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本編
第1恋「ここがトーキョー!」その3*
しおりを挟む少しだけ年季が入っているが、建物横つけの階段の手すりにサビ一つない綺麗なアパートだった。
メモによると
『部屋二階の左から二番目』
と書いてあった。
(二階の左から二番目……ここだっぺ。)
リュックサックの一番手前のポケットを開けて、母さんに渡されていた鍵を使って扉式のドアを開けた。
「すげぇ~!!!」
部屋の中は外見の何倍も綺麗だった。
部屋には冷蔵庫、エアコン、テレビにベッド、そして勉強机と椅子が揃っていた。
母さんの弟である僕のおじちゃんが東京に出張に来た時に新しいのを買って置いてってくれたのだ。
(おじちゃんあんがとぉ!)
靴を脱ぎ捨てて、ベッドにダイブしようと思ったが、三歩歩いて靴を揃えに戻ってきた。
(いげねいげね、靴の神様におごられちまう。)
昔から母さんに言われていた村あるあるのお決まり。
靴は揃えないと神様がお怒りになるって。
一直線にベッドにダイブ。
これも布団でしか寝たことなかった僕の『トーキョー行ったらやってみたいことリスト』の一つだった。
「ふかふかだべさぁ~……。」
まさに夢心地だった。
自分だけの家。かっこよく言ってマイルーム。なんて、田舎者の決めつけかもしれないが。
トーキョー・シンバシ・マイハウス。
(今日からここがマイルームだぁ……。)
幸せ。
「あ、そーいえば!」
ガサゴソとリュックサックの中を漁る。
このリュックサックももう使い始めてはや7年の相棒だ。
歯ブラシや着替えの服などの奥から、『東京に着いたら読みなさい』と書かれた手紙をとりだした。
可愛い猫のシールをはがす。
『健一へ
もうこれを読んでる頃には健一は東京にいるべ。
あんな泣き虫でいつもユキちゃんと遊んでたあのちっちゃかった健一も、もう高校生になったんだべな。
都会は恐ろしぐで、健一はいろんな困難と試練にもぶち当たると思う。
でも、健一なら大丈夫だべ!
なんたって、母さんの自慢の息子だがらな!
東京の高校でもがんばれ!
母さん応援しどるよ!
母さんより』
(母さん……)
「おら、頑張ってみっぺ!!!!」
窓の外から見える木が、春の優しい風に吹かれて少しなびいた。
第1恋 おわり。
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