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79:婚約式・1
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とうとう婚約式の日がやってきた。
まだ学院は長期休暇に入っていないけど、
ティーナとサイラス、ライリーは
学院を休んで来てくれることになった。
本当はもう少し後に
婚約式をする予定だったんだけど
それがものすごく前倒しに
式をすることが決まってしまったんだ。
じつは僕たちの立ち合い人を
ガイが側近をしているという
第二殿下がしてくれる話に
なっていたんだけれど。
その話を聞いた王太子殿下が
自分とあのお姫様が
立会人になると言い出して、
そしたらよくわからないうちに
陛下と王妃様まで
婚約式を見に来たいと
いう話になったらしい。
そこで陛下たち全員の
日程を合わせて、
空いている日に
婚約式をすることになってしまった。
僕も驚くほど
早い日程だったから
戸惑ったけれど、
僕以上に兄が珍しく
文句を言っていたので
僕はガイと婚約できれば
それでいいから、
怒らなくてもいいよ、
って兄をなだめたんだ。
こういうのも
本当に珍しい。
だって僕が兄を
なぐさめたんだよ?
兄の不満の原因は、
婚約式が早まると
僕の衣装が間に合わないかも
しれないから、だった。
僕は衣装には関わってないから
どうでもいいや、って
思うけれど。
僕とガイの婚約式の服は
兄とガイのお母さん、
リリ姉様、それから
僕の母と父までもが
一緒になって考えたものらしい。
ついでにもう結婚式の
衣装も考案中なんだって。
まだ婚約式も始まってないのに
気が早すぎると思う。
婚約式が終わったら
僕はガイの別荘に旅行に
行くことになっている。
長期休暇中でないけど、
僕はもう卒業資格は持っているから
学院は関係ない。
逆に言うと、
僕が戻ってきてから
学院は長期休暇に入るんだ。
つまり、長期休暇の間は
サイラスやライリーの
領地に遊びに行けるかも
しれないし、なんなら
ティーナの領地にも行けるかも。
そう思うと、わくわくしてくる。
僕は婚約式の支度を
王宮で整えさせて
もらうことになった。
これもお姫様の配慮らしい。
確かに王宮の部屋を
借りることができたら
教会まで近いし、
助かるよね。
そう思って僕は
ケインとアンナと
一緒に王宮に向かった。
両親と兄は後から来るらしい。
僕たちは王宮に着くと
神聖教会に一番
近いという客間に案内された。
そこにはすでに
王宮侍女たちが待機していて
僕はケインと引き離されたかと思ったら
アッという間に服を脱がされ、
あたたかいお湯の中に入れられた。
え?
え?
って混乱しているうちに
体と髪を洗われて、
焦っていると、ようやく
アンナの姿が見えた。
アンナは冷静な素振りで
僕の髪を拭いてくれてるけど
絶対に焦ってると思う。
だって、目がまんまるだもの。
ものすごい早さで
髪を乾かされて、
僕は衣装を着せられた。
真っ白い衣装で、
トルソーに掛かっている
服を見たときは、
やっぱりドレスだ、って
思ったんだけど。
着てみたら違っていた。
ちゃんとズボンだし、
服は上下で分かれているから
変に体を締め付けられることもない。
ただ、袖や襟が大きくて
フリルが付いていたり、
ズボンにも大ぶりのドレープが
たくさん付いていて、
見た感じ、ドレスっぽく見える。
あと、上着の生地が
ものすごく薄いから、
下に来ているシャツが
透けて見えるぐらいで、
しかも、丈が長い。
丈は僕の腰より長いから、
これも女性が身に着ける
ベールのようにも見える。
婚約式の衣装は
基本は白色で、
互いの瞳の色を
