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第一章 アルミュール男爵家
第七話 賠償請求をする
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北の森に着いてからはグリムも姿を現し、俺も右目だけ開けて魔眼を使用している。
【身体制御】のおかげで、片目だけ開けるという普段しない動きも苦労せずできている。
今回は各種魔眼の検証と身体能力の検証をしてみようと思う。
まずは【千里眼】という補助魔眼を試してみよう。
視力自体を強化してくれる魔眼で、暗視や遠視に魔力視などの能力があるそうだ。
手鏡で虹彩を確認すると、青色に大きな星と細かい星がちりばめられている状態に変化していた。
「……全員こうなの?」
「それはー、高位魔眼ですからねー。普通はー、【魔眼:鑑定】とか【魔眼:魔力視】といった感じでー、限定された能力なんですー。その場合はー、そこまであからさまな変化はありませんよー」
「……だと思った」
今は見た目を気にせず、能力の高さに感謝しよう。
何故ならば、大きい猪を発見できたからだ。
他にもいるけど、単独で行動している魔物はいなし、射線が通らないから狙えない。
前世でも多少弓に触ったことがあるけど、果たして俺は弓で狩りができるのだろうか。……不安だ。
「まずは矢をつがえて……弓を引く……」
最初だけ少し反発を感じたけど、反発を感じたのは一瞬だった。
最後までしっかり引けたから、あとは放つだけなんだけど……【白毫眼】の能力である必中を意識して射ることにする。
「ん? ――ちょっ! 放っては――」
グリムが何かを言っていたようだけど、時すでに遅し。もう放しちゃった。
直後、グリムの制止の意味が判明する。
――ドドドドドッ!
という連続音がしたと思ったら、メキメキッバキバキッという木材が折れる音が聞こえてきたのだ。
「……普通に撃っただけだよ?」
「……もう嫌ですー」
◇
「こちら災害現場のカルムです! 突如飛んできた一本の矢により、数十本の倒木を積み上げるような大規模な災害が発生しましたっ! 現場にいたであろう大きな猪は首チョンパされた状態です! いったい誰がこのような惨事を起こしたのでしょうかっ!」
「お前だーー! 反省してないのですかーー!?」
「何でーー!? 俺、悪くないよね!? 弓を使っただけじゃん!」
「それは【魔晶具】ですー! 弓と矢に強化を施す能力があるのでしょー! 代わりにかなりの強弓になるのでー、使い手が限られる武器ですねー!」
「……それじゃあ俺は無罪だよね? 知らなかったし、選んだの家宰だし」
「おかしいな? と、思いませんでしたー?」
「おかしいも何もこの世界で弓に触ったこと自体、今日が初めてだったんだからさー。こんなもんかーとしか思わなかったよ」
「……もぉーーー! あなたが普通の弓を使ったらー、おもちゃみたいに感じるはずですー! 普通の強弓でさえ指先で摘まんで引っ張るぐらい余裕でできますー!」
そこまでの怪物っぷりだとは思わなかったな。
ドラゴンっていうのも本当のことなのかも……。
「……先に言っておいて欲しかったなー。とりあえず、どうしよっか?」
「……【魔導眼】で収納しましょー。証拠隠滅ですー」
「はーい! 確か両目を開けて、収納対象を見るんだっけ?」
「そうですねー」
翼で器用に顔を覆い、ガックリと項垂れているグリムを横目に、金色の目に白炎を揺らして倒木を収納していく。
「そういえばー、【超嗅覚】と【順風耳】も常時型ですけどー、辛くないんですかー?」
惨事の衝撃から復活した様子のグリムが質問してきた内容は、正直今更感がある内容だった。
「昨日から辛かったよ? 臭いしうるさいしで、本当に辛かったけど、人間は慣れる生き物なんだよ。それに嗅覚は半常時型みたいで、普段は効果が弱まってるみたい。聴覚は幸いなことに、音量は変えれるみたいだからね」
「音量を変えるー?」
「うーん……聞き分けっていうのが正確かな? 一つの音を主に聞くことで、他の音を小さくしているんだよ」
「へぇー。努力してるんですねー」
「当然! 早期リタイアを目指しているんだから、自分に何ができるかを把握しないとね!」
