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第一章 アルミュール男爵家
第十五話 反逆者の罪
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分家の建設を開始してから早六ヶ月。
まもなく完成する。
あとは内装だけなのだが、何故か住まないドワーフさんとエルフ殿がもめているのだ。
主に木材の種類について。
ドワーフさんはせっかくだから建材と統一するべきと言っているのだが、エルフ殿は家具として使用するならもっと頑丈な木材が良いと主張している。
この場合エルフ殿が正しいように感じるが、建材に使用した木材は各種付与によって真価を発揮するらしい。
家具にした場合、一点一点付与するから時間がかかり、入居までさらに時間がかかる。
エルフ殿は書庫に入り浸りたいから早く済む方法を提案しているのだと、ドワーフさんに図星を突かれていた。
しかしエルフ殿は強権を発動して、意見を通そうと姑息なことをしているというわけだ。
「い、依頼人は手抜き工事を嫌がると思うぜっ!」
「て、手抜きではないっ! 儂が責任を持って採取してくる高級素材だっ!」
「乾燥に時間がかかるだろうっ!」
「ふんっ! 少年の魔法陣で一発よっ!」
「依頼主の手を煩わせるとは何事だっ!」
「お主が言うなっ!」
と言った感じで、二人は結構仲が良い。
昔からの知り合いで腐れ縁なんだとか。
ちなみに、この世界は地球に近い日時だ。
違うところは、一年が三五〇日ということかな。
通常は七日で一週間を四週やって一ヶ月だ。
ただし、七月と八月は五週ずつで一ヶ月。
全部で三五〇日になる計算だ。
カルム少年の誕生日は三月だから、もうすぐ十月だ。
変わったことと言えば食生活と、大量の書物を読み漁ることと、魔導サングラスを完成させたこと。
昏睡状態だったことを知っているママンやパパン、そして本当のことを知っているグリムとメイベルは当然のごとく突っ込まない。
何故かドワーフさんとエルフ殿も突っ込まないけど、一般的に目を閉じている人がメガネをしたら突っ込みたくなるのが本質だ。
今回はメイベル見たさに分家に来ようとしていた双子に突っ込まれることになった。
「おいっ! お前目が見えないんだってなっ! それなのに――」
「目は見えてますよ?」
「まだ話してる途中だろっ!」
「じゃあ続きをどうぞ。おじさん」
「おじさんだとっ!? お前とは――」
「六歳しか違いませんね」
「だからっ! 話してる途中っ!」
話している間は黙っていなければいけないルールはないのだよ。一言ずつ話せば止めないのに……。
双子兄のとの会話は演説を聴く心構えじゃないと辛いって、カルム少年の記憶にあったんだよね。
「メガネのことを言いたいんですよね?」
「そうだよっ」
「何を言いたいのですか?」
「しゃれっ気づくなっ!」
「大方近くにいる令嬢にアピールしているのでしょう!」
双子弟は大物ぶった口調が鬱陶しい。
デブだけど武術が得意な兄にくっつく小判鮫のくせして、口だけは達者っていうのがカルム少年の評価だ。
双子兄はマンボウでいいかな? 脂肪で攻撃が通らなそうだから。
「アピールする相手がいないよりはマシでしょう?」
「「なんだとっ!?」」
「おぉーー! 息ぴったしっ! さすが双子っ!」
「女神様に選ばれし者だからなっ!」
「そのとおりである。女神様の寵愛を受けし我らに臆して、誰も声をかけられないだけである」
「いや、自分から声をかけないとっ! 婚期逃しますよ!?」
「「黙れっ!」」
「おぉー、怖っ!」
『というか、女神様も相手を選んで寵愛を与えて欲しいなー!』
『コイツらに与えているわけないでしょうがーー!』
それよりもそろそろ退場してもらおう。
「セバスーー! セバスチャーン! 侵入してますよーー! 責任問題だよーー!?」
