120 / 132
119:海の街
しおりを挟む
次に僕たちが向かったのは
王都からさらに離れた
貿易の街だった。
海が近くて、
多くの国と貿易をしている街らしい。
しかもここはティーナの家、
ロチェスター家の領地らしい。
ロチェスター家に挨拶を
する予定はないけれど、
ここがティーナの生まれ育った
街だと思うと感慨深い。
この街に着いたのは
僕とガイ、それから
ケインたち護衛が乗った
馬車だけだった。
ただアンナたちには
連絡を入れていて、
この街で合流することに
なっているらしい。
宿屋を探すのは
ケインにお願いしたんだけど、
僕とガイがカフェでお茶を
飲んで待っていると、
ケインが一つの鍵を持って
戻ってきた。
全員が宿泊できるような
宿屋は見つからなかったので、
代わりに、一軒家を借りたという。
ある貴族が手放した別荘が
買い手がつかずに
売りに出されていたのを見つけて、
数日間だけ借りると
交渉してきたという。
さすがケインだ。
家具とかはそのまま
残っているし、
今は不動産屋で紹介された
手伝いの人たちが
家の掃除をしてくれているらしい。
「シーツも食器や
調理器具なんかも
全部新しいものに
買い替えるよう命じましたし、
まぁ、家具は無理ですけど
問題ないかと」
「そうか、助かる」
馬車も5、6台ぐらいは
停める場所があるらしく、
馬屋もあるという。
「買い出し部隊も
派遣しましたから
数時間後には大丈夫でしょう」
「そうか。
ではそれまで街をうろつくか」
ガイはそう言い、
僕に手を差し出した。
僕は頷き、手を繋ぐ。
街は海の匂いがした。
風も少しべたつく感じがする。
「少し海を見てみるか」
「うん、見てみたい」
当たり前だけど
僕は海も初めてだ。
するとガイは僕を抱っこして
「高台に行こう」という。
港町は海の砦にも
なっているので、
段差が多いらしい。
街に入ったばかりの場所は
馬車で乗り入れもしたし
平地だったけれど、
少し歩くと町はすぐに
坂になり、階段になった。
これは敵が海から
攻撃してきたときに、
避難する時間を稼ぐ意味もあるし、
嵐が来た場合、
海が荒れて
波が街を襲う場合もあるから
波が届かない高台に
住居や施設を造ったらしい。
理にかなってはいるけれど、
つまり体力が無い僕には
あまり向いていない街になる。
僕は抱っこされたまま
どんどん坂を上り、
階段を上がった。
坂には住居が並び、
階段の上には公園がある。
「ついたぞ」
とガイが下ろしてくれたのは
街を一望できる丘だった。
公園になっているようで
ベンチもある。
「すごい、海も……広い」
目の前は一面、海だった。
その下には、街が見える。
住居の屋根が規則正しく並んでいて、
その隙間に坂や階段があるのはわかる。
「綺麗。屋根の形も色も
全部、同じなんだ」
「そうだな。
ここは観光地にもなるから
景観にも気を使ってるだろうし、
逆に敵に攻められたとき、
迷路の役目にもなる」
そこまで考えて街を作っているんだ。
領主の役目って
僕が思っていた以上に重要かも。
僕、バーンズ侯爵家の
当主になるんだよね。
大丈夫だろうか。
一瞬、不安になったけど、
ガイが僕の頭を撫でる。
「バーンズ侯爵領は広大で
安定した収入もある。
他国から攻められるような
場所でもないし、
不安にならなくてもいいだろう」
「……ありがとう」
一瞬で僕の不安がわかったのかな。
僕はガイの大きな手を握る。
「ガイ、あのね」
「ん?」
「ずっと一緒に居てね」
僕がそう言うと、
ガイは笑った。
「そうだ、エレは
魚を食べたことはあるか?」
「魚? うん。
スープに入ってるよ」
「そうだな。
じゃあ、魚を食べに行こう」
ガイは言い、
また僕を抱っこする。
下り坂なら大丈夫だと思うけど、
楽ちんだから、いいか。
僕はガイに抱っこされたまま
大通りまで戻ってきた。
最初に入ったカフェまでくると
ケインと護衛が待っていてくれて
アンナたちと屋敷で
合流できたという。
ガイは僕たちはこのまま
夕方まで街を散策するから
アンナたちは荷を解いたら
自由にするように言い、
ケインを連れて
歩き出した。
「それで、どこに行くんです?」
ケインがガイに聞く。
「あのね、魚を食べるんだよ」
僕が返事をすると、
ケインが「魚ですか」と
残念そうな顔をする。
「ケインは魚は嫌い?」
「嫌いではないですが、
あの目はちょっと……」
「目?
