【完結】死に戻り伯爵の妻への懺悔

日比木 陽

文字の大きさ
30 / 66
死に戻り編

母の凶行②

しおりを挟む



母の剣幕にかなり戸惑って、セレスティアはすぐには言い返せずに居る。




「…母上、あなたがそれを言うのですか?」



母の言いたいらしい事が分かって、呆れかえって足を速めてセレスティアの隣に立つ。


「ウィリアム…!なにを…」


少し怯んだ母が、僕に迷った目を向ける。



「母上?貴方が父上にその様な自由を与えていた様には全く見えませんでしたが?むしろその逆だった様に思いますが?…ご自分で出来もしなかったことをセレスティアに強要するのはどうしてですか?」



母は確かに凄い剣幕で怒鳴るかのように声を張っているが、どこかおかしい。

慣れている僕は元より、セレスティアも傷ついたというよりは、戸惑って母を見ている。

元々過干渉で口うるさいが、ここまで道理に反することを大声で言う様なこともなかったからだ。



「父も僕と同じで、外の女に一切の興味もなく、家で妻と笑い合うことの方が大切な男だったように思いますが…?」


「そんなこと!あるはずがないわ!」



母は確かに怒鳴っている。でもどうして泣きそうな顔をしているのだろう。


「お義母様…?」

セレスティアは気遣わしげに、母を見つめる。



「…してもらわなければならないの!セレスティアさんには!」
「母上…!」
「そうしないとウィリアムも亡くしてしまう…!」


「は、あ…!?」



もう理解が追いつかない僕は、素っ頓狂な声を上げてしまう。


母は呆けてしまったのだろうか?…いや以前は、ひ孫の面倒まで見ていたのに…?


「…お義母様は、ご自分のせいでお義父様が亡くなられたと思っておられるのではないですか…?」

目を白黒させる僕に、セレスティアが小さな声で告げた。




「…!?それこそあり得ないでしょう!父上は運悪く視察先の流行り病が重症化したのですよ。母上が原因の筈がないでしょう…!?」


僕は思わず大きな声で反論した。

何だか目の前の母が小さく見えて、諭すような口調になってしまう。


「ちがう…私が、私があの人に息抜きも許さなかったから!…あの人は疲れ切って病にかかったの…!私がもっと自由にさせてあげられていたら…!」



ついに涙を流して悲鳴の様な声を上げる母があまりにも弱弱しい。



しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

国の英雄は愛妻を思い出せない

山田ランチ
恋愛
大幅変更と加筆の為、再掲載しております。以前お読み下さっていた方はご注意下さいませ。 あらすじ フレデリックは戦争が終結し王都へと戻る途中、襲われて崖から落ち記憶の一部を失くしてしまう。失った記憶の中には、愛する妻のアナスタシアの記憶も含まれていた。  周囲の者達からは、アナスタシアとは相思相愛だったと言われるがフレデリックだが覚えがない。そんな時、元婚約者のミレーユが近付いてくる。そして妻のアナスタシアはどこかフレデリックの記憶を取り戻す事には消極的なようで……。  記憶を失う原因となった事件を辿るうちに、中毒性のある妙な花が王城に蔓延していると気が付き始めたフレデリック達はその真相も追う事に。そんな中、アナスタシアは記憶がなく自分を妻として見れていない事を苦しむフレデリックを解放する為、離婚を決意する。しかし陰謀の影はアナスタシアにも伸びていた。   登場人物 フレデリック・ギレム  ギレム侯爵家の次男で、遠征第一部隊の隊長。騎士団所属。28歳。 アナスタシア フレデリックの妻。21歳。 ディミトリ・ドゥ・ギレム ギレム侯爵家当主。フレデリックの兄。33歳。 ミレーユ・ベルナンド ベルナンド侯爵の妻で、フレデリックの元婚約者。26歳。 モルガン フレデリックの部下。おそらく28歳前後。

