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52:兄の嫉妬
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僕はアンナの言葉の
意味がよくわからなかったけど、
でも僕のことを思っての
言葉だとはわかってる。
だからそれを
ありがたく受け取って、
紅茶を飲んだ。
「おいしい」
アンナは僕の体調に合わせて
いろんな紅茶を淹れてくれる。
ハーブが入ることもあれば、
ミルクが入ったり、
砂糖やはちみつを入れてくれたり。
紅茶の濃さだって調整してくれる。
今日は体がだるかったからか、
少しスパイスが効いた紅茶に
甘いミルクが足してある。
「アンナは僕のことを
よく見てくれてるね。
ありがとう」
そういうと、アンナは
一瞬、目を潤ませて
すっと頭を下げた。
「光栄でございます」
アンナはそう言い
立ち上がる。
と、部屋の扉をノックする音がした。
アンナが扉を開けると
侍従が立っている。
アンナは侍従から
何かを受け取ると扉を閉めた。
「ぼっちゃま、
先ぶれが届いたようです」
アンナは僕の前に来ると
封筒を差し出した。
先ぶれなので、
封は開いている。
僕はそれを受け取り
中身を見た。
ガイからだった。
「アンナ!
ガイが来てくれるって」
「はい。
すでに出迎えの準備をする
指示は出しております」
ありがとう、と僕は返事をして、
そうだ、と思いついた。
「お庭でお茶をしたいな。
あのサロンのすぐそばにある
ピンクお花も咲いたころでしょ?
あのお花、ガイにも見せてあげたいんだ」
僕が言うと、アンナは
「サロンにお茶の準備を致しましょう」という。
庭に出ることさえ、
まだ兄の許可が下りてないみたいだ。
僕はもう熱は下がってるし、
薬だって、食事の量が減った分の
栄養剤みたいなものなのに。
お医者さんだって
そう言っていたし。
だから徐々に
歩いたりして体を動かして
食事の量が戻ったら
薬は必要なくなる。
そのはずなのに、
兄が過保護でなかなか
体を動かすことができない。
でもさすがに、
自分の部屋からサロンに
行くぐらいはいいよね。
アンナもサロンならと、
反対もせずに
着替えを手伝ってくれる。
僕はゆっくりとサロンに向かう。
気は焦るけれど、
まだガイが来る時間じゃないし、
早足で向かって
体調を崩したら
ガイと会えなくなってしまう。
僕はまだ昼食を食べてなかったから
アンナに言ってガイの分も含めて
食事の準備をお願いした。
ガイの先ぶれには
午後から休みをもらえたから
会いに来るって書いていた。
ガイのことだから
絶対に食事をする前に
僕に会いに来てくれると思う。
だっていつもそうだもの。
ガイはいつだって僕を
最優先に考えてくれる。
それが嬉しくて仕方がない。
僕はサロンに着くと、
ソファーに座る。
ソファーに座ると、
まだかな、まだかな、って
そわそわしてしまった。
今日は寂しかったって、
言ってみようかな。
恥ずかしいけれど、
そんな僕を知ってほしいって
気持ちもある。
だって、恥ずかしいって
気持ちがあることは、
僕がガイのことを大好きだって
ことと同じだから。
ガイは僕が大好き、っていうと
顔を真っ赤にして
嬉しそうな顔をする。
僕はそんなガイの顔を
見るのも好きなのだ。
早くガイに会いたくて
僕は何度もサロンの
大きな窓を見てしまう。
サロンは庭に面した壁が
全面ガラスになっていて
外の様子を見ることができる。
この庭は玄関に続いているから
見ていたらガイが来たことが
わかると思うんだ。
僕がそわそわしている様子を
セバスチャンが穏やかな表情で
見守ってくれている。
アンナが僕たちのために
新しいお茶の準備を
してくれている時、
ガイが屋敷に着いたという
知らせが僕の耳に届いた。
僕は嬉しくなって、
思わず立ち上がってしまった。
でも僕がガイを出迎えに
玄関に行くことはない。
だって僕が行くよりも早く
ガイが来てくれるから。
ほら。
「エレ」ってサロンの
扉が開いてガイが入ってくる。
僕が立ち上がって、
まだ数分も経ってないのに。
「体調はどうだ?
