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77:王女様とお茶会
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僕はガイとケインに
王宮の中庭に連れてきてもらった。
ガイは仕事に戻ると言い、
ケインは中庭のガゼボに
座る僕から少し離れた
場所にいる。
侍女がお茶の準備をしたと思うと
お姫様が侍女たちを連れて
姿を現した。
でも僕の前に来たのは
お姫様だけで、
たくさんの侍女たちは
ガゼボのそばで
綺麗に並んで立っている。
「私の国のお茶を
用意させたの。
エレちゃま、飲んでみて」
「は、はい」
挨拶もそこそこに
僕は言われるまま、
カップを持つ。
一口飲むと、
バラの香りがした。
「すごい、お花のお茶だ」
「ええ、そうですのよ!」
お姫様は身を乗り出す。
「素敵でしょう?
初めてエレちゃまに
会ったときにね、
このお茶をぜひ
妖精さんに飲んで欲しい、
って思ったの」
僕はいつまで妖精さんで、
エレちゃまなのだろう。
というか、
なんでエレちゃま?
「ねぇ、エレちゃま。
私ともお友達になってくれるでしょう?」
ここは、はい、でいいのかな?
でも、お姫様なのに
友達になってもいいんだろうか。
「いやですの?
私が王女だから?
それとも、わがままだから?
もうお姉さんとは呼んでくれないの?」
「えっと、えっと。
あの時はお姉さんが
お姫様だとは知らなくて……」
「でも知らないときに
出会って仲良くなったんだから
もう、姫とか関係なく
仲良しの友達ですわよね」
そ、そうなのかな?
「まあ、首をかしげる姿も
可愛らしい。
とにかく。私のことは
お姉さまと呼んでもらって
構いませんわ」
「え? でも、僕、
お姉さまになる人が
もういて……」
「まあ、誰ですの?」
「ガイのお兄さんの
お嫁さんになる人で。
名前は、えっと、
リリック・モルガン様。
リリ姉様と呼ぶように言われてて……」
姉様が2人もいたら
ややこしくなりそう。
「では、ミレ姉様で
構いませんわ」
そ、それは……
どうしたらいいのか
わからず、僕はケインを見た。
ケインは苦笑をしつつ
すっ、と視線をずらす。
ならば、と王宮の
侍女さんたちを順番に
見たけれど、
僕と目があった侍女たちは
順番に頭を下げていく。
そうではなくて、
と言いそうになった時、
お姫様の一番近くにいた侍女が
「姫様」と声をかけてくれた。
「ご子息がお困りです。
わがままもいい加減になさいませ」
「どうしてよ」
「隣国の姫を姉と呼ぶなど、
この国における
貴族の勢力図にも
関わってくる問題に
なりかねません。
それに姫様は
このご子息とお友達に
なりたかったのでは?
弟とご友人では
関係性がかなり違いますが」
「そうね!
そうだったわ」
侍女の言葉にお姫様は
大きくうなずいた。
「姉はいいわ。
でもお友達なら構わないでしょ?」
そう言われて僕が断れるわけがない。
うなずくと、お姫様は
嬉しそうな顔をした。
「じゃあねぇ、
私のことはミレと呼んで」
「ミレ様?」
「ええ、そうよ。
エレちゃまと似た響きでしょ」
嬉しそうに笑うお姫様から
そばにいた侍女が
そっと僕のそばに移動して
小さな声で言う。
「申し訳ございません。
姫様はお友達が一人もおらず、
寂しくお過ごしなのです。
今だけでも構いませんので
話を合わせていただけますでしょうか」
「ちょっと!
聞こえているわよ!」
ってお姫様は怒る。
でもそんなお姫様も
可愛く見えてきた。
「あの、ミレ様、
僕は、エレミアス・バーンズです。
僕は小さなころから体が弱くて、
今までずっと、屋敷の中だけで
生きてきました。
ようやく学院にも
通えるようになったぐらいで、
僕もあまり友達がいないんです。
王宮も初めてで、
デビュタントもしていないし、
礼儀作法やマナーも
学んでいるけれど、
経験はまったくなくて。
それでもよかったら
僕とお友達になってくれますか?」
僕が改めて自己紹介をすると
お姫様は目を輝かせた。
「ええ、ええ、もちろんですわ!
