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61:食堂の妖精
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僕が迷子になっていたせいで、
いつの間にかお昼ご飯の
時間になっていたらしい。
僕はガイとケインに連れられて
食堂にやってきた。
ガイは「騒がしいし、
エレ向きの食事はない」と
何度も言っていたし
ケインも「見るだけですよ。
実際に食べなくても構いません」と言う。
どういう意味かと思っていたけど、
食堂に着いて、僕はその意味が
一瞬でわかった。
食堂は広かった。
そして大勢の騎士たちが
長い机に、所狭しと座って
食事をしている。
あちこちで大声がして
笑声がして、怒鳴り声が聞こえる。
そして食堂の奥にある
巨大な厨房の中からも
大きな声が聞こえていて。
厨房の側に置いてある
長い机の上には
何種類もの料理が
1皿づつに盛られて、
所せましと並んでいた。
騎士たちはトレーを持ち、
順番に、そのお皿が乗った
机を囲むように移動している。
見ていると、それぞれが
自分が食べたいものを選び、
その料理が乗っている皿を
トレーに乗せているようだ。
トレーに料理を乗せた騎士は、
そのまま空いている席まで
料理を運んで食べているみたいだった。
そしてテーブルに座っている
騎士たちを見回すと、
トレーに乗っている皿の
数が多すぎる!
そして皿に盛られた
料理の量も多すぎる!
僕は茫然と立ち尽くしてしまう。
「エレミアス様、
せっかくですので、
お水でも飲まれますか?」
ケインが聞いてくれた。
確かにこの場で僕が
口にできそうなのは
水ぐらいかもしれない。
でも僕、トレーを持って
並んでみたい。
並ぶだけならいいよね?
あのお皿を取らなかったらいいんでしょ?
僕はケインとガイを見て、
「僕もトレーを持ってもいい?」
と聞いてみた。
二人は頷いてくれたけど、
無理して食べなくていいんだぞ、と
そればかり言う。
それでも二人は
僕と一緒に並んでくれた。
ガイが前で、その次が僕。
後ろにケインが並ぶ。
トレーを持っているのは僕だけだ。
僕はこのトレーを
どうするのかとガイに聞いた。
すると思った通り、
好きな料理を
好きなだけ取って良いらしい。
席も決まってないので
料理を取ったら、
好きな場所に座って
勝手に食べるんだとか。
食事の費用は騎士団の
経費から出ているので、
支払いは必要ない。
また食堂は夜勤の
騎士もいるために、
基本的にいつでも
開いていて、
好きな時に、
何かしらは食べれるという。
料理人がいない時間でも
日持ちをするような
食事がちゃんと用意されているんだとか。
だから下級貴族や
領地を持たない貴族、
貴族の次男や三男たちは
騎士になりたがるんだと、
ガイが並びながら教えてくれた。
騎士になれば爵位がなくても
食べることには困らない。
食堂で食べればいいし、
騎士には寮もあるので、
申請すれば、住む場所にも
困らないという。
「じゃあ。僕がもし
騎士になったら寮に入れる?」
僕は騎士には
なれないと思うけど、
でも聞いてみた。
ガイも、そうだな、と言ってくれる。
無理だ、じゃなくて
そう言ってくれたのが
嬉しかった。
僕は騎士じゃなくて、
バーンズ侯爵家の当主に
なるから、寮に入ることは
一生なさそうだけれど。
友達と一緒に生活するって
なんだか楽しそうだし、
羨ましいって思う。
羨ましい。
そう思って、僕はまた
あの女性を……
王女様のことを思い出した。
あれから、大丈夫だったかな?
なにがあったかわからないけど、
きっと、仲直りできたよね?
僕がトレーを持って
列に並ぶと前に並んでいた
騎士さんが、僕を見て
ぎょっとした顔をした。
「こんにちは」
って僕が挨拶したら
騎士さんは、顔を真っ赤にして
「え? え?」と声を出す。
「エレ、ここでは
挨拶はしなくていいんだ」
「そうなの?
お友達にはなれない?」
「……ならなくていい」
挨拶ができたら友達になれるって
僕は学院で学んだけど。
騎士団では違うのかも。
「と、と、友達?
俺と?」
僕が挨拶をした騎士さんが
僕を見たけれど、
ガイが
「ならなくていい。
前を向け」
と目の前の騎士さんに
厳しい声で言い、
早く行けと、騎士さんを前に進めてしまった。
あの騎士さんの様子だったら
お友達になれたかもしれないのにな。
僕はトレーを持ちながら
机に並んだ料理の皿を見る。
じつはこのトレー、すっごく重い。
これも訓練のうちなのかな?