差し色に使うって
聞いていたけれど、
僕の服は真っ白で、
金色の刺繡が胸のあたりに
してあった。
黄金の花に、
僕の瞳の緑色で
葉っぱがついている。
僕は薄くお化粧をされて
アンナと一緒に部屋を出た。
するとすでにガイが
扉の前で待っていてくれた。
「わぁ、すっごい、カッコイイ」
ガイは真っ白い騎士隊の服
だったけれど。
胸のところに、
僕と同じ花が。
緑色の花に、
金色の葉がツタのように
絡みついている刺繍がしてあった。
「ふふ、僕とおそろいだね」
「あ、あぁ、そうだな」
ガイはうなずきながら
何度も僕を見る。
「ガイ?」
「いや、綺麗だと思って」
改めて言われると
ちょっと恥ずかしい。
だって僕は可愛いって
よく言われるけれど、
綺麗とは言われることは
あまりなから。
「行くか」
ガイに手を差し出され、
僕はその手を取る。
僕たちの前には
王宮侍女がいて
先導するように歩いてくれた。
教会までは本当に
すぐだったけれど、
教会までの道のりには
騎士団の人たちだと思う。
騎士の格好をした人が
沢山立っていて、
お祝いの言葉を送ってくれた。
こんなに騎士の人たちがいて
大丈夫なのか心配になったけれど、
王族が集合するから
警備も兼ねているとガイが言う。
僕たちが教会に着くと、
すでに、ティーナや
サイラス、ライリーが待っていてくれた。
もちろん、
僕とガイの家族、
リリ姉様も来てくれている。
僕たちは皆に
お礼の合図をして、
王宮侍女に連れられるまま
控室へと移動した。
控室は祭壇がある
礼拝堂のすぐ横にあって
小さな窓から
礼拝堂の様子がよく見える。
礼拝堂にある
長い椅子の一番前には
僕の両親と兄。
本当は兄の婚約者も
来てくれるはずだったけど、
急遽、兄が来なくていい、
って言ったらしい。
なんでって、
陛下たち王族が参列するから。
兄は陛下や王子殿下たちと
仲が悪いのかなって
たまに思う。
僕にもあまり王家とは
関わるな、って
言ってたぐらいだし。
まぁ、身内だけの婚約式だし、
結婚式には来てくれるって
お手紙をもらっているから
僕はそれでいいんだけど。
それに、僕、気づいているんだ。
兄の婚約者は元騎士団長の
娘さんで、王宮で
王族を守る騎士をしている。
だからね、
式場内にいる近衛騎士に混ざって
女性騎士が一人、一番前に
立っているんだけど、
絶対に、僕の知っている人だと思う。
参列者だと陛下たちの
目に留まるかもしれないけれど、
護衛で式に参加するのなら、
目立たないよね。
兄は自分の家族が
王家の人たちに
利用されるのが怖いんだと思う。
そんなに心配しなくても
大丈夫だと思うんだけど。
僕の家族が座る椅子の
後ろには、ティーナと
伯爵家の侍女らしき人がいて、
その後ろの列の椅子に、
ライリーとケインが座っている。
ケインとアンナは、
椅子に座らずに、
入り口付近で立っていた。
長い椅子は左右に
分かれていて、
僕の知っている人たちは
祭壇に向かって左側に
いるみたい。
逆に右側には、
ガイの両親。
その後ろには
たぶんガイの兄様と
リリ姉様がいる。
それから、
近衛騎士だと思うんだけど。
白い騎士隊服を着た
騎士たちが椅子の前ではなく
その横に付くように
何人も立っていた。
一番前は、女性騎士だ。
様子を見ていると、
祭壇の正面にある
扉が開いて、
陛下と王妃様が入ってきた。
その後に王太子殿下とお姫様。
それから第二王子殿下が
やってくる。
全員、近衛騎士に
守られるように椅子に座った。
すごい。
ものすごい迫力がある。
これが王族の人たちか、
って思ったら、
緊張してきた。
「ガイ、僕、
失敗したらどうしよう」
あんなすごい人たちの前で
僕、大丈夫かな?
「失敗?