「まずはー、猪の解体ですねー」
「そうだね。結晶を意識すればいいのかな?」
「いいえー。結晶は魂や体に刻まれたことを証明するのでー、意識する必要はないですー。あなたの世界で言うならー、自転車に乗るとかですかねー」
「なるほど」
ナイフを取りだして猪に当てると、昔からできていたかのように解体が進む。
手順も分かるし、手の動かし方やナイフの動かし方も分かる。
「これはすごい……。もう終わった」
「結晶化した後はレベル表示が消えるのですがー、そこで手を抜く人もいるので気をつけた方がいいですよー」
「レベルはどこで見るの?」
「……知らない人は一生知りませんからー、言ってもいいのか分かりませんねー」
「いやいやいや。グリムは俺の天禀なのよ? 言っていいに決まってるじゃん! もしかして……監視のために送られてきただけって言わないよね?」
「……言いませんよー」
「……間があいたよね? 違うというなら、全面サポートを誓って欲しいなっ!」
「……私は監視要員ですー! 神々に逆らえないんですーー!」
ただでさえ、天禀に制限を付けられているのに監視まで……。
「ねぇ……、他の人は希望を叶えてもらったりして厚遇されてるんでしょ? 俺だけ酷くない? 俺も被害者なんだけど? しかも賢者を道連れにしたおかげで、次の被害者を出さずに済んだと思うんだー。褒美はあっても罰みたいな仕打ちはないんじゃないかな? イラッとして暴れちゃうよ?」
「――なぁっ! お、怒ってますー……?」
「はい」
「神々は優しいんですよー? でも、眷属の方々ビビってましてー。ほら、神々しか相手できないってことはー、眷属は手も足も出ないってことでしてー」
「じゃあ眷属に届くように、魔力を全部使った魔法を放てばいいのかな?」
「そっ、それはダメなやつですーー!」
「じゃあグリムはどっちにつくのかな?」
「もちろん! あなたですよーー!」
「よろしい!」
矛を収めようではないか。仕打ちは決して忘れないけどね。
「それで? どこで見るのかな?」
「……ステータスを得た後に『隠しステータス』というものも与えられるのですがー、教会にある専用の部屋でしか見ることはできません。毎回御布施が必要ですしー、一人しか入れませんからねー」
「複数で入って意味あるの?」
「結晶の統合ができるんですがー、組み合わせで結晶の能力が変化することもあるんですー。それを他人の意志で変えたりするのは禁止されてますー。自分の人生は自分で選択するものですからねー」
「メモしたり暗記すれば良くない?」
「普通の人は自分の能力を他人には言いませんのでー、奴隷とか家臣に強要する場合がありますがー、話す分には問題はありませんよー。強要したりー、誰々が言ってたからというものを選んだ場合はー、罰が下る仕様ですー」
「どうやって? 分かんないじゃん」
「専用の部屋は聖域になっているのでー、個人情報は絶対に漏れません。教会に所属している人にも漏れません。代わりに神々には筒抜けですー。心の声も記憶も全てですー」
「なるほどー。神々は嘘が嫌いなんだっけね」
「そうですー。不貞行為で神罰を与えるくらいですからねー」
結局五歳までは確認できないのか。
三歳で専用部屋を利用するのは異常だし、御布施を払うお金もないしね。
「でも安心したよ」
「何がですー?」
「神々は嘘が嫌いなんだよね? じゃあ眷属や眷属候補に嘘はつかせないよね?」
「……」
「まさかダブルスタンダードではないよね?」
「も……もちろんですよー」
「じゃあ早速質問に答えてもらおうかなー」
「……どんな質問ですー?」
魔眼を【洞察眼】に変更する。
能力に看破や読心があるからだ。
「【高天原】って、本当に新しい自分だけの世界を創れるのかな?」
「……その眼はズルいと思うのですがー?」
「嘘をつかないんだから問題ないはずだよね?」
「……希望を言ってみてくださいー」
「そういうのはいいから! 嘘ついたんでしょ?」
「すみませんっ! 神々が指示したことなんですーっ! 新しい世界ではなくー、中古の世界なんですー!」
「中古……?」
「もっと言えばー、廃棄予定の世界ですー! 神々は創造神になられると困るということでー、廃棄世界を押しつけたのですー!」
――はぁ!?