このトレーにこんなに
沢山の料理を乗せて
運ぶなんて、
僕には考えられなかった。
学院のカバンですら
重たく感じる僕だけど。
同じぐらいの重さか、
それ以上の重さに
なるんじゃないかと思う。
やっぱり騎士ってすごい。
これが鍛えてるってことだよね。
このトレーに沢山のお皿を乗せて
落さず、まっすぐ持って
歩くことができるなんて。
でも僕だって、頑張れる。
今日は一人で頑張る日なんだから。
僕はトレーを持ちなおした。
料理は見るからにボリューム満点で
僕はどれも手に取る気には
なれなかったけれど。
最後の最後に、果物が乗っているお皿があった。
僕はその皿をトレーに乗せて、
そっと、そーっと席に運ぶ。
重たくて、
トレーが揺れたりしたけれど、
慎重に僕は足を進めた。
そして近くのテーブルに
トレーを置いて、
ふーっと息を吐く。
「できた!」
って僕はガイを見た。
「え?」
いつの間にか、
食堂にいた騎士たちが
皆、僕を見ていた。
僕を見守っていたかのように
両手を握りしめている騎士もいる。
あれ?
僕、応援してもらってた?
あんなに騒がしかったのに、
みんな無言で僕を見ている。
えっと。
騎士じゃない僕が
食堂にいるから
不思議に思ったのかな?
それともひ弱すぎて
驚かれたのかな?
どう考えても
僕に騎士団は似合わないよね。
でも僕、今日は見学者なんだ。
不審者じゃないよ。
そう思って、僕は椅子に座る。
なんだか居心地が悪いけれど、
挨拶をするのも変なので、
僕は周囲の空気には
気が付かなかったことにした。
お皿の上の赤い実は
新鮮そうで、つやつやしている。
僕はそれをつまんで
ぱくり、と口に入れた。
見たこともない実だったけど
口に入れたら、甘い果汁が
飛び出してくる。
「おいしー。
ガイ、おいしいよ。
騎士団のごはんって
美味しいんだね」
僕は隣に座ってくれたガイに
思わず言ってしまう。
「それに騎士さんたち、
すっごくカッコイイ!
こんな重たいトレーに
沢山料理を乗せて
軽々運ぶんだもん!」
って僕が興奮気味に言うと、
その声は静かな食堂に
異様なほどに響いてしまう。
僕の声を聞いた騎士たちは
急に「うおー!」って声を挙げた。
僕はびっくりして、
持っていた実を
ころり、と皿の上に落してしまった。
いつの間にかお昼ご飯の
時間になっていたらしい。
僕はガイとケインに連れられて
食堂にやってきた。
ガイは「騒がしいし、
エレ向きの食事はない」と
何度も言っていたし
ケインも「見るだけですよ。
実際に食べなくても構いません」と言う。
どういう意味かと思っていたけど、
食堂に着いて、僕はその意味が
一瞬でわかった。
食堂は広かった。
そして大勢の騎士たちが
長い机に、所狭しと座って
食事をしている。
あちこちで大声がして
笑声がして、怒鳴り声が聞こえる。
そして食堂の奥にある
巨大な厨房の中からも
大きな声が聞こえていて。
厨房の側に置いてある
長い机の上には
何種類もの料理が
1皿づつに盛られて、
所せましと並んでいた。
騎士たちはトレーを持ち、
順番に、そのお皿が乗った
机を囲むように移動している。
見ていると、それぞれが
自分が食べたいものを選び、
その料理が乗っている皿を
トレーに乗せているようだ。
トレーに料理を乗せた騎士は、
そのまま空いている席まで
料理を運んで食べているみたいだった。
そしてテーブルに座っている
騎士たちを見回すと、
トレーに乗っている皿の
数が多すぎる!
そして皿に盛られた
料理の量も多すぎる!
僕は茫然と立ち尽くしてしまう。
「エレミアス様、
せっかくですので、
お水でも飲まれますか?」
ケインが聞いてくれた。
確かにこの場で僕が
口にできそうなのは
水ぐらいかもしれない。
でも僕、トレーを持って
並んでみたい。
並ぶだけならいいよね?
あのお皿を取らなかったらいいんでしょ?
