113 / 132
112:幸運のアイテム
しおりを挟む
ガイの別荘で3日目の今日、
僕は一日、外出せずに
のんびり過ごすことにした。
明日は朝から次の町に
行くことになったのだ。
もう少しこの別荘で
温泉に入ってのんびりしても
良かったんだけど、
ガイがいろんな町を
見てみないか、って
誘ってくれたんだ。
僕は町歩きも
初めてだったぐらいだから
旅行なんてできるか
不安だったけど、
行きたい気持ちが強くて
すぐに了承してしまった。
そんなわけで今日は
明日出発するための
準備をしている。
ガイには昨夜、
寝る前にケインに
相談したことを伝えた。
ケインが絶対に
言っておくべきだっていうから。
ベッドの上で、
「嫌われるのが怖くて
すぐに相談できなくて
ごめんなさい」って言ったら
ガイは何も言わず
抱きしめてくれたんだ。
ぎゅうって腕の力が強くて
ちょっと痛かったけど、
僕はガイの背中に
腕を回した。
嫌われなくてよかったって
安心して、僕はそのまま
ガイと一緒にベッドで眠ったんだ。
そして朝起きたら、
ガイに別の町に
行ってみないかと
誘われた。
この別荘の近くにも
いろんな町があるらしい。
町それぞれに
特産物があるようで、
ガイの話を聞いているだけで
わくわくしてしまう。
それだけで僕は嬉しくて、
ガイの膝に座ってしまう。
僕にはすべてが
初めてだから
何がしたいとかはない。
見たいものや欲しいもの
買いたいものも、
そもそも何があるか
わからないから、
それこそやりたいことなんて言えない。
だからガイは、
一緒にいろんな経験をしよう、
って言ってくれるんだ。
こんなの絶対に、
ガイとの旅行でないと
経験できないことだと思う。
僕の周囲は過保護ばかりだもの。
それから僕は栞を作った。
アンナに言って
紙を準備してもらい、
丁寧にそこにお花の絵を描いたんだ。
僕は小さいころから
屋敷に篭っていたから、
絵を描くのも得意な方だ。
画家じゃないから、
凄いものは描けないけど、
小さなころから
部屋に飾られていた
花や、図鑑の絵を
何度も真似て描いた経験がある。
僕は別荘の庭に咲いていた花を
模写して、それを栞にした。
時間があったら
押し花にできたんだけど、
さすがにそれは無理だし。
僕は一番上手に描けたものを
アンナにプレゼントした。
ブレスレットのことは
アンナには言えないから
ごめんね、って意味も込めて。
アンナは大喜びで
何度も僕にお礼を言う。
その様子を見ていたガイが
うらやましそうにしていたから、
ガイにも栞をプレゼントした。
栞は全部で5つ作ったから、
もう残りの1つを
ケインにもあげて、
あと一つは僕と兄の分だ。
みんなでお揃いの栞って
素敵だと思う。
僕がそう言うと、
ガイもケインもアンナも
兄と一緒なんて恐れ多い、
なんて言うけど、
そんなことないと思う。
兄も喜ぶと思うんだけどな。
それからキャシーさんと
僕を助けてくれた騎士たちに
手紙を書いた。
お礼を伝えて、
また来るね、って
書いたものをアンナに
渡したら、すぐに使用人が
届けてくれたみたい。
良かった。
今日は皆忙しそうだから
僕は部屋で一人、
ソファーに座っている。
まだ夕食までには
時間があるから、
一人で温泉に入りに
行ってもいいかもしれないけど。
その前に、と僕は
テーブルの上に
ハンカチで包んでいた
ブレスレットを置いた。
『天使の加護』だ。
昨日起こった不思議なことは
絶対にこのブレスレットのせいだと思う。
ガイはこの世界には
不思議なことが山ほどあるし、
僕に害がないのなら、
心配する必要はないって
言ってくれたけど。
ブレスレットはよく見なくても
本当に綺麗な作りをしている。
細く繊細な金と銀の金属細工は
蔓植物みたいに丸く絡み合っていて、
その絡み合う部分に、
小さな宝石が組み込まれている。
宝石はどれも小さくて
僕には何の宝石かはわからなかったけど、
紫、赤、青、緑、黄色の5色の石が
散らばっていて、それとは別に、
透明の石が5つ組み合わさって
小さな花になっているモチーフが
1つ、付いている。
これをもらったときは
怖かったから
あまり見ないようにして
ポケットに入れてしまったけれど。
じっくり見たら
可愛いし、綺麗だ。
金属細工は細くて、
乱暴にしたら
切れてしまいそうだけど、
それぐらい細い細工は
珍しいし、繊細で、
すごく美しいと僕は思った。
「こんなの素敵なの、
本当に僕が付けていいのかな」
それにこれを身に着けたら
願いが叶うんだよ?