どんなエレでも
可愛いからいいだろう」
ガイが真顔で言う。
本気でそう思ってるみたいで、
僕は思わず笑ってしまった。
「もう、そういうわけにはいかないよ」
って言ったけど。
体の力が抜けてきた。
ガイがいるから、
きっと僕は大丈夫。
ガイの腕に掴まると、
「大丈夫か?」
と心配そうに顔を覗き込まれた。
「うん、大丈夫」
本当に、大丈夫だ。
ここから、僕はもう
守られてるだけの
役立たずの僕じゃなくなる。
僕はこれから
バーンズ侯爵家を継いで
領民を守るんだから。
不安はあるけど、
ガイが一緒だもん。
前に進む一歩を、
ガイと一緒に踏み出すんだ。
僕が決意を固めたとき、
神官さんから合図がある。
「行くか」
ガイの言葉にうなずき、
僕たちは控室から出た。
まだ学院は長期休暇に入っていないけど、
ティーナとサイラス、ライリーは
学院を休んで来てくれることになった。
本当はもう少し後に
婚約式をする予定だったんだけど
それがものすごく前倒しに
式をすることが決まってしまったんだ。
じつは僕たちの立ち合い人を
ガイが側近をしているという
第二殿下がしてくれる話に
なっていたんだけれど。
その話を聞いた王太子殿下が
自分とあのお姫様が
立会人になると言い出して、
そしたらよくわからないうちに
陛下と王妃様まで
婚約式を見に来たいと
いう話になったらしい。
そこで陛下たち全員の
日程を合わせて、
空いている日に
婚約式をすることになってしまった。
僕も驚くほど
早い日程だったから
戸惑ったけれど、
僕以上に兄が珍しく
文句を言っていたので
僕はガイと婚約できれば
それでいいから、
怒らなくてもいいよ、
って兄をなだめたんだ。
こういうのも
本当に珍しい。
だって僕が兄を
なぐさめたんだよ?
兄の不満の原因は、
婚約式が早まると
僕の衣装が間に合わないかも
しれないから、だった。
僕は衣装には関わってないから
どうでもいいや、って
思うけれど。
僕とガイの婚約式の服は
兄とガイのお母さん、
リリ姉様、それから
僕の母と父までもが
一緒になって考えたものらしい。
ついでにもう結婚式の
衣装も考案中なんだって。
まだ婚約式も始まってないのに
気が早すぎると思う。
婚約式が終わったら
僕はガイの別荘に旅行に
行くことになっている。
長期休暇中でないけど、
僕はもう卒業資格は持っているから
学院は関係ない。
逆に言うと、
僕が戻ってきてから
学院は長期休暇に入るんだ。
つまり、長期休暇の間は
サイラスやライリーの
領地に遊びに行けるかも
しれないし、なんなら
ティーナの領地にも行けるかも。
そう思うと、わくわくしてくる。
僕は婚約式の支度を
王宮で整えさせて
もらうことになった。
これもお姫様の配慮らしい。
確かに王宮の部屋を
借りることができたら
教会まで近いし、
助かるよね。
そう思って僕は
ケインとアンナと
一緒に王宮に向かった。
両親と兄は後から来るらしい。
僕たちは王宮に着くと
神聖教会に一番
近いという客間に案内された。
そこにはすでに
王宮侍女たちが待機していて
僕はケインと引き離されたかと思ったら
アッという間に服を脱がされ、
あたたかいお湯の中に入れられた。
え?
え?
って混乱しているうちに
体と髪を洗われて、
焦っていると、ようやく
アンナの姿が見えた。
アンナは冷静な素振りで
僕の髪を拭いてくれてるけど
絶対に焦ってると思う。
だって、目がまんまるだもの。
ものすごい早さで
髪を乾かされて、
僕は衣装を着せられた。
真っ白い衣装で、
トルソーに掛かっている
服を見たときは、
やっぱりドレスだ、って
思ったんだけど。
着てみたら違っていた。
ちゃんとズボンだし、
服は上下で分かれているから
変に体を締め付けられることもない。
ただ、袖や襟が大きくて
フリルが付いていたり、
ズボンにも大ぶりのドレープが
たくさん付いていて、
見た感じ、ドレスっぽく見える。
あと、上着の生地が
ものすごく薄いから、
下に来ているシャツが
透けて見えるぐらいで、
しかも、丈が長い。
丈は僕の腰より長いから、
これも女性が身に着ける
ベールのようにも見える。
婚約式の衣装は
基本は白色で、
互いの瞳の色を
差し色に使うって
聞いていたけれど、
僕の服は真っ白で、
金色の刺繡が胸のあたりに
してあった。
黄金の花に、
僕の瞳の緑色で
葉っぱがついている。
僕は薄くお化粧をされて