聖女だった私

山田ランチ
恋愛
※以前掲載したものを大幅修正・加筆したものになります。重複読みにご注意下さいませ。 あらすじ  聖女として国を救い王都へ戻ってみたら、全てを失っていた。  最後の浄化の旅に出て王都に帰ってきたブリジット達、聖騎士団一行。聖女としての役目を終え、王太子であるリアムと待ちに待った婚約式を楽しみにしていたが、リアムはすでに他の女性と関係を持っていた。そして何やらブリジットを憎んでいるようで……。  リアムから直々に追放を言い渡されたブリジットは、自らが清めた国を去らなくてはいけなくなる。 登場人物 ブリジット 18歳、平民出身の聖女 ハイス・リンドブルム 26歳、聖騎士団長、リンドブルム公爵家の嫡男 リアム・クラウン 21歳、第一王子 マチアス・クラウン 15歳、第二王子 リリアンヌ・ローレン 17歳、ローレン子爵家の長女 ネリー ブリジットの侍女 推定14〜16歳

白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

瀬月 ゆな
恋愛
ロゼリエッタは三歳年上の婚約者クロードに恋をしている。 だけど、その恋は決して叶わないものだと知っていた。 異性に対する愛情じゃないのだとしても、妹のような存在に対する感情なのだとしても、いつかは結婚して幸せな家庭を築ける。それだけを心の支えにしていたある日、クロードから一方的に婚約の解消を告げられてしまう。 失意に沈むロゼリエッタに、クロードが隣国で行方知れずになったと兄が告げる。 けれど賓客として訪れた隣国の王太子に付き従う仮面の騎士は過去も姿形も捨てて、別人として振る舞うクロードだった。 愛していると言えなかった騎士と、愛してくれているのか聞けなかった令嬢の、すれ違う初恋の物語。 他サイト様でも公開しております。 イラスト  灰梅 由雪(https://twitter.com/haiumeyoshiyuki)様

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

この結婚に、恋だの愛など要りません!! ~必要なのはアナタの子種だけです。

若松だんご
恋愛
「お前に期待するのは、その背後にある実家からの支援だけだ。それ以上のことを望む気はないし、余に愛されようと思うな」  新婚初夜。政略結婚の相手である、国王リオネルからそう言われたマリアローザ。  持参金目当ての結婚!? そんなの百も承知だ。だから。  「承知しております。ただし、陛下の子種。これだけは、わたくしの腹にお納めくださいませ。子を成すこと。それが、支援の条件でございますゆえ」  金がほしけりゃ子種を出してよ。そもそも愛だの恋だのほしいと思っていないわよ。  出すもの出して、とっとと子どもを授けてくださいな。

悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang
恋愛
皇女シエラ・ヒペリュアンと皇太子ジェレミア・ヒペリュアンは血が繋がっていない。 シエラは前皇后の不貞によって出来た庶子であったが皇族の醜聞を隠すためにその事実は伏せられた。 元々身体が弱かった前皇后は、名目上の療養中に亡くなる。 現皇后と皇帝の間に生まれたのがジェレミアであった。 "容姿しか取り柄の無い頭の悪い皇女"だと言われ、皇后からは邪険にされる。 皇帝である父に頼んで婚約者となった初恋のリヒト・マッケンゼン公爵には相手にもされない日々。 そして日々違和感を感じるデジャブのような感覚…するとある時…… 「私…知っているわ。これが前世というものかしら…、」 突然思い出した自らの未来の展開。 このままではジェレミアに利用され、彼が皇帝となった後、汚れた部分の全ての罪を着せられ処刑される。 「それまでに…家出資金を貯めるのよ!」 全てを思い出したシエラは死亡フラグを回避できるのか!? 「リヒト、婚約を解消しましょう。」         「姉様は僕から逃げられない。」 (お願いだから皆もう放っておいて!)

処理中です...