顔色は良さそうだ」
挨拶の言葉の前に
ガイは僕に駆け寄り
顔を覗き込んでくる。
「大丈夫だよ。
ガイ、会いたかった」
って僕がガイの腰に抱き着くと
ガイは急に何故かおろおろして
「お、俺もだ」という。
いつもみたい
背中に大きな手を
まわしてくれないのかと
不思議に思ってガイを見上げた。
けれど。
「エレ、私も会いたかったぞ」
と扉の方から声がする。
「兄様」
ガイの後ろに兄が立っていた。
ものすごく久しぶりな気がする。
ううん、昼間に会うのは
本当に久しぶりだ。
兄は毎晩、屋敷に
帰ってきていたけれど、
僕が寝るころに少し顔を
見せてくれるだけで、
ここしばらく、ゆっくりと
話をする暇もなかった。
僕がガイから離れて
兄に手を伸ばす。
すると兄は眉間のしわを消して
僕を抱き上げてくれた。
「可愛いエレ、
ひとりにしてすまなかった」
「大丈夫だよ、兄様。
僕、兄様が頑張ってるの
知ってるもの」
僕がそういうと、
兄は僕を抱き上げたまま
ソファーに連れてきてくれる。
そのまま僕は兄の膝の上に座った。
そういえば兄の膝の上は
久しぶりな気がする。
最近はいつも
ガイの膝に乗ってたもん。
「事件がひと段落してな。
しばらくはゆっくりできる」
兄はそういうと
僕の髪を撫でた。
ガイが僕たちの前の
ソファーに座る。
「それで、このガイディスと
エレの婚約式の話を
詰めたいと思っているんだが、
いいか?」
兄が僕の髪を撫でながら言う。
「エレが望まないのであれば、
別の相手を探してもいい」
兄の言葉に、ガイが
ぎょっとした顔で
目を見開いた。
「婚約式は、ガイと僕が
ずっと一緒にいるって
約束することだよね?」
僕がそう聞くと、
兄はそうだ、とうなずく。
なら。
「ガイが良い、兄様。
だって僕、
ガイのことが大好きだもん」
僕がそういうと、
ガイの顔が真っ赤になった。
「……それは、この兄より
あの男の方が好きだという意味か?」
逆に兄の顔がなぜか怖くなる。
「兄様とガイは比べられないよ」
僕は、なんでそんなことを
兄が聞くのかわからなかったけど、
そういえば、しばらく兄と
ゆっくり話していなかったことを
思い出した。
いつもなら、毎日のように
兄に大好きって伝えていたのに。
兄も僕と一緒で
ダイスキって言われるのが
大好きなんだ。
だって僕がそう言うと、
いつも口の端が緩んで、
眉間のしわがなくなるんだ。
「兄様、大好き。
僕は兄様も大好きだよ」
ぎゅっと首に抱き着くと、
兄は満足そうに「そうか」と頷いた。
意味がよくわからなかったけど、
でも僕のことを思っての
言葉だとはわかってる。
だからそれを
ありがたく受け取って、
紅茶を飲んだ。
「おいしい」
アンナは僕の体調に合わせて
いろんな紅茶を淹れてくれる。
ハーブが入ることもあれば、
ミルクが入ったり、
砂糖やはちみつを入れてくれたり。
紅茶の濃さだって調整してくれる。
今日は体がだるかったからか、
少しスパイスが効いた紅茶に
甘いミルクが足してある。
「アンナは僕のことを
よく見てくれてるね。
ありがとう」
そういうと、アンナは
一瞬、目を潤ませて
すっと頭を下げた。
「光栄でございます」
アンナはそう言い
立ち上がる。
と、部屋の扉をノックする音がした。
アンナが扉を開けると
侍従が立っている。
アンナは侍従から
何かを受け取ると扉を閉めた。
「ぼっちゃま、
先ぶれが届いたようです」
アンナは僕の前に来ると
封筒を差し出した。
先ぶれなので、
封は開いている。
僕はそれを受け取り
中身を見た。
ガイからだった。
「アンナ!
ガイが来てくれるって」
「はい。
すでに出迎えの準備をする
指示は出しております」
ありがとう、と僕は返事をして、
そうだ、と思いついた。
「お庭でお茶をしたいな。
あのサロンのすぐそばにある
ピンクお花も咲いたころでしょ?
