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99:大人の階段1段目
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僕はお昼寝をした後、
ガイに馬に乗せてもらって
森を探索した。
初めて馬に乗ったけれど、
怖くはなかったし、
それどころか視界が高くて
僕ははしゃいでしまったぐらいだ。
ガイは森の中を通り、
温泉が流れているという
川を見せてくれた。
小さな小川だったけれど、
馬を下りて
手を浸すと温かい。
この川の源泉は
別荘に引いている温泉と
同じものだとガイはいう。
朝は見れなかったけれど、
町では温泉を使った化粧品や
料理を提供する店もあるらしい。
明日はそこに行ってみよう、と
言われて僕は大きく頷いた。
楽しみだ。
僕とガイは靴を脱いで
川に足を入れた。
町の人たちも
こうして川に足を入れて
のんびりおしゃべりしたり
子どもたちは寒い時期でも
川に入って遊ぶこともあるという。
「あったかいね」
と隣に座ったガイに言うと、
ガイは優しい瞳でうなずく。
たったこれだけで
僕の胸はぽかぽかするんだ。
「なぁ、エレ。
これから話すことは
内緒にしてほしいんだが」
ガイが僕を見つめて言う。
「学院の友達にも、
アンナやケインにも、
団長にも、もちろん、
俺の家族やエレの両親にもだ」
約束できるか?
って真剣な顔で聞かれて
僕はコクコクと頷いた。
いったい、なんだろう。
でもガイが内緒というのなら
僕は絶対に誰にも話さない。
「閨の話なんだが」
ねや?
ねやごとの話?
「閨事というのは、
好きな者同士が
互いを求める行為なんだ」
僕は頷く。
だから好きな相手か
婚約者ができてからでないと
学ばないってライリーたちは
言ってたんだ。
「俺はエレと一緒に
関係を深めたいと思っている。
エレを愛しているからだ。
だが」
ガイはそこまで言って
迷うような顔をする。
「団長やアンナたちは、
エレに閨事に関して
教えたくないと思っているはずだ」
「そうなの?」
「あぁ、だからエレは
ヴァレンティーナ嬢に
聞くまで、閨のことは
知らなかったんだろう?」
そう言われて僕は頷いた。
だってタウンハウスの図書室には
そういった本は1冊もなかったんだ。
「だから、今後は
閨に関することは秘密だ。
エレが興味を持ったことも、
俺と一緒に学ぶことも」
できるか?
と聞かれて、
僕は大きくと頷く。
兄が嫌がっているのなら
僕がガイとねやごとの
勉強をしたいなんて言ったら
ガイとの婚約がなくなるかもしれない。
それだけは嫌だ。
「いい子だ」とガイが僕の肩を引き寄せる。
それから頬にキスをして、
「こういうことも、
俺とだけだ」と言う。
僕が、うん、って言ったら
今度は唇が重なった。
「閨事は……
大人になるときに
誰しも知ることになる」
「大人に?」
「ああ。
婚約も結婚も、
エレが成長したから
団長がその話をしたのだろう。
エレが大人になる準備だ」
「僕が大人になる準備……」
そうだったんだ。
兄はものすごく過保護だけど、
僕の成長をちゃんと
認めてくれていたんだ。
「閨のことも、
俺がエレに少しづつ教えよう。
エレが大人になる準備を
手伝わせてくれ」
いいか?
と聞かれて、
僕は、もちろん、っていう。
そしたら、重なった唇を
ぺろり、となめられた。
びっくりして唇を
少し開けたら、
ガイの舌が僕の口に潜り込んでくる。
驚きすぎて動けなくて。
僕はガイに舌を吸われて
体を震わせた。
「嫌だったか?」
唇が離れて聞かれる。
僕は首を振ったけれど、
体が熱くなって、
心臓がバクバクしている。
これが、大人の準備……?
「これが閨事の始まりだ。
学べそうか?」
今のが?
今のキスが閨事の始まり?