「俺、神々に何かした? この仕打ちは何? 廃棄世界って言っても神々が創ったわけだから、都合が悪くなったら取り上げたり干渉できるってことでしょ? それは嘘の能力だよね?」
「お怒りはごもっともですーー! でも廃棄世界って言いましてもー、ほとんど新古状態ですー! この世界の前身でしてー、魔物の知能が高く強い反面人間が弱すぎましてー、村規模の人間が隠れ住む以外は自然溢れる世界ですー!」
「だから? 嘘は嘘だよね? 監視ってことは報告する方法があるんでしょ? 今から隕石降らせるって言ってくれる?」
「なぁぁぁぜぇぇぇーー!?」
「何もしてないのに罰を受けているんだからー、実際に罰を受けた人物として帳尻を合わせようと思ってー? これでお互いが納得だと思うんだー!」
「これは眷属の方々がーー……」
「その言い訳は一度しか使えません! 最終判断は神々が出したんだからさー。分かるかな?」
「少々お待ちをーーっ!」
翼を合わせて祈っているグリムを見ていると、どこからか声が聞こえてきた。
【順風耳】の能力の一つに神託があるから、神々の声だと思われる。まぁ無視するけど。
「あ、あのー? 何か聞こえませんかー?」
「何もー?」
「あれー? 嘘はいけませんよー?」
「その言葉、あなた方にそっくりそのままお返ししますよー?」
「くっ!」
「俺が求めているのは話し合いではなく、詐欺行為による賠償なんですけどー? または帳尻あわせかー? ちなみにー、【異常無効】で罪悪感はない! さぁーー! どうしますかーー!?」
「もぉーーーっ! いやですーーーっ!」
【身体制御】のおかげで、片目だけ開けるという普段しない動きも苦労せずできている。
今回は各種魔眼の検証と身体能力の検証をしてみようと思う。
まずは【千里眼】という補助魔眼を試してみよう。
視力自体を強化してくれる魔眼で、暗視や遠視に魔力視などの能力があるそうだ。
手鏡で虹彩を確認すると、青色に大きな星と細かい星がちりばめられている状態に変化していた。
「……全員こうなの?」
「それはー、高位魔眼ですからねー。普通はー、【魔眼:鑑定】とか【魔眼:魔力視】といった感じでー、限定された能力なんですー。その場合はー、そこまであからさまな変化はありませんよー」
「……だと思った」
今は見た目を気にせず、能力の高さに感謝しよう。
何故ならば、大きい猪を発見できたからだ。
他にもいるけど、単独で行動している魔物はいなし、射線が通らないから狙えない。
前世でも多少弓に触ったことがあるけど、果たして俺は弓で狩りができるのだろうか。……不安だ。
「まずは矢をつがえて……弓を引く……」
最初だけ少し反発を感じたけど、反発を感じたのは一瞬だった。
最後までしっかり引けたから、あとは放つだけなんだけど……【白毫眼】の能力である必中を意識して射ることにする。
「ん? ――ちょっ! 放っては――」
グリムが何かを言っていたようだけど、時すでに遅し。もう放しちゃった。
直後、グリムの制止の意味が判明する。
――ドドドドドッ!