魚に目があるの?」
僕は首をかしげる。
だってスープに入ってる魚は
白い身で、食べると
ほろほろになるやつだ。
「そりゃあるでしょう。
魚は魚ですし」
とケインはよくわからない返事をする。
ガイは苦笑して、
ケインに店を探してくるように言う。
ガイは行ったことが無いけれど、
ティーナの家が関わっている
料理屋があるらしい。
ケインは、はいはい、って
返事をして、あっという間に
走ってどこかに行ったけど、
すぐに戻ってきた。
街の人に聞いたら
すぐにわかったらしい。
ここから遠くない場所だというので、
僕はガイの腕から下りて
歩くことにした。
ケインが気にして
僕のフードを深くする。
もう、誰も僕のことなんか
見ないってば。
ちょっと唇を尖らせて、
僕はガイと手を繋いで
お店へと向かった。
ケインが先を歩き
場所を確認してくれる。
「ここか」
宿場町にあった店と
比べたらかなり高級そうな店だ。
ケインがお店に入り、
席の確保ができてから
僕たちは店に入った。
店は個室になっていて、
大きなテーブルの向こうには
大きな窓があり、
広い海が見えるようになっている。
ケインは遠慮したけれど、
個室だからと3人で一緒に
席に座ることにした。
注文はガイがすべてしてくれる。
だって僕は料理の名前を聞いても
どんな料理かわからないもん。
しばらくしたら、
料理がどんどん運ばれてきた。
「エレ、遠慮しなくていいぞ。
ケインも自由に食べればいい」
「ありがたく頂きますが、
わざわざ、これにしなくても」
というケインの視線の先には
まるい目の……
「さかな?
これ、が、魚なの?」
僕が知ってる白い身じゃない。
尖ったくちばしみたいな口と、
ぎょろっとした目玉がある。
海の塩で焼いたらしく、
皮には焦げ目があって、
裂けたところから
身が見えているけれど……
これが、白身?
ちょっと食べる勇気がでない。
だって目玉が……
「ガイ、この子、
僕を見てる」
ケインが苦手だという意味がわかった。
「お前が余計なことを
言うからだぞ」
とガイはケインをにらんでから
フォークで白身をほぐしてくれた。
「ほら」とフォークが差し出され
僕はおそるおそる口を開ける。
「おいしい!」
見た目は怖かったけど、
塩味が効いていて、
凄く美味しい。
「そうだろう。
これも旨いぞ」
ガイが別の魚の身を
フォークで取ってくれる。
甘辛い出汁で煮た魚で、
表面も身も赤かったけど、
これも美味しかった。
ただ目が……
僕はできるだけ
魚の姿を見ないようにして
ガイに食べさせてもらう。
結局僕は、自分で
フォークもナイフも 使わずに、すべてガイに 食べさせてもらった。
だって。
魚を見るのが
怖かったんだもん。
あれを料理する人は
凄いと思う。
王都からさらに離れた
貿易の街だった。
海が近くて、
多くの国と貿易をしている街らしい。
しかもここはティーナの家、
ロチェスター家の領地らしい。
ロチェスター家に挨拶を
する予定はないけれど、
ここがティーナの生まれ育った
街だと思うと感慨深い。
この街に着いたのは
僕とガイ、それから
ケインたち護衛が乗った
馬車だけだった。
ただアンナたちには
連絡を入れていて、
この街で合流することに
なっているらしい。
宿屋を探すのは
ケインにお願いしたんだけど、
僕とガイがカフェでお茶を
飲んで待っていると、
ケインが一つの鍵を持って
戻ってきた。
全員が宿泊できるような
宿屋は見つからなかったので、
代わりに、一軒家を借りたという。
ある貴族が手放した別荘が
買い手がつかずに
売りに出されていたのを見つけて、
数日間だけ借りると
交渉してきたという。
さすがケインだ。
家具とかはそのまま
残っているし、
今は不動産屋で紹介された
手伝いの人たちが
家の掃除をしてくれているらしい。
「シーツも食器や
調理器具なんかも
全部新しいものに
買い替えるよう命じましたし、
まぁ、家具は無理ですけど
問題ないかと」
「そうか、助かる」
馬車も5、6台ぐらいは
停める場所があるらしく、
馬屋もあるという。
「買い出し部隊も
派遣しましたから
数時間後には大丈夫でしょう」
「そうか。
ではそれまで街をうろつくか」
ガイはそう言い、
僕に手を差し出した。
僕は頷き、手を繋ぐ。
街は海の匂いがした。
風も少しべたつく感じがする。
「少し海を見てみるか」
「うん、見てみたい」
当たり前だけど
僕は海も初めてだ。
するとガイは僕を抱っこして