私の初めてのお友達!
お茶会も夜会も、
全部このミレットに
任せて頂戴!
エレちゃまを守って差し上げますわ」
……なぜか、また僕は
守られる話になっている。
お姫様に守られないと
ダメな社交界って、
いったいどんな場所なんだろう。
「そうだわ。
エレちゃま、お願いがあるの」
お友達なら、お願いをしてもいいですわよね?
ってお姫様は言うんだけど、
これは願いでいいのかな。
断れない雰囲気なんだけど。
「エレちゃまのことはね、
ごめんなさいね、
ちょっと調べさせてもらったの。
だって私がお友達になりたいって
言ったら、ほら、私の周囲が
過敏に反応しちゃったの」
お姫様だから
近づく相手のことは
調べないとダメってことかな?
「それでね、
ブレイトン公爵家の
おばさまはいいの。
エレちゃまの義姉になる
リリック嬢も知ってるわ。
でもね、ロチェスター家の
ヴァレンティーナ嬢とは
面識が無いのよ。
紹介してもらえないかしら?」
「ティーナを?」
「ええ、そのティーナ嬢を。
だってエレちゃまの親友なら
私とも親友になれそうですし。
エレちゃまの友達なら
私も友達でしょう?」
ね、と言われて、
僕はやっぱりうなずくしかできない。
「ティーナには言っておきます」
「ええ、そうしてちょうだい。
私からもロチェスター家には
手紙を送っておくわ」
婚約式が終わったら
3人でお茶をしましょう、って
お姫さまは楽しそうに言う。
ティーナの返事を聞かずに
盛り上がってるけど
大丈夫かな。
さっき僕に話しかけてくれた
侍女さんを見たら、
侍女さんは満足そうにうなずいている。
お姫様は隣国の王女様だし、
王太子殿下の婚約者で、
次の王妃様になる。
そう考えると、
意向に沿った方がいいよね?
僕はそう結論付けて、
黙ってお茶を一口飲んだ。
王宮の中庭に連れてきてもらった。
ガイは仕事に戻ると言い、
ケインは中庭のガゼボに
座る僕から少し離れた
場所にいる。
侍女がお茶の準備をしたと思うと
お姫様が侍女たちを連れて
姿を現した。
でも僕の前に来たのは
お姫様だけで、
たくさんの侍女たちは
ガゼボのそばで
綺麗に並んで立っている。
「私の国のお茶を
用意させたの。
エレちゃま、飲んでみて」
「は、はい」
挨拶もそこそこに
僕は言われるまま、
カップを持つ。
一口飲むと、
バラの香りがした。
「すごい、お花のお茶だ」
「ええ、そうですのよ!」
お姫様は身を乗り出す。
「素敵でしょう?
初めてエレちゃまに
会ったときにね、
このお茶をぜひ
妖精さんに飲んで欲しい、
って思ったの」
僕はいつまで妖精さんで、
エレちゃまなのだろう。
というか、
なんでエレちゃま?
「ねぇ、エレちゃま。
私ともお友達になってくれるでしょう?」
ここは、はい、でいいのかな?
でも、お姫様なのに
友達になってもいいんだろうか。
「いやですの?
私が王女だから?
それとも、わがままだから?
もうお姉さんとは呼んでくれないの?」
「えっと、えっと。
あの時はお姉さんが
お姫様だとは知らなくて……」
「でも知らないときに
出会って仲良くなったんだから
もう、姫とか関係なく
仲良しの友達ですわよね」
そ、そうなのかな?