遠くからこちらを見ていることは知っていたから、たまたまとは言えない時間留まらせた後、責任を押しつける作戦を発動する。
「カルム様、私の名前はレイトです」
「そうでしたね。教育が行き届いた仕事ができる優秀な家宰でしたね。では、おじさんたちを部屋に戻してあげてください」
「――畏まりました」
「よろしくね」
「おいっ! レイトっ! 何で言いなりになってるんだよっ!」
「そうですよっ! このまま調子に乗せたままでは許されませんよ!?」
「アベル様、カイン様。そろそろ戦闘訓練の時間ですよ」
「「クソッ!」」
俺は悪態をつく双子に向かって手を振る。
このときの俺は、目の前の双子が本当の馬鹿だということに気づけなかった。
そのせいで男爵領最大の大事件に発展することになるとは……。
◇
深夜、常時発動の第六感が警告しているような気がして飛び起きた。
俺の部屋は窓がないからすぐに外に飛び出し、【白毫眼】と魔力を併用した広域知覚を発動する。
「――あの野郎っ! やりやがったっ!」
【隠蔽】で体全体を隠し、【神足通】の飛翔を使って最短距離で新居に向かう。
「火を消せっ! バケツでも何でもいいから持って来いっ!」
「延焼しないように潰せっ!」
新居周辺は火災により大混乱になっており、ドワーフさんたちが必死に消火活動をしている。
同時に兵士を連れた双子が――。
「もっと燃えろーーっ!」
「無許可の違法建築に断罪をっ!」
と叫んでいる。
俺は持ってきた弓で撃ち殺そうかと思ったが、それよりも柱を内側に折って周囲に被害が出ないようにするのが先決だ。
夜の闇に紛れるように力加減をして、連射していく。もちろん、内側に折れるようにするため移動しながらだ。
『グリム、雨を思わせるほどの広範囲魔法は?』
『やりますー!』
直後、上空から大粒の雨が降ってきたことで、他に被害を出すことなく鎮火させることができた。
この頃になってようやくパパンが兵士とセバスチャンを連れてやってきた。
「何事だっ!」
パパンの意識が火災現場に向いている隙に弓をしまい、パパンの側に近づく。
「あの双子が火をつけましたっ! 『無許可の違法建築に断罪をっ!』と叫んでいましたが、僕は許可をもらったはずですっ! まさか勝手に反故にしたりはしていませんよね!?」
「――確かに許可を出した。ただレイトが止めなかったのなら……記録に残っていなかったということだ」
「そうですか」
「ほら見ろっ! 違法建築なんだよっ!」
放火は予想外だが、契約の反故は予想していたことだ。対策をしていないわけがない。
「そうですか。では、教会に行きましょう。僕はあの契約書を神父様に見せ、公正証書を作ってもらいました。原本は僕が持っていますし、複製した控えは教会に保管してあります。神々に提出した契約を一方的に反故にした場合、いったいどのような罰が下るのでしょうか!?」
「――こ、公正証書……」
「もう一度お聞きします! 許可を取りましたよね? そして放火をしたことを認めた発言を聞きましたよね?」
「――あぁ。聞いた」
「「父上っ! 何故っ!?」
「公正証書がある以上……かばうことはできない」
「僕は賠償請求をさせていただきますっ!」
「いくらだ?」
誰が男爵家に支払わせるかよ。
「何故父上が聞くのです? 男爵家が払えば僕の生活が今以上に苦しくなるじゃないですか? それは賠償ではないでしょう? お金はニコライ商会からもらいます。彼らの祖父なのですから」
「いや、私は父親だ」
「いいえ、違います」
「何だと!?」
「言葉が過ぎますぞっ!」
「セバス……いい加減黙れよ」
思わず【観念動】の雷声を使ってしまったが、後悔はしていない。
冥界羅漢の能力で、命令・恐慌・麻痺という効果を持つ。今回はチョロッとだから、麻痺はしていないだろう。
「真意を聞きたいなら御祖父様に聞くか、双子のステータスを見ればよろしいかと。それとセバス、お前――無能すぎる」
