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102:ねやごとの意味
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ガイは僕の腰を掴むと
丁寧に湯の中に戻してくれた。
でも僕は恥ずかしすぎて
ガイの顔をまともに見れない。
いたたまれないというか、
ちょっと気まずい空気で
僕もガイも黙ってしまう。
ただ、さっきのことで
僕はわかったことがある。
好きだから知りたい。
知ってほしい。
触れ合いたい。
それらすべてが
ねやごとになる。
そしてガイはそれを
望んでくれているけど、
僕は……
「ぼ、く、あのね」
湯に入って、
冷えた体がぬくもってから
僕は少し濁った湯を見たまま
口を開いた。
ガイの視線が僕の顔に向くのがわかる。
でも、なかなか顔を上げることができない。
「その、僕はガイのことが大好きなの」
僕は一生懸命、思ったことを言葉にする。
僕はガイのことが大好きだ。
アイシテルってこういうことだって思った。
でも、まだまだ僕は子どもで、
ガイが大好きで、
そばにいて欲しくて、
頭を撫でられたら嬉しくて。
膝に乗せてもらって、
甘えたくなって。
それをガイが受け入れてくれて、
僕はそれだけで嬉しくて。
でも、僕の想いはそこで止まっていた。
僕のことをもっと知ってほしいとか、
ガイのことをもっと知りたいとか。
そういう乞うような感情はなかった。
僕は何もわかってなかった。
本当に子どもだった。
僕はガイのことを
知りたいって本気では思っていなかった。
僕のことを知って欲しいって
本当の意味では思ってなかった。
だって僕は。
何も言わなくても
ガイは僕のことを全部、
わかってくれてるって思ってたんだ。
今まで僕の周囲にいた人は
両親も兄もアンナも。
使用人たちも全員、
僕の様子を見て、
僕が求めるものを
口にする前に準備してくれた。
それが当たり前だったから
僕は誰もがそうだと思っていた。
でも町であった盗人みたいに
本当は僕を傷つける人だって
世の中にはいるし、
僕のことだけを考えて。
何も言わなくても
僕の考えていることを
理解してくれる人なんて
いるはずがない。
だって、
僕のことをあれほど
考えてくれている兄だって
僕は過保護だって、
僕のことをわかってくれてないって
思うことがあるのだから。
でも僕はその不満を
兄に伝えることはなかった。
だから兄は過保護のままだし
僕の不満はそのままだ。
ガイとのことも、
それと同じだと僕は思った。
ガイは僕のことを考えてくれていて
僕が話したことは理解してくれている。
例えば僕が可愛いものと
甘いものが好きだとか、
体が弱いとか。
でも、僕が話したこと以外は
僕のことなど知りようがない。
逆に僕もガイのことを
全く知らないのだと僕は気が付いた。
僕が知っているのは、
ガイが騎士で、優しくて、
頼りになって。
第二殿下の側近で
兄の部下で、
僕が合図をしたら
すぐに抱っこしてくれる人。
それだけで僕はガイの
全てを知ってるつもりだった。
誰よりも仲良しだと思ってた。
でも違った。
僕はあんなふうに
僕の足に口づけして
乞うような目をするガイなんて
知らなかった。
一緒に居たら楽しくて
安心せ、ふわふわする。
僕が考えていた「大好き」
はそんな感じだった。
でも、さっきのガイの瞳は
全然違った。
大人の、瞳だった。
あの瞳を見たら、
僕はまだまだ子どもで。
もしかしたら、
ガイとの想いに、
大きな差があるのかも?
僕はガイのこと大好きだけど、
本当にアイシテルなのかな?