「高台に行こう」という。
港町は海の砦にも
なっているので、
段差が多いらしい。
街に入ったばかりの場所は
馬車で乗り入れもしたし
平地だったけれど、
少し歩くと町はすぐに
坂になり、階段になった。
これは敵が海から
攻撃してきたときに、
避難する時間を稼ぐ意味もあるし、
嵐が来た場合、
海が荒れて
波が街を襲う場合もあるから
波が届かない高台に
住居や施設を造ったらしい。
理にかなってはいるけれど、
つまり体力が無い僕には
あまり向いていない街になる。
僕は抱っこされたまま
どんどん坂を上り、
階段を上がった。
坂には住居が並び、
階段の上には公園がある。
「ついたぞ」
とガイが下ろしてくれたのは
街を一望できる丘だった。
公園になっているようで
ベンチもある。
「すごい、海も……広い」
目の前は一面、海だった。
その下には、街が見える。
住居の屋根が規則正しく並んでいて、
その隙間に坂や階段があるのはわかる。
「綺麗。屋根の形も色も
全部、同じなんだ」
「そうだな。
ここは観光地にもなるから
景観にも気を使ってるだろうし、
逆に敵に攻められたとき、
迷路の役目にもなる」
そこまで考えて街を作っているんだ。
領主の役目って
僕が思っていた以上に重要かも。
僕、バーンズ侯爵家の
当主になるんだよね。
大丈夫だろうか。
一瞬、不安になったけど、
ガイが僕の頭を撫でる。
「バーンズ侯爵領は広大で
安定した収入もある。
他国から攻められるような
場所でもないし、
不安にならなくてもいいだろう」
「……ありがとう」
一瞬で僕の不安がわかったのかな。
僕はガイの大きな手を握る。
「ガイ、あのね」
「ん?」
「ずっと一緒に居てね」
僕がそう言うと、
ガイは笑った。
「そうだ、エレは
魚を食べたことはあるか?」
「魚? うん。
スープに入ってるよ」
「そうだな。
じゃあ、魚を食べに行こう」
ガイは言い、
また僕を抱っこする。
下り坂なら大丈夫だと思うけど、
楽ちんだから、いいか。
僕はガイに抱っこされたまま
大通りまで戻ってきた。
最初に入ったカフェまでくると
ケインと護衛が待っていてくれて
アンナたちと屋敷で
合流できたという。
ガイは僕たちはこのまま
夕方まで街を散策するから
アンナたちは荷を解いたら
自由にするように言い、
ケインを連れて
歩き出した。
「それで、どこに行くんです?」
ケインがガイに聞く。
「あのね、魚を食べるんだよ」
僕が返事をすると、
ケインが「魚ですか」と
残念そうな顔をする。
「ケインは魚は嫌い?」
「嫌いではないですが、
あの目はちょっと……」
「目?
魚に目があるの?」
僕は首をかしげる。
だってスープに入ってる魚は
白い身で、食べると
ほろほろになるやつだ。
「そりゃあるでしょう。
魚は魚ですし」
とケインはよくわからない返事をする。
ガイは苦笑して、
ケインに店を探してくるように言う。
ガイは行ったことが無いけれど、
ティーナの家が関わっている
料理屋があるらしい。
ケインは、はいはい、って
返事をして、あっという間に
走ってどこかに行ったけど、
すぐに戻ってきた。
街の人に聞いたら
すぐにわかったらしい。
ここから遠くない場所だというので、
僕はガイの腕から下りて
歩くことにした。
ケインが気にして
僕のフードを深くする。
もう、誰も僕のことなんか
見ないってば。
ちょっと唇を尖らせて、
僕はガイと手を繋いで
お店へと向かった。
ケインが先を歩き
場所を確認してくれる。
「ここか」
宿場町にあった店と
比べたらかなり高級そうな店だ。
ケインがお店に入り、
席の確保ができてから
僕たちは店に入った。
店は個室になっていて、
大きなテーブルの向こうには
大きな窓があり、
広い海が見えるようになっている。
ケインは遠慮したけれど、
個室だからと3人で一緒に
席に座ることにした。
注文はガイがすべてしてくれる。
だって僕は料理の名前を聞いても
どんな料理かわからないもん。
しばらくしたら、
料理がどんどん運ばれてきた。
「エレ、遠慮しなくていいぞ。
ケインも自由に食べればいい」
「ありがたく頂きますが、
わざわざ、これにしなくても」
というケインの視線の先には
まるい目の……
「さかな?
これ、が、魚なの?」
僕が知ってる白い身じゃない。
尖ったくちばしみたいな口と、
ぎょろっとした目玉がある。
海の塩で焼いたらしく、
皮には焦げ目があって、
裂けたところから
身が見えているけれど……
これが、白身?
