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魔法のある世界で
37.噂のラーラ姫様05
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暑苦しい大の男二人の熱い語らいは続いた。
(そこにラーラが居なかったのは幸いだっただろう…いたらドン引きである)
「わたしは自分を恥じた!ラーラに会う前、妹など認めないと父上に言った無慈悲をどれほど悔いたか!わたしは今、心から妹を守っていきたいと思っている!クルディガン!其方も力を貸してくれるな?」
「勿論でございます!陛下!頼まれずともラーラ姫様の御為なら!」
二人のテンションは振り切っていた。
「うむ!お前ならそう言ってくれると信じていた!とにかくラーラを守る為にはお前は必要だ!」
「なんと!しかし何故でございます?王族の姫君でいながら、それ以上の守りを固めようとするのは一体…」
「ここから先は其方に魔法の誓いを立ててもらわねば言えぬ。私にでは無くて良い。ラーラに”忠誠の誓い”を立てられるか?」
バート王はそう言って王家の秘宝、聖剣デュオシルヴィータの鞘を抜いた。
「なんと!」
その聖剣デュオシルヴィータの”忠誠の誓い”それは、主の為に命を捧げる誓いである。
その聖なる剣の誓いはその代の王がたった一度のみ許される契約だ。
決して裏切りを許されないその契約は、死ぬまで続き王という孤独を唯一埋めるものだとされていた。
そして、王から”忠誠の誓い”を求められるものはその殆どが死地を共に乗り越えてきた側近や重鎮である。
それを妹姫の為に譲ると言うのだ。
「王たる貴方が、それを使わず妹姫に譲られると?」
「なぁに、今は泰平の世!そんな誓いなど無くても私は大丈夫だ!なにせ稀代の王と呼ばれた先王!父上が、地盤をしっかり固めてくれたからな!」
「では、本気で?」
「本気も本気だ!王の孤独など乱世の中であっての事!ラーラは僅か三歳で孤独が当たり前の生活をしていたのだ!あんな幼子が!しかもあの子のこれからは、もしかしたら王たる私よりも危険かもしれないのだ!」
クルディガンは驚いた。
いくら妹姫が大事と言っても王の証!王の特権とも呼ばれる聖剣による”忠誠の誓い”そしてこの事は秘密裏に行われるのである。
私の誓いは皆は王にあると思うだろう。
誓いを終えた私には聖剣より授かりし銀の魔力が宿るのだ。
それは忠誠を誓った相手の為だけに発揮されるのである。
そして、それは、本来忠誠を誓う相手であろう王の特権なのだ。
王の特権すら妹姫の為に…。
正直、先王と比べるとどうしても幼さや甘さを感じたりもしたが、今のバート王に迷いも気負いもなく純粋に妹姫を守ろうとしている。
何より女性蔑視のところがあったバート王が妹姫を心から守りたいと願っている。
”人”として素晴らしい事だとクルディガン将軍は歓喜した。
人として素晴らしい王は、王としても民に寄り添った王となれるだろうと誇らしく嬉しく思った。
「謹んでお受けいたします!」
そう言ってクルディガンが跪き、王は満足げに剣をクルディガンの肩にそっとあてた。
白銀の光が剣先からこぼれてクルディガンを包む。
「ありがとう。これで其方はラーラを裏切る事は生涯出来ない」
正式には、ラーラも忠誠を受け入れるという意思を表して完了する誓いだが、現時点で既に聖剣の光を受けたクルディガンがラーラを裏切るような事はまず出来ない。
まるで呪いのような強力な魔力で縛られたのである。
「さぁ、王よ、そこまでして守らねばならないラーラ姫様の秘密とは何なのです?」
バート王は覚悟を決めた様にラーラの秘密を語った。
「将軍、…ラーラの魔力は私や父上よりもはるかに多くしかも純粋な白銀のオーラを持っているのだ。その光はこの聖剣デュオシルヴィータの放つ光よりも純粋で強力なのだ」
「な…なんと!」
そして、バート王は、先日のラーラの誕生日のお祝いの席でした魔力測定で見たラーラの魔力の事を語って聞かせた。
その輝きがどれほどのもので、それが他国に知られればどれ程の者達がラーラの事を望み奪おうとするか!
