長編版・不能の公爵令息は婚約者を愛でたい(が難しい)

たたら

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103:大人の階段3段目

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 僕はガイに抱きしめられたまま
湯に入っていたけれど、
少しのぼせてきてしまった。

「ガイ、僕ね、ちょっと休憩する」

僕の視線は、ガイが飲み物の箱を
置いた休憩場に向いている。

「わかった。
水だけじゃなくて
果実水もあるから
好きなのを飲めばいい」

ガイはそう言って、
僕を支えて立ち上がらせてくれた。

僕はよいしょ、っと
露天風呂の外に出ると、
その足で休憩場へと向かう。

休憩場は床から
階段を3段上がったところにあった。

階段の踊り場みたいに
段の上は広がっていて、
少し高い位置にあるからか、
風が心地好く感じる。

それに床には大きな
バスタオルが敷いてあるけれど、
それ以外にも、
木製の長椅子も置いてある。

長椅子にはもちろん、
大きなタオルが敷いてあり、
ひじ掛けには体に
掛けることができるタオルもあった。

昼間だったらここで昼寝ができそうだ。

僕は長椅子に座って
箱の中を覗き込んだ。

テーブルは長椅子の
すぐ横にあり、
座ったままでも
箱の中を見ることができる。

「わぁ」

ガイは果実水と言っていたけれど、
それだけではなく、
本当の果汁のジュースも入っていた。

どれにしようかな。
でもまずは喉が渇わいているから
水を飲もう。

僕が水を飲んでいると、
「うまいか?」
ってガイの声がする。

振り返ると、
ガイが段の下から
僕を見ていた。

「うん。ガイも飲む?」

僕が聞くと、
ガイがそうだな、という。

僕はガイのために水を
コップに入れて、
そっと運んだ。

「どうぞ」
って僕がしゃがんで
ガイにコップを差し出すと、
ガイはそれを受け取ったけれど、
飲むことはせずに、
僕がいる休憩所の床に置く。

「ガイ?」

「その、なんだ。すまない」

何が?

「刺激的すぎて……
いや、何と言えばいいのか、
いや、とにかく、座ってくれないか?」

ガイが言うので、
僕は休憩所の
階段に座った。

背もたれが無いのは
ちょっとしんどいけど、

縁のところで膝を曲げ、
足をおろすことができるので、
しゃがむよりも楽ちんだ。

目の前にはガイの顔があるけれど、
段差のせいか、
いつもみたいに
見上げるほどではない。

「これでいい?」

「そう、だな。
いや、そう……だな?」

ガイは口ごもり、
僕を見る。

「もう、少しだけ、
続きをしてもいいか?」

なんの?って思ったけれど。
僕は口を閉ざした。

だってガイが、
さっきと同じ、
僕を請うような瞳をしていたから。

また足にキスをされるかも?

そう思っただけで
僕は体が熱くなる。

でも嫌じゃないし、
ガイが触れたいのなら
触れて欲しいと思う。

僕が頷くと、
ガイは優しい顔をしたまま
僕の頬を大きな手で包み込んだ。

ガイの大きな右手に、
僕も頬をすり寄せる。

それから唇が重なった。

何度も、何度も。

唇をなめられ、
息苦しくなって
唇を開けたらそのまま
ガイの舌が潜り込んでくる。

食い尽くされるような感覚に
頭がくらくらする。

僕の体が後ろに倒れそうに
なったけれど、
ガイが僕の背中を支えてくれて、

僕は足を休憩場の淵から
投げ出した状態で
バスタオルの上に
背中からゆっくりと倒れた。

膝のところで
僕の足はぷらぷらしてたけど、
そんな足にガイの体が
押し付けられる。

ガイはいつもみたいに
腰にタオルを巻いていたのか
僕の足にあたるのは
タオルの感触だった。

でも、タオルの下に
固いガイの体があるのはわかる。

ガイは僕の上に
覆いかぶさるように
僕の口の中を舌でまさぐった。

僕はどうしていいか
わからずに、なすがままだ。

僕のむき出しの下半身が
ガイのお腹あたりに
押し付けられている。

重たいわけでも、
痛いわけでもないけれど、
肌が重なっている感覚に
また体が熱くなってしまった。

ガイは僕から口を離すと、
「すまない」と何度も言って
僕に咬みつくような口づけをする。

僕からは見えない足のところで、
ガイの片手がせわしなく動いている。

それはわかったけれど、
ガイの体は休憩場より
下にあるので、
何をしているのかはわからない。

段差があって見えないからだ。

でもタオルが何度も僕の足にあたる。

もう片方の手は
僕の腰の後ろに回り、
僕を抱きしめている。

ガイの顔がどんどん赤くなり、
呼吸が激しくなる。

それに呼応するように
口づけも激しくなり、
それから、ガイが僕の腰を
ぎゅっと抱き寄せた。

大きな体が震えて
僕に許しを請うように
唇に、頬に、キスをして
それから顔を僕の肩にうずめる。

「ガイ?」

嵐のように熱くなった空気が
冷めていくのがわかった。

僕の肩に顔をうずめるガイの
頬は赤くて、それから
僕に乱暴にキスをしたことを
恥じているようにも見える。

だから僕は
ガイの頭を両手で抱きしめた。

大丈夫だよ、って言いたくて。

びっくりしたけれど、
怒ってないし、
嫌じゃなかった。

いつも優しいキスばかり
だったけれど。

それで僕は心がぽかぽか
していたし、
満たされていたけれど。

でも、あんなふうに
激しく求められるようなキスは、
いつも感じていたのとは
また違った充足感があった。

ガイに求められて、
嬉しい、って感情だと思う。

だってそれは、
ガイがそれだけ僕のことを
愛してるって証拠だと思うから。

だから僕は素直な気持ちを
ガイに伝える。

「大好き」って。

ガイが僕に何をしたって、
僕はガイが大好きだと思う。

嫌いになんてならないし、
ガイが僕にすることは
僕のことを大好きだから
そうするんだってわかってるから。

兄が僕のことを過保護にするのも
僕のことが好きだからだ。

ガイは兄ではないけれど、
そういう所は同じだと思う。

だから。

「僕はね、
ガイが僕に何をしても
嫌いにならないし、
大丈夫だよ」

僕がそういうと、
ガイが顔を上げて僕を見た。

「だって僕、
ガイのこと大好きだもん」

愛してるんだ、って
僕は言い直そうと思った。

僕はすぐ大好きって
言ってしまうけれど、
そうじゃない。

この気持ちはアイシテルだ。

そう思ったのに。

ガイが泣きそうな顔で、
また僕にキスをしたから。

僕は何も言わずに
ガイを抱きしめたんだ。





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