僕は顔が熱くなる。
こんなの誰にも言えるわけがない。
なんか恥ずかしくて、
心臓がドキドキして。
でも、離れたら寂しくなった。
恥ずかしかったけれど、
もっと続いて欲しい、って思えた。
そんなこと、
恥ずかしくて言えないけど。
「続きは、また……な」
ガイは少し顔を赤くして
僕から離れる。
「さて、戻るか」
ガイは立ち上がり、
持っていたタオルで
足を拭いた。
そして靴を履いてから
僕の体を抱き上げる。
ガイは僕を馬に乗せてから
僕の足を拭いてくれた。
靴を履かせてくれたけれど、
ガイは馬の手綱を持ち、
僕を乗せたままゆっくりと
歩き出す。
「わぁ、すごい」
初めて一人で馬に乗っている。
ゆっくりだけど、
歩いているだけだけど。
それでも僕にとっては
すごい経験だった。
屋敷の中しか知らない僕が
一人で馬に乗れるようになるなんて。
このことは兄には内緒にしよう。
知られたら、絶対に兄は怒ると思う。
だってものすごく心配性だから。
それから、ねやごとのことも。
さっきにキスを思い出して、
僕は無性に恥ずかしくなる。
あんなキス……初めてだ。
ううん。
キスにいろんな種類があるなんて
思いもしなかった。
あれが、ねやごとの最初なんだ。
好きな人や婚約者以外には
内緒、って意味もわかった。
あんなの、友達にだって
なかなか言えないと思う。
ガイはさっきのことなんて
何もなかったみたいに
僕の横で話しかけてくれる。
「ほら、あそこにリスがいるぞ」
「ほんとだ」
「あっちの花は毒だから
見つけても触るなよ」
「うん」
ガイは馬の手綱を持ちながら
僕にいろんなことを教えてくれる。
でも僕は、どれも話半分だ。
ちらちらとガイを盗み見ると、
その都度、ガイと視線が合う。
それがなんだか恥ずかしくて
僕はつい、うつむいてしまうんだ。
甘いような、
いたたまれない空気のまま
別荘に戻ると、
アンナが待っていてくれた。
僕がガイの手を借りて
馬からおりると
「ぼっちゃま。
何かございましたか?」と
目ざとく言う。
「な、なんにもないよ」
って僕は返事をしたけれど、
アンナは目を細めて
ガイを見た。
ガイはアンナの視線には
気が付かない様子で
馬を使用人に渡している。
「ぼっちゃま。
夕食前に湯あみを致しましょう」
「え? うん?」
「森に行かれて
汚れているかもしれません」
「そ、うかな?」
「そうですとも」
「でも夜には温泉に……」
「ぼっちゃま、湯が先です」
強く言われて、
僕は思わず頷いた。
それから僕はアンナに言われるままに
部屋のバスタブで体と髪を洗ってもらった。
「どこか穢れはございますか?」
アンナは僕の髪を洗いながら言う。
それを言うなら、
かゆい場所はありませんか?
だと思うんだけど。
なんだかトゲトゲのアンナに
僕はガイとのことは
絶対に内緒にしようって
心に誓ったんだ。
ガイに馬に乗せてもらって
森を探索した。
初めて馬に乗ったけれど、
怖くはなかったし、
それどころか視界が高くて
僕ははしゃいでしまったぐらいだ。
ガイは森の中を通り、
温泉が流れているという
川を見せてくれた。
小さな小川だったけれど、
馬を下りて
手を浸すと温かい。
この川の源泉は
別荘に引いている温泉と
同じものだとガイはいう。
朝は見れなかったけれど、
町では温泉を使った化粧品や
料理を提供する店もあるらしい。
明日はそこに行ってみよう、と
言われて僕は大きく頷いた。
楽しみだ。
僕とガイは靴を脱いで
川に足を入れた。
町の人たちも
こうして川に足を入れて
のんびりおしゃべりしたり
子どもたちは寒い時期でも
川に入って遊ぶこともあるという。
「あったかいね」
と隣に座ったガイに言うと、
ガイは優しい瞳でうなずく。
たったこれだけで
僕の胸はぽかぽかするんだ。
「なぁ、エレ。
これから話すことは
内緒にしてほしいんだが」
ガイが僕を見つめて言う。
「学院の友達にも、
アンナやケインにも、
団長にも、もちろん、
俺の家族やエレの両親にもだ」
約束できるか?
って真剣な顔で聞かれて
僕はコクコクと頷いた。
いったい、なんだろう。
でもガイが内緒というのなら
僕は絶対に誰にも話さない。
「閨の話なんだが」
ねや?
ねやごとの話?
「閨事というのは、
好きな者同士が
互いを求める行為なんだ」
僕は頷く。
だから好きな相手か
婚約者ができてからでないと
学ばないってライリーたちは
言ってたんだ。
「俺はエレと一緒に
関係を深めたいと思っている。
エレを愛しているからだ。
だが」
ガイはそこまで言って
迷うような顔をする。
「団長やアンナたちは、
エレに閨事に関して
教えたくないと思っているはずだ」
「そうなの?」
「あぁ、だからエレは
ヴァレンティーナ嬢に
聞くまで、閨のことは
知らなかったんだろう?」
そう言われて僕は頷いた。
だってタウンハウスの図書室には
そういった本は1冊もなかったんだ。
「だから、今後は
閨に関することは秘密だ。
エレが興味を持ったことも、
俺と一緒に学ぶことも」
できるか?