自国の大神殿にすら知られてはならない。
大神殿はラーラを守ろうとするだろうが大神殿の中に取り込もうとするだろう。
ラーラは初めて出来た家族といる事を望んでいるのだから…。
そしてクルディガン将軍は心からラーラへの忠誠を王の頼みからなどではなく心から誓ったのだった。
(そこにラーラが居なかったのは幸いだっただろう…いたらドン引きである)
「わたしは自分を恥じた!ラーラに会う前、妹など認めないと父上に言った無慈悲をどれほど悔いたか!わたしは今、心から妹を守っていきたいと思っている!クルディガン!其方も力を貸してくれるな?」
「勿論でございます!陛下!頼まれずともラーラ姫様の御為なら!」
二人のテンションは振り切っていた。
「うむ!お前ならそう言ってくれると信じていた!とにかくラーラを守る為にはお前は必要だ!」
「なんと!しかし何故でございます?王族の姫君でいながら、それ以上の守りを固めようとするのは一体…」
「ここから先は其方に魔法の誓いを立ててもらわねば言えぬ。私にでは無くて良い。ラーラに”忠誠の誓い”を立てられるか?」
バート王はそう言って王家の秘宝、聖剣デュオシルヴィータの鞘を抜いた。
「なんと!」
その聖剣デュオシルヴィータの”忠誠の誓い”それは、主の為に命を捧げる誓いである。
その聖なる剣の誓いはその代の王がたった一度のみ許される契約だ。
決して裏切りを許されないその契約は、死ぬまで続き王という孤独を唯一埋めるものだとされていた。
そして、王から”忠誠の誓い”を求められるものはその殆どが死地を共に乗り越えてきた側近や重鎮である。
それを妹姫の為に譲ると言うのだ。
「王たる貴方が、それを使わず妹姫に譲られると?」
「なぁに、今は泰平の世!そんな誓いなど無くても私は大丈夫だ!なにせ稀代の王と呼ばれた先王!父上が、地盤をしっかり固めてくれたからな!」
「では、本気で?」
「本気も本気だ!王の孤独など乱世の中であっての事!ラーラは僅か三歳で孤独が当たり前の生活をしていたのだ!あんな幼子が!しかもあの子のこれからは、もしかしたら王たる私よりも危険かもしれないのだ!」
クルディガンは驚いた。
いくら妹姫が大事と言っても王の証!王の特権とも呼ばれる聖剣による”忠誠の誓い”そしてこの事は秘密裏に行われるのである。
私の誓いは皆は王にあると思うだろう。
誓いを終えた私には聖剣より授かりし銀の魔力が宿るのだ。
それは忠誠を誓った相手の為だけに発揮されるのである。
そして、それは、本来忠誠を誓う相手であろう王の特権なのだ。
王の特権すら妹姫の為に…。
正直、先王と比べるとどうしても幼さや甘さを感じたりもしたが、今のバート王に迷いも気負いもなく純粋に妹姫を守ろうとしている。
何より女性蔑視のところがあったバート王が妹姫を心から守りたいと願っている。
”人”として素晴らしい事だとクルディガン将軍は歓喜した。
人として素晴らしい王は、王としても民に寄り添った王となれるだろうと誇らしく嬉しく思った。
「謹んでお受けいたします!」
そう言ってクルディガンが跪き、王は満足げに剣をクルディガンの肩にそっとあてた。
白銀の光が剣先からこぼれてクルディガンを包む。
「ありがとう。これで其方はラーラを裏切る事は生涯出来ない」
正式には、ラーラも忠誠を受け入れるという意思を表して完了する誓いだが、現時点で既に聖剣の光を受けたクルディガンがラーラを裏切るような事はまず出来ない。
まるで呪いのような強力な魔力で縛られたのである。
「さぁ、王よ、そこまでして守らねばならないラーラ姫様の秘密とは何なのです?」
バート王は覚悟を決めた様にラーラの秘密を語った。
「将軍、…ラーラの魔力は私や父上よりもはるかに多くしかも純粋な白銀のオーラを持っているのだ。その光はこの聖剣デュオシルヴィータの放つ光よりも純粋で強力なのだ」
「な…なんと!」
そして、バート王は、先日のラーラの誕生日のお祝いの席でした魔力測定で見たラーラの魔力の事を語って聞かせた。
その輝きがどれほどのもので、それが他国に知られればどれ程の者達がラーラの事を望み奪おうとするか!
自国の大神殿にすら知られてはならない。
大神殿はラーラを守ろうとするだろうが大神殿の中に取り込もうとするだろう。
ラーラは初めて出来た家族といる事を望んでいるのだから…。
そしてクルディガン将軍は心からラーラへの忠誠を王の頼みからなどではなく心から誓ったのだった。
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