僕よりも、もっと
困っている人が
持ってた方が良いと思う。
だって僕は何も困ってないし、
むしろ幸せすぎる生活をしている。
家族には愛されてるし、
ガイもそばにいてくれるし、
アンナも、ケインもいる。
美味しいものを食べて、
好きな時に休んで、
学院に行けば友達だっている。
僕、恵まれすぎてるって
自分でも思うほどだもの。
そんなことを思いながら
ブレスレットを見つめていると
テーブルが少し揺れた気がした。
地震?
周囲を見回したけれど、
何もなかったみたい。
もう一度、テーブルを見ると、
透明だったはずの
小花のモチーフの石が
赤くなっている。
「えっと、なに?
どうなってんの」
僕が手を伸ばして
ブレスレットを持つと、
「え、熱い」
やけどをするほどではないけど
手に持つと熱を帯びたみたいに
ブレスレットが熱かった。
「あの、え?
もしかして、怒ってる?
僕が君を手放そうとしたから?」
まさか、と思ったけど
つい、そんなことを
口にしてしまった。
すると、僕の手の中で
確かにブレスレットが震えたんだ。
「ご、ごめんね?
えっと、僕はあまり
アクセサリーを付けないし、
外に行くこともあまりないから、
頻繁には一緒に出歩けないけど。
それでも僕のところに来る?」
僕が言うと、
ブレスレットは震えるのを止め
動かなくなった。
よく見ると、赤い小花が
透明の石に戻ってる。
「ガイー!」って
僕は大声で叫んでしまった。
僕が大声を出すなんて、
めったにない。
というか、
初めてだったかもしれない。
僕の声にガイだけでなく
アンナも、ケインも
屋敷の使用人たちも
慌てた様子で部屋に飛び込んできた。
僕は彼らの形相にびっくりして。
「騒いでごめんなさい」って
思わず言ってしまった。
僕は一日、外出せずに
のんびり過ごすことにした。
明日は朝から次の町に
行くことになったのだ。
もう少しこの別荘で
温泉に入ってのんびりしても
良かったんだけど、
ガイがいろんな町を
見てみないか、って
誘ってくれたんだ。
僕は町歩きも
初めてだったぐらいだから
旅行なんてできるか
不安だったけど、
行きたい気持ちが強くて
すぐに了承してしまった。
そんなわけで今日は
明日出発するための
準備をしている。
ガイには昨夜、
寝る前にケインに
相談したことを伝えた。
ケインが絶対に
言っておくべきだっていうから。
ベッドの上で、
「嫌われるのが怖くて
すぐに相談できなくて
ごめんなさい」って言ったら
ガイは何も言わず
抱きしめてくれたんだ。
ぎゅうって腕の力が強くて
ちょっと痛かったけど、
僕はガイの背中に
腕を回した。
嫌われなくてよかったって
安心して、僕はそのまま
ガイと一緒にベッドで眠ったんだ。
そして朝起きたら、
ガイに別の町に
行ってみないかと
誘われた。
この別荘の近くにも
いろんな町があるらしい。
町それぞれに
特産物があるようで、
ガイの話を聞いているだけで
わくわくしてしまう。
それだけで僕は嬉しくて、
ガイの膝に座ってしまう。
僕にはすべてが
初めてだから
何がしたいとかはない。
見たいものや欲しいもの
買いたいものも、
そもそも何があるか
わからないから、
それこそやりたいことなんて言えない。
だからガイは、
一緒にいろんな経験をしよう、
って言ってくれるんだ。
こんなの絶対に、
ガイとの旅行でないと
経験できないことだと思う。
僕の周囲は過保護ばかりだもの。
それから僕は栞を作った。
アンナに言って
紙を準備してもらい、
丁寧にそこにお花の絵を描いたんだ。
僕は小さいころから
屋敷に篭っていたから、
絵を描くのも得意な方だ。
画家じゃないから、
