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「ん・・・」
太陽が真上にまで到達した頃、ようやく柳藍は目を覚ました。
(・・・お腹空いた。なんか食べよう)
そう思った柳藍が厨房に行こうとした時。
「柳藍ちゃん! 」
柳藍の名前を叫びながら一人の女性が入って来た。
「香さん・・・。どうしたの? 」
「なんかすごいお偉いさんが柳藍ちゃんを探してるんだよ! 」
「え? 」
その言葉を理解した途端、ものすごく嫌な顔をした柳藍は急いで裏に逃げようとしたが、一歩遅かった。
「失礼! ここが万事屋か!? 」
「はあ・・・、そうよ。香さん、知らせてくれてありがとう。あとは私が対処するわ」
「大丈夫かい? 」
「うん」
「そんな大声出して、どうしたの? 」
馬車に乗って現れた許賀史に少し辟易しながらも柳藍が声をかけると、許賀史はガッと彼女を掴みながら答えた。
「そなたが万事屋の店主か! 」
「ええ、そうだけど・・・」
「息子が毒に当たったんだ! 侍医にはもう手の施しようがないと言われたのだが、頼む! 何か方法はないか!? 」
許賀史の慌てた様子を見て少し驚いた様子の柳藍だったが、話を聞くと、至って冷静な声色で話し始めた。
「とりあえず離してくれる? 掴まれると動けないのよ」
「あ、ああ。すまない・・・」
「とりあえずは牛乳を飲ませなさい。毒の回りを遅くしてくれるわ」
「本当か!? 誰か! 今すぐ屋敷へ伝えに行け! 」
許賀史を横目に見ながら、柳藍は勘定台の後ろにある棚へ向かう。
「なんの毒なの? 」
「わからない」
「じゃあ症状は? 」
「ずっと痙攣している。それと呼吸も苦しそうになっていた。あとは熱だ」
「わかったわ」
一体なにを理解したのか、許賀史は疑問に思ったが、柳藍がある棚を開けて中から小瓶を取り出したのを見て、言葉を飲み込んだ。
「筋肉が縮み続けちゃってるのよ。これを水の中に五滴だけ混ぜて飲ませてあげなさい。絶対に水で溶いて薄めるのよ。でなきゃ後遺症が残るわ」
コトッと瓶を勘定台に置いて、柳藍は説明を続ける。その間にも、手はまた別の棚に向かっていた。
(これだけの棚の中身を全て覚えているのか! )
「それは・・・」
「筋肉を緩める毒よ」
「毒だと!? 」
「ええ。侍医たちがお手上げって言ってるのなら、解毒がもう間に合わない状態だってことよ。なら毒は毒で制するしかないわ。反対作用の毒を飲ませてお互いの効果を相殺させるの」
「そんな方法があるとは・・・」
「それとこっちも持っていってあげなさい」
「これは・・・」
次に柳藍が渡したのは布袋だ。
「気道を広げる香よ。これを焚いてからその薬を飲ませないと、気道が狭く塞がってしまって、逆に窒息死するわ」
「わかった。香を焚いてからこれを飲ませれば良いのだな? 」
「ええ、必ず水に薄めてからね。でなければ今度は体が動かなくなるわ」
「そ、そうなのか。気をつけよう! 」
「私にできるのはここまで。あとは体力が持つかどうかよ」
ヒラヒラと軽く手を振る柳藍に、許賀史はなぜか息子が必ず助かるという確信を得ることができた。
「ッ、感謝する! 代金は・・・」
「後払いで結構よ」
「・・・そうか。では急ぎにつきこれで失礼させてもらう! 」
「はいはーい」
柳藍は相変わらずヒラヒラと手を振っていた。
太陽が真上にまで到達した頃、ようやく柳藍は目を覚ました。
(・・・お腹空いた。なんか食べよう)
そう思った柳藍が厨房に行こうとした時。
「柳藍ちゃん! 」
柳藍の名前を叫びながら一人の女性が入って来た。
「香さん・・・。どうしたの? 」
「なんかすごいお偉いさんが柳藍ちゃんを探してるんだよ! 」
「え? 」
その言葉を理解した途端、ものすごく嫌な顔をした柳藍は急いで裏に逃げようとしたが、一歩遅かった。
「失礼! ここが万事屋か!? 」
「はあ・・・、そうよ。香さん、知らせてくれてありがとう。あとは私が対処するわ」
「大丈夫かい? 」
「うん」
「そんな大声出して、どうしたの? 」
馬車に乗って現れた許賀史に少し辟易しながらも柳藍が声をかけると、許賀史はガッと彼女を掴みながら答えた。
「そなたが万事屋の店主か! 」
「ええ、そうだけど・・・」
「息子が毒に当たったんだ! 侍医にはもう手の施しようがないと言われたのだが、頼む! 何か方法はないか!? 」
許賀史の慌てた様子を見て少し驚いた様子の柳藍だったが、話を聞くと、至って冷静な声色で話し始めた。
「とりあえず離してくれる? 掴まれると動けないのよ」
「あ、ああ。すまない・・・」
「とりあえずは牛乳を飲ませなさい。毒の回りを遅くしてくれるわ」
「本当か!? 誰か! 今すぐ屋敷へ伝えに行け! 」
許賀史を横目に見ながら、柳藍は勘定台の後ろにある棚へ向かう。
「なんの毒なの? 」
「わからない」
「じゃあ症状は? 」
「ずっと痙攣している。それと呼吸も苦しそうになっていた。あとは熱だ」
「わかったわ」
一体なにを理解したのか、許賀史は疑問に思ったが、柳藍がある棚を開けて中から小瓶を取り出したのを見て、言葉を飲み込んだ。
「筋肉が縮み続けちゃってるのよ。これを水の中に五滴だけ混ぜて飲ませてあげなさい。絶対に水で溶いて薄めるのよ。でなきゃ後遺症が残るわ」
コトッと瓶を勘定台に置いて、柳藍は説明を続ける。その間にも、手はまた別の棚に向かっていた。
(これだけの棚の中身を全て覚えているのか! )
「それは・・・」
「筋肉を緩める毒よ」
「毒だと!? 」
「ええ。侍医たちがお手上げって言ってるのなら、解毒がもう間に合わない状態だってことよ。なら毒は毒で制するしかないわ。反対作用の毒を飲ませてお互いの効果を相殺させるの」
「そんな方法があるとは・・・」
「それとこっちも持っていってあげなさい」
「これは・・・」
次に柳藍が渡したのは布袋だ。
「気道を広げる香よ。これを焚いてからその薬を飲ませないと、気道が狭く塞がってしまって、逆に窒息死するわ」
「わかった。香を焚いてからこれを飲ませれば良いのだな? 」
「ええ、必ず水に薄めてからね。でなければ今度は体が動かなくなるわ」
「そ、そうなのか。気をつけよう! 」
「私にできるのはここまで。あとは体力が持つかどうかよ」
ヒラヒラと軽く手を振る柳藍に、許賀史はなぜか息子が必ず助かるという確信を得ることができた。
「ッ、感謝する! 代金は・・・」
「後払いで結構よ」
「・・・そうか。では急ぎにつきこれで失礼させてもらう! 」
「はいはーい」
柳藍は相変わらずヒラヒラと手を振っていた。
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