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「そこまで頑なに、複数人での探索を行うのを拒むのなら無理強いはしない。」

「助かる。」

「ぶっちゃけ、協調性皆無な奴らの方が術師ギルドには集まるからな。
 寄り合いとかも、押し付けられてギルドマスターになった奴らばっかで傷の舐め合いしてるのな。」

 知らんがな。
 未知でもいいと感じたので無視することにして、当面の目的として依頼を確認する。

「今日の給料は8000円くらいだな。」

「4時間の労働でこんなに!」

「保険料。」

 社会保険料及び、厚生年金などを引くとなると探索者の場合は4000円くらいが打倒になる。
 
「それらを差っ引くと手取りは5000円弱、アルゴノーツはそこの元気っ子がやったんだろう。
 元気っ子は手取りで2万ってところだな。」

 社会人一年目で壁を越えていない場合は5000円弱で間違いない。
 税金の計算もある程度できるあたり、確定申告か明細書はしっかりと確認をしている人物をお見受けできる。
 社会人としては当たり前で、高い金額を取られる保険料や年金の類だが、探索者はその分ケガの保険が手厚い。
 別段入らなくても良いが、ギルドによっては入ることを義務付けている。

「やったー!
 欲しいモノ買える!」

「アルゴノーツは滅多に上層に上がることは無いが大方お前さんたちが雑魚狩りし過ぎたから、今後もっと下層に行くことを進められる。」

 強制ではなくとも、風潮的にハブられるだろう。
 狩場を荒らして、リスクを出しているし、その手のコンプライアンス的マナーは遵守していた方が良い。
 もっと簡単に言うと周りを見て並んでいる人を察知し順番を護る。
 
「ま、偶にしておかないともっとおっかないのが出てくる可能性があるから、やるなとは言わないがな。」

「結構強いの出たのって僕たちのせいだったんだ!」

 ぴょんぴょん飛び跳ねながら、大きな声で自分の恥を言うとは、とんだ恥さらしだ。
 彼女の前向きな性格がそうさせているのか。
 かなり前向き、技にそれが出ているし、良い闘志も持っている。

「買いたいモノを買うならとは言わないが、今回のようなことはそうそう起きないと思った方が未来のためだ。」

「うがー!」

 頭を掻きむしって、項垂れる。
「僕の新しいスカートが!」
 とか言ってるから、そこそこオシャレさんなのかな。
 私はファッションのかけらも理解できないからよくわからないけど。

 あ、ポニーテールを解いて髪を整えてる。
 ヘアゴムを口に咥えるのってエロい。
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