という連続音がしたと思ったら、メキメキッバキバキッという木材が折れる音が聞こえてきたのだ。
「……普通に撃っただけだよ?」
「……もう嫌ですー」
◇
「こちら災害現場のカルムです! 突如飛んできた一本の矢により、数十本の倒木を積み上げるような大規模な災害が発生しましたっ! 現場にいたであろう大きな猪は首チョンパされた状態です! いったい誰がこのような惨事を起こしたのでしょうかっ!」
「お前だーー! 反省してないのですかーー!?」
「何でーー!? 俺、悪くないよね!? 弓を使っただけじゃん!」
「それは【魔晶具】ですー! 弓と矢に強化を施す能力があるのでしょー! 代わりにかなりの強弓になるのでー、使い手が限られる武器ですねー!」
「……それじゃあ俺は無罪だよね? 知らなかったし、選んだの家宰だし」
「おかしいな? と、思いませんでしたー?」
「おかしいも何もこの世界で弓に触ったこと自体、今日が初めてだったんだからさー。こんなもんかーとしか思わなかったよ」
「……もぉーーー! あなたが普通の弓を使ったらー、おもちゃみたいに感じるはずですー! 普通の強弓でさえ指先で摘まんで引っ張るぐらい余裕でできますー!」
そこまでの怪物っぷりだとは思わなかったな。
ドラゴンっていうのも本当のことなのかも……。
「……先に言っておいて欲しかったなー。とりあえず、どうしよっか?」
「……【魔導眼】で収納しましょー。証拠隠滅ですー」
「はーい! 確か両目を開けて、収納対象を見るんだっけ?」
「そうですねー」
翼で器用に顔を覆い、ガックリと項垂れているグリムを横目に、金色の目に白炎を揺らして倒木を収納していく。
「そういえばー、【超嗅覚】と【順風耳】も常時型ですけどー、辛くないんですかー?」
惨事の衝撃から復活した様子のグリムが質問してきた内容は、正直今更感がある内容だった。
「昨日から辛かったよ? 臭いしうるさいしで、本当に辛かったけど、人間は慣れる生き物なんだよ。それに嗅覚は半常時型みたいで、普段は効果が弱まってるみたい。聴覚は幸いなことに、音量は変えれるみたいだからね」
「音量を変えるー?」
「うーん……聞き分けっていうのが正確かな? 一つの音を主に聞くことで、他の音を小さくしているんだよ」
「へぇー。努力してるんですねー」
「当然! 早期リタイアを目指しているんだから、自分に何ができるかを把握しないとね!」
「まずはー、猪の解体ですねー」
「そうだね。結晶を意識すればいいのかな?」
「いいえー。結晶は魂や体に刻まれたことを証明するのでー、意識する必要はないですー。あなたの世界で言うならー、自転車に乗るとかですかねー」
「なるほど」
ナイフを取りだして猪に当てると、昔からできていたかのように解体が進む。
手順も分かるし、手の動かし方やナイフの動かし方も分かる。
「これはすごい……。もう終わった」
「結晶化した後はレベル表示が消えるのですがー、そこで手を抜く人もいるので気をつけた方がいいですよー」
「レベルはどこで見るの?」
「……知らない人は一生知りませんからー、言ってもいいのか分かりませんねー」
「いやいやいや。グリムは俺の天禀なのよ? 言っていいに決まってるじゃん! もしかして……監視のために送られてきただけって言わないよね?」
「……言いませんよー」
「……間があいたよね? 違うというなら、全面サポートを誓って欲しいなっ!」
「……私は監視要員ですー! 神々に逆らえないんですーー!」
ただでさえ、天禀に制限を付けられているのに監視まで……。
「ねぇ……、他の人は希望を叶えてもらったりして厚遇されてるんでしょ? 俺だけ酷くない? 俺も被害者なんだけど? しかも賢者を道連れにしたおかげで、次の被害者を出さずに済んだと思うんだー。褒美はあっても罰みたいな仕打ちはないんじゃないかな? イラッとして暴れちゃうよ?」
「――なぁっ! お、怒ってますー……?」
「はい」
「神々は優しいんですよー? でも、眷属の方々ビビってましてー。ほら、神々しか相手できないってことはー、眷属は手も足も出ないってことでしてー」
「じゃあ眷属に届くように、魔力を全部使った魔法を放てばいいのかな?」
