ANGEL -エンジェル-

癒-healing-

Ｐ31．話があるの、私達から。

彼女は茶色く長い髪の毛を三つ編みにして、
黒縁眼鏡と、長い前髪で顔がよくわからない。
膝よりも長いスカートに、きっちりと絞められた制服のリボン。
クラスの目立たない、地味な女子。
まぁ…いろんな意味で目立っている気がするけど…


「少し、話したいんですけど。いいですか？…九さん」


教室の端っこに座って本を読んでいた彼女に声をかける。
もちろん他教室なのでアウェイ感が半端ない。
彼女は小さくため息をついて立ち上がる。


「いいわ。場所を変えましょう。」


















彼女と初めて会った場所。
この階段を登った先の屋上へ向かう。

学校にいたら絶対に目立つ存在になるはずの絶世の美女。
見たことがないなんておかしいと思っていたけれど…こんな地味な格好でいたなんて…

「よくクラスが分かったわね」

「…まぁね」

階段を上りながら彼女を見上げる。

…あれ？

「髪、光に当たると金色に見える…?」

「地毛よ？色明るすぎるのよね。なんども先生に注意されるから大変なのよ」

じゃあ初めて会った時のあの髪は…
私天使の力かなんかかと思ってたのに…！

「騙したわけじゃないわよ？」

九理は私を見て呆れたように呟いた。

「また私の心を読んでいる？！」

「あんた顔に出やすいのよ！読まなくとも分かるわ。」

そうこうしてるうちに
私達は屋上へとたどり着いた。

扉を開けると九理は目を見開く…

「なんで…？」

「話があるの、私達から。」