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赤の盗賊団

第24話 赤の盗賊団 『ギルド登録』

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 「じゃあ、こっちへ来てください。ジン様。あとお仲間の方。」

 フルーレティさんがそう言ってオレたちを呼んだ。

 『新人訓練場』と名のついた看板がかかげてある部屋にオレたちは集められた。



 「冒険者登録についてご説明しますね。」

 そう言ってフルーレティさんが説明してくれた。

 「冒険者は免許制度になっています。冒険者ギルドが発行している免許を持っているか否かが最低限、冒険者と名乗れる基準ということになります。
冒険者ギルドは主な都市には支部があります。ここ円柱都市イラムの冒険者ギルドは、規模的にはまあまあ大きなほうですね。」

 「へぇ。冒険者ギルドってけっこう組織的なんだな。」




 「冒険者にはランク制度があります。

 上からSランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Fランクとなっています。

 そのランクに『資格』が組み合わされ、どういう依頼を受けることができるかどうかの範囲が決まってきます。

 Sランクは国家の危機レベルの仕事ができます。まさに英雄です。

 Aランクは達人クラス。超一流と呼ばれるクラス。

 Bランクは腕利きレベル。一流と呼ばれるクラス。

 Cランクは専門レベルで、何かに特化しているなど専門職の色合いが濃くなってきます。

 Dランクは普通レベルで、一般的な成果の期待値が認められる。

 Fランクは新人か誰でもできるレベル。安く雇える。

 それぞれのクラスは、昇格試験によって免許が与えられます。

 まあ、他にも世界レベル、国家機密レベルの仕事ができる規格外のSSランクもありますが・・・。」



 「また、資格には『護衛』『採集』『探索』『討伐』『情報』『傭兵』、それと『特殊』があります。
 
 『護衛』はまさに対人警護技術のことを言います。

 『採集』は何かの素材を採集する技術。

 『探索』はアイテム探しの技術。

 『討伐』は魔獣討伐技術。

 『情報』は情報収集能力。

 『傭兵』は主に魔獣以外の戦闘技術。

 『特殊』はその他特殊技術を指します。

 そのレベルはさまざまであるので、その熟練度によって評価が変わってきます。」



 「ところで、ジン様のパーティーはどなたを登録されますか?」

 「ああ。オレとアイ、ヒルコ、、、あと、えーと、コタにイシカにホノリ、三人いるんだけど、今はここには来ていないんだけど、どうしたらいい?」

 「そうですね。では名前と職業だけ登録しておいていただけますか? ただし、ランクは強制的にFランクにはなってしまいますが。」

 「ああ、それでいいよ。えーっと、職業か・・・。オレって何になるんだろうな。」

 「では今から、ランク判定の試験を行いますので、その際に合わせて職業も、私どものほうで判別させていただきますけどいかがでしょうか?」

 「おっけーだ。」

 「お・・・おっけ?」

 フルーレティさんは、OKという意味がわからなかった様子だ。



 「では、みなさん、こちらに来ていただけますか?」

 執事のフルカスさんが丸太を用意していた。全部で5本ある・・・あ、ジロキチとジュニアくんの分もか。

 「さて、あの丸太までは約4ドラゴンフィートあります。まあ、この距離からでも近づいていってでも構いませんが丸太を倒してみせてください。
丸太には今から魔法をかけて、戦いの相手として十分になるよう調整させていただきます。」



 「おお! 魔法か!!」

 「おそらく、『影を操る呪文』でも使用されるのでしょう。」

 「しっかし・・・オレって、あの火炎放射以来、何も試してなかったな・・・。ま、『火炎放射』をお見舞いしてやればいいだろ? 
 他にも『電撃アタック』とか、『サイコキネシス』、この機会に試してみるか!」

 「さすがはマスター! 勤勉ですねぇ。」

 「ああ。怠惰してるわけにはいかないからな。」

 フルカスさんとフルーレティさんが笑顔のまま、少しだけピクリとした。



 「ふふふ・・・アイ様。ご名答! では行きますよ! 影を操る呪文、操影呪文!『花影』!!」

 『十五夜お月さま、ひとりぼち、桜吹雪の花かげに花嫁すがたのおねえさま、俥(くるま)にゆられてゆきました!』

 そうフルカスさんが呪文を唱えるやいなや、丸太が不気味な人型の姿に変わっていき、襲いかかってきた。



 「おおっ!! これいったいどういう仕組で動いてるんだ!?」

 (はい! どういう因子かはあらゆる科学鑑定を行っていますが感知はできません・・・ですが、何らかの因子が働き、別次元の法則を適用しこういう不可思議な特殊現象を引き起こしているものと推測されます!)

