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ーーー夏目の家ーーー

【06】※ 夏目目線

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「俺は明楽の事愛してるよ?今度こそ守りたい。これは俺の話しね」


俺は心から明楽を守りたいと思っている。今も自分の感情を整理するのに必死でつい唇を噛み締めてしまう明楽に俺は可愛いと感じてしまう。元々好みの顔だった。


俺は昔、暴走族をしていた。高校生時代はふざけてチームまで作るようなアホっぷりでそのチームが長く続いたのも秀和がいたからだ。でも俺は俺が暴走族でいたから周りに迷惑をかけてしまった。今でも仲がいい秀和と俺が医者を目指そうとした出来事が高3の冬に起きた。たまたまいじめられていたオメガに俺と秀和は出会い、話が会ったしその同級生と居て楽しいと思った。だから俺達のチームに何度も呼び出して一緒にイタズラやったりバカやったりしていた。その子が非力で力のあるαが守ってあげないと危険であるΩな事を忘れていた。雪也と同じように強がった性格と男気のせいでコンビニに1人で行くというそいつを俺と秀和はこのくらい大丈夫かと油断し行かせた。4日近く連絡が付かず最終的にはGPSで居場所を探したくらいだ。

その子はコンビニの帰りに敵対視するチームに誘拐され犯され、弄ばれ、侮辱され精神がズタズタになって帰ってきた。その後は度々お見舞いに行っていたが千里の両親からは『お前のせいだ、お前が千里に関わったから』と責められた。千里は笑うことも忘れ、食べることができなくなり点滴で生活していた。入院していた時の明楽にそっくりだった。呼んでも返事をせず虚ろな目は壁をずっと見ていてただ時の流れに身を任せるようなそんな感じだった。不安定な精神から周りに八つ当たりをし始め俺や秀和に殴りかかろうとしたり噛み付いたりし始めた頃だった。

千里は自分の腕の血管を切り自殺した。

俺と秀和がお見舞いに行った時には桶に手を突っ込んでたまま息をしていなかった。

俺がかからなければ千里は生きていたかもしれない。今思えば俺は千里が好きだった、大きな目は俺たちを見ると嬉しそうに細くなりバカやってる時は子供のように顔をクシャクシャにして笑う、チームのみんなに偏見も持たず普通の人間として接してくれた。陰気臭かったチームの倉庫は千里のせいで真冬なのにひまわりが咲いていたような気分になる。

見た目は明楽の髪の毛を黒くした感じで性格は雪也そのものだ。俺と秀和は無意識にガキ二人を千里に重ねて過保護にしすぎている。けど雪也と千里は違う、でも過去の償い代わりに病院で担当しはじめた頃は気にかけていた。
関われば関わるほど明楽と千里は違うと思い知らされて、明楽の良さにのめり込んでいった。義理の弟だとも知らずに私的に買い与えそれを注意され始めた頃、俺は義理の弟だと知りそれを大義名分に明楽に私的な愛情を注いだ。


「ぁ、あ、、えと、泣かないで、夏目」
『泣くなよ、夏目』


俺の中では10数年前の千里と過した冬を思い出し、記憶の中の千里が俺の脳裏をよぎる。

上目遣いで眉と目を下げ小動物のように覗き込んでくるその仕草は千里そっくりだ。

俺は気がつけば涙が出ていて明楽に抱きしめられていた。


「俺は、その、恋愛とかした事なくて、どう答えたらいいか分からない。でも夏目とは離れたくない。し、どこにも言って欲しくない。
この気持ちが好きじゃなくて愛、してるって事か確認させて、ほしい。一週間ください、俺は好きでもない人と愛してるフリをして生活するのは嫌だ。」


明楽は涙ぐみながら俺の頭を撫でる。いつも俺が明楽にするようにポン、ポンと優しく一定のリズムで。


「うん、一週間待ってる。でもその間も項は匂わせてね、噛ませて、吸わせて」


「い、ぃいけど。」


目の前にいる明楽は恥ずかしがりながらも自分からフードを外した。その仕草は初めて見たもので晴れ晴れとした顔に自分から右肩を露出させ俺に抱きついてくる。

俺は迷うことなく明楽の首に噛みつき、鼻を首筋に付け深く息を吸う。明楽は自分の事臭いだとかなんとか言ってるけど、清涼感があるさわやかなハッカの香りがする。ハーブティーに近いような匂いで一生嗅いでいたい。


「ん、っ…あんま、匂わないで、っ、くすぐったい」


あーエロい。えろい声がする。明楽のこの子、首まで真っ赤だよ。あー今すぐ項を噛みたい。明楽はくすぐったいとビクン!ビクンと腰を揺らし俺を強く抱きしめる。  


直樹なおきっ、俺も噛んでいい?俺の好きの気持ち」


にへら、と出会ってから一番の笑顔で明楽は笑う。しかも俺の事名前呼びとかもう、ぐっちゃぐちゃになって本気で嫌って泣き叫ぶまで犯してやりたい。

明楽は俺の項に歯をつけるとガブリと噛み付いた。少し痛いけど愛情を感じる痛さで続けて付けてくるキスマークも可愛い、無意識に腰を揺らしながら俺にキスマークを付けやってやったぜとでも言わんばかりの顔でまたにへらと笑う。この子はひまわりというより薔薇のようだ。棘がある癖にその棘を処理すると何よりも綺麗になる。


「あの、、直樹の、下、大きくなってるよ。」


「ぁああ、ごめんね。大好きな明楽にそんなことされたら俺、我慢の限界になるよ」 


「俺、、まだ、そういうの怖いから、」


「大丈夫、一週間待つって決めたから」


そう言うと明楽はもう一度俺の首に抱きつきスースーと寝息を立て始めた。

この子、本当に罪な子だ。


俺は気が付かれない程度のフェロモンを明楽に擦り付け、いつものように明楽を部屋にベッドに寝かせる。
明楽はΩであることを嫌がって理解したくなさそうな反応をするが体はαを求めている。明楽の中の本能はαを求め、安定していないそんなバースが安定しない中、精神も安定しないと大変な事になる。申し訳程度に俺は毎日のように抑えてるフェロモンを全開にし明楽の唇に噛みつく。自分の唾液と明楽の唾液を絡ませ、明楽が眠りながら涙目になるまで俺はそれを続けた。

そして噛みすぎてカサカサになった明楽の唇にリップクリームを塗った。


「おやすみ、明楽。明日もいい事があるよ。」



「・・・ん、、」


俺はまだ治まらない自分の昂りをトイレで抜くことにする。
明楽ぐらいの歳の頃は夜な夜な女を抱き回っていた。だからそれなりに性欲も強い方で明楽が寝た後にマスターベーションをする。オカズはトロ顔になり自分から腰を振る明楽の妄想や俺のペニスを美味しそうに舐める明楽の妄想だ。

そして俺は昔秀和に言われた事を思い出す『お前とヤる女が可哀想だ。そんなネチネチといじめられ続けたら息の根が止まる』と秀和と俺とデリヘルで3Pをした時に言われた。俺目線からすると秀和の巨根と有り余る体力で満足するまでヤるその攻め方の方が何倍もタチが悪いと思う。雪也が死なないか心配だ








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