アンナと一緒に部屋を出た。
するとすでにガイが
扉の前で待っていてくれた。
「わぁ、すっごい、カッコイイ」
ガイは真っ白い騎士隊の服
だったけれど。
胸のところに、
僕と同じ花が。
緑色の花に、
金色の葉がツタのように
絡みついている刺繍がしてあった。
「ふふ、僕とおそろいだね」
「あ、あぁ、そうだな」
ガイはうなずきながら
何度も僕を見る。
「ガイ?」
「いや、綺麗だと思って」
改めて言われると
ちょっと恥ずかしい。
だって僕は可愛いって
よく言われるけれど、
綺麗とは言われることは
あまりなから。
「行くか」
ガイに手を差し出され、
僕はその手を取る。
僕たちの前には
王宮侍女がいて
先導するように歩いてくれた。
教会までは本当に
すぐだったけれど、
教会までの道のりには
騎士団の人たちだと思う。
騎士の格好をした人が
沢山立っていて、
お祝いの言葉を送ってくれた。
こんなに騎士の人たちがいて
大丈夫なのか心配になったけれど、
王族が集合するから
警備も兼ねているとガイが言う。
僕たちが教会に着くと、
すでに、ティーナや
サイラス、ライリーが待っていてくれた。
もちろん、
僕とガイの家族、
リリ姉様も来てくれている。
僕たちは皆に
お礼の合図をして、
王宮侍女に連れられるまま
控室へと移動した。
控室は祭壇がある
礼拝堂のすぐ横にあって
小さな窓から
礼拝堂の様子がよく見える。
礼拝堂にある
長い椅子の一番前には
僕の両親と兄。
本当は兄の婚約者も
来てくれるはずだったけど、
急遽、兄が来なくていい、
って言ったらしい。
なんでって、
陛下たち王族が参列するから。
兄は陛下や王子殿下たちと
仲が悪いのかなって
たまに思う。
僕にもあまり王家とは
関わるな、って
言ってたぐらいだし。
まぁ、身内だけの婚約式だし、
結婚式には来てくれるって
お手紙をもらっているから
僕はそれでいいんだけど。
それに、僕、気づいているんだ。
兄の婚約者は元騎士団長の
娘さんで、王宮で
王族を守る騎士をしている。
だからね、
式場内にいる近衛騎士に混ざって
女性騎士が一人、一番前に
立っているんだけど、
絶対に、僕の知っている人だと思う。
参列者だと陛下たちの
目に留まるかもしれないけれど、
護衛で式に参加するのなら、
目立たないよね。
兄は自分の家族が
王家の人たちに
利用されるのが怖いんだと思う。
そんなに心配しなくても
大丈夫だと思うんだけど。
僕の家族が座る椅子の
後ろには、ティーナと
伯爵家の侍女らしき人がいて、
その後ろの列の椅子に、
ライリーとケインが座っている。
ケインとアンナは、
椅子に座らずに、
入り口付近で立っていた。
長い椅子は左右に
分かれていて、
僕の知っている人たちは
祭壇に向かって左側に
いるみたい。
逆に右側には、
ガイの両親。
その後ろには
たぶんガイの兄様と
リリ姉様がいる。
それから、
近衛騎士だと思うんだけど。
白い騎士隊服を着た
騎士たちが椅子の前ではなく
その横に付くように
何人も立っていた。
一番前は、女性騎士だ。
様子を見ていると、
祭壇の正面にある
扉が開いて、
陛下と王妃様が入ってきた。
その後に王太子殿下とお姫様。
それから第二王子殿下が
やってくる。
全員、近衛騎士に
守られるように椅子に座った。
すごい。
ものすごい迫力がある。
これが王族の人たちか、
って思ったら、
緊張してきた。
「ガイ、僕、
失敗したらどうしよう」
あんなすごい人たちの前で
僕、大丈夫かな?
「失敗?
どんなエレでも
可愛いからいいだろう」
ガイが真顔で言う。
本気でそう思ってるみたいで、
僕は思わず笑ってしまった。
「もう、そういうわけにはいかないよ」
って言ったけど。
体の力が抜けてきた。
ガイがいるから、
きっと僕は大丈夫。
ガイの腕に掴まると、
「大丈夫か?」
と心配そうに顔を覗き込まれた。
「うん、大丈夫」
本当に、大丈夫だ。
ここから、僕はもう
守られてるだけの
役立たずの僕じゃなくなる。
僕はこれから
バーンズ侯爵家を継いで
領民を守るんだから。
不安はあるけど、
ガイが一緒だもん。
前に進む一歩を、
ガイと一緒に踏み出すんだ。
僕が決意を固めたとき、
神官さんから合図がある。
「行くか」
ガイの言葉にうなずき、
僕たちは控室から出た。
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