無能の料理人と言われ領地を追い出されたが、何故か料理じゃなく戦いで頭角を現し無双します。俺を追い出したあいつは没落していくが、仕方ないよな

ぐうのすけ

文字の大きさ
67 / 85

木偶のジーク

しおりを挟む
 ジークは昔の事を思い出す。

 木偶のジーク
 それが俺のあだ名だった。
 剣士の職業を授かりはしたものの、ノーマルスキルはすべて防御力上昇で、職業を下級から中級にランクアップさせた時も、ダメージ軽減のスキルを覚えた。
 しぶといだけの木偶。

 それが俺への評価だった。
 他の剣士はスラッシュや疾風剣などの攻撃的なスキルを覚えるが、俺は攻撃が苦手でレベル上げに苦戦した。
 兵士として魔物狩りを続けるが、俺は前に出て、重戦士のように立ち回り、魔物のターゲットを集めるのが役割になった。
 俺は不遇と言われる重戦士と同じような扱いを受ける。

「よぉ、木偶のカカシ、次もターゲット取りは任せたぜ。」

「お前は前に立って魔物の的になってりゃいいんだ。俺が倒してやるよ。ははははは!」

 戦闘に役立つスキルは『剣』のみ。
 俺は毎日剣を振り、スキルを磨いた。

 剣スキルがレベル5になるころ、俺はダメージを受けることが減っていた。
 ステータスレベルと剣レベルが上がり、魔物をまともに倒せるようになったためだ。

 だがそのことで、ダメージを受けることが減り、ダメージ軽減のスキルを上げることが出来ず、上級職になれぬまま、レベルだけが上がっていった。

 ある日、魔物に包囲され、俺のいる部隊は俺以外の全員が死亡し、俺だけが生き残る。

 俺への悪いうわさが流れた。

「木偶のジークだけが逃げ出して助かったんだってよ。」

「なんで弱いジークだけが生き残ってるんだ?」

「あいつだけずっと隠れてたらしいぜ。」

 違う!俺は最後まで戦った!

 俺は!逃げていない!

 俺は隠れていない!


 そんな時王に呼びだされる。

 俺は処分させるのか?

 俺は最後まで戦ったんだ!

 逃げていない!

 隠れていない!




 俺は謁見の間に入る

「兵士ジークを騎士に任命する!」

 俺は処分されると思っていた。だが結果はどうだ?
 俺は兵士から騎士になった。
 意味が分からない。

「何故ですか?私はまだ中級剣士で上級になっていません!スキルもしぶといだけの木偶!部隊は私だけ生き残り、俺は・・俺は卑怯者と言われている!」
 ジークの感情があふれ出していた。

「逃げた、隠れたと噂されているのは知っている。だが、逃げていないのだろう?最後まで戦ったのだろう?」

「上級職にもなれず、卑怯者と言われている!俺を騎士にしたら王が悪者になる!!!」
 俺は叫んでいた。

「かまわん!私が悪者になるだけで済むなら問題ない!今は優秀な者を活用せねばならんのだ!」

「俺は木偶で、しぶといだけの役立たず」
「ちがああう!!」
 王が叫ぶ。

「しぶとい事は才能だ!これからたくさん働いてもらう。」

 俺は号泣していた。

 初めて認められた。
 それも王にだ。

 俺はそれからたくさんの魔物を倒した。

 大量の魔物に追われ劣勢になった時、俺はしんがりを務め、部隊を生還させた。

 さらに、砦が包囲された時は、最前線に立ち、魔物の注意を引き寄せ、その隙に部隊は立て直した。

 危機的な状況から3回生還し、俺を木偶のジークと呼ぶものは居なくなった。

 目標が出来た。
「上級職になる。」

 そんな時だった、俺はホワイト領に移動となり、その次はブック領への移動。

 修行して上級職になる目標より、他のみんなの戦力増強に努める。

 俺は打たれ強い!

 それがだけの男だ!

 だが今それが役に立つ!

 俺は現実に引き戻される。

 前を見つめる。

 破壊されたダークスフィアから発生した大量の魔物が迫る。


 魔物に弓と魔法が撃たれ、倒しきれない魔物が俺に攻撃を仕掛ける。

「うおおおおおおお!」

 アサルトボアの眉間に両手で剣を突き立てる。
 素早く抜き横の魔物に横一線!

 他の者より少し前に出て魔物を引きつけながら倒す。

 数体の魔物が一気に迫ってくるが、剣で切り裂き、倒しきれない分は腕でガードする。




 ◇




 何体の魔物を倒したのかもう覚えていない。

 手がしびれ感覚が無くなってくる。

「援軍だ!援軍が現れたぞ!」
 ロックの部隊だ。

 ロックが叫ぶ。
「ジーク!一旦下がって立て直せ!」

 俺が下がると優先的にハルトカレーが用意されていた。

 俺は3皿平らげ、さらにポーションを飲み、すぐに前線に復帰する。

 ロックの部隊が来てもいまだ劣勢。

 俺は必至で戦う。

 左翼の部隊が崩れ始めた。

「うおおおおお!」
 左翼の魔物のど真ん中に立ち、自ら魔物の的になる。

 必死で剣を振る。
 しぶといとはいえ、何度も何度も攻撃を受け疲弊する。

 ロックが叫ぶ。
「下がれジーク!無茶だ!」

 ジークはボロボロになっていくが、左翼が立て直す。

 その時ジークのスキルがレベルアップする。

『ダメージ減少スキルがれべる4からレベル5に上昇しました。』

『中級剣士から上級剣士にランクアップします。」

「ランクアップ!新しいスキル!」

しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...