放火されて怒らない人間がいるなら是非連れて来て欲しい。止められる立場にいながら放置したのだ。無能のレッテルが貼られても仕方がないだろう。
「当主殿っ!」
話が終わったと判断したのか、聞いたことある声がパパンを呼んだ。
「いかがされた、エルード殿」
「この場所は儂の大切な場所だったのだぞ!? どういう了見で放火など許可された!?」
「いや、私は許可など……」
「では、男爵家の者は当主の許可なく民草の住居に放火できるということか!?」
「いや、そんなことはない!」
「ならば、そこの者たちは全員反逆者ということじゃな!? 当主の意図しないことを当主の名を騙って行った反逆者だということならば、儂はまだ納得できるっ! 公開処刑を楽しみにしておるよ!」
めちゃくちゃキレてる……。
自分より怒ってる人がいると冷静になれるって聞くけど、本当だったわ。
受け答えを間違えば当主でも関係なく攻撃されてたな。
ちなみに、ほとんどの人がパパンを領主とは呼ばない。
理由はジジイが隠居したくせに口を出しているし、私兵や使用人はジジイの子飼いだからだ。村民であれば知ってることだから、パパンはジジイが死ぬまで当主呼びだろう。
「処刑なんかされるわけねぇだろっ!」
「我々に無体を働いたらニコライ商会は撤退しますからねっ!」
「では、儂がこの村から去ろうではないかっ!」
「それは困るっ! どうかっ! どうかっ! ご寛恕いただきたくっ!」
「――少年の希望に応えるようにせよっ!」
「感謝申し上げますっ!」
「おいっ! ガンツ、いくらだ!?」
「……金額じゃねぇ。『魔霊樹』だぞ……!? 全部……全部……『魔霊樹』なんだぞ……!? 予備も何もかも燃えちまってよーー! どうするつもりだっ!? お前らが採ってきてくれんのか!? ああ゛っ!?」
やっぱり貴重な木材だったのか……。
まぁまだ持ってるんだけどね。
何度も惨事を起こしちゃって、最初に惨事を起こした場所は広場みたいになっちゃったし。
まぁお金をふんだくって貸し付けをチャラにする予定だから、木材のことはしばらく伏せておこう。
まもなく完成する。
あとは内装だけなのだが、何故か住まないドワーフさんとエルフ殿がもめているのだ。
主に木材の種類について。
ドワーフさんはせっかくだから建材と統一するべきと言っているのだが、エルフ殿は家具として使用するならもっと頑丈な木材が良いと主張している。
この場合エルフ殿が正しいように感じるが、建材に使用した木材は各種付与によって真価を発揮するらしい。
家具にした場合、一点一点付与するから時間がかかり、入居までさらに時間がかかる。
エルフ殿は書庫に入り浸りたいから早く済む方法を提案しているのだと、ドワーフさんに図星を突かれていた。
しかしエルフ殿は強権を発動して、意見を通そうと姑息なことをしているというわけだ。
「い、依頼人は手抜き工事を嫌がると思うぜっ!」
「て、手抜きではないっ! 儂が責任を持って採取してくる高級素材だっ!」
「乾燥に時間がかかるだろうっ!」
「ふんっ! 少年の魔法陣で一発よっ!」
「依頼主の手を煩わせるとは何事だっ!」
「お主が言うなっ!」
と言った感じで、二人は結構仲が良い。
昔からの知り合いで腐れ縁なんだとか。
ちなみに、この世界は地球に近い日時だ。
違うところは、一年が三五〇日ということかな。
通常は七日で一週間を四週やって一ヶ月だ。
ただし、七月と八月は五週ずつで一ヶ月。
全部で三五〇日になる計算だ。
カルム少年の誕生日は三月だから、もうすぐ十月だ。
変わったことと言えば食生活と、大量の書物を読み漁ることと、魔導サングラスを完成させたこと。
昏睡状態だったことを知っているママンやパパン、そして本当のことを知っているグリムとメイベルは当然のごとく突っ込まない。
何故かドワーフさんとエルフ殿も突っ込まないけど、一般的に目を閉じている人がメガネをしたら突っ込みたくなるのが本質だ。