 アイが思念通信ですかさず答えてくれた。

 なるほど、魔力のもととなるその因子は謎・・・か。まあいい。とにかく今は、こいつをぶっ倒せばいいんだな。



 「じゃ、試してみるか! 喰らえ! 電撃ショーーー―ック!!」

 オレは雷が地を這う竜のようなイメージを浮かべ、同期しているあたりの数百兆個のスーパーナノテクマシンに命令を下した。

 ピカッ!!

 一拍遅れて衝撃音が巻き起こる。



 ドゴォォォォオオオオオオオオオオォォンンンッ!!!

 ものすごい稲妻が地を伝って丸太の一つに襲いかかった。

 丸太の人形兵士、マルタドールは見事なまでに焼け焦げ、動けなくなってしまった。

 しかも辺りの地形も変わって、大きな穴が空いて、ブスブスと煙をあげ焦げくさい臭いを放っていた。

 「むぅ・・・。」

 フルカスさんが唸る。



 「さすがです! マスター! ではワタクシめも!」

 アイがそれに触発されたのか、両手を天に掲げ構えた。

 「超伝導・氷結!!」

 急激に辺りの空気が冷え込み、息が白くなるくらい・・・いや、その吐く息さえ凍って結晶になってしまうほどの冷気が呼び起こされたかと思うと、マルタドール1体が瞬間冷凍されたのだ。



 すると、さきほどオレの放った雷撃の残存していた電気エネルギーをその冷凍されたマルタドールが引き込み、一気にスパークしたのだ!

 なるほど・・・これは科学の実験でやっていた超伝導というやつか。

 超伝導とは特定の金属や化合物などの物質を非常に低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象のことをいう。

 つまり、アイのスーパーナノテクマシンによって瞬間冷凍されたマルタドールの電気抵抗がゼロになり、オレの起こした電撃のエネルギーを吸収し、一気に流れ込みスパークしたというわけだ。

 アイがその手を下げると、マルタドールはしばらくそのまま電気ショックのまま、バチバチと電撃状態のまま、すべての因子の繋がりが断ち切られ、元の丸太に返ったのだった。





 「やるな。アイ!」

 「いえいえ、マスターのお力があってのことです。」

 アイはいつも慎み深いな。

 「これは・・・。」

 フルカスさんが汗を垂らし、驚いている。




 隣でヒルコも負けじと攻撃を繰り出す!

 「ホイホイのホーーーーイッ!!」

 あ、ホイホイって例のやつだ。

 メイド姿のかわいいヒルコが一瞬にして、粘性の塊になり、巨大なスライムがその触手を伸ばし、マルタドール1体を取り込んだかと思うと、マルタドールが蒸発した。

 「これは危険ですねぇ。」

 フルカスさんがそう言って、少し後ろに下がった。



 「ふぅ・・・。すごいでやんすね。ジン様、アイ様、ヒルコ様。では拙者も!!」

 ジロキチがすばやく前に出て、マルタドールを一気にその背中に背負っていた大刀で切り刻んだ。

 「剣技・八方美人!」

 四方八方に繰り出されたジロキチの剣でマルタドールが一瞬でバラバラにされた。

 「お見事!!」

 フルカスさんがジロキチを褒める。


 オレたちはあっという間にマルタドールをすべて片付けたのだった・・・。

 あ、いや、もう1体いたっけ。えっと? ジュニアくんは?

 そう思って、ジュニアくんを探すが見当たらない。

 煙がもうもうとしている中、ふとこの新人訓練場の隅を見てみたら、なんと、ジュニアくんがマルタドールにボコボコにされていた。



 「それまでっ!!」

 フルーレティさんの声が訓練場に響き渡り、フルカスさんが魔力を消したところで、マルタドールが元の丸太に戻ったのだった。

 「あい、すみませんでチュ・・・。」

 ジュニアくん・・・戦闘なんて、まったくできないんじゃないか?

 カタキ討ち、骨が折れそうだな。

 オレはなんとか立ち上がるジュニアくんを見てそう思ったのだったー。



~続く~
©「花影」作詞:大村主計、作曲:豊田義一


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