「まあ、首をかしげる姿も
可愛らしい。
とにかく。私のことは
お姉さまと呼んでもらって
構いませんわ」
「え? でも、僕、
お姉さまになる人が
もういて……」
「まあ、誰ですの?」
「ガイのお兄さんの
お嫁さんになる人で。
名前は、えっと、
リリック・モルガン様。
リリ姉様と呼ぶように言われてて……」
姉様が2人もいたら
ややこしくなりそう。
「では、ミレ姉様で
構いませんわ」
そ、それは……
どうしたらいいのか
わからず、僕はケインを見た。
ケインは苦笑をしつつ
すっ、と視線をずらす。
ならば、と王宮の
侍女さんたちを順番に
見たけれど、
僕と目があった侍女たちは
順番に頭を下げていく。
そうではなくて、
と言いそうになった時、
お姫様の一番近くにいた侍女が
「姫様」と声をかけてくれた。
「ご子息がお困りです。
わがままもいい加減になさいませ」
「どうしてよ」
「隣国の姫を姉と呼ぶなど、
この国における
貴族の勢力図にも
関わってくる問題に
なりかねません。
それに姫様は
このご子息とお友達に
なりたかったのでは?
弟とご友人では
関係性がかなり違いますが」
「そうね!
そうだったわ」
侍女の言葉にお姫様は
大きくうなずいた。
「姉はいいわ。
でもお友達なら構わないでしょ?」
そう言われて僕が断れるわけがない。
うなずくと、お姫様は
嬉しそうな顔をした。
「じゃあねぇ、
私のことはミレと呼んで」
「ミレ様?」
「ええ、そうよ。
エレちゃまと似た響きでしょ」
嬉しそうに笑うお姫様から
そばにいた侍女が
そっと僕のそばに移動して
小さな声で言う。
「申し訳ございません。
姫様はお友達が一人もおらず、
寂しくお過ごしなのです。
今だけでも構いませんので
話を合わせていただけますでしょうか」
「ちょっと!
聞こえているわよ!」
ってお姫様は怒る。
でもそんなお姫様も
可愛く見えてきた。
「あの、ミレ様、
僕は、エレミアス・バーンズです。
僕は小さなころから体が弱くて、
今までずっと、屋敷の中だけで
生きてきました。
ようやく学院にも
通えるようになったぐらいで、
僕もあまり友達がいないんです。
王宮も初めてで、
デビュタントもしていないし、
礼儀作法やマナーも
学んでいるけれど、
経験はまったくなくて。
それでもよかったら
僕とお友達になってくれますか?」
僕が改めて自己紹介をすると
お姫様は目を輝かせた。
「ええ、ええ、もちろんですわ!
私の初めてのお友達!
お茶会も夜会も、
全部このミレットに
任せて頂戴!
エレちゃまを守って差し上げますわ」
……なぜか、また僕は
守られる話になっている。
お姫様に守られないと
ダメな社交界って、
いったいどんな場所なんだろう。
「そうだわ。
エレちゃま、お願いがあるの」
お友達なら、お願いをしてもいいですわよね?
ってお姫様は言うんだけど、
これは願いでいいのかな。
断れない雰囲気なんだけど。
「エレちゃまのことはね、
ごめんなさいね、
ちょっと調べさせてもらったの。
だって私がお友達になりたいって
言ったら、ほら、私の周囲が
過敏に反応しちゃったの」
お姫様だから
近づく相手のことは
調べないとダメってことかな?
「それでね、
ブレイトン公爵家の
おばさまはいいの。
エレちゃまの義姉になる
リリック嬢も知ってるわ。
でもね、ロチェスター家の
ヴァレンティーナ嬢とは
面識が無いのよ。
紹介してもらえないかしら?」
「ティーナを?」
「ええ、そのティーナ嬢を。
だってエレちゃまの親友なら
私とも親友になれそうですし。
エレちゃまの友達なら
私も友達でしょう?」
ね、と言われて、
僕はやっぱりうなずくしかできない。
「ティーナには言っておきます」
「ええ、そうしてちょうだい。
私からもロチェスター家には
手紙を送っておくわ」
婚約式が終わったら
3人でお茶をしましょう、って
お姫さまは楽しそうに言う。
ティーナの返事を聞かずに
盛り上がってるけど
大丈夫かな。
さっき僕に話しかけてくれた
侍女さんを見たら、
侍女さんは満足そうにうなずいている。
お姫様は隣国の王女様だし、
王太子殿下の婚約者で、
次の王妃様になる。
そう考えると、
意向に沿った方がいいよね?
僕はそう結論付けて、
黙ってお茶を一口飲んだ。
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