとは
思えないのだが、
それでも調べないわけにはいかない。
そうして俺たち騎士団員は
一丸となって参加している
ご令嬢の家族だけでなく、
その一族や、その場にいた
侍女や侍従たち。
また王宮に出入りしている
業者に至るまで、
すべて調べ上げることになった。
またあの令嬢が飲んだ紅茶も
毒の入手経路を調べるため
成分を調べることになったのだが、
なんと、調べてみると、
あの紅茶に入っていたのは
毒ではなく、媚薬だった。
となると、誰が、
なぜあの場で、
あの令嬢に媚薬を
飲ませる必要があったのか
まったくわからない。
謎ばかりだった事件だったが
それが今朝、解明の兆しを見せた。
王宮に閉じ込められ、
屋敷に戻れない状態の
ご令嬢たちは、かなり
疲弊していた様子だった。
高位貴族のご令嬢が
外部との接触を断たれ、
最低限の世話しかされず、
何日も軟禁されたのだ。
その状況に疲れたのだろう。
「あれは殿下に飲ませるつもりだった」と
一人の令嬢が憔悴した様子で自白した。
第二殿下と二人っきりに
なったときに飲ませるつもりが、
王太子殿下がその場に来たため、
どちらの殿下に飲ませるのか
令嬢は一瞬、迷ったらしい。
実際に紅茶に媚薬を
落としたのは、あの時、
紅茶を淹れていた侍女だが、
その侍女はお金を渡して
買収していたという。
もともと、金で雇われた関係だ。
突然のイレギュラーな対応など
できるはずもないし、
意思の疎通もできるわけがない。
そこで手違いが起こり、
殿下に渡すカップではなく、
全く別のカップに媚薬が
入れられることになり、
それをたまたま、
別の令嬢が口にしてしまったのだ。
国を分けるような陰謀が
起こったのかと騎士団内では
騒ぎになっていたが、
結局は、殿下の寵愛を
受けたいがために
起こした事件だった。
既成事実さえ作れば
なんとかなると思った、と
令嬢は言っていたが、
過去、俺はそれと同じ
言葉と行動で不能になったのだ。
あの時の、不快と恐怖に
囚われた記憶がよみがえり、
俺の胸がぎゅっと縮こまる。
俺の様子に気が付いたのだろう。
団長は俺に今後の指示を
出した後、
「それが終わったら、
休憩を取り、エレミアスの
顔を見に行くように」
と言ってくれたのだ。
俺は令嬢の聴取をまとめ、
殿下たちに提出できるよう
書類を作った。
この媚薬騒動がただの
貴族同士で行われたことなら、
家同士の話し合いや、
醜聞で済んだかもしれないが。
令嬢が媚薬を
盛ろうとしたのは
この国の王子殿下たちだ。
さすがに無罪放免とはいかないだろうし、
集まったご令嬢たちは
殿下と婚約しても釣り合うだけの
家柄の令嬢たちばかりだ。
最悪、社交界の権力図が
変わるかもしれない。
まぁ、どうせ頂点は俺の
母親なのだろうが。
俺は書類を団長に提出し、
過去の不快と恐怖を
胸に押し込めたまま、
馬に飛び乗り、エレミアスに会いに行ったのだ。
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