「そっ、それはダメなやつですーー!」
「じゃあグリムはどっちにつくのかな?」
「もちろん! あなたですよーー!」
「よろしい!」
矛を収めようではないか。仕打ちは決して忘れないけどね。
「それで? どこで見るのかな?」
「……ステータスを得た後に『隠しステータス』というものも与えられるのですがー、教会にある専用の部屋でしか見ることはできません。毎回御布施が必要ですしー、一人しか入れませんからねー」
「複数で入って意味あるの?」
「結晶の統合ができるんですがー、組み合わせで結晶の能力が変化することもあるんですー。それを他人の意志で変えたりするのは禁止されてますー。自分の人生は自分で選択するものですからねー」
「メモしたり暗記すれば良くない?」
「普通の人は自分の能力を他人には言いませんのでー、奴隷とか家臣に強要する場合がありますがー、話す分には問題はありませんよー。強要したりー、誰々が言ってたからというものを選んだ場合はー、罰が下る仕様ですー」
「どうやって? 分かんないじゃん」
「専用の部屋は聖域になっているのでー、個人情報は絶対に漏れません。教会に所属している人にも漏れません。代わりに神々には筒抜けですー。心の声も記憶も全てですー」
「なるほどー。神々は嘘が嫌いなんだっけね」
「そうですー。不貞行為で神罰を与えるくらいですからねー」
結局五歳までは確認できないのか。
三歳で専用部屋を利用するのは異常だし、御布施を払うお金もないしね。
「でも安心したよ」
「何がですー?」
「神々は嘘が嫌いなんだよね? じゃあ眷属や眷属候補に嘘はつかせないよね?」
「……」
「まさかダブルスタンダードではないよね?」
「も……もちろんですよー」
「じゃあ早速質問に答えてもらおうかなー」
「……どんな質問ですー?」
魔眼を【洞察眼】に変更する。
能力に看破や読心があるからだ。
「【高天原】って、本当に新しい自分だけの世界を創れるのかな?」
「……その眼はズルいと思うのですがー?」
「嘘をつかないんだから問題ないはずだよね?」
「……希望を言ってみてくださいー」
「そういうのはいいから! 嘘ついたんでしょ?」
「すみませんっ! 神々が指示したことなんですーっ! 新しい世界ではなくー、中古の世界なんですー!」
「中古……?」
「もっと言えばー、廃棄予定の世界ですー! 神々は創造神になられると困るということでー、廃棄世界を押しつけたのですー!」
――はぁ!?
「俺、神々に何かした? この仕打ちは何? 廃棄世界って言っても神々が創ったわけだから、都合が悪くなったら取り上げたり干渉できるってことでしょ? それは嘘の能力だよね?」
「お怒りはごもっともですーー! でも廃棄世界って言いましてもー、ほとんど新古状態ですー! この世界の前身でしてー、魔物の知能が高く強い反面人間が弱すぎましてー、村規模の人間が隠れ住む以外は自然溢れる世界ですー!」
「だから? 嘘は嘘だよね? 監視ってことは報告する方法があるんでしょ? 今から隕石降らせるって言ってくれる?」
「なぁぁぁぜぇぇぇーー!?」
「何もしてないのに罰を受けているんだからー、実際に罰を受けた人物として帳尻を合わせようと思ってー? これでお互いが納得だと思うんだー!」
「これは眷属の方々がーー……」
「その言い訳は一度しか使えません! 最終判断は神々が出したんだからさー。分かるかな?」
「少々お待ちをーーっ!」
翼を合わせて祈っているグリムを見ていると、どこからか声が聞こえてきた。
【順風耳】の能力の一つに神託があるから、神々の声だと思われる。まぁ無視するけど。
「あ、あのー? 何か聞こえませんかー?」
「何もー?」
「あれー? 嘘はいけませんよー?」
「その言葉、あなた方にそっくりそのままお返ししますよー?」
「くっ!」
「俺が求めているのは話し合いではなく、詐欺行為による賠償なんですけどー? または帳尻あわせかー? ちなみにー、【異常無効】で罪悪感はない! さぁーー! どうしますかーー!?」
「もぉーーーっ! いやですーーーっ!」
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