25 / 45
---夏目と番になる---
【11】
しおりを挟むホテルは俺が思ってる100倍は立派で大きかった。従業員全員並び挨拶をしてきた時はまだ寝ぼけていた頭が一気に覚めるぐらい衝撃を受けた。
中も広く丁寧な掃除の徹底ぶりで埃一つない状態だ。お義父さんがご贔屓に小さいホテルだった頃から投資をしているらしく投資額はかる~く二億行ってると聞いた。夏目と佐野は貸切費用の2500万円を自腹で払う気でいたらしいがお義父さんがオーナーにそれを話ちゃって結果タダとなった。そりゃ二億のうちの2500万円は痛くも痒くもないな。しかもその上投資を続けてくれるって最高だな。
「受け付け行ってくるから佐野は問題児達見てて」
夏目が受け付けに行くのを眺めながら俺たちはロビーにあるソファーに座った。
ボーッと受付をしている夏目を眺めているとキャリーケースと大きな荷物は従業員が運んでくれるので任せた。
周りにいる女の従業員はみんな夏目の事を見ている。人目を集めるのを知っているけどそれは俺の夏目だ。噛み癖はあるし過保護だしヤンデレだしやめといた方がいいよ、そう思いながら夏目のその癖を知っている俺は優越感に浸った。
従業員であるはずの女の人達は夏目に擦り寄り腕を掴んだ。俺は思わず立ち上がり首の跡が見えないようハイネックのパーカーを着ていたがそれを脱いで雪也くんに渡す。
「雌豚蹴散らしてくる」
『夏目の口癖は雌豚と腐れマンコだな』佐野に教わった夏目の口癖をいいながらくすくす腹を抱えて笑う佐野と雪也くんをよそに大股で夏目の所へ行く。
それに気が付かない従業員はまだ夏目に絡みついて離れない。夏目も帰りたさそうにあしらっているが決定打がなかなか入らない。
夏目のその他人には誰にでも笑顔で優しい職業上板についたその職業病はこんな時につくづく最悪だなと思う。
「なおきぃ、遅いっ。」
「あ、ごめんごめん」
わざと従業員に見えるように首元をさらけ出し、威嚇すると目つきの怖い女の人が俺を睨む。
俺はお前よりも綺麗だ。それに夏目に愛されている。これを見ろ
「もう…そんな格好して寒くない?俺のジャケット着てて」
夏目は自分のジャケットを脱ぎ俺に被せてくる。俺は大人しく被せられながら目つきの悪い女の人が握っている夏目の逆の腕に体を擦り寄せ指を夏目の指の間に絡めた。
それでも女の人はやめない。こういう時は・・・頭をグルグル回転させ思いついた。水着を買いに行った帰りに佐野がギャル系のお姉さんたちに絡まれてなかなか帰ってこなかった時雪也くんは佐野の腕を取り、キスを寝だった後に『うせろ、腐れマンコ共』と一掃していた。
「うせろ、腐れマンコ」
夏目は今まで強く断っていなかったのに女の人の手を払った。
「ごめんけど、人の男に手を出すようなビッチに興味ない」
女の人は顔を赤くして喚き始めたがオーナーと男の従業員に受付の裏に引っ張られて行った。
俺はそれが面白くて思わず笑う。
「こら、どこでそんな汚い言葉覚えてきたの?」
「しゃのがぁ、うわ、なちゅ、めのくちぐせだっ、って」
夏目は俺の頬を引っ張りながら言う。自分は俺のいない所で汚い言葉を使う癖に俺は言っちゃダメなのかよ。
俺たちがこうしている間に佐野と雪也くんも何事かと寄ってきた。
「大変申し訳ございません。先程の従業員は解雇処分と致しますので夏目会長と佐野会長にはどうかご内密に」
オーナーは顔を真っ青にして深く頭を下げる。そりゃ多額の投資をしてくれた人の息子さん方に自分の従業員があんなことをしたのだからオーナーは投資を打ち切られても文句は言えない。
「いえいえ全然大丈夫ですよ。ですが次はないと思ってくださいねオーナー」
夏目は優しくそういう。
俺はそんな事よりも雪也くんに見せてもらったパンフレットが気になりすぎて早く部屋に行きたい。
そして全てが終わった後雪也くんとパンフレット片手に飛び跳ねながらスイートルームに入った。隣の部屋から雪也くんの騒ぐ音が微かに聞こえてくる。
「すごーい、広い!!ベッド広い!!全部広い!!」
俺は部屋に入るなりバタバタ!ドスドス!と慌ただしく広い部屋を散策する。
そんな俺とは裏腹に夏目は佐野と来たことがあるらしく驚く様子さえない。こんなにも広くて綺麗で窓からはそこが透けている綺麗な海が見えているというのに。
「お昼は何食べたい?食べたら海行くからそのつもりでね」
「グラタン!!今なら夏目以外の人のご飯も食べれそう」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
935
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる