ラフィリアード家の恐るべき子供たち

秋吉美寿

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リミィの恋の話

67.美しき人々

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 広間への入り口付近にいた何人かの紳士淑女達は、驚愕し、うっとりとした眼差しで一点を見つめていた。
 その美しいカップルはまるで別世界の存在のようだった。

 珍しいオレンジの髪に金の瞳の貴公子は、まるで人とは信じがたい程の美しい女性を伴い入ってきたのである。
 まるで精霊の女王か美の女神かと言わんばかりの輝きを放つ美しさに周りの皆は息を飲んだ。

「「「信じられない」」」
「この世にこんな方がいるなんて…」
「「「なんて美しい」」

 薄い水色の上品な生地にレースで出来た小さな花が上品にちりばめられていた。
 清楚なパールと月の石の髪飾りと白銀の髪飾りを身に着けたその女性は神々しいばかりの輝きを放っていた。

 あまりにも次元の違う美しさに妬む声すら上がらなかった。

 そして、その彼女に目を止めた大公が、供のものも振り払い思わず走り寄ってきた。
「これは!ルミアーナ様ではございませんか!」
 そしてルミアーナにかしずくように膝を降り、頭を垂れた。

 これには周りの皆が驚いた。
 名実ともに大公殿下が跪いたのである。

 周りの皆も一斉に頭を垂れた。

「まぁ、大公様、以前お目にかかったのは、確か我が国の王太子の結婚式以来ですわね?頭をお上げくださいませ!大公様が、そのように頭を下げられてはここに居ずらくなりますわ!皆様にも頭をあげるよう言って下さいませ」と聞く者がうっとりするような美しい声で語りかけた。

「はっ!これは、私としたことが!申し訳ございません。皆の者、頭をあげよ!」
 そう言うと直ぐ様立ち上がり皆の頭をあげさせた。

「私はパートナーとしてこの舞踏会についてきただけですのよ?過分なお気遣いは無用にお願いいたしますわ!私の事はこのティムンの姉…とでもご紹介下さるに留めて頂ければありがたいですわ。思いをしたくはありませんの」

「なるほど!畏まりました。では、そのように」
 そしてその場にいた数人も先ほどの光景に、この夢のように美しい夫人がこのタイターナ公国の大公すら一目置く人物である事は明らかに伝わったが、大袈裟にしてほしくないというそのご婦人の意に沿うようにと、遠巻きにしながらも大騒ぎせぬように振る舞った。

 そして間をおいて今年デビューしたてであろう二人の若々しいカップルが入ってきた。
 それは、また夢か幻のごとき美しい夜のとばりのような黒髪と深い紺色の瞳の美少年と森の中に挿す木漏れ日の光のごとき金の瞳と蜂蜜色の輝く髪色の美しい美少女のカップルであった。







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