と聞かれて、
僕は大きくと頷く。
兄が嫌がっているのなら
僕がガイとねやごとの
勉強をしたいなんて言ったら
ガイとの婚約がなくなるかもしれない。
それだけは嫌だ。
「いい子だ」とガイが僕の肩を引き寄せる。
それから頬にキスをして、
「こういうことも、
俺とだけだ」と言う。
僕が、うん、って言ったら
今度は唇が重なった。
「閨事は……
大人になるときに
誰しも知ることになる」
「大人に?」
「ああ。
婚約も結婚も、
エレが成長したから
団長がその話をしたのだろう。
エレが大人になる準備だ」
「僕が大人になる準備……」
そうだったんだ。
兄はものすごく過保護だけど、
僕の成長をちゃんと
認めてくれていたんだ。
「閨のことも、
俺がエレに少しづつ教えよう。
エレが大人になる準備を
手伝わせてくれ」
いいか?
と聞かれて、
僕は、もちろん、っていう。
そしたら、重なった唇を
ぺろり、となめられた。
びっくりして唇を
少し開けたら、
ガイの舌が僕の口に潜り込んでくる。
驚きすぎて動けなくて。
僕はガイに舌を吸われて
体を震わせた。
「嫌だったか?」
唇が離れて聞かれる。
僕は首を振ったけれど、
体が熱くなって、
心臓がバクバクしている。
これが、大人の準備……?
「これが閨事の始まりだ。
学べそうか?」
今のが?
今のキスが閨事の始まり?
僕は顔が熱くなる。
こんなの誰にも言えるわけがない。
なんか恥ずかしくて、
心臓がドキドキして。
でも、離れたら寂しくなった。
恥ずかしかったけれど、
もっと続いて欲しい、って思えた。
そんなこと、
恥ずかしくて言えないけど。
「続きは、また……な」
ガイは少し顔を赤くして
僕から離れる。
「さて、戻るか」
ガイは立ち上がり、
持っていたタオルで
足を拭いた。
そして靴を履いてから
僕の体を抱き上げる。
ガイは僕を馬に乗せてから
僕の足を拭いてくれた。
靴を履かせてくれたけれど、
ガイは馬の手綱を持ち、
僕を乗せたままゆっくりと
歩き出す。
「わぁ、すごい」
初めて一人で馬に乗っている。
ゆっくりだけど、
歩いているだけだけど。
それでも僕にとっては
すごい経験だった。
屋敷の中しか知らない僕が
一人で馬に乗れるようになるなんて。
このことは兄には内緒にしよう。
知られたら、絶対に兄は怒ると思う。
だってものすごく心配性だから。
それから、ねやごとのことも。
さっきにキスを思い出して、
僕は無性に恥ずかしくなる。
あんなキス……初めてだ。
ううん。
キスにいろんな種類があるなんて
思いもしなかった。
あれが、ねやごとの最初なんだ。
好きな人や婚約者以外には
内緒、って意味もわかった。
あんなの、友達にだって
なかなか言えないと思う。
ガイはさっきのことなんて
何もなかったみたいに
僕の横で話しかけてくれる。
「ほら、あそこにリスがいるぞ」
「ほんとだ」
「あっちの花は毒だから
見つけても触るなよ」
「うん」
ガイは馬の手綱を持ちながら
僕にいろんなことを教えてくれる。
でも僕は、どれも話半分だ。
ちらちらとガイを盗み見ると、
その都度、ガイと視線が合う。
それがなんだか恥ずかしくて
僕はつい、うつむいてしまうんだ。
甘いような、
いたたまれない空気のまま
別荘に戻ると、
アンナが待っていてくれた。
僕がガイの手を借りて
馬からおりると
「ぼっちゃま。
何かございましたか?」と
目ざとく言う。
「な、なんにもないよ」
って僕は返事をしたけれど、
アンナは目を細めて
ガイを見た。
ガイはアンナの視線には
気が付かない様子で
馬を使用人に渡している。
「ぼっちゃま。
夕食前に湯あみを致しましょう」
「え? うん?」
「森に行かれて
汚れているかもしれません」
「そ、うかな?」
「そうですとも」
「でも夜には温泉に……」
「ぼっちゃま、湯が先です」
強く言われて、
僕は思わず頷いた。
それから僕はアンナに言われるままに
部屋のバスタブで体と髪を洗ってもらった。
「どこか穢れはございますか?」
アンナは僕の髪を洗いながら言う。
それを言うなら、
かゆい場所はありませんか?
だと思うんだけど。
なんだかトゲトゲのアンナに
僕はガイとのことは
絶対に内緒にしようって
心に誓ったんだ。
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