今回はメイベル見たさに分家に来ようとしていた双子に突っ込まれることになった。
「おいっ! お前目が見えないんだってなっ! それなのに――」
「目は見えてますよ?」
「まだ話してる途中だろっ!」
「じゃあ続きをどうぞ。おじさん」
「おじさんだとっ!? お前とは――」
「六歳しか違いませんね」
「だからっ! 話してる途中っ!」
話している間は黙っていなければいけないルールはないのだよ。一言ずつ話せば止めないのに……。
双子兄のとの会話は演説を聴く心構えじゃないと辛いって、カルム少年の記憶にあったんだよね。
「メガネのことを言いたいんですよね?」
「そうだよっ」
「何を言いたいのですか?」
「しゃれっ気づくなっ!」
「大方近くにいる令嬢にアピールしているのでしょう!」
双子弟は大物ぶった口調が鬱陶しい。
デブだけど武術が得意な兄にくっつく小判鮫のくせして、口だけは達者っていうのがカルム少年の評価だ。
双子兄はマンボウでいいかな? 脂肪で攻撃が通らなそうだから。
「アピールする相手がいないよりはマシでしょう?」
「「なんだとっ!?」」
「おぉーー! 息ぴったしっ! さすが双子っ!」
「女神様に選ばれし者だからなっ!」
「そのとおりである。女神様の寵愛を受けし我らに臆して、誰も声をかけられないだけである」
「いや、自分から声をかけないとっ! 婚期逃しますよ!?」
「「黙れっ!」」
「おぉー、怖っ!」
『というか、女神様も相手を選んで寵愛を与えて欲しいなー!』
『コイツらに与えているわけないでしょうがーー!』
それよりもそろそろ退場してもらおう。
「セバスーー! セバスチャーン! 侵入してますよーー! 責任問題だよーー!?」
遠くからこちらを見ていることは知っていたから、たまたまとは言えない時間留まらせた後、責任を押しつける作戦を発動する。
「カルム様、私の名前はレイトです」
「そうでしたね。教育が行き届いた仕事ができる優秀な家宰でしたね。では、おじさんたちを部屋に戻してあげてください」
「――畏まりました」
「よろしくね」
「おいっ! レイトっ! 何で言いなりになってるんだよっ!」
「そうですよっ! このまま調子に乗せたままでは許されませんよ!?」
「アベル様、カイン様。そろそろ戦闘訓練の時間ですよ」
「「クソッ!」」
俺は悪態をつく双子に向かって手を振る。
このときの俺は、目の前の双子が本当の馬鹿だということに気づけなかった。
そのせいで男爵領最大の大事件に発展することになるとは……。
◇
深夜、常時発動の第六感が警告しているような気がして飛び起きた。
俺の部屋は窓がないからすぐに外に飛び出し、【白毫眼】と魔力を併用した広域知覚を発動する。
「――あの野郎っ! やりやがったっ!」
【隠蔽】で体全体を隠し、【神足通】の飛翔を使って最短距離で新居に向かう。
「火を消せっ! バケツでも何でもいいから持って来いっ!」
「延焼しないように潰せっ!」
新居周辺は火災により大混乱になっており、ドワーフさんたちが必死に消火活動をしている。
同時に兵士を連れた双子が――。
「もっと燃えろーーっ!」
「無許可の違法建築に断罪をっ!」
と叫んでいる。
俺は持ってきた弓で撃ち殺そうかと思ったが、それよりも柱を内側に折って周囲に被害が出ないようにするのが先決だ。
夜の闇に紛れるように力加減をして、連射していく。もちろん、内側に折れるようにするため移動しながらだ。
『グリム、雨を思わせるほどの広範囲魔法は?』
『やりますー!』
直後、上空から大粒の雨が降ってきたことで、他に被害を出すことなく鎮火させることができた。
この頃になってようやくパパンが兵士とセバスチャンを連れてやってきた。
「何事だっ!」
パパンの意識が火災現場に向いている隙に弓をしまい、パパンの側に近づく。
「あの双子が火をつけましたっ! 『無許可の違法建築に断罪をっ!』と叫んでいましたが、僕は許可をもらったはずですっ! まさか勝手に反故にしたりはしていませんよね!?」