僕はケインとガイを見て、
「僕もトレーを持ってもいい?」
と聞いてみた。
二人は頷いてくれたけど、
無理して食べなくていいんだぞ、と
そればかり言う。
それでも二人は
僕と一緒に並んでくれた。
ガイが前で、その次が僕。
後ろにケインが並ぶ。
トレーを持っているのは僕だけだ。
僕はこのトレーを
どうするのかとガイに聞いた。
すると思った通り、
好きな料理を
好きなだけ取って良いらしい。
席も決まってないので
料理を取ったら、
好きな場所に座って
勝手に食べるんだとか。
食事の費用は騎士団の
経費から出ているので、
支払いは必要ない。
また食堂は夜勤の
騎士もいるために、
基本的にいつでも
開いていて、
好きな時に、
何かしらは食べれるという。
料理人がいない時間でも
日持ちをするような
食事がちゃんと用意されているんだとか。
だから下級貴族や
領地を持たない貴族、
貴族の次男や三男たちは
騎士になりたがるんだと、
ガイが並びながら教えてくれた。
騎士になれば爵位がなくても
食べることには困らない。
食堂で食べればいいし、
騎士には寮もあるので、
申請すれば、住む場所にも
困らないという。
「じゃあ。僕がもし
騎士になったら寮に入れる?」
僕は騎士には
なれないと思うけど、
でも聞いてみた。
ガイも、そうだな、と言ってくれる。
無理だ、じゃなくて
そう言ってくれたのが
嬉しかった。
僕は騎士じゃなくて、
バーンズ侯爵家の当主に
なるから、寮に入ることは
一生なさそうだけれど。
友達と一緒に生活するって
なんだか楽しそうだし、
羨ましいって思う。
羨ましい。
そう思って、僕はまた
あの女性を……
王女様のことを思い出した。
あれから、大丈夫だったかな?
なにがあったかわからないけど、
きっと、仲直りできたよね?
僕がトレーを持って
列に並ぶと前に並んでいた
騎士さんが、僕を見て
ぎょっとした顔をした。
「こんにちは」
って僕が挨拶したら
騎士さんは、顔を真っ赤にして
「え? え?」と声を出す。
「エレ、ここでは
挨拶はしなくていいんだ」
「そうなの?
お友達にはなれない?」
「……ならなくていい」
挨拶ができたら友達になれるって
僕は学院で学んだけど。
騎士団では違うのかも。
「と、と、友達?
俺と?」
僕が挨拶をした騎士さんが
僕を見たけれど、
ガイが
「ならなくていい。
前を向け」
と目の前の騎士さんに
厳しい声で言い、
早く行けと、騎士さんを前に進めてしまった。
あの騎士さんの様子だったら
お友達になれたかもしれないのにな。
僕はトレーを持ちながら
机に並んだ料理の皿を見る。
じつはこのトレー、すっごく重い。
これも訓練のうちなのかな?
このトレーにこんなに
沢山の料理を乗せて
運ぶなんて、
僕には考えられなかった。
学院のカバンですら
重たく感じる僕だけど。
同じぐらいの重さか、
それ以上の重さに
なるんじゃないかと思う。
やっぱり騎士ってすごい。
これが鍛えてるってことだよね。
このトレーに沢山のお皿を乗せて
落さず、まっすぐ持って
歩くことができるなんて。
でも僕だって、頑張れる。
今日は一人で頑張る日なんだから。
僕はトレーを持ちなおした。
料理は見るからにボリューム満点で
僕はどれも手に取る気には
なれなかったけれど。
最後の最後に、果物が乗っているお皿があった。
僕はその皿をトレーに乗せて、
そっと、そーっと席に運ぶ。
重たくて、
トレーが揺れたりしたけれど、
慎重に僕は足を進めた。
そして近くのテーブルに
トレーを置いて、
ふーっと息を吐く。
「できた!」
って僕はガイを見た。
「え?」
いつの間にか、
食堂にいた騎士たちが
皆、僕を見ていた。
僕を見守っていたかのように
両手を握りしめている騎士もいる。
あれ?
僕、応援してもらってた?
あんなに騒がしかったのに、
みんな無言で僕を見ている。
えっと。
騎士じゃない僕が
食堂にいるから
不思議に思ったのかな?
それともひ弱すぎて
驚かれたのかな?
どう考えても
僕に騎士団は似合わないよね。
でも僕、今日は見学者なんだ。
不審者じゃないよ。
そう思って、僕は椅子に座る。
なんだか居心地が悪いけれど、
挨拶をするのも変なので、
僕は周囲の空気には
気が付かなかったことにした。
お皿の上の赤い実は
新鮮そうで、つやつやしている。
僕はそれをつまんで
ぱくり、と口に入れた。
見たこともない実だったけど
口に入れたら、甘い果汁が
飛び出してくる。
「おいしー。
ガイ、おいしいよ。
騎士団のごはんって
美味しいんだね」
僕は隣に座ってくれたガイに
思わず言ってしまう。
「それに騎士さんたち、
すっごくカッコイイ!
こんな重たいトレーに
沢山料理を乗せて
軽々運ぶんだもん!」
って僕が興奮気味に言うと、
その声は静かな食堂に
異様なほどに響いてしまう。
僕の声を聞いた騎士たちは
急に「うおー!」って声を挙げた。
僕はびっくりして、
持っていた実を
ころり、と皿の上に落してしまった。
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