あのお花、ガイにも見せてあげたいんだ」
僕が言うと、アンナは
「サロンにお茶の準備を致しましょう」という。
庭に出ることさえ、
まだ兄の許可が下りてないみたいだ。
僕はもう熱は下がってるし、
薬だって、食事の量が減った分の
栄養剤みたいなものなのに。
お医者さんだって
そう言っていたし。
だから徐々に
歩いたりして体を動かして
食事の量が戻ったら
薬は必要なくなる。
そのはずなのに、
兄が過保護でなかなか
体を動かすことができない。
でもさすがに、
自分の部屋からサロンに
行くぐらいはいいよね。
アンナもサロンならと、
反対もせずに
着替えを手伝ってくれる。
僕はゆっくりとサロンに向かう。
気は焦るけれど、
まだガイが来る時間じゃないし、
早足で向かって
体調を崩したら
ガイと会えなくなってしまう。
僕はまだ昼食を食べてなかったから
アンナに言ってガイの分も含めて
食事の準備をお願いした。
ガイの先ぶれには
午後から休みをもらえたから
会いに来るって書いていた。
ガイのことだから
絶対に食事をする前に
僕に会いに来てくれると思う。
だっていつもそうだもの。
ガイはいつだって僕を
最優先に考えてくれる。
それが嬉しくて仕方がない。
僕はサロンに着くと、
ソファーに座る。
ソファーに座ると、
まだかな、まだかな、って
そわそわしてしまった。
今日は寂しかったって、
言ってみようかな。
恥ずかしいけれど、
そんな僕を知ってほしいって
気持ちもある。
だって、恥ずかしいって
気持ちがあることは、
僕がガイのことを大好きだって
ことと同じだから。
ガイは僕が大好き、っていうと
顔を真っ赤にして
嬉しそうな顔をする。
僕はそんなガイの顔を
見るのも好きなのだ。
早くガイに会いたくて
僕は何度もサロンの
大きな窓を見てしまう。
サロンは庭に面した壁が
全面ガラスになっていて
外の様子を見ることができる。
この庭は玄関に続いているから
見ていたらガイが来たことが
わかると思うんだ。
僕がそわそわしている様子を
セバスチャンが穏やかな表情で
見守ってくれている。
アンナが僕たちのために
新しいお茶の準備を
してくれている時、
ガイが屋敷に着いたという
知らせが僕の耳に届いた。
僕は嬉しくなって、
思わず立ち上がってしまった。
でも僕がガイを出迎えに
玄関に行くことはない。
だって僕が行くよりも早く
ガイが来てくれるから。
ほら。
「エレ」ってサロンの
扉が開いてガイが入ってくる。
僕が立ち上がって、
まだ数分も経ってないのに。
「体調はどうだ?
顔色は良さそうだ」
挨拶の言葉の前に
ガイは僕に駆け寄り
顔を覗き込んでくる。
「大丈夫だよ。
ガイ、会いたかった」
って僕がガイの腰に抱き着くと
ガイは急に何故かおろおろして
「お、俺もだ」という。
いつもみたい
背中に大きな手を
まわしてくれないのかと
不思議に思ってガイを見上げた。
けれど。
「エレ、私も会いたかったぞ」
と扉の方から声がする。
「兄様」
ガイの後ろに兄が立っていた。
ものすごく久しぶりな気がする。
ううん、昼間に会うのは
本当に久しぶりだ。
兄は毎晩、屋敷に
帰ってきていたけれど、
僕が寝るころに少し顔を
見せてくれるだけで、
ここしばらく、ゆっくりと
話をする暇もなかった。
僕がガイから離れて
兄に手を伸ばす。
すると兄は眉間のしわを消して
僕を抱き上げてくれた。
「可愛いエレ、
ひとりにしてすまなかった」
「大丈夫だよ、兄様。
僕、兄様が頑張ってるの
知ってるもの」
僕がそういうと、
兄は僕を抱き上げたまま
ソファーに連れてきてくれる。
そのまま僕は兄の膝の上に座った。
そういえば兄の膝の上は
久しぶりな気がする。
最近はいつも
ガイの膝に乗ってたもん。
「事件がひと段落してな。
しばらくはゆっくりできる」
兄はそういうと
僕の髪を撫でた。
ガイが僕たちの前の
ソファーに座る。
「それで、このガイディスと
エレの婚約式の話を
詰めたいと思っているんだが、
いいか?」
兄が僕の髪を撫でながら言う。
「エレが望まないのであれば、
別の相手を探してもいい」
兄の言葉に、ガイが
ぎょっとした顔で
目を見開いた。
「婚約式は、ガイと僕が
ずっと一緒にいるって
約束することだよね?」
僕がそう聞くと、
兄はそうだ、とうなずく。
なら。
「ガイが良い、兄様。
だって僕、
ガイのことが大好きだもん」
僕がそういうと、
ガイの顔が真っ赤になった。
「……それは、この兄より
あの男の方が好きだという意味か?」
逆に兄の顔がなぜか怖くなる。
「兄様とガイは比べられないよ」
僕は、なんでそんなことを
兄が聞くのかわからなかったけど、
そういえば、しばらく兄と
ゆっくり話していなかったことを
思い出した。
いつもなら、毎日のように
兄に大好きって伝えていたのに。
兄も僕と一緒で
ダイスキって言われるのが
大好きなんだ。
だって僕がそう言うと、
いつも口の端が緩んで、
眉間のしわがなくなるんだ。
「兄様、大好き。
僕は兄様も大好きだよ」
ぎゅっと首に抱き着くと、
兄は満足そうに「そうか」と頷いた。
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