「――確かに許可を出した。ただレイトが止めなかったのなら……記録に残っていなかったということだ」
「そうですか」
「ほら見ろっ! 違法建築なんだよっ!」
放火は予想外だが、契約の反故は予想していたことだ。対策をしていないわけがない。
「そうですか。では、教会に行きましょう。僕はあの契約書を神父様に見せ、公正証書を作ってもらいました。原本は僕が持っていますし、複製した控えは教会に保管してあります。神々に提出した契約を一方的に反故にした場合、いったいどのような罰が下るのでしょうか!?」
「――こ、公正証書……」
「もう一度お聞きします! 許可を取りましたよね? そして放火をしたことを認めた発言を聞きましたよね?」
「――あぁ。聞いた」
「「父上っ! 何故っ!?」
「公正証書がある以上……かばうことはできない」
「僕は賠償請求をさせていただきますっ!」
「いくらだ?」
誰が男爵家に支払わせるかよ。
「何故父上が聞くのです? 男爵家が払えば僕の生活が今以上に苦しくなるじゃないですか? それは賠償ではないでしょう? お金はニコライ商会からもらいます。彼らの祖父なのですから」
「いや、私は父親だ」
「いいえ、違います」
「何だと!?」
「言葉が過ぎますぞっ!」
「セバス……いい加減黙れよ」
思わず【観念動】の雷声を使ってしまったが、後悔はしていない。
冥界羅漢の能力で、命令・恐慌・麻痺という効果を持つ。今回はチョロッとだから、麻痺はしていないだろう。
「真意を聞きたいなら御祖父様に聞くか、双子のステータスを見ればよろしいかと。それとセバス、お前――無能すぎる」
放火されて怒らない人間がいるなら是非連れて来て欲しい。止められる立場にいながら放置したのだ。無能のレッテルが貼られても仕方がないだろう。
「当主殿っ!」
話が終わったと判断したのか、聞いたことある声がパパンを呼んだ。
「いかがされた、エルード殿」
「この場所は儂の大切な場所だったのだぞ!? どういう了見で放火など許可された!?」
「いや、私は許可など……」
「では、男爵家の者は当主の許可なく民草の住居に放火できるということか!?」
「いや、そんなことはない!」
「ならば、そこの者たちは全員反逆者ということじゃな!? 当主の意図しないことを当主の名を騙って行った反逆者だということならば、儂はまだ納得できるっ! 公開処刑を楽しみにしておるよ!」
めちゃくちゃキレてる……。
自分より怒ってる人がいると冷静になれるって聞くけど、本当だったわ。
受け答えを間違えば当主でも関係なく攻撃されてたな。
ちなみに、ほとんどの人がパパンを領主とは呼ばない。
理由はジジイが隠居したくせに口を出しているし、私兵や使用人はジジイの子飼いだからだ。村民であれば知ってることだから、パパンはジジイが死ぬまで当主呼びだろう。
「処刑なんかされるわけねぇだろっ!」
「我々に無体を働いたらニコライ商会は撤退しますからねっ!」
「では、儂がこの村から去ろうではないかっ!」
「それは困るっ! どうかっ! どうかっ! ご寛恕いただきたくっ!」
「――少年の希望に応えるようにせよっ!」
「感謝申し上げますっ!」
「おいっ! ガンツ、いくらだ!?」
「……金額じゃねぇ。『魔霊樹』だぞ……!? 全部……全部……『魔霊樹』なんだぞ……!? 予備も何もかも燃えちまってよーー! どうするつもりだっ!? お前らが採ってきてくれんのか!? ああ゛っ!?」
やっぱり貴重な木材だったのか……。
まぁまだ持ってるんだけどね。
何度も惨事を起こしちゃって、最初に惨事を起こした場所は広場みたいになっちゃったし。
まぁお金をふんだくって貸し付けをチャラにする予定だから、木材のことはしばらく伏せておこう。
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