凄いものは描けないけど、
小さなころから
部屋に飾られていた
花や、図鑑の絵を
何度も真似て描いた経験がある。
僕は別荘の庭に咲いていた花を
模写して、それを栞にした。
時間があったら
押し花にできたんだけど、
さすがにそれは無理だし。
僕は一番上手に描けたものを
アンナにプレゼントした。
ブレスレットのことは
アンナには言えないから
ごめんね、って意味も込めて。
アンナは大喜びで
何度も僕にお礼を言う。
その様子を見ていたガイが
うらやましそうにしていたから、
ガイにも栞をプレゼントした。
栞は全部で5つ作ったから、
もう残りの1つを
ケインにもあげて、
あと一つは僕と兄の分だ。
みんなでお揃いの栞って
素敵だと思う。
僕がそう言うと、
ガイもケインもアンナも
兄と一緒なんて恐れ多い、
なんて言うけど、
そんなことないと思う。
兄も喜ぶと思うんだけどな。
それからキャシーさんと
僕を助けてくれた騎士たちに
手紙を書いた。
お礼を伝えて、
また来るね、って
書いたものをアンナに
渡したら、すぐに使用人が
届けてくれたみたい。
良かった。
今日は皆忙しそうだから
僕は部屋で一人、
ソファーに座っている。
まだ夕食までには
時間があるから、
一人で温泉に入りに
行ってもいいかもしれないけど。
その前に、と僕は
テーブルの上に
ハンカチで包んでいた
ブレスレットを置いた。
『天使の加護』だ。
昨日起こった不思議なことは
絶対にこのブレスレットのせいだと思う。
ガイはこの世界には
不思議なことが山ほどあるし、
僕に害がないのなら、
心配する必要はないって
言ってくれたけど。
ブレスレットはよく見なくても
本当に綺麗な作りをしている。
細く繊細な金と銀の金属細工は
蔓植物みたいに丸く絡み合っていて、
その絡み合う部分に、
小さな宝石が組み込まれている。
宝石はどれも小さくて
僕には何の宝石かはわからなかったけど、
紫、赤、青、緑、黄色の5色の石が
散らばっていて、それとは別に、
透明の石が5つ組み合わさって
小さな花になっているモチーフが
1つ、付いている。
これをもらったときは
怖かったから
あまり見ないようにして
ポケットに入れてしまったけれど。
じっくり見たら
可愛いし、綺麗だ。
金属細工は細くて、
乱暴にしたら
切れてしまいそうだけど、
それぐらい細い細工は
珍しいし、繊細で、
すごく美しいと僕は思った。
「こんなの素敵なの、
本当に僕が付けていいのかな」
それにこれを身に着けたら
願いが叶うんだよ?
僕よりも、もっと
困っている人が
持ってた方が良いと思う。
だって僕は何も困ってないし、
むしろ幸せすぎる生活をしている。
家族には愛されてるし、
ガイもそばにいてくれるし、
アンナも、ケインもいる。
美味しいものを食べて、
好きな時に休んで、
学院に行けば友達だっている。
僕、恵まれすぎてるって
自分でも思うほどだもの。
そんなことを思いながら
ブレスレットを見つめていると
テーブルが少し揺れた気がした。
地震?
周囲を見回したけれど、
何もなかったみたい。
もう一度、テーブルを見ると、
透明だったはずの
小花のモチーフの石が
赤くなっている。
「えっと、なに?
どうなってんの」
僕が手を伸ばして
ブレスレットを持つと、
「え、熱い」
やけどをするほどではないけど
手に持つと熱を帯びたみたいに
ブレスレットが熱かった。
「あの、え?
もしかして、怒ってる?
僕が君を手放そうとしたから?」
まさか、と思ったけど
つい、そんなことを
口にしてしまった。
すると、僕の手の中で
確かにブレスレットが震えたんだ。
「ご、ごめんね?