そんなこと思ったら
ダメかもしれないけれど。
僕は急に不安になってきた。
僕がガイのことを好きなのは本当なのに。
その気持ちが嘘かも?って。
そう思ったら、自分の気持ちが
よくわからなくなってきた。
「僕、僕ね」
とりとめもなく、自分の気持ちを吐き出して、僕は。
「ガイが大好きなのは、本当なんだよ」
最後に残った気持ちをガイに告げる。
「あぁ、良く分かった」
って、ガイは僕を抱き寄せてくれた。
「すまない、エレが可愛いから
性急にしすぎたな」
ガイが僕の頬に触れる。
「閨事については、
もう、わかっただろう?」
僕は頷く。
「じゃあ、もう誰にも
聞いたりしたらダメだ。
それから俺とのことも内緒だ」
もう一度、僕は深く頷く。
「エレはまだ子どもだし、
団長の過保護な監視下にいたんだ。
恋愛に対しても何も知らなくてあたりまえだ」
ガイはそう言い、
僕の頬に唇を寄せた。
「俺のそばにいて、
俺と一緒に、エレのペースで
進んでいけばいい」
頬から離れた唇が、
今度は、僕の唇が重なった。
「俺と、こうするのは嫌か?」
僕は首を横に振る。
「俺が、怖いか?」
「そんなことないっ」
今度はちゃんと声が出た。
ガイはほっとしたような顔をする。
「じゃあ、ゆっくりでいい。
ただ、これからも俺は
エレに触れたい。
それはいいか?」
「う、うん」
ガイは僕の髪を撫でながら
「よかった」と笑う。
「エレの体がちゃんと
成長するまで、
俺は最後の一線は守るつもりだ」
最後の一線ってなに?
って思ったけれど、
真剣なガイの顔に僕は口をはさめなかった。
「でも、できるだけ触れ合いたい。
俺のことを知ってほしいし、
エレのことをもっと知りたい」
いいか?
と言われて、僕は恥ずかしかったけど、
うん、って返事をして、
自分からガイにしがみついた。
ガイが知っていた僕のことも、
僕が知っていたガイのことも。
全部、全部、表面上のことだけだった。
ガイが言ってたみたいに、
ガイは僕の足のやらわかさも
知らなかっただろうし、
僕だって、ガイの足や腕が
どんな形で、どんな固さなのか知らない。
筋肉がたくさんあって
固いとは思うけれど。
でも、確かに僕は知りたいって思った。
大好きなガイのことだから、
知ってるつもりじゃなくて、
ちゃんと知りたい。
そして僕のことも知ってほしいって思う。
そう思って、僕はガイの肩に
顔を押し付けて、あぁ、って思った。
互いに知りたい、
知ってほしい、
触れ合いたい。
これが恋愛で、ねやごとに
繋がるんだ、って。
それがわかっただけで、
僕は少し大人になった気がした。
でも、実際は僕はまだ子どもで
無知なのは理解している。
だから。
「僕に、これからも
いろんなことを教えてね」
ってガイに言ったら。
ガイは少しうわずった声で
「もちろんだ」って頷いた。
丁寧に湯の中に戻してくれた。
でも僕は恥ずかしすぎて
ガイの顔をまともに見れない。
いたたまれないというか、
ちょっと気まずい空気で
僕もガイも黙ってしまう。
ただ、さっきのことで
僕はわかったことがある。
好きだから知りたい。
知ってほしい。
触れ合いたい。
それらすべてが
ねやごとになる。
そしてガイはそれを
望んでくれているけど、
僕は……
「ぼ、く、あのね」
湯に入って、
冷えた体がぬくもってから
僕は少し濁った湯を見たまま
口を開いた。
ガイの視線が僕の顔に向くのがわかる。
でも、なかなか顔を上げることができない。
「その、僕はガイのことが大好きなの」
僕は一生懸命、思ったことを言葉にする。
僕はガイのことが大好きだ。
アイシテルってこういうことだって思った。
でも、まだまだ僕は子どもで、
ガイが大好きで、
そばにいて欲しくて、
頭を撫でられたら嬉しくて。
膝に乗せてもらって、
甘えたくなって。
それをガイが受け入れてくれて、
僕はそれだけで嬉しくて。
でも、僕の想いはそこで止まっていた。
僕のことをもっと知ってほしいとか、
ガイのことをもっと知りたいとか。
そういう乞うような感情はなかった。
僕は何もわかってなかった。
本当に子どもだった。
僕はガイのことを
知りたいって本気では思っていなかった。
僕のことを知って欲しいって
本当の意味では思ってなかった。
だって僕は。
何も言わなくても
ガイは僕のことを全部、
わかってくれてるって思ってたんだ。
今まで僕の周囲にいた人は
両親も兄もアンナも。
使用人たちも全員、
僕の様子を見て、
僕が求めるものを
口にする前に準備してくれた。
それが当たり前だったから
僕は誰もがそうだと思っていた。
でも町であった盗人みたいに
本当は僕を傷つける人だって
世の中にはいるし、
僕のことだけを考えて。
何も言わなくても
僕の考えていることを
理解してくれる人なんて
いるはずがない。
だって、
僕のことをあれほど
考えてくれている兄だって
僕は過保護だって、
僕のことをわかってくれてないって
思うことがあるのだから。
でも僕はその不満を
兄に伝えることはなかった。
だから兄は過保護のままだし
僕の不満はそのままだ。
ガイとのことも、
それと同じだと僕は思った。
ガイは僕のことを考えてくれていて
僕が話したことは理解してくれている。
例えば僕が可愛いものと
甘いものが好きだとか、
体が弱いとか。
でも、僕が話したこと以外は
僕のことなど知りようがない。
逆に僕もガイのことを
全く知らないのだと僕は気が付いた。
僕が知っているのは、
ガイが騎士で、優しくて、
頼りになって。
第二殿下の側近で
兄の部下で、
僕が合図をしたら
すぐに抱っこしてくれる人。
それだけで僕はガイの
全てを知ってるつもりだった。
誰よりも仲良しだと思ってた。
でも違った。
僕はあんなふうに
僕の足に口づけして
乞うような目をするガイなんて
知らなかった。
一緒に居たら楽しくて
安心せ、ふわふわする。
僕が考えていた「大好き」
はそんな感じだった。
でも、さっきのガイの瞳は
全然違った。
大人の、瞳だった。
あの瞳を見たら、
僕はまだまだ子どもで。
もしかしたら、
ガイとの想いに、
大きな差があるのかも?