ちょっと食べる勇気がでない。
だって目玉が……
「ガイ、この子、
僕を見てる」
ケインが苦手だという意味がわかった。
「お前が余計なことを
言うからだぞ」
とガイはケインをにらんでから
フォークで白身をほぐしてくれた。
「ほら」とフォークが差し出され
僕はおそるおそる口を開ける。
「おいしい!」
見た目は怖かったけど、
塩味が効いていて、
凄く美味しい。
「そうだろう。
これも旨いぞ」
ガイが別の魚の身を
フォークで取ってくれる。
甘辛い出汁で煮た魚で、
表面も身も赤かったけど、
これも美味しかった。
ただ目が……
僕はできるだけ
魚の姿を見ないようにして
ガイに食べさせてもらう。
結局僕は、自分で
フォークもナイフも 使わずに、すべてガイに 食べさせてもらった。
だって。
魚を見るのが
怖かったんだもん。
あれを料理する人は
凄いと思う。
60
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの二人は、スキルを得た事で魔王討伐に旅立つ勇者と彼の帰還を待つだけのただの親友となる。
勇者と親友の無自覚両片想いのじれったい恋愛の物語。
聖女を演じた巻き添え兄は、王弟殿下の求愛から逃げられない
深嶋(深嶋つづみ)
BL
谷口理恩は一年ほど前、妹と一緒に異世界に転移してしまった。
聖女として魔術の才を開花させた妹・世奈のおかげもあって、二人はアルゼノール王国の大教会に保護され、不自由のない暮らしを送ることができている。が、最近は世奈の奔放さに理恩は頭を抱えることもあった。
ある日、世奈の仕事を肩代わりした理恩は、病に臥せっている幼い第二王子・イヴァン王子のもとに参じることに。
――「僕が大人になったら、僕の妃になってくれませんか」。
何度も謁見を重ねるうちに理恩に懐いた彼は、目の前の聖女が偽者であることに気付かぬまま、やがて理恩に求愛する。
理恩は驚き、後ろめたい気持ちを抱きながらも、「大人になっても同じ気持ちでいてくれたなら」と約束を交わした。
その直後、何者かの陰謀に陥れられた世奈の巻き添えとなり、理恩は辺境の地へと飛ばされてしまい……。
――数年後、アルゼノール王国を出て世界中を巡っていた理恩は、とある国で偶然、王弟・イヴァンと再会する。
傷心の旅をしているのだという彼は、どういうわけか理恩との交流を持ちたがって――?
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
薄紅の檻、月下の契り
雪兎
BL
あらすじ
大正十年、華やかな文明開化の影で、いまだ旧き因習が色濃く残る帝都。
没落しかけた名家に生まれた“Ω(オメガ)”の青年・白鷺伊織は、家を救うため政略的な「番(つがい)」として差し出される運命にあった。
しかし縁談の相手は、冷酷無慈悲と噂される若き実業家であり“α(アルファ)”の当主・九条鷹司。
鉄道・銀行事業で財を成した九条家は、華族でもありながら成り上がりと蔑まれる存在。
一方の伊織は、旧華族の矜持を胸に秘めながらも、Ωであるがゆえに家族から疎まれてきた。
冷ややかな契約婚として始まった同居生活。
だが、伊織は次第に知ることになる。
鷹司がΩを所有物としてではなく、一人の人間として尊重しようとしていることを。
発情期を巡る制度、番契約を強制する家制度、そして帝都に広がる新思想。
伝統と自由のはざまで揺れながら、二人は「選ばされた番」から「自ら選ぶ伴侶」へと変わっていく——。
月明かりの下、交わされるのは支配ではなく、誓い。
大正浪漫薫る帝都で紡がれる、運命を超える愛の物語。
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
断罪回避のために親友と仮婚約したはずが、想像以上に執着されていた。
鷲井戸リミカ
BL
ある日アーサーは、自分がネット小説の世界に転生していることに気が付いた。前世の記憶によれば親友のフェルディナンドは、悪役令息という役割らしい。最終的に婚約者から婚約破棄され、断罪後は国外追放されてしまうのだとか。
大事な親友が不幸になるのを見過ごすわけにはいかない。とにかく物語の主人公たちから距離をとらせようと、アーサーはフェルディナンドを自分の婚約者にしてしまった。
とりあえず仮婚約という形にしておいて、学園を卒業したら婚約を解消してしまえばいい。そう考えていたはずがアーサーのとある発言をきっかけに、フェルディナンドの執着が明らかになり……。
ハッピーエンドです。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
拗らせ問題児は癒しの君を独占したい
結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。
一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。
補習課題のペアとして出会った二人。
セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。
身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。
期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる