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ジルの話
108.一瞬の出来事
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ディオル達は、ジルを保護すべく、魔族達の拠点になりそうな洞窟の多い谷間を捜索していたその時、大きな地響きを聞いた。
どどぉぉぉぉんという地の底から湧き上がるような鈍い音と共に自分達がいるその場の地面も大きく揺れ、盛り上がった。
「「「「なっ!」」」」「「「「何だ!これはっ!」」」」
魔人のルーブが、自分の能力を使いこの地震の源を辿る。
「発信源はここから10デルータ(10Km)位、西に山を登った方向だ!」
「あの子が巻き込まれてなければいいが!くそっ!何だってこんなにも天変地異が!」
ディオルが悔しそうに呟く。
そして皆も「くっ」と顔をしかめ、ジルを案じルーブが突き止めたこの波動の発信源へ向かった。
(っつ~か、元凶はすべてジルなのだが、そんな事は知らない”影”の皆さんは本当に心から心配している)
***
一方、現地では濛々と土煙が舞い上がり牢屋を背にして真っすぐに穴が開いていた。
女性たちはジルの指示により月の石の精霊(今は天使設定)の加護でシールドされ、傷一つない。
「「「す…すごい」」」女性たちはあんぐりと口をあけたままポカーンとしている。
「ふむ…。この位の加減でこの位の破壊力か…だったら…」とジルは、何やらぶつぶつと呟いている。
すぐさま「なんだなんだ!」と先ほどの魔族が横穴から入ってきた。
ジルの月の石の腕輪を持ち去った奴である。(と、言ってもさっそくシンは腕輪ごとジルの元に帰って来ていたが)
「なっ!何じゃこりゃああ!」と魔族の男は顎が外れんばかりに大きな口を開けて叫んだ。
どうやら、前方にはおらず、命拾いをしたようであるが、その命もジルの視界に入ってしまえば風前の灯である。
「一応、聞くけど魔族のお兄さん?貴方はここにいる女性をどうするつもりですか?」とジルはその魔族に聞いた。
「はっ!何言ってんだ!そんなもん、上位魔族に収めたら後はしったこっちゃねぇ。騒ぐようなら手足をもいで連れて行くだけだ!それより今のものすごい衝撃はっ!?この巨大な穴は何なんだ!」とまくしたてる。
「手足をもいで?そんな事したら死んじゃうでしょう?」
「ぎゃははははは!魔族の術をかけるとなぁ!手足もいだくらいじゃ死なない…いや、死ねねぇんだよ!痛みはそのままだが、叫ぶこともできない術をかけるからな。ひゃっひゃっひゃっ」と下卑た笑い声をあげた。
そして他の魔族達もその場に入ってくる。
「「「おいっ!何、笑ってるんだ?女達は死んでないだろうな?」」」
「「大事な苗床だぞ!」」
「さっさと移動させろ!抵抗するようなら、さっさと動けないようにしろ!」
その言葉に女達の顔色が青ざめ、ジルは怒りの表情になる。
精霊シンだけが無表情だが、ジルと視線を合わせると頷き、女性たちと共に転移した。
シンはジルの命令で女達を地上のさらに安全な上空まで転移させ、さらにシールドした。
宙を浮かぶ自分達に、女達はまるで現実ではないように感じながらも一人魔族達のいる鍾乳洞に残ったジルを案じていた。
そしてジルは、火柱や竜巻、そして先ほどの10デルータ(10Km)ほど鍾乳洞の壁をぶち抜いた経験から、加減の感覚を何となくつかみ始めていた。
そして女達が消えた事に騒ぎ出した魔族達に対してほんの少し視線をやり、覚めた目つきで呟いた。
「お前らに情けは無用だね…」
「「「「なっ!…」」」」魔族達の言葉が台詞になる前にジルの発した魔力は熱い熱い業火のうねりとなって魔族達に向かった。
そしてほんの数秒後には鍾乳洞の中から魔族の姿は消え、静寂が訪れたのだった。
どどぉぉぉぉんという地の底から湧き上がるような鈍い音と共に自分達がいるその場の地面も大きく揺れ、盛り上がった。
「「「「なっ!」」」」「「「「何だ!これはっ!」」」」
魔人のルーブが、自分の能力を使いこの地震の源を辿る。
「発信源はここから10デルータ(10Km)位、西に山を登った方向だ!」
「あの子が巻き込まれてなければいいが!くそっ!何だってこんなにも天変地異が!」
ディオルが悔しそうに呟く。
そして皆も「くっ」と顔をしかめ、ジルを案じルーブが突き止めたこの波動の発信源へ向かった。
(っつ~か、元凶はすべてジルなのだが、そんな事は知らない”影”の皆さんは本当に心から心配している)
***
一方、現地では濛々と土煙が舞い上がり牢屋を背にして真っすぐに穴が開いていた。
女性たちはジルの指示により月の石の精霊(今は天使設定)の加護でシールドされ、傷一つない。
「「「す…すごい」」」女性たちはあんぐりと口をあけたままポカーンとしている。
「ふむ…。この位の加減でこの位の破壊力か…だったら…」とジルは、何やらぶつぶつと呟いている。
すぐさま「なんだなんだ!」と先ほどの魔族が横穴から入ってきた。
ジルの月の石の腕輪を持ち去った奴である。(と、言ってもさっそくシンは腕輪ごとジルの元に帰って来ていたが)
「なっ!何じゃこりゃああ!」と魔族の男は顎が外れんばかりに大きな口を開けて叫んだ。
どうやら、前方にはおらず、命拾いをしたようであるが、その命もジルの視界に入ってしまえば風前の灯である。
「一応、聞くけど魔族のお兄さん?貴方はここにいる女性をどうするつもりですか?」とジルはその魔族に聞いた。
「はっ!何言ってんだ!そんなもん、上位魔族に収めたら後はしったこっちゃねぇ。騒ぐようなら手足をもいで連れて行くだけだ!それより今のものすごい衝撃はっ!?この巨大な穴は何なんだ!」とまくしたてる。
「手足をもいで?そんな事したら死んじゃうでしょう?」
「ぎゃははははは!魔族の術をかけるとなぁ!手足もいだくらいじゃ死なない…いや、死ねねぇんだよ!痛みはそのままだが、叫ぶこともできない術をかけるからな。ひゃっひゃっひゃっ」と下卑た笑い声をあげた。
そして他の魔族達もその場に入ってくる。
「「「おいっ!何、笑ってるんだ?女達は死んでないだろうな?」」」
「「大事な苗床だぞ!」」
「さっさと移動させろ!抵抗するようなら、さっさと動けないようにしろ!」
その言葉に女達の顔色が青ざめ、ジルは怒りの表情になる。
精霊シンだけが無表情だが、ジルと視線を合わせると頷き、女性たちと共に転移した。
シンはジルの命令で女達を地上のさらに安全な上空まで転移させ、さらにシールドした。
宙を浮かぶ自分達に、女達はまるで現実ではないように感じながらも一人魔族達のいる鍾乳洞に残ったジルを案じていた。
そしてジルは、火柱や竜巻、そして先ほどの10デルータ(10Km)ほど鍾乳洞の壁をぶち抜いた経験から、加減の感覚を何となくつかみ始めていた。
そして女達が消えた事に騒ぎ出した魔族達に対してほんの少し視線をやり、覚めた目つきで呟いた。
「お前らに情けは無用だね…」
「「「「なっ!…」」」」魔族達の言葉が台詞になる前にジルの発した魔力は熱い熱い業火のうねりとなって魔族達に向かった。
そしてほんの数秒後には鍾乳洞の中から魔族の姿は消え、静寂が訪れたのだった。
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