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第29話

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「……リ、ククリ……」


 耳元に熱い吐息がかかる。


「ククリ、可愛い……、大好きだよ……」

 首筋をなにか柔らかいものがかすめていき、それはそのまま俺の鎖骨を辿っていく。


「ん……」

 まだ覚醒していない身体……。


 俺の背中を熱くて大きな手のひらが、撫でていく……。



「んっ、はっ……」


 あやされるように何度も撫でられると、自然と俺の息は上がった。



「ククリ、俺のものだ……、全部……」


 手のひらが、そのまま下に降りていき、俺の臀部を掴む。


 ーーえっ!?



 思わず目を開けると、そこには超絶美形の俺の夫のどアップ!!!!



「あ、アスランっ、なんで……っ!?」


「なんで? ククリ、俺たちは結婚してるんだよ?
こういうことをするのは、当たり前のことだろう?」


 優美に笑うアスランの腕が、俺の背中に回る。



 そして、気づいた。


 ここは俺のベッドの中!!

 そして……、


 ーー俺も、アスランも、何一つ身につけていない!




「や、あっ! アスランっ、駄目っ、こんなっ……」


 触れ合った素肌が、熱い。



「何が駄目なの? ククリ、何も恥ずかしがることはないよ」


 アスランの鍛え上げられたたくましい胸を押しのけようとするが、もちろんびくともしない。



「アスランっ、やめて……」


「やめないよ。ククリ、今日こそ俺と一つになろう?
大丈夫、怖くないよ。
今からすることは、とっても気持ちがいいことなんだ」


 ギュッと抱きしめられると、アスランの中心部の硬くて凶悪なものが、俺の腹に触れた。



「ヒッ……!!」


「ああ、ククリ……、早く君の中に入りたい……」

 アスランが俺の耳たぶを甘噛する。



「あっ、んっ……」


「かわいい。やっぱり男の子だね。ほら、ククリのも、反応してるよ……」


 俺のモノが、アスランの手のひらに包み込まれる。



「ああっ、んっ、駄目、やめてっ、アスランっ……」


「ほら、気持ちいい……、気持ちいいね? ククリ?」


 低い美声で囁かれ、俺自身を巧みに愛撫されると、身体の芯から溶けていくようだった。




「ああ、アスラン……、気持ちいい……、気持ちいいよ……」







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「……リ、ククリ……、ククリ様……」


 どこか遠くから聞こえる声……。



「んあ、あ、アスラン……、だめ……」




「ククリ様っ、起きてくださーい!
 朝ですよっ!!」


 シャッというカーテンを開ける小気味いい音とともに、俺の寝室に眩しい光が差し込んでくる。


 ーー俺ははっと目を覚ました。



「……あ、アレ? アスラン……?」


「ククリ様? 寝ぼけてらっしゃるんですか?
旦那様は、もう朝食の席でお待ちですよ!! 早く着替えて降りてきてくださいましね!」



 これは……、もちろん、ネリーの声!!


 そして、昨夜のアスランとのアレは、もちろん夢!!!!




 ということは……、


 俺はがばりと起き上がり、自分自身を確かめる。



 ーー俺、朝勃ち、してる……。




 
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