僕はガイのこと大好きだけど、
本当にアイシテルなのかな?
そんなこと思ったら
ダメかもしれないけれど。
僕は急に不安になってきた。
僕がガイのことを好きなのは本当なのに。
その気持ちが嘘かも?って。
そう思ったら、自分の気持ちが
よくわからなくなってきた。
「僕、僕ね」
とりとめもなく、自分の気持ちを吐き出して、僕は。
「ガイが大好きなのは、本当なんだよ」
最後に残った気持ちをガイに告げる。
「あぁ、良く分かった」
って、ガイは僕を抱き寄せてくれた。
「すまない、エレが可愛いから
性急にしすぎたな」
ガイが僕の頬に触れる。
「閨事については、
もう、わかっただろう?」
僕は頷く。
「じゃあ、もう誰にも
聞いたりしたらダメだ。
それから俺とのことも内緒だ」
もう一度、僕は深く頷く。
「エレはまだ子どもだし、
団長の過保護な監視下にいたんだ。
恋愛に対しても何も知らなくてあたりまえだ」
ガイはそう言い、
僕の頬に唇を寄せた。
「俺のそばにいて、
俺と一緒に、エレのペースで
進んでいけばいい」
頬から離れた唇が、
今度は、僕の唇が重なった。
「俺と、こうするのは嫌か?」
僕は首を横に振る。
「俺が、怖いか?」
「そんなことないっ」
今度はちゃんと声が出た。
ガイはほっとしたような顔をする。
「じゃあ、ゆっくりでいい。
ただ、これからも俺は
エレに触れたい。
それはいいか?」
「う、うん」
ガイは僕の髪を撫でながら
「よかった」と笑う。
「エレの体がちゃんと
成長するまで、
俺は最後の一線は守るつもりだ」
最後の一線ってなに?
って思ったけれど、
真剣なガイの顔に僕は口をはさめなかった。
「でも、できるだけ触れ合いたい。
俺のことを知ってほしいし、
エレのことをもっと知りたい」
いいか?
と言われて、僕は恥ずかしかったけど、
うん、って返事をして、
自分からガイにしがみついた。
ガイが知っていた僕のことも、
僕が知っていたガイのことも。
全部、全部、表面上のことだけだった。
ガイが言ってたみたいに、
ガイは僕の足のやらわかさも
知らなかっただろうし、
僕だって、ガイの足や腕が
どんな形で、どんな固さなのか知らない。
筋肉がたくさんあって
固いとは思うけれど。
でも、確かに僕は知りたいって思った。
大好きなガイのことだから、
知ってるつもりじゃなくて、
ちゃんと知りたい。
そして僕のことも知ってほしいって思う。
そう思って、僕はガイの肩に
顔を押し付けて、あぁ、って思った。
互いに知りたい、
知ってほしい、
触れ合いたい。
これが恋愛で、ねやごとに
繋がるんだ、って。
それがわかっただけで、
僕は少し大人になった気がした。
でも、実際は僕はまだ子どもで
無知なのは理解している。
だから。
「僕に、これからも
いろんなことを教えてね」
ってガイに言ったら。
ガイは少しうわずった声で
「もちろんだ」って頷いた。
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