えっと、僕はあまり
アクセサリーを付けないし、
外に行くこともあまりないから、
頻繁には一緒に出歩けないけど。
それでも僕のところに来る?」
僕が言うと、
ブレスレットは震えるのを止め
動かなくなった。
よく見ると、赤い小花が
透明の石に戻ってる。
「ガイー!」って
僕は大声で叫んでしまった。
僕が大声を出すなんて、
めったにない。
というか、
初めてだったかもしれない。
僕の声にガイだけでなく
アンナも、ケインも
屋敷の使用人たちも
慌てた様子で部屋に飛び込んできた。
僕は彼らの形相にびっくりして。
「騒いでごめんなさい」って
思わず言ってしまった。
51
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの二人は、スキルを得た事で魔王討伐に旅立つ勇者と彼の帰還を待つだけのただの親友となる。
勇者と親友の無自覚両片想いのじれったい恋愛の物語。
聖女を演じた巻き添え兄は、王弟殿下の求愛から逃げられない
深嶋(深嶋つづみ)
BL
谷口理恩は一年ほど前、妹と一緒に異世界に転移してしまった。
聖女として魔術の才を開花させた妹・世奈のおかげもあって、二人はアルゼノール王国の大教会に保護され、不自由のない暮らしを送ることができている。が、最近は世奈の奔放さに理恩は頭を抱えることもあった。
ある日、世奈の仕事を肩代わりした理恩は、病に臥せっている幼い第二王子・イヴァン王子のもとに参じることに。
――「僕が大人になったら、僕の妃になってくれませんか」。
何度も謁見を重ねるうちに理恩に懐いた彼は、目の前の聖女が偽者であることに気付かぬまま、やがて理恩に求愛する。
理恩は驚き、後ろめたい気持ちを抱きながらも、「大人になっても同じ気持ちでいてくれたなら」と約束を交わした。
その直後、何者かの陰謀に陥れられた世奈の巻き添えとなり、理恩は辺境の地へと飛ばされてしまい……。
――数年後、アルゼノール王国を出て世界中を巡っていた理恩は、とある国で偶然、王弟・イヴァンと再会する。
傷心の旅をしているのだという彼は、どういうわけか理恩との交流を持ちたがって――?
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
薄紅の檻、月下の契り
雪兎
BL
あらすじ
大正十年、華やかな文明開化の影で、いまだ旧き因習が色濃く残る帝都。
没落しかけた名家に生まれた“Ω(オメガ)”の青年・白鷺伊織は、家を救うため政略的な「番(つがい)」として差し出される運命にあった。
しかし縁談の相手は、冷酷無慈悲と噂される若き実業家であり“α(アルファ)”の当主・九条鷹司。
鉄道・銀行事業で財を成した九条家は、華族でもありながら成り上がりと蔑まれる存在。
一方の伊織は、旧華族の矜持を胸に秘めながらも、Ωであるがゆえに家族から疎まれてきた。
冷ややかな契約婚として始まった同居生活。
だが、伊織は次第に知ることになる。
鷹司がΩを所有物としてではなく、一人の人間として尊重しようとしていることを。
発情期を巡る制度、番契約を強制する家制度、そして帝都に広がる新思想。
伝統と自由のはざまで揺れながら、二人は「選ばされた番」から「自ら選ぶ伴侶」へと変わっていく——。
月明かりの下、交わされるのは支配ではなく、誓い。
大正浪漫薫る帝都で紡がれる、運命を超える愛の物語。
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
断罪回避のために親友と仮婚約したはずが、想像以上に執着されていた。
鷲井戸リミカ
BL
ある日アーサーは、自分がネット小説の世界に転生していることに気が付いた。前世の記憶によれば親友のフェルディナンドは、悪役令息という役割らしい。最終的に婚約者から婚約破棄され、断罪後は国外追放されてしまうのだとか。
大事な親友が不幸になるのを見過ごすわけにはいかない。とにかく物語の主人公たちから距離をとらせようと、アーサーはフェルディナンドを自分の婚約者にしてしまった。
とりあえず仮婚約という形にしておいて、学園を卒業したら婚約を解消してしまえばいい。そう考えていたはずがアーサーのとある発言をきっかけに、フェルディナンドの執着が明らかになり……。
ハッピーエンドです。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
拗らせ問題児は癒しの君を独占したい
結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。
一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。
補習課題のペアとして出会った